東方が新作に揺れる頃、紅魔館ではいつもと同じ平和な日々が流れていた。
咲夜さんが神霊廟に出ない本当の理由
「あ、また出た」
まるで羽虫か何かのように湧き出る神霊にナイフを投げながら咲夜は呟いた。
すぐに消えるとはいえ、この神霊という奴は非常に目障りなものである。
これ以上出てくるのであればお嬢様から許しを貰って異変解決に向わねばならないと、そう思っていた。
寧ろ何時命令が出ても良いように準備はすでにしてあるのだが、一向にお嬢様から呼び声が掛からないのであった。
お嬢様の部屋へ向う道すがら、御本人と御対面である。
何か気になることでもあるのか気もそぞろだ。
お嬢様もこの神霊をわずらわしく思っているに違いない。
「お嬢様。命じていただければ異変を解決に行って参りますわ。また博麗の巫女がサボっているようですし」
「え、ああそうね。いや、でも今咲夜に居なくなってもらうのはちょっと……でも根本的に」
はっきりしない。
そうこうしている内にまた一匹レミリアの後ろから近づいていた。
「でも、見ていて気持ちの良いものではございませんので。今もお嬢様の肩に」
その瞬間
レミリアはデーモンロードウォーク強バックステップしゃがみガードした。
コマンド的に言えば632B→66→26同時押しである。
遠くからメイド妖精のものらしき騒ぎ声が聞こえる。
神霊にナイフを投げ、辺りに見えないのを確認してから改めて咲夜は声をかけた。
「お嬢様、辺りに神霊など見えませんがどうにかなさいましたか?」
レミリアは急に立ち上がると周りをきょろきょろ見て、何事も無かったかのように答えた。
「え、あぁ。急に何かに襲われたような気がしたから。ちょっと迎撃体制を取ったのよ。気のせいだったかしら」
どう見てもバレバレである。
「そうでしたか、ところでお嬢様の後ろにれい……」
ビクン
「霊夢が見えたような気がしましたが。見間違いでした。申し訳ありません」
「い、いいのよ。間違いは誰にだってあるものね、私もさっき間違えたし」
「霊夢じゃなくて神霊でした」
「ひあっ」
カリスマガードは安定である。
「咲夜、どう? もう居なくなった?」
「えぇ、見えなくなりましたね」
元から居もしないのにいけしゃあしゃあと答える。
心のそこから安堵しているようで、私の視線に気付くと
「あのね、これは私が霊が怖いってわけじゃなくてね、その、急に現れるのが悪いの。だから私も心の準備が……」
なんて可愛らしいのだろうか。
「ところで、お嬢様」
「何かしら咲夜」
「お嬢様が眠っている最中に神霊などが現れたらどうしましょうか?」
「……咲夜。今の私のベッドは少し大きいみたいなの」
「そうですか、小さいものを取り寄せましょうか?」
「いや、そういうことじゃなくてね。ベッドは気に入ってるからこのままが良いのだけれど、このままだとスペースが無駄じゃない」
「でしたら、この呪われた邪神像でも」
「何処から持ってきたのよ、それ。そうじゃなくて、えぇと、その」
「はい」
「寝ている主を護るのも従者の勤めよ、私の部屋で寝ることを許可するわ」
「許可なのですか?それでは私は畏れ多いのでご遠慮を……」
「いいから、私のベッドで一緒に寝なさい」
「はい、わかりました」
にこやかな笑顔である。
一生この異変が解決されなければ良いのに。
咲夜は心の底からそう願った。
その後、この紅魔館には神霊の生霊のような物が現れてごく一部の吸血鬼を脅かし、
まるでマッチポンプのようにすくすくと育っていった。
異変が解決する頃には館の半分を覆っていたというのは余談である。
咲夜さんが神霊廟に出ない本当の理由
「あ、また出た」
まるで羽虫か何かのように湧き出る神霊にナイフを投げながら咲夜は呟いた。
すぐに消えるとはいえ、この神霊という奴は非常に目障りなものである。
これ以上出てくるのであればお嬢様から許しを貰って異変解決に向わねばならないと、そう思っていた。
寧ろ何時命令が出ても良いように準備はすでにしてあるのだが、一向にお嬢様から呼び声が掛からないのであった。
お嬢様の部屋へ向う道すがら、御本人と御対面である。
何か気になることでもあるのか気もそぞろだ。
お嬢様もこの神霊をわずらわしく思っているに違いない。
「お嬢様。命じていただければ異変を解決に行って参りますわ。また博麗の巫女がサボっているようですし」
「え、ああそうね。いや、でも今咲夜に居なくなってもらうのはちょっと……でも根本的に」
はっきりしない。
そうこうしている内にまた一匹レミリアの後ろから近づいていた。
「でも、見ていて気持ちの良いものではございませんので。今もお嬢様の肩に」
その瞬間
レミリアはデーモンロードウォーク強バックステップしゃがみガードした。
コマンド的に言えば632B→66→26同時押しである。
遠くからメイド妖精のものらしき騒ぎ声が聞こえる。
神霊にナイフを投げ、辺りに見えないのを確認してから改めて咲夜は声をかけた。
「お嬢様、辺りに神霊など見えませんがどうにかなさいましたか?」
レミリアは急に立ち上がると周りをきょろきょろ見て、何事も無かったかのように答えた。
「え、あぁ。急に何かに襲われたような気がしたから。ちょっと迎撃体制を取ったのよ。気のせいだったかしら」
どう見てもバレバレである。
「そうでしたか、ところでお嬢様の後ろにれい……」
ビクン
「霊夢が見えたような気がしましたが。見間違いでした。申し訳ありません」
「い、いいのよ。間違いは誰にだってあるものね、私もさっき間違えたし」
「霊夢じゃなくて神霊でした」
「ひあっ」
カリスマガードは安定である。
「咲夜、どう? もう居なくなった?」
「えぇ、見えなくなりましたね」
元から居もしないのにいけしゃあしゃあと答える。
心のそこから安堵しているようで、私の視線に気付くと
「あのね、これは私が霊が怖いってわけじゃなくてね、その、急に現れるのが悪いの。だから私も心の準備が……」
なんて可愛らしいのだろうか。
「ところで、お嬢様」
「何かしら咲夜」
「お嬢様が眠っている最中に神霊などが現れたらどうしましょうか?」
「……咲夜。今の私のベッドは少し大きいみたいなの」
「そうですか、小さいものを取り寄せましょうか?」
「いや、そういうことじゃなくてね。ベッドは気に入ってるからこのままが良いのだけれど、このままだとスペースが無駄じゃない」
「でしたら、この呪われた邪神像でも」
「何処から持ってきたのよ、それ。そうじゃなくて、えぇと、その」
「はい」
「寝ている主を護るのも従者の勤めよ、私の部屋で寝ることを許可するわ」
「許可なのですか?それでは私は畏れ多いのでご遠慮を……」
「いいから、私のベッドで一緒に寝なさい」
「はい、わかりました」
にこやかな笑顔である。
一生この異変が解決されなければ良いのに。
咲夜は心の底からそう願った。
その後、この紅魔館には神霊の生霊のような物が現れてごく一部の吸血鬼を脅かし、
まるでマッチポンプのようにすくすくと育っていった。
異変が解決する頃には館の半分を覆っていたというのは余談である。
でもオチが読め過ぎる