Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

メイド・イン・紅魔館

2009/02/22 23:29:19
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ブレーキのききが良くなりすぎちゃったみたい。























「咲夜!」
廊下を歩いていると突然お嬢様に声をかけられた
何事だろうと振り返ると
「私の恋人になりなさい!」
「は、はい?」
何なのか一体。
「私の、恋人に、なって!」
「え、え?」
私はますます混乱した

とりあえずお嬢様に事情を聴くと
どうも妹様が関係しているらしい
お嬢様が言うには
「あの子さっき私の部屋にきて、『お姉さまは好きな人っているの?』っていきなり聞いてきたのよ。意味がわからないわ。だからあなたはいるのって聞いたら…『いるに決まってるじゃない』って笑顔でいうものだから!なんかそういうのがないのを馬鹿にされたみたいで…。だから咲夜、恋人になって頂戴」
ということらしい
…妹様もよくわからないがお嬢様もなんというか
ともかくむきになっているお嬢様を宥め、妹様のところへ向かうことにした



…というか何処にいるのだろう妹様は
屋敷の中を自由に移動できるようになってから妹様はいろいろな所に現れるようになった
時には私の仕事をのぞきに来ることもある
周りのメイドたちはまだ妹様が怖いらしく彼女が顔を見せるとビクビクしているが
私は妹様がこうして部屋から出てきてくれるようになってとてもうれしく思っている

などと考えていると
前方50mあたりから楽しそうな声が聞こえてきた
あの声は美鈴と…
「妹様?」
目を凝らしてみるとどうやら美鈴に肩車してもらっているらしい
妹様の楽しそうな笑い声があたりに響いている
私は早足に二人の元に向かった

「ここにいらっしゃったのですか、妹様」
「あれ、咲夜?どうしたの?」
「少しお聞きしたいことがありまして」
長身の美鈴に肩車されているのでいつもよりだいぶ上の方にある妹様の顔
下ろしましょうかと言う美鈴を妹様はダメ!と制した
「で、聞きたいことってなぁに?」
苦笑いする美鈴の頭をぺちぺちと叩きながら妹様は首をかしげる
私は遠慮がちに口を開いた
「お嬢様から伺ったのですが、妹様にはお好きな方がいらっしゃるのですか?お嬢様が気になって仕方ないらしいので私が聞きに来たのですが」
しかし私が言い終わるのを待って妹様はあははと笑いだした
「あは、好きな人?いるよいる、いっぱいいるよ!咲夜に、美鈴に、パチュリーに小悪魔!それに一番はお姉様!みんな私の大好きな人よ!」
私は目を丸くした
…好きな人って、そういうことね。
ちなみに大好きといってもらえたことに美鈴は大層感激したらしく
妹様を乗せたまま肩を震わせてすすり泣いている
「わっ、美鈴どうしたの、おなか痛いの?大丈夫?」
だいじょぶれすぅ!と美鈴は鼻をずびずび言わせながら妹様に答えた
そんな二人のやり取りを見て私は思わず笑ってしまった

さて今聞いたことをお嬢様にお伝えしないと
私がそれではと踵を返すとようやく美鈴の上から下りた妹様に呼び止められる
「咲夜、今日お風呂一緒に入ろうよ、皆でさ!」
普段なら仕えている方と一緒に風呂に入るなんて事は許されない
が、他ならぬ妹様の提案とあっては無碍にもできまい
「ええ、ではご一緒させてもらいますわね」
「私もいいんですか?」
美鈴は皆、という妹様の言葉の意味を理解していないらしい
「あたりまえじゃない、美鈴だって家族だもの!」
にっこりと花のように微笑む妹様
それを聞いた美鈴はまたしても感動のあまり涙を流し始めた
「えぇ?美鈴、今日は何かおかしいよ。泣いてばっかり!」
いつもどおりれすぅ!と鼻水をすすりながら答える美鈴を見て
またしても私は笑いをこらえることができなかった



「…ということだそうですよお嬢様」
「なんだ…そうだったの」
事の真相が解った途端お嬢様はほっと息をついた
…そんなに気にしていたのだろうか
「で、皆でお風呂に入ろうということになったわけね。なるほどなるほど」
お嬢様はうんうんと頷いている
「いいんじゃない、そういうのも」

一番大好きと言われたことが余程嬉しかったのだろう
お嬢様はいつもの鋭い眼差しを子を見守る母のようなものに変えていた
お嬢様も存外可愛いらしいところがあるものだ
こと妹様に関しては…

「それで咲夜はどうなのかしら?」
唐突に眼差しをいつものそれに戻し私を見つめてくるお嬢様
「どう、というのは?」
私は問いかけの内容がよくわからなかったので聞き返してしまう
お嬢様はいやに間を開けると小さい声で呟いた
「だからその…好きな奴とかいるのかということよ」
ああそういうことか。
「そうですね、私も妹様と同じです。紅魔館に住む全員が、私の好きな人、ですわね」
お嬢様はそう、と短く呟くとスタスタと部屋に戻っていってしまった
風呂の時間になったら呼んで頂戴とだけ言い残して
…というか何故あんなにもじもじしていたのだろう
催されたのかしら…?
さて私も風呂の用意をしなければならない
今日はいつも以上に気合を入れて用意をしようと思う



時間になって私達は浴場へ向かった
だがパチュリー様は調子が悪いので入浴は控えるとのことらしい
小悪魔もパチュリー様のお世話をするということで今日は一緒には入らないということだった

「きゃー!お姉様のえっち!」
「こら待ちなさいフラン!髪を洗ってあげるって言っているだけでしょう!」
とてつもなく広い浴場で妹様を追いかけるお嬢様
お風呂場で滑りやすいというのに空を飛ぶでもなく水飛沫をあげて走り回っている
「お二人とも、元気ですねえ。フランドール様もそうですけど、まさかお嬢様まであんなに愉しそうなんて」
一緒に湯船に浸かっていた美鈴が嬉しそうに目を細める
確かにいつもお嬢様のお背中を流すときとは違う、愉しそうな表情だ
「妹様のお陰ね」
私もお嬢様たちをたしなめることも忘れ失礼ながら可愛らしいと思ってしまった
見た目通りのお嬢様たちを見るのもたまにはいいかもしれない

「それでその、ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど」
「?」
いきなり声のトーンを変える美鈴
なんというかデジャヴュを感じなくもない
「あの、咲夜さんは好きな人っているんですか…?」
やっぱりか…
「お嬢様と言い貴女と言い、そんなこと聞いてどうするつもりなの?」
私がため息をつくと何故か美鈴は慌てだした
「えっ、お嬢様にも聞かれたんですか!?」
全く意味がわからない
私はまたため息をついてお嬢様に言ったことをもう一度美鈴に伝えた
「私の好きな人は、この紅魔館に住む全員よ。お嬢様も妹様も、パチュリー様も小悪魔もほかのメイドの子達もそして貴女も。皆私の大切な人たちなの」
むしろ美鈴は違うのだろうかと思うと少し頭に来る
この際だから聞き返してやろう
「あなたはいないの?好きな人。」
美鈴は顔を真っ赤にしてうーとかあーとか言っていた
「私は咲夜さんが…あう、咲夜さんと一緒ですよ、みんな大好きです!」
やっぱりそうだ
こんなにも素敵な住人たちを嫌いだなんてことある訳がない
「そうよね、やっぱり」
何となく嬉しくなって私は思いっきり伸びをした

その瞬間
「きゃあ!」
妹様の声が浴場に響き渡る
声と同時にそちらを振り向くと妹様が足を滑らせて転びそうになっていた
私は反射的に時を止めて妹様に駆け寄る
抱きとめてから時を戻すと妹様が目をパチパチさせていた
「妹様、お風呂場で走っては危ないですよ。さあ、お嬢様に髪を洗っていただいてはいかがですか?」
まあ、初めからたしなめていればよかったのだろうが
きっと言ってもお二人は追いかけっこを止めなかっただろう
妹様を腕の中から下ろすと楽しそうに笑う
「わかった、咲夜がいうなら頭洗ってもらうことにする。それより、もう少しで頭ごっちんするとこだったの、助けてくれてありがとう!咲夜大好き!」
「「!!」」
そう言って抱きつかれた
何か今前と後ろから息をのむ様な音が聞こえたのは気のせいだろう
無垢な笑顔を向けられ私もつられてほほ笑んだ
「ええ、私も大好きですよ、フランドールお嬢様」
「「!!」」
「わーい!」
また息をのむ様な音が聞こえた、気がした

私は妹様をお嬢様の方に行かせてしばらくその様子を見守っていたが
心なしお嬢様がこちらをちらちらと気にしているようだ
見られるのは恥ずかしいのだろうか…
ならばここは瀟洒なメイドとして空気を読んでお二人にさせてあげよう
私はそっと湯船に戻った



騒がしくも楽しい入浴を済ませ、お嬢様たちを部屋に送った後私は自分の部屋に戻った
今日はなかなか面白い日だったと一日を振り返る
皆愛すべき人々だと再確認させてもらった
そうそう、忘れないうちに日記を書いておこう








「○/○ 今日は色々なことがあった。
…………。
………。
……。
…それと、どうもお嬢様と美鈴に好意を持たれているみたいだ。モテる女は辛い」
今回は咲夜さんの一人称でかいてみたんですが。
YAMADA
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
やばい……フランちゃんが純粋で可愛すぎて忠誠心が鼻からマスタースパークしそうだ。

というか最後の確信犯的な咲夜さんに全部持って行かれたww
2.名前が無い程度の能力削除
咲夜さん・・・あなたって人は・・・いいぞ!もっとやれ!
3.謳魚削除
とてもぐっじょぶレーキングです。
さくぽっぽはいつでもウェディング瀟洒。
さくぽっぽ「お色直しは二十五回まで想定(お嬢様用装備)、新婚初夜は初々しくも情熱的に(美鈴限定スタイル)、ハネムーン旅行は幻想郷全土を網羅しておりますわ(妹様の為に)」
なるほど、そうだったのか!さくぽっぽにしかくなしっ!

しかし我が脳内では魔理沙のむk(ry
4.名前が無い程度の能力削除
なんという瀟洒。紅魔館のメイド長ってばさいきょうね!!
5.名前が無い程度の能力削除
さすが瀟洒だ!咲夜さん!

最後で全部持ってかれましたよw
6.YAMADA削除
>>1様
ふらんはねー、ごちゃいなの!のイメージで。
咲夜はすべてを知っているのですよ…

>>2様
まさに瀟洒!

>>謳魚様
毎回あなた様の素晴らしき脳内に脱帽です
つまり咲夜はみんなの嫁なんですね!
…婿?

>>4様
我が家の言い伝えによるとメイドは最強!
らしいです

>>5様
まさにs(ry
「この紅魔館で私の把握していないことなどありませんわ(ニッコリ)」
7. 削除
流石に瀟洒なメイド長は格が違った