※この作品には東方星蓮船のキャラが出てます。
それでもいいという方以外は回れ右をしてください。
「うらめしや~」
「またあなたですか。懲りませんねえ」
はるか上空で東風谷早苗と多々良小傘が向かい合っていた。
本来早苗は博麗霊夢や霧雨魔理沙とともに空を飛ぶ船の調査をするはずだった。
しかし、小傘との一戦を終えた後で御幣を忘れていることに気付いて急いで取りに戻っていた。
そして霊夢や魔理沙に追いつこうと急いでいた時にまた小傘が現れたのだ。
御幣を忘れていることに気付かない早苗も早苗だが、性懲りもなく現れる小傘も小傘である。
「うらめしや~」
「はいはい。表は蕎麦屋」
「その返しはもういいわ」
「じゃあどうしろと?」
「驚いて」
「……」
急いでいるところにこんな邪魔が入ったので早苗は少々苛付いてきていた。
霊夢も魔理沙も待っているだろうに。……いや、あの二人ならそれはないか。とっとと先に行くだろう。
早苗はテキトーに驚いてあげようかなと考え始めた。
「わー、びっくりですー」
「……うっうっうっ。どうして皆驚いてくれないのかしら」
「はぁ。私は急いでいるのでもう行きますね」
早苗が溜息を吐いて先に進もうと小傘に背を向ける形となった。
「待ちなさいっ! こうなったら実力行使よっ!」
「っ!?」
早苗がその言葉に慌てて振り向くと、小傘が目の前に迫ってきていた。
「ひゃあっ!」
「へ?」
驚いた早苗は手に持っていた御幣を小傘にむけて投げていた。
投げた御幣は小傘の手に当たり、小傘の手から持っていた傘が離れた。
「あっ……。ああああああああああっ!」
あっ、驚いちゃった、とか早苗が思っていると、早苗曰く茄子みたいな傘を残して目の前から小傘の姿が消えていた。
「あれ?」
「きゃあああぁぁぁ……」
「……あっ!」
早苗が何処に行ったのかと探していると下から声がしたので見てみた。
すると落下中の小傘が見えた。
「ええっ!?」
早苗の体は考えるより早く小傘の持っていた傘を手に取り、小傘を追いかけた。
「ちょっとっ! あなた空飛べるんじゃないんですかっ!?」
「傘がないと飛べないのぉぉぉ!」
「あなたはパラソルを持っていないワ○ルディですかっ!?」
「ひえええええ。落ちるー!」
「現在進行形で落ちてますよっ!」
「もうダメー」
「奇跡よ、起きよっ!」
もう少しで地面というところで早苗は小傘をキャッチできた。
あの距離をよく追いつけたなぁ、奇跡って本当にあるんだなぁ、と早苗は上空を見ながら考えていた。
「あ、あのぉ」
「ん? なんですか?」
「恥ずかしいんだけど……」
「えっ!? ああっ!?」
早苗は必死で気付いていなかったが今の早苗は小傘を抱いている状態だ。俗に言うお姫様抱っこの状態で。
「す、すいません。今おろしますね」
「いいのよ。あなたが私を拾ってくれたんだから」
「えっ……、拾った?」
「さっきは傘のことを散々馬鹿にしてたけど、本当は私が欲しかったのね?」
「いや、違います」
「はっ! これがツンデレというものなのね!」
「だから違いますって」
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
「おーい。人の話聞いてますか? 私はあなたを拾ったのではなくてですね……」
「え……。あなたも……あなたも私を捨てるの?」
「だから捨てるとか捨てないとかじゃなくて……」
「うぅぅ……」
「はぁ」
早苗がどうしようかと考え始めた時、小傘と目が合った。
その目は今にも泣きそうで早苗は困り果ててしまった。
「ああっ、もうっ! そうですよっ! 私はあなたの、傘のデザインがとても気に入ったので拾ったんですよ」
「……本当?」
「本当ですよっ!」
「ありがとう」
そう言って泣きながらとびっきりの笑顔で笑っている小傘を見ると、これで良かったのかな、と早苗は思ったりした。
「さて、それでは私はあの船の調査に行きますがあなたはどうします?」
「もちろん、付いて行くわ。わちきに任せなさいっ!」
「おう、早苗。遅かった……な!?」
「全くあんたってドジなの……ね!?」
船に着いた時には霊夢と魔理沙は尼さんっぽい妖怪と戦ったあとであった。
「「早苗。それは……何?」」
「へ? この傘ですか? 途中で拾いました」
「そ、そうか」
「か、変わった趣味ね……」
「何言ってるんですか、外の世界ではこういうデザインが流行っているんですよ」
「「っ!? そ、そーなのかー」」
そんなわけない。
「で、御幣は?」
「あっ」
そういえば投げた後に何処にいったのかわからない。
「さ、探してきまーす」
「「いってらっしゃーい」」
「あっ、わちきも行くー」
異変解決一年生の東風谷早苗は色々と大変なようである。
今後は攻めな早苗さんが期待できますねw
これは流行る
貴様……pixvを見ているなッ!
お話は良かったですけど冒頭にネタバレ注意ぐらいあってもいいと思います