「おーい、橋姫―」
「なによ」
「助けてくれー」
「はぁ?」
「助けてくれー」
「何言ってんの」
「助けてくれー」
「状況がわからないんだけど」
「大変だぁー」
「何が」
「大変だぁー」
「何が」
「大変だぁー」
「だから何がよっ!」
「大変なんだぁー」
「ちっとも大変そうに聞こえないんだけど」
「橋姫ー」
「何よ」
「いるの?」
「いるわよっ」
「そっかぁー」
「さっきから喋っているでしょ!」
「それもそうかぁー」
「それもそうかっていうかね」
「そうだねー」
「あんたさあ」
「なにー?」
「頭平気?」
「うん」
「本当に?」
「うん」
「さっきから私、ちゃんと受け答えしているんだけど」
「うん」
「聞いてた?」
「うん」
「本当に?」
「うん」
「聞いてなかった?」
「うん」
「聞いてねーだろ」
「うん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「帰る」
「えー」
「帰るったら帰る」
「えー」
「付き合ってらんない」
「えー」
「どうせまた酔っ払っているんでしょう」
「そんなことないよー」
「酒の匂いがする」
「えー」
「だから付き合ってらんないわ」
「えー」
「帰る」
「えー」
「それじゃね」
「橋姫―」
「なに」
「助けてくれー」
「帰る」
「えー」
「えーじゃない。人の話を聞かないあんたが悪い」
「えー」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「用件は」
「えー?」
「用件は何よ、早く言いなさいよ」
「あー」
「助けてやるから」
「橋姫―」
「なに」
「いるの?」
「いるわよっ!」
「そっかぁー」
「あんた本当に私の話聞いてんの!?」
「うん」
「聞いてねーだろ」
「うん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「帰る」
「えー」
「嫌ならとっとと用件言え」
「あー」
「はよ言え」
「えーと」
「突っ込むのも面倒だわ」
「橋姫―」
「なに」
「助けてくれー」
「それは聞いた」
「助けてくれー」
「聞いた」
「助けてくれー」
「ああもう! 聞いたって何度も言っているでしょう!」
「えー」
「えーじゃねーよ! 8回目だよ! いい加減飽きたよ!」
「あー」
「簡潔に! 本題に! 入れ!」
「えーと」
「えーと?」
「大変だぁー」
「聞いた」
「大変だぁー」
「知ってる」
「大変だぁー」
「知ってるよ! 聞いたよ! もう6回目だよ!」
「7回目だよ?」
「おまっ、突っ込み入れる頭があるならちゃんと答えろよ!」
「えー」
「えーじゃねえよ! 突っ込み返された私がバカみたいだよ!」
「そっかー」
「早く本題に入れ!イライラしてきた!」
「本題かー」
「本題よ!」
「えーと」
「えーと?」
「ほんだいって、なに?」
「プチン」
「なんだっけー」
「帰っていい?」
「えー」
「帰らせろ」
「えー」
「血管が切れたので帰らせていただきます」
「えー」
「えーじゃねえよ!大変だっつたのお前だろ!何が大変か教えろって言っているのよ!」
「あーそのことかぁー」
「はあはあはあ」
「わかったー」
「わかったじゃねえし。さっきからちっとも大変に聞こえないんだけど」
「えーと」
「えーと?」
「橋姫―」
「何よ」
「いるの?」
「いるわよっ!」
「そっかー」
「そっかじゃないわよ!さっきからあんたと話しているでしょ!」
「そうだねー」
「そうだねじゃねえええええ」
「橋姫―」
「あんたと話していると本当に疲れるわ!」
「樽がさー」
「酔っ払いだからいつまでも絡みついてくるし!」
「落ちてきてさー」
「しつこいし酒臭いし!」
「角に刺さっちゃってさー」
「言ったことすぐに忘れるし!」
「動けないんだよー」
「無視したくても掴まれて身動き取れなくなるし!」
「・・・・・・」
「だいたいあんたはね、いつも人の都合なんて考えずに」
「・・・・・・」
「勝手なことばかりやっているから妬ましいっての」
「・・・・・・」
「今まで私がどれだけ振り回されてきたことか」
「・・・・・・」
「いっぺん人の立場になって考えて」
「・・・・・・」
「みろってのよはあイライラする」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「なんか言った?」
「えー」
「ごめん、聞いてなかった」
「えー」
「ごめん」
「ないよー」
「今のは私が悪かったわよ」
「ないよー」
「ごめんって」
「・・・・・・」
「悪かったって」
「・・・・・・」
「本当に悪かったわよ、大変なときに」
「・・・・・・」
「こ、今度はちゃんと聞くから」
「・・・・・・」
「一文字も漏らさずに聞くから」
「・・・・・・」
「悪かったわよさっきは」
「・・・・・・」
「本当に反省しているわ、ごめん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「わ、悪かったって言っているでしょ!ゆ、許しなさいよコレぐらい!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ごめん、ちょっと逆切れだったかも」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「本当ごめん、なに考えているんだろう、私」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「は、反省しているから、ちょっと疲れてただけだから・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「うん、きっとそのせいよ。決して悪気があったわけじゃ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ほ、星熊―?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「グー」
「寝てたのかよ!」
「グぉー」
「起きろや星熊!散々意味もなく謝った私の過去を返せ!」
「グガー」
「だいたいあんたはね、人がこうして付き合ってやっているっていうのになんで途中で」
「グゴゴー」
「寝るのよ人を置いて!私がバカみたいだよ!」
「んお!?」
「あ」
「んう?」
「起きたか」
「うおー」
「本当に起きたのかな、ためしに呼んでみるか」
「むー」
「星熊―?」
「んー?」
「起きてるー?」
「うーん」
「起きてるな」
「ふあああ」
「なら、さっきの話の続きを」
「んー?」
「星熊ー?」
「んー」
「聞いてる?」
「ううん」
「じゃあ帰るー」
「待ってー」
「じゃあ早く何が起きたのか言いなさい」
「えー」
「えーじゃなくて」
「もっかい言うの?」
「うん」
「えー」
「おねがい」
「だからさ、樽がさ」
「うん」
「落ちてきてさ」
「うん」
「私の頭に刺さったのよ」
「抜けばいいじゃん」
「でもさ」
「うん」
「抜くとさ」
「うん」
「中の酒まで出てくる気がするんだよ」
「うん」
「だからさ」
「うん」
「大変なんだよ」
「うんすっごくどうでもいいね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「橋姫ー」
「何よ」
「たすけてよー」
「めんどい」
「酒がこぼれるよー」
「なんか桶みたいな物でも用意すればいいでしょ」
「そっかぁー」
「そうよ」
「どうやって?」
「・・・・・・」
「・・・・・」
「あー、あんた動けないんだっけ」
「うん」
「しょうがないわね」
「すまんー」
「でも桶なんてどこにあるんだか」
「あるんだか」
「真似すんな」
「真似すんな」
「真似すんじゃねえよ!いい加減とっとと終わらせたいんだよ!」
「えー」
「えーじゃねええええ!」
「だって暇なんだもん」
「知るか」
「動けないからさー」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「もうさ、そのまま全部顔を樽の中に突っ込めば?」
「えー」
「いいでしょ、あんただし」
「服汚れるじゃん」
「ジャージの癖になに言ってんの」
「けっこうプレミアついているんだよ?」
「知るか」
「体操着って」
「なんか別の意味でついてそうね。プレミア」
「欲しいの?」
「欲しくねえよおおお!!ばかやろおおおお!!」
「そういうの趣味かと思っていたのに」
「ちげえよ!どこをどうとったらそうなるんだよ!」
「橋姫ってさあ」
「なんだよ」
「常に家に居るイメージがあるからさあ」
「確かにあんま外出しないけど!」
「体操着集めているんじゃないかと」
「なんでだよ!あつめねーよんなもの!変態かよ!」
「でも私の体操着、結構旧都の女の子達に人気だよ?」
「あーそうですかっ」
「やっぱり欲し」
「欲しく無いっていってんだろうがあああ!」
「なんならサインつきで」
「いらねーよ!誰が使用済み体操着なんて欲しがるか!」
「えー、旧都の女の子達に人気だよー?」
「はっ人気者なのね!妬ましいわ!」
「わー、嫉妬したー」
「してねーよバカ!」
「橋姫が嫉妬したー」
「だからしてないって!」
「いつものことだぁー」
「うぜええええええ!当たってるから余計うぜええええ!」
「やっぱしてるんだ」
「素直に関心すんな。悲しくなる」
「でさー」
「なによ」
「バケツでも桶でもなんでもいいからさあ」
「ああ」
「持ってきてよ」
「そうね」
「早くしないと角がふやけちゃうよ」
「そうかもね」
「ふやけると角ってどうなるんだろー」
「やわらかくなるんじゃない?」
「あ、同じこと思った」
「げ」
「気が合うなあ」
「最悪」
「でもなあ」
「なんでこいつと」
「早くしないと本当にまずいな」
「一生の不覚だわ」
「おーい橋姫―」
「なによ」
「桶持ってきて」
「持ってきてって言われてもねえ」
「持ってきて」
「そう簡単に手ごろな桶があるわけでも」
「あるよー」
「どこに」
「こっから150階ぐらい上がって」
「うわめんどくさ」
「ちょっと左に曲がって」
「うん」
「76°回転してから直進したところに」
「細けえな」
「奴の家があります」
「奴って誰!?」
「そこの桶で大丈夫です」
「人の家の桶使うんかい」
「うん」
「こっから旧都のはんず行った方が早くね?」
「うん」
「どっちだよ」
「でもそこの桶が一番大きいのだ」
「なんでわかるのよ」
「なんとなく」
「信用ならない情報ね」
「んなこたあないよ」
「どうだか」
「だって一応旧都シめてるし」
「そうだっけ」
「橋姫と違って外出してるし」
「悪かったな。引き篭もりで」
「まあともかく、行ってきて」
「そいつの家にか」
「だってはんずの場所知らないっしょ」
「う・・・・・・」
「やっぱりさっきのは知ったかぶりだったか」
「うるさいわね!あんまり外出とかしたくないのよ!世の中全てが妬ましいのよ!」
「そんなんだからいつまでもさあ」
「あんたに心配される筋合いはないわ!」
「そんなところも好きだけどねー」
「な・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「どうし」
「ちょ、ひゃひゃひゃ150階行ってくる!」
「おー、どうしたいきなり」
「べべべべつにななななんでもないわよ!ききき気が変わっただけよ!」
「そっかぁー」
「いいいいいい行ってきます」
「おー、いってらー」
ばびゅんっ
あ、あの、だ、誰?
え?こ、これ?
え!?だっ、ダメ!そんなの、そんなのダメっ!
放してっ!放してよう!
やだ!いやだよう!待って、待って!そんなのいれちゃらめえ!!!!!
>とてもいいことだ。
ものすごく同意。勇パルはいいものだ。
キスメ憐れ
貴方の勇パルつい読んじゃうのー。
萃香ごめんねー。
投票は勇儀姐さんに入れました。
個人的には勇パル寄りです。
> やだ!いやだよう!待って、待って!そんなのいれちゃらめえ!!!!!
このセリフだけで自分の心が汚れてきたのを実感しました。
リハビリのつもりで書いたかいがあったぜ(←最近とことん不調な作者)
>1 よおし一緒に酒を飲もう!
>2 色んな意味で作者は涙目です>キスメ
>3 萃勇も好きです。鬼同士の会話はニヤニヤものだ。
>4 ちょw この姐さん色々間違っているからww
>5 ナナナナニヲイッテイルノデスカ。キキキワメテケンゼンジャナイデスカ。
>6 あざっす。そうか、ニュータイプなのかこれ・・・・・・
「ん?」パ
「・・・・・・」勇
「・・・・・・」パ
「・・・・・・」勇
「・・・・・・」パ
「なんか言った?」勇
ここ、一つ「・・・・・・」が足りないんじゃ無いでしょうか?という事です。
>9 ・・・・・・!
修正しました。ご報告ありがとうございます。