「………」
「いひゃい!いひゃい!(痛い!痛い!)」
「………」
「ほへんははい!ほうひはへん!(ごめんなさい!もうしません!)」
「………」
ようやく、多々良の舌を離した。
やめろとどれだけ説明しても、この妖怪はまず私の背後からばぁーと言って現れる。
だからおもむろにその舌をつかんでやった。
やっと解放された多々良は涙目になりながら口をおさえていた。
「懲りましたか?懲りましたね」
「………はい」
「むやみやたらに、人を驚かせちゃダメ」
「………でもぉ」
「でもなんですか」
「………」
「………」
「どうして、早苗はそんなに人を驚かせるのが上手なの?」
「え?」
「驚かしたのに、驚かないで逆に私をびっくりさせてるんだよ、すごいよ」
「………驚かされた気分はどうですか?」
「………うーん」
「いきなり舌を引っ張られたりしたら痛くてイヤですよね、私だっていきなり体が跳ね上がるような想いはしたくありません………わかったら、これ以降は普通に私の前に現れてください」
「………」
納得のいっていないような、微妙な顔をされた。
よっぽど人の驚く顔が好きなんだろう。
「………でも」
「………」
「………でも、私、早苗が驚くところ見てみたいよ」
「え?」
「だって早苗、いっつも静かで落ち着いてるんだもの、もっと早苗の色々なところが見てみたいよ!」
「………そう言われても」
少しだけ顔を赤くして、俯きながら語る多々良。
この子の意外な一面が見えた。
「早苗はいっつも私が驚かせると、怒って叱って、どこかいっちゃうじゃない!」
「ですから、それは買い物の途中だったり色々事情が…」
「早苗のこと………知りたいのに………」
「…………驚きました」
「………」
「貴女が、そんなことを考えていてくれたなんて………でも、貴女だって悪いんですよ」
「………私?」
「貴女が見境無しに人を驚かせるからです」
「………えぇ?」
「わ………私は、貴女が他人を驚かせようとしているのを見ていると、なんだか複雑な気分になるんです……・・・・理由は知りません」
「………」
さすがに多々良も首をかしげている。
私だってどうしてあんな気分になるのかよくわからない。
「………ともかくそういうことです!いいですか、今度から気をつけてください」
「あ………待って!」
「あの、次………ちゃんとお邪魔するから………貴女の家行っていい?」
「………何を今更、許可なんて別に必要ありません、貴女が私に会いたいと思ったら、勝手に来れば良いでしょう」
「………うん!」
………可愛い子。
あの子を見送って、まだ少しだけ暖かい、あの子の舌をつかんでいた自分の指に軽く口付けをした。
不思議と上機嫌の私は、少しだけいつもより速度を出して帰路についた。
.
「いひゃい!いひゃい!(痛い!痛い!)」
「………」
「ほへんははい!ほうひはへん!(ごめんなさい!もうしません!)」
「………」
ようやく、多々良の舌を離した。
やめろとどれだけ説明しても、この妖怪はまず私の背後からばぁーと言って現れる。
だからおもむろにその舌をつかんでやった。
やっと解放された多々良は涙目になりながら口をおさえていた。
「懲りましたか?懲りましたね」
「………はい」
「むやみやたらに、人を驚かせちゃダメ」
「………でもぉ」
「でもなんですか」
「………」
「………」
「どうして、早苗はそんなに人を驚かせるのが上手なの?」
「え?」
「驚かしたのに、驚かないで逆に私をびっくりさせてるんだよ、すごいよ」
「………驚かされた気分はどうですか?」
「………うーん」
「いきなり舌を引っ張られたりしたら痛くてイヤですよね、私だっていきなり体が跳ね上がるような想いはしたくありません………わかったら、これ以降は普通に私の前に現れてください」
「………」
納得のいっていないような、微妙な顔をされた。
よっぽど人の驚く顔が好きなんだろう。
「………でも」
「………」
「………でも、私、早苗が驚くところ見てみたいよ」
「え?」
「だって早苗、いっつも静かで落ち着いてるんだもの、もっと早苗の色々なところが見てみたいよ!」
「………そう言われても」
少しだけ顔を赤くして、俯きながら語る多々良。
この子の意外な一面が見えた。
「早苗はいっつも私が驚かせると、怒って叱って、どこかいっちゃうじゃない!」
「ですから、それは買い物の途中だったり色々事情が…」
「早苗のこと………知りたいのに………」
「…………驚きました」
「………」
「貴女が、そんなことを考えていてくれたなんて………でも、貴女だって悪いんですよ」
「………私?」
「貴女が見境無しに人を驚かせるからです」
「………えぇ?」
「わ………私は、貴女が他人を驚かせようとしているのを見ていると、なんだか複雑な気分になるんです……・・・・理由は知りません」
「………」
さすがに多々良も首をかしげている。
私だってどうしてあんな気分になるのかよくわからない。
「………ともかくそういうことです!いいですか、今度から気をつけてください」
「あ………待って!」
「あの、次………ちゃんとお邪魔するから………貴女の家行っていい?」
「………何を今更、許可なんて別に必要ありません、貴女が私に会いたいと思ったら、勝手に来れば良いでしょう」
「………うん!」
………可愛い子。
あの子を見送って、まだ少しだけ暖かい、あの子の舌をつかんでいた自分の指に軽く口付けをした。
不思議と上機嫌の私は、少しだけいつもより速度を出して帰路についた。
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やばい、めっちゃ甘すぎる!
あ、あと後書き同意w
これは続きが読みたい作品です。
続きも読みたいです。
こんな感じのものしか思いつかない自分ですが、見ていただければ幸いです。