※これは夏星さんのキャプテンシリーズとは一切関係がないことをここに明記するものであります
「ちちがうのよ一輪。これはヒロポンじゃなくて栄養剤じゃけぇのぉ……」
村紗に用事があったから部屋に行ったら、慌てて何かを後ろに隠しやがった。
頭がそうとうキテるのは相変わらずだから無視したけど、いつもこうだと話もロクにできやしない。
頼むからカレーと白蓮以外に興味を示して欲しい。
カレー白蓮だったらもっと良いとかいって、インドに修行に行かせたりスパイスをかけたりするのもできる限りやめて欲しい。
「というかどうして広島弁なの」
「ギギギ……ピカがいけないんじゃ……」
こいつが言い辛そうにしているときは、大抵隠し事をしているとき。こないだも犬を拾ってきたっていうからそうなのかーって思ったら、ボールギャグを噛ませられている紅魔館のメイドだったりした。
流石に捨てに行けなんていえなくて、二人で一緒に飼い主のところへと返しに行ったけど。
まぁとにかく、里に買い物に行くから一緒に行かないかっていう用事なんだけど、日本語が通じるかも危ういみたいだった。
「黙ってるつもりは、なかったんだけどさ。ほら、全体的に一輪が悪いじゃない」
「いや何が」
「存在とか」
「ちょっと表に出なさい。その腐った性根叩きなおしてやる」
村紗は頬をほんのりと染めて、私から目を逸らした。
いや、普通の反応はそうじゃねーだろ。
「一輪ったら、そういうプレイが好きなんだったら、言ってくれたら……」
「何を素晴らしい勘違いをしてるの。とりあえず私に同性愛の趣味はない」
「!?」
「いや、どうしてそこでびっくりするの」
「うん、ざん……!?」
「いや待て、落ち着け」
今度は顔が真っ青になっている。
「私、その、そんな、おっさん趣味な一輪でも、いいっていうか……むしろ、大歓迎かな、みたいなところもあるから」
「あーもうこいつ本気でめんどくせぇな!」
ちなみに雲山は村紗みたいなタイプのほうが好きらしいけど、止めたほうがいいと思う。
確実に疲れるし。
「それで里に行こうと思うんだけど、一緒に来てくれない?」
「あー。うーん。まー、そういう発想もあるっていうか」
「来いっつってんだよ」
「わかりました四十秒で支度します」
村紗のペースを崩すには、押すといいことに最近気づいた。
「あー、超おなかすいたしっ♪ ねぇ一輪、カレー食べようよ」
村紗は多分、黙っていたら可愛らしい部類なんだと思うけど、口を開けば白蓮の胸紐とカレーの話を始めてしまう悪癖がある。
でも未だにハヤシライスとカレーライスの区別がつかないらしくって、本当はカツ丼のほうが好きらしい。
私の村紗うざ度はとっくにマックスだ。上限のアップデートが二十回は行われていてこれだ。
でも、こいつには良いところがある、それは――――
「聞いてウンザリーナ、ちょっと言いにくいんだけど、聞いてウンザリーナ、一輪の名前でツケしてたらバレたの♪ 聞いてくれてありがとうウンザリーナ♪」
「私はあんたにうんざりよ。というか雲山が泣いてるからやめてその名前」
えー、とか言って指咥えるんじゃねぇよ。
もしかして可愛さアピール狙ってるのか? つるぺったんか? 逃げるときには両手挙げてるのか?
「ちなみに私のパジャマはね、一輪。コモドオオトカゲ柄よ」
「めちゃくちゃマニアックな上にどこで判別付けるかがよくわからないわね」
「全身が緑色でね、鱗があって」
「キモッ!」
「一輪にもお揃いのあげよっか?」
「全力で拒否する」
ちなみに私はネグリジェ派だ。
「そういえばさ」
「ん?」
「どうして私連れてきたの? お月様が重いの?」
「前歯折るわよ?」
「そんな殺生な……」
ぶー、と頬を膨らませても無駄。どうしてこの船長は、私の前でだけこうなのか。
白蓮に対しては多少奇行はあるけれど、それ以外のときは案外マトモだったりするから困る。
というか、ぬえが一緒に居るときは生真面目でまるで別人――それで、星とナズーリンとは、村紗はほとんど会話しない。
そりゃ、あんなこともあったから話し辛いのはわかるけど、私たちの封印を解いてくれたのも、あの二人なのに。
どうにかして仲良くさせたいと思うけど、私自身もあの二人とはなかなか話すきっかけが見つからない。
日常会話はするけれど、どこかへ行こうってときはいつも村紗と一緒だし、星とナズーリンもそうだった。
うーん。
私もまだまだ修行が足りていない。
村紗だって、普段押さえ込んでいる性衝動が私といるときにはじけ飛んでいるとか、案外そう言った理由なのかもしれないし。
いや、たとえそうだとしてもノーセンキューだけどね。
「で、だ」
「はい」
目的地である雑貨屋へと辿り着いて、私は村紗へと向き直る。
「欲しいもの、なんでも一品」
「へ?」
「買ってあげる。選んでいいわよ」
「え、そ、それってまさか、告白」
「一回頭の中身を取り替えたほうがいいかもしれないわね」
「しゅーん」
そう、今日は、私と村紗が初めて会った日なのだった。
当時とは暦が違っていて、調べるのは大変だったけど、長い計算をして割り出すことができたから。
なんだかんだ言って、私の大事な友達だし。
「じゃあ、これが欲しいかも」
「ん? 髪留め? 村紗そんなに髪長くないじゃないの?」
「いやこれ伸ばせるのよ、自由自在に」
「キモッ!?」
「割りと自由が利く体だから、てへへ……」
「そ、そうね。だから頼むから、いつものショートヘアにしてくれないかしら。増えるワカメみたいで気持ち悪いの」
「えー」
「まぁ村紗が気に入ってるなら、私はその、いいけど」
「いいよ、ショートに戻すから。これ、ありがとね。大事にするから」
プレゼント用に包んでもらって、雑貨屋の店主から髪留めを受け取る。
帰り道、村紗はずっとるんるんとしていて、結構不気味だった。
「あーあ体バキバキっちゅーに」
寺に戻ってご飯作って風呂入ってお酒飲んで。およそ尼僧のする生活とは懸け離れた一日が終わろうとしている。
まぁ私自身、仏様に仕えるというか白蓮のことが好きだから尼僧の真似をしているだけだし、そもそも白蓮も破戒僧だし。
あんまし気にすることでもないっていうか。
「ふぇー、寝るかー。村紗がムラムラして夜這いかけてきたりしたら大変だし」
今までそんなことは一度もないけれど。
「ん?」
枕元に、見慣れぬ袋が置かれていた。
明らかに贈り物用のそれを開けると、漆塗の和櫛と、一通の手紙が添えられていた。
『一輪へ。いつも一緒に居てくれてありがとう。私本当は人付き合いが凄く怖くって悩んでるけど、気兼ねなく話してくれて嬉しいよ。
それと、今日が何の日だか、覚えてる? なんてね』
「あー……。あのバカ」
そりゃ、広島弁にもなる。あのとき慌てて隠してたのは、これだったのか。
私だけが覚えてて、私だけが贈り物を考えてただなんて、思い込んでた。
なんだかそんな自分が、急に恥ずかしくなってきたし、バカみたいだった。
実際、いい気になってた分、バカなんだろうけどね。
「そういえば、台所にお酒まだあったっけね」
今日ぐらいはちょろまかしても許されるだろう。
もしもそれで怒られたら、村紗も一緒に怒られてくれるんじゃないかな。
ま、色々あるだろうけど、これからは時間もたっぷりあるから、色々変わっていけたら、いいね。
何…だと…そんなのキャプテンじゃないよ!
黒い羊さん、もっと電気羊さんに書けって囁いて下さい!
……面白いからほっとこう。
村紗は一体何処で狗を拾ってきたんだww
黒い羊も白い羊も毛を刈ったらどちらもピンクの羊になる。つまりそういうことだ。
はだしのゲンネタにマジ吹いたww
黒い羊はもっと表に出てくるべき
甘いSSはおK。
い、イイハナシナノカナー?
黒い羊はもっと表に出るべき
あとあなたの脳内の命蓮寺て相当物凄いことになってそうですね。
産ませてよ……!
つまりあれですよ、もっとやれ