Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

紅魔演舞

2009/01/30 21:27:09
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「………」

 紅魔館の門の前に一人の女性が無言のまま立っていた

 目を閉じて無言のままに立ち尽くす女性

 紅魔館の門番長である紅美鈴の姿がそこにあった

「………」
 
 目を閉じた女性が門の前で立っている…
 
 ただそれだけのはずなのに、誰もその隣を通れそな気がしない

 それだけの雰囲気が門の前にあった

「……!」

 一瞬の緊張の後、美鈴の体が動いた

 その動きは消して早くは無い

 大妖怪と呼ばれる者達なら更に早い動きが出せる
 
 だが、その動きは自然にして無駄が無い

 流れるように腕を伸ばし、足を払う動作が

 まるで目の前に相手がいるかのように立ち回る

「………」
 
 蛇のような動きで手を払い、
 
 そして体の動きを邪魔しないように足払いをする

 拳法における基本のような攻撃だが

 まるで目の前に戦っている相手までが幻視できるほどの綺麗な演舞

「………」

 次の動きは体を低く落としてから

 右手を前に伸ばしてから下に降ろし

 左手は逆に上に浮かせるように動かす

 踊っているように見えるかもしれない

 だが、今の美鈴を見たらはっきりと相手が見える

 門の前にいる美鈴の隣を通ろうとして伸ばした腕をとられ

 右手で体を崩された後、その体の下に潜り込まれて

 地面に叩きつけられている姿が

「………」

 再び美鈴が構えを取ってから演舞が始まる

 半歩前に出た後、右手で軽く掌打を降ろす

(これで目の前の相手は頭を押さえられ上から通れない)

 体の前で左手を横に滑らせて右手をそのまま突き出す

(掴みかかろうとした相手の手を払い顔の頬を掠めるように突きを入れる)

 姿勢を低く下げてから足払いを放つ

(相手が放ってきたキックをしゃがんで避けると同時に軸足を狩る)

「………」  

 そしてまたしばらくの間美鈴の動きが止まると

 今度は両足を肩幅に開いて両手を前に突き出す

 奇しくも、己の役職である門と同じ構え

 己の身体を狙う物を両手と言う名の門で打ち払う構えであった

「………」
 
 暫しの緊張の後、美鈴の左手が自らの顔の横に動く
 
 その動きはまるで自然そのもの

 まるで誰かが顔を狙って攻撃をしてきたかのように

「……!」
 
 次に動くのは右手が鳩尾の部分を守るように伸ばされる

 美鈴のお腹を狙って蹴りを入れた相手が驚く様が目に浮かぶようであった

 続いて、軽く半身を捻って避ける動作が

(それは、相手が足払いを仕掛けてきたのを体を捻って避ける動作)

 左手を伸ばして横にそらせる動作が

(相手が攻撃してきた手を指で掴んで体を崩すような動作)

 だが、恐るべき事に、体の重心は全く動いていない

 それはまさに演舞と呼ばれるに相応しい動きであった 

「………」

 そして美鈴の演舞が終わりに近づいた 

 美鈴が相手の軸足を再び刈り取る動作を加えた後

 相手の体の隣に位置する場所に対して

「!」

 高く上げた左足を思いっきり踏みつける

 それは、相手を威嚇するためであり
 
 攻撃をする前の気合を入れる動作であり

 そして、相手を恐れさせる目的でもある奥義『黄震脚』であった

 地面には小規模のクレーターが出来ていて

「………」
 
 まるで本当に戦いがあったかのように美鈴が頭を軽く下げた
 
 そして、また最初のように門の前に立ち尽くす











「……ZZZ…」
(サクッ!)
「イタッ!?」
「…門の前で寝るなんて…良い身分ね?美鈴」
「さ、咲夜さん!?」
「まったく…頑張っているかと思って差し入れ持って来たのに」
「ほ、本当ですか!?」
「…でも一人で全部食べちゃおうかな?」
「そ、そんな!?」 
「ふふっ、冗談よ」

 こうして、メイド長が現われて

 何時もの門番長の姿に戻る事になりました
 
「うわ~サンドイッチですか!」

「紅茶もあるわよ?」

「美味しそうね咲夜、美鈴」

「お嬢様?」

 咲夜が手にしたサンドイッチをぱくりと食べる

 大き目の傘をさしたレミリアの姿に驚く咲夜

「わーい…もひゅもひゅ…」

「わ、妹様酷いじゃないですか!」

 レミリアの登場に美鈴が驚いている間に

 美鈴の後ろから現われたフランドールがぱくりと銜えた

「…たまには外も良いわね」

「ぱ、パチュリー様、待ってくださいよ~」

 後ろから小悪魔とパチュリーの姿も現われる

 結局、何時もの紅魔館の面々が門の前に集まって

 ピクニックのようなほのぼのとした雰囲気が広げられる





 今の美鈴には、先ほどのような演舞よりも

 此方の光景の方が似合っているのである
「さ、さとり様!」
「た、大変です!」

「どうしましたか?燐…空…!?こいしが!」

 ペットの心を読んださとりが大急ぎで妹の部屋に向かう

「こいし!」
「あっ…お姉ちゃん?…いたたっ…」
 目の前に居たのはベッドの中で絆創膏を顔につけて
 横になっている、愛しい妹の姿であった
 思わず妹を抱きしめるさとり
「いたたっ…ちょっと痛いよお姉ちゃん」
「ご、御免なさい…」
 妹に言われて、力を緩めるさとり
 そして心配そうに妹に問いかけた
「…一体何があったんですか?」
 これが妹じゃなければ心を読んでやることが出来たが
 自分が大切にしている妹は心が読めない
 だから、口惜しいが言葉で聞くのを待つしかないのだ 

「お姉ちゃん…幻想郷って凄い人いるんだね…私、全く歯が立たなかった」
 その言葉にさとりが怒りを燃やす
 自分が大切に守ってきた妹を虐めた相手を 
「こいし…相手はどの大妖怪ですか?」
(八雲紫?それとも天狗?吸血鬼?…蓬莱人かもしれません…
 許しません…たとえ相手が私よりも上でも!)
 さとりに対してこいしが告げた
「…紅い屋敷にふらふらと行ったんだけどね…そこの門番さんにやられたの…」
(紅い屋敷の門番?…誰でしたっけ…
 と言いますか…こいしが負ける相手では…)

「…凄いよね、私が『無意識』で門の前を通ろうとしたら
 私と同じで『無意識』で門を守っていたみたい」

 


 
 多分、寝ている美鈴ならこいしと五分以上に戦えると思う
 同じ無意識ならば長い年月をかけて磨き上げた
『無意識』の方が強いと思われる脇役のお話でした
 
(注意…弾幕なら美鈴が確実に負けます)
脇役
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
この美鈴は惚れなおす
美鈴の魅力は根っこの強さか…
ん?魅力…?み、ミマサマァアア!
とても素敵な美鈴をありがとうございました


魅魔様が幸せになりますように
2.名前が無い程度の能力削除
冒頭でリアルシャドーと思ったではねえですかい

魅魔様が幸せになりますように
3.名前が無い程度の能力削除
美鈴がバキごっこしてるんだと思ったら戦っていたなんて…
構えたすがたを想像して吹きました

魅魔様が幸せになりますように
4.白徒削除
いやぁ、格闘なら美鈴より強いキャラも限られてくると思います。
最近カッコイイ美鈴が好きでたまらないのですが、ほのぼの紅魔館はさらに上を行く破壊力ですねぇ。
しかしこいしちゃんwww
もうホント、紅魔館と地霊殿に幸あれ。


魅魔様が幸せになりますように
5.名前が無い程度の能力削除
感動しちゃいました
6.名前が無い程度の能力削除
美鈴何気に強いwww

魅魔様が幸せになれますように
7.名前が無い程度の能力削除
なんというエルフを狩る美鈴
この睡拳には勝てない
8.名前を表示しない程度の能力削除
さすが美鈴、俺達に出来ないことを平然と(ry
ただの演舞かと思いきやあとがきwwこいしがかわいそうww
しかし無意識の美鈴ならきっと弾幕も無意識で避けてくれると信じてるんだぜ!

魅魔様が幸せになりますように
9.イスピン削除
無であるがゆえに隙が生まれぬ。これぞ無想陰殺!

魅魔様あぁーーーーーー!
10.名前が無い程度の能力削除
縁の下の力持ちw
脇役さんの美鈴は一家を守るお母さんですねwww

さっきの作品で書き忘れたから二回
魅魔様が幸せになりますように
魅魔様が幸せになりますように