Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ねぇ、ゆっかり~ん?

2012/06/19 18:01:37
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「ねぇ、ゆっか~りん? 私お金が欲しいなぁ」

 紫の家に遊びに来ていた天子は、可愛い子ぶってそう言った。
 それを聞いた紫は一瞬眉をひそめると、座布団に座ったまま一枚のメモを取り出して寄越した。

「このメモの場所に行ってみなさい」
「なにここ?」
「行ってみればわかるわ」
「はいよ。それじゃ行ってみてくるわね」

 天子はもらったメモを眺めながら、足早に紫の家を出て行った。



 ~30分後~



「オイコラババア! 尋ねてみたら風俗じゃないのよあんた!」
「あら、何を怒ってるのかしら。もしかしたら身売りするほどお金に困ってるのかもと思って、親切にも教えてあげたのに」
「誰が身売りなんてするか! 第一なんとなく言ってみただけだからお金に困ってないわ!」
「まずなんとなくで金をせびらないの」



 ◇ ◆ ◇



「ねぇ、ゆっかり~ん? 私外界のテレビゲームが欲しいなぁ」

 紫の家に勝手に押しかけてきた来ていた天子は、馴れ馴れしくそう言った。
 それを聞いた紫は考え込むと、スキマから何かを取り出し寄越した。

「これをどうぞ」
「おぉ!? ありがとゆかりん!」

 テレレレ~ン♪ 天子はファミリーコンピューターとゼルダの伝説(初代)を手に入れた!

「って、やれるかこんなもん!」
「あら、ご要望どおり外界のゲームよ?」
「私が欲しいのはとっくに幻想入りしてるような8bit機じゃなくて、リアルなムービーに激しいアクションができる最新ゲームよ!」
「文句言わないの」
「嫌よ早苗ばっかり面白そうなゲームやって! 私だってやりたいのよPS2のリアルグラフィックでゲームしたいのよ!」
(もうそれもとっくに最新じゃないんだけれどね)

 時折外界を覗いては最新ゲーム機の情報なども手に入れている紫から見れば、PS2なんてリアルグラフィック(笑)だ。
 しかしだ、だからといってここで天子の望み通りのものを渡すのは、彼女の教育上良くないだろう。スベリオンでもプレイさせて絶望させるのも良いが、流石にそれはかわいそうだ。

「文句ばっかり言わないの。それだって中々面白いわよ」
「誰もやらないわよ、こんなしょぼいゲーム!」



 ~三時間後~



「あれ、詰まっちゃった」
「そこに爆弾置くんじゃないかしら?」
「それか……って、爆弾もうないわ。戻らなきゃ」
「あなた使いすぎなのよ」
「いいでしょ、消費アイテムなんて補充できるんだから、ガンガン使えばいいのよ」
「あなたラストエリクサーを躊躇なく使うタイプね」
「ならそのゲームやらせなさいよ」
「はい、FC版FF3」
「もっと先のナンバリング寄越せ!」

 なんだかんだで二人とも楽しめたそうです。



 ◇ ◆ ◇



「ねぇ、ゆっか~りん? 私ペットが欲しいわ」

 紫の家に突然やってきた天子は、なぜかちょっとカッコつけてそう言った。
 それを聞いた紫は面倒そうな顔をすると、ハッキリと言葉を口にした。

「あなたに買われたペットがものすごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉく可哀想だから止めておきなさい」
「どういう意味よババア」
「言ったままの意味よ。でもそうね、アレなら天子にもへこたれず生きていけるかしら」
「なんか物凄く貶されてる気がするけど一応聞くわ、それってなに?」
「ゴキ○リ」
「飼うかそんなの!」
「いやいや、世の中にはそういう人もいるのよ。自分が乗ってるマシンに鎧土竜なんて名前付けるパイロットもいるし」
「そんな変人と一緒にするな!」
(あなたも勝るとも劣らず変人よね)

 そんなことを思う紫だが、彼女自身も人のことを言えない。

「それに猫や犬なんかを飼ったとして、面倒を見れるのあなた?」
「大丈夫よ、私が飼いたいのは手のかからないようなのだから」
「正直そんなのいないと思うけれど一応聞くわ、どんなの?」
「金髪で、割と頭良くて、性格悪くて、無駄に胸に脂肪がついてるババア」
「あらそうなの、私に喧嘩売ってるのねあなた」

 紫は迷いなく天子の顔へ手を伸ばし、柔らかなほっぺたを力強くつまんで引っ張った。

「いふぁふぁふぁふぁふぁふぁ!!」
「失礼なことを言うのはこの口かしら? ほらほらほら」
「ひっふぁらふぁいふぇ! いふぁいいふぁい!」

 間抜けな悲鳴を上げる天子は、紫の手をなんとか振り払った。

「なによ、ちょっと動物扱いされただけで怒って!」
「それをちょっととは言わない。第一、ペットが欲しいでなんで私に行き着くの。まぁ、私も天子を飼いたいけど」
「いやー、実は……って、おい今なんて言った」
「な、なんでもありませんわ」

 やっべ口が滑ったと内心慌てながら、天子の怪しむような目から顔をそらして口淀む。

「それで、実はどうしてなのよ」
「なんか私周りからちょっとバカにされてるような気がしてね。ここらで紫でもペットにすれば見る目が変わるかなと」
「それだけ?」
「だけ」
「そんなあなたにお勧めなのはこれよ!」

 紫はスキマから何かを取り出すと、素早く天子の帽子を弾き飛ばして頭にそれをはめ込んだ。
 驚愕の顔を浮かべる天子の頭に、ふさふさした大きな耳が二つ追加される。

「うにゃ!?」
「私特性ネコミミカチューシャよ! 言葉が猫語になるおまけつき。お仕置きにはちょうど良いわ」
「うにゃにゃにゃ! にゃにゃにゃおん!(お仕置きとかじゃなくて、あんたやりたいからやってるだけでしょババア!)」
「何言ってるかわからないわね。とりあえず、ババアなんて失礼なことを口を利く子猫ちゃんにはお仕置きをしちゃいましょうか……」
「うにゃー!!?」



 ~一時間後~



「藍様! 今日も稽古つけてくだ……何やってるんですか紫様?」
「子猫を可愛がっているのよ。ほーらよしよしよし」
「うにゃぁ~……」

 両者とも幸せそうな顔をしていたと橙は語った。



 ◇ ◆ ◇



「ねぇ、ゆっか~りん? 私でも着けられるブラジャーが欲しいな、お願いしますマジで」

 紫の家に悔しそうな顔をしてやって来た天子は、頭を畳にこすり付けて頼み込んだ。
 それを聞いた紫は、天子の態度に珍しく困惑する。

「えっ、なに」
「私がブラ着けてないからって魔理沙とか早苗とかに馬鹿にされたのよ! ちくしょうサラシも着けてないで悪いか!?」
「ちょっと待って、あなたノーブラなの?」
「そうよ! 貧乳は非国民だって言いたいのか!?」
(やばい、目の前の美少女が下着着けてないとか興奮してきたわ)

 目を血走らせ天子のまな板を凝視する紫。
 自然と鼻息が荒くなるのを必死に静めようとする。

「おぉぉ……落ち着きなさい私の中の煩悩よ……」
「どうした突然」
「なんでもないわ、なんでも。というかあなたに着けられるブラなんてあるのかしら」
「そこを、そこをどうか紫様! どうか私にお恵み下さいませ!」
「あなた落ち着きなさいな、卑屈になりすぎだから……そうね、そういえばアレなら……」

 紫はスキマに手を突っ込むと、一枚の布切れを取り出した。

「何かあるの!?」
「これなんてどうかしら?」
「これは?」
「一応はブラジャーよ」
「私の知ってるのと違うけど」
「外界にはそういうのもあるのよ」

 子供用のスポーツブラだった。

「やった、これでバカにされないで済むわ! 紫ありがと!」
「どうしたしまして」



 ~数日後~



「子供向きのだってバレてバカにされた……」
(ですよねー)

 その日はおっぱい枕を涙で濡らしたそうです。



 ◇ ◆ ◇



「ねぇ、ゆっか~りん? 私自機になりたいなぁ」
「無茶言いなさんな」

 紫の家にニコニコ笑顔を浮かびながらやって来た天子は、精一杯の猫なで声を出した直後に断られた。

「そんな無碍に扱わないでよ! 口授ハブられたし、ここらで一発大きな出番がないと不味いのよ!」
「だからって自機は高望みしすぎだわ」
「だって私ってメイン武器が剣、気質は極光、見た目も正統派でこれ以上ないくらいに主人公じゃない?」
「だが地属性」
「地属性バカにすんな!」

 力量云々ではなく、イメージとしての決して逆転できない問題である。
 地属性の主人公とか地味すぎでないわー。

「第一なぜ私にそれを言いにくるの」
「ふふふ、それはね、紫が異変を起こして解決に来た博麗の巫女その他を蹴散らしたところで、本命の私が現れて紫を倒せばいいのよ!」
「それを世の人は八百長って言うのよ」
「なぁ~に、バレなきゃいいののよ。うっひっひ……」
「笑い方がキモイ」
「いたっ! 理不尽な理由で殴られた!?」
「さて、それはさておき」
「置くな」
「そんなことしたって霊夢とかには十中八九バレるわよ。私はやらないわ」
「いや、そう言わずにさぁ。ゆかりぃ~」
「そんな猫なで声出しても駄目なものは駄目!」

 ほんのわずかに紫の鼻息が荒くなったのを見て、あっこれ行けるなと天子は踏んだ。



 ~数日後~



「……で、あんたら辞世の句はある?」
「すいませんでした。もう自作自演とかやりませんから。許して下さい」
「私はこの不良天人に振り回されただけですわ」
「あっ、ひど! 相棒を売る気!?」
「あなたは相棒なんかじゃなくて、もっと打算的で姑息な鬱陶しい何かでしょ」
「なんですってぇ!? 色仕掛けもどきであっさり落とされた癖して!」
「ひ、人聞きの悪いことを言うんじゃありませんわ」
「よーし、反省してないなお前ら。半日夢想転生覚悟しろ」

 二人共々、博麗の巫女に折檻を受ける姿が目撃されたという。



 ◇ ◆ ◇



「ねぇ、ゆっか~りん? 私愛が欲しいな」

 紫の家にいつも通り遊びに来た天子は、いつも通りにそう言った。
 それを聞いた紫は、ゆっくりと天子に顔を向ける。

「ここに一枚のメモが」
「風俗で金払って貰いたくはないわ!」

 紫から寄越されたメモは、怒号とともに手から叩き落とされた。

「私が欲しいのはそんな打算的で一時的なむなしい愛じゃなくて無償の愛よ!」
「そんな相手があなたにいるの?」
「一人、心当たりならいるわ」

 天子は軽い足取りで紫のそばに来ると、腰を下ろして肩を寄せ合った。
 それを紫は拒絶することもなく、微動だにせず受け止める。

「そいつとはさ、何だかんだ言って気が合うのよ。いつもは喧嘩腰で話すことも多いけど、気が付いたら私からそいつの傍に擦り寄ってる」
「あらあら、あなたと気が合うなんて、件の人物は余程の変人ね」
「私と気が合うとどうして変人なのか気になるけど、そうね、相当変なやつだわ。自惚れかもしれないけど、私のことを大なり小なり好意を寄せてくれると思うのよ」
「それで、その人物から無償の愛を受け取りたいと」
「うん」

 紫の手に自らの手を重ねて、相手の肩にあごを乗せる。
 これ以上ないくらい身体を密着させながら、天子は淡々と語りかけた。

「今までさ、友達みたいな感じで接してきたわ。それもすごく楽しかったけど、そろそろ次の段階に進みたいのよ」
「本当に?」
「……ちょっと嘘。なんだかもう我慢できなくなってきたの。友達よりも上に行きたい」
「なるほどね、でも一つ勘違いしてることがあるわ」

 それまで動じずに聞き手に回っていた紫が、そこでようやく動きを見せた。
 一旦離れた天子の帽子を脱がせ、サラリと青色の髪を撫でると、天子の頭を優しく包み込むように抱きかかえた。

「あなたの言う相手は、きっと無償の愛なんか寄越してくれないわ。同時にあなたからも、相応のものを要求してくるわ」

 紫は天子の耳元に口を寄せる。

「愛して貰いたかったら。まずあなたの口から、ちゃんと言葉で想いを伝えなさい」

 それだけ呟くと紫は身を引いて、改めて正面から天子と目を合わせた。

「……意地悪、ここまで言ったんだから気付いてるでしょ」
「何も言わず、何も与えずに相手にねだるところから間違ってるのよ。わがままの不良天人」
「なによ偉そうに、自分だって恋愛経験ない癖に」
「そんなことより、早く聞かせて頂戴な」

 紫は天子に顔を近づけると、こつんと額を押し当てた。
 鼻息までかかる距離で、緋色の瞳を切なげに見つめる。

「私もいい加減、友達だなんて関係じゃ我慢できないのよ。天子」

 じっと見つめられて天子はとまどっていたが、目を伏せゆっくり大きく深呼吸をする。
 やがて決心したように目を開けた時にはその目に迷いはなく、想いを込めて言葉を紡いだ。

「紫、私……」
「ちくわ大明神」
「紫が好き」
「誰だ今の」
藍「私だ」
天子「お前だったのか」
藍「一行目からずっといたのに、目の前で延々とイチャつかれた、九尾の遊び」
紫「とりあえず後で折檻ね」





食材売り場を冷やかしてるときに目に入ったちくわが全部悪い。
電動ドリル
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
ま た お 前 か
周りがこんなんばっかで橙の将来が心配でならぬ…
2.名前が無い程度の能力削除
また君か壊れるなぁ(歓喜)
3.名前が無い程度の能力削除
イイネ・
昔のゲームほどはまりやすいから困る
4.奇声を発する程度の能力削除
良い具合で面白かったです
5.カンデラ削除
うん、ちくわが悪いね(賞賛)
6.名前が無い程度の能力削除
ちくわ万能説
7.名前が無い程度の能力削除
なんでちくわでゆかてんがw
8.過剰削除
これも全部ちくわって奴の仕業なんだ
9.名前が無い程度の能力削除
b
10.名前が無い程度の能力削除
ぺロ……これはちくわ!
11.プロピオン酸削除
作品欄がゆかてんばっかでビビった。 それゆえ愛がパナかったよ。
12.ヘルシア削除
ミサイル☆カーニバルです
13.おぽぽ削除
ねぇ、ゆっか~りん?とねぇ、ゆっかり~ん?の2つがあった!
ゆっか~りん?の中にゆっかり~ん?がさりげなく入るとは…2回目でやっと気付いた
14.絶望を司る程度の能力削除
ミサイル野郎マジで許さねぇ。
面白かったです。ちくわwww