よく晴れ渡った春の幻想郷。
霊夢が境内の掃き掃除をしていると、突然目の前に紫が現れた。
「御機嫌よう霊夢」
「あら紫、何か用かしら?」
霊夢がめんどくさそうに尋ねると、それが当然であるかのように怪しい笑みを浮かべる紫。
「決まっているわ。嘘を吐きにきたの」
「は、くだらない…萃香が顔を見せない訳だわ」
「四月一日ですもの」
可笑しそうに笑う様子がどうにも癪に障り、霊夢は静かに親指を立てて母屋の方を指す。
「くつろぐなら勝手にしなさい。お茶は自分で淹れて」
「あらあら、冷たいわねぇ」
相変わらず紫はくすくすと笑ったまま、スキマの中に消えていった。
殊更ゆっくりと掃除を終え、霊夢が母屋に戻ると、予想通り。
のんびりと茶をすすりながら縁側で庭を見ている紫の姿があった。
「藍に淹れてもらったわ。霊夢の分も」
ほら、と示す先には淹れたての様に湯気を立ち上らせる緑茶と、桜の形をした和菓子が置いてあった。
「気が利くのね」
「まだ見頃ではないけれど。一足先に味わってみるのもまた一興」
「あ、そ」
風流なものだと思いつつ、結局のところ食べるものにそれ以上の価値はあまり求める気がない霊夢は、特に感慨もなく煉切を口に運んだ。
和菓子のふんわりとした甘さが口の中に広がる。
「おいしいわ」
「藍のお手製だもの。…あぁ本当に私は良い式を持ったわ」
「器用な狐ね。また是非作って頂戴と伝えておいて」
思いの外美味かったので、もともと小さいこともあって霊夢の桜はすぐになくなってしまった。
それを見て、またしても喉を鳴らして笑いだす紫。
「ええ。霊夢が涙を流して喜んでいたと伝えておくわ」
「酷い嘘ね」
「あら、言ったじゃない。私は嘘を吐きに来た、と。今日の私の言葉は、大体嘘よ」
「いつもの事じゃないの」
「そんなことないわよ?」
* * *
紫が茶をすする。
「ねえ霊夢、このお茶、お酒の味がするわ」
「よかったわね」
「嘘だけど」
「知ってるわ」
霊夢が日差しを受けて目をつぶる。
「ねえ霊夢、もう四月だというのに雪が降ってきたわ」
「ふーん」
「嘘だけど」
「知ってる」
眠気を覚えた霊夢は体をゆっくりと後ろに倒した。
「ねえ霊夢、吸血鬼が傘もささずに水着で空を飛んでるわ」
「まぁ」
「嘘だけど」
「でしょうね」
紫がそっと髪を撫でるのを霊夢はうっとおしげに身をよじってかわした。
「ねえ霊夢、実は私おばあちゃんなの」
「へぇ」
「嘘だけど」
「あら、嘘だったの」
「ねえ、霊夢、私、貴女が大好きなの」
「そう」
「嘘だけど」
「だと思った」
「と言うのも嘘だけど」
「…は?」
* * *
「霊夢、大好きよ」
「…私はあんたなんか大っ嫌いよ」
霊夢が境内の掃き掃除をしていると、突然目の前に紫が現れた。
「御機嫌よう霊夢」
「あら紫、何か用かしら?」
霊夢がめんどくさそうに尋ねると、それが当然であるかのように怪しい笑みを浮かべる紫。
「決まっているわ。嘘を吐きにきたの」
「は、くだらない…萃香が顔を見せない訳だわ」
「四月一日ですもの」
可笑しそうに笑う様子がどうにも癪に障り、霊夢は静かに親指を立てて母屋の方を指す。
「くつろぐなら勝手にしなさい。お茶は自分で淹れて」
「あらあら、冷たいわねぇ」
相変わらず紫はくすくすと笑ったまま、スキマの中に消えていった。
殊更ゆっくりと掃除を終え、霊夢が母屋に戻ると、予想通り。
のんびりと茶をすすりながら縁側で庭を見ている紫の姿があった。
「藍に淹れてもらったわ。霊夢の分も」
ほら、と示す先には淹れたての様に湯気を立ち上らせる緑茶と、桜の形をした和菓子が置いてあった。
「気が利くのね」
「まだ見頃ではないけれど。一足先に味わってみるのもまた一興」
「あ、そ」
風流なものだと思いつつ、結局のところ食べるものにそれ以上の価値はあまり求める気がない霊夢は、特に感慨もなく煉切を口に運んだ。
和菓子のふんわりとした甘さが口の中に広がる。
「おいしいわ」
「藍のお手製だもの。…あぁ本当に私は良い式を持ったわ」
「器用な狐ね。また是非作って頂戴と伝えておいて」
思いの外美味かったので、もともと小さいこともあって霊夢の桜はすぐになくなってしまった。
それを見て、またしても喉を鳴らして笑いだす紫。
「ええ。霊夢が涙を流して喜んでいたと伝えておくわ」
「酷い嘘ね」
「あら、言ったじゃない。私は嘘を吐きに来た、と。今日の私の言葉は、大体嘘よ」
「いつもの事じゃないの」
「そんなことないわよ?」
* * *
紫が茶をすする。
「ねえ霊夢、このお茶、お酒の味がするわ」
「よかったわね」
「嘘だけど」
「知ってるわ」
霊夢が日差しを受けて目をつぶる。
「ねえ霊夢、もう四月だというのに雪が降ってきたわ」
「ふーん」
「嘘だけど」
「知ってる」
眠気を覚えた霊夢は体をゆっくりと後ろに倒した。
「ねえ霊夢、吸血鬼が傘もささずに水着で空を飛んでるわ」
「まぁ」
「嘘だけど」
「でしょうね」
紫がそっと髪を撫でるのを霊夢はうっとおしげに身をよじってかわした。
「ねえ霊夢、実は私おばあちゃんなの」
「へぇ」
「嘘だけど」
「あら、嘘だったの」
「ねえ、霊夢、私、貴女が大好きなの」
「そう」
「嘘だけど」
「だと思った」
「と言うのも嘘だけど」
「…は?」
* * *
「霊夢、大好きよ」
「…私はあんたなんか大っ嫌いよ」
藍が淹れたというのも藍のお手製というのも嘘なわけですねw
甘々ゆかれいむごちそうさまでした
しかし藍しゃまが「私は運命に介入する!」とか言いながら妨害をしませんかしませんね。
萃香さんは勇儀姐さんとしんみりorシッポリーですね分かります。
犬走プロデューサー、私に戦隊物は無理でした…………orz
あと水着お嬢様はチルノ嬢の嫁。
レ「あ、う、えと…………これ、似合う、かな?」
チ「レミリア、今から祝言よ」
レ「ふぇ!?」
ウチのチーちゃんは漢前。
>>1様
ゆかりんはTVチャン○オン和菓子選手権で優勝する程度の腕前なのです!(嘘)
>>謳魚様
次回作、貧乳戦隊ナインジャーに乞うご期待!(嘘)
甘甘って訳じゃない、その辺を目指してたんで、しっくりして戴けて作者感激。
…甘甘じゃないよね?