「藍! らぁん! いないのー!?」
いる。いますとも。でも今は洗濯物を干していてそれどころではないのです紫様。
「LAN! るぁあああああん!」
ああもうしつこい! 今干しているのは紫様の普段着用パンツ、クマちゃんのワンポイントつきだというのに!
「ランランラー ランランラー ズィーグルズィング…」
Q.急に歌い始めた?
急や
「ああもう…はいはいはい、何ですか紫さま!」
私は洗濯籠を縁側に置き、つっかけを脱いで紫様の部屋へと向かった。
どうせろくでもない用事であろうが、いつまでも無碍にしている訳にもいくまい。
「パトラッシュとあーるーいたー…」
「はいはい、何ですか紫さま! 洗濯物を干していたんですよ」
「スクリーントーン買ってきて?」
「は?」
熱しやすく冷めやすい…紫様を端的に現す言い回しとして、これ程的を得ているものはそうそうない。
一ヶ月前に始めた家庭菜園は荒れ果て、私が再生させて日々のおかずにしているし、二ヶ月前に始めた詰め将棋は「大体何で王に対して玉なの? 王に対するなら大統領とか皇帝とかじゃないの? あと角とかナメてんの? 斜に構えてりゃかっこつくとか思っちゃう年頃?」とか言いがかり以下の言い訳でやめてしまったし、その他にも様々な趣味や学問に手を出しては投げ捨ててきているのだ。
「過去に囚われないって素敵やん?」というもっともらしいことを言いはするが、それならばせめて私に面倒をかけるのはやめて頂きたい。
これがまだ物言わぬモノであるから良いが、その内「ヒメマルカツオブシムシ飼いたい」とか言い出したら、実力を以って止めざるを得ない。
生物は飽きた止めたで捨てていいものでは無いのだから…まあその話はともかくとして。
「スクリーン…なんです?」
「スクリーントーンよ。原稿に貼り付けてデコしちゃお♪ 的な、漫画にはモストフェイマスなアイテム」
「…手で描けばよいではありませんか」
「トーシロはこれだから。手じゃ再現し切れぬ繊細かつダイナミックプロな表現には欠かせぬものなのよ」
…つい一週間程前に「永野があれほどのことをやってのけた。私も勇気付けられた。よって漫画描く」というよく判らない三段スライド理論を以って、漫画家デビューした(気になった)素人に素人と謗られ、若干カチンと来たが…まあ、いつものことだ。
適当にあしらって飽きるのを待つほかにあるまい。
「アッハイ。それで、そのスクリーンは何処で売っているのです」
「メガネガイの店にあるんじゃない?」
「香霖堂ですか。紫様はあすこをドラえもんの四次元ポケットか何かと勘違いしているフシがありますね?」
「利便性という点では似たようなモノだと思わない? それにあのメガネボーイだって男だし、キャワイ~イ藍ちゃんが訪ねてきて『ちんこに貼るスクリーントーン下さい』って言おうものなら、さぞかしエキサイトするでしょうよ」
ちんすこう?
沖縄銘菓に貼り付けてデコしちゃう? ナンデ?
そういえば今の若者はデータイーストなんて知らないな…
「藍?」
「あ、ああ、はい。すいませんが紫様、もう一度。ワンモア」
「藍」
「そうじゃなくて、キャワイくてモストアグレッシブフォックスでモンドセレクションな藍ちゃんが訪ねてきて、のあとです」
「ちんこ」
ゴッ。
私は思考するよりも早く、八雲神拳奥義・八雲パンチを紫様の顔面に叩き込んでいた。
その三文字、幻想郷トップクラスの実力者である八雲紫ともあろうお方の口から出て良い単語ではない。私はマウントを取って2、3発八雲パウンドをねじ込み、八雲式ボー・アンド・アローで紫様を締め上げつつ、もう一度尋ねた。
「何と?」
「あがががががが! いやら、らぁん! これって主人に仕掛けていいタイプのアクションじゃあないわよね!? スキンシップの範疇じゃないわよねっぇええええ!?」
「紫様はちんこなどと言わぬ。さては貴様偽者か、あるいは新手のスタンド使いだな!?」
「いやちょっと待って!? 八雲紫はたった一人! あなたの街のスキマ妖怪! オアアアア!?」
この期に及んで言い逃れとは、神をも恐れぬ所業、まさに沙汰の外。
八雲紫を騙り卑語淫語の類を口にするとは不届千万…アタイ・オブ・バンシィというやつだ。徹底的に殺す。
殺した。
「ら、藍…」
「おのれまだ囀るか。前歯全部折って舌を引っこ抜いてやろう」
「らぁああああん! ステイ! だから何度も言うけど私は本人だっていうのよ!」
「ならば証拠を見せろ。今からする問いに淀みなく答えねば殺す。間違っても殺す」
「お、おうよ…ドンときなさい」
1 好きな食べ物は?
「ナス」
2 好きなスタンドは?
「パープル・ヘイズ」
3 瀬戸内寂聴がケータイ小説を書いた際のPNは?
「ぱあぷる」
4 サードストライクでの持ちキャラと使用SAは?
「ユン。幻影陣」「死ね」「いやいやいやいやちょっと待ってよ! 私ユンしか使えないからね!? 一昨日も藍のことボッコボコにしたでしょう!?」「…私情が入りました。続けます」「春麗で鳳翼、ケンで迅雷、ふんどしでエイジスって答えても死ねって言いそう」「言います」「うわー超ゴーマン…」
5 ふりかけと言えば?
「ゆかり」
「…よかろう、一応本人の確認が取れ次第拘束を解く」
「いやいやいやいや! もうバッチ確認できてんでしょーが! これ以上の狼藉は事務所を通してからにしてもらうわよ!」
「貴様のマネジメント及び三食掃除洗濯を司るこのラン・ヤクモを目の前にしてそれか」
「本人認証してるじゃない! 思いっきり! ア、アーーーー!」
私は単分子ワイヤー製の八雲式ニンジャロープで紫様らしき物体を縛り上げて、更につるし上げた。
ここまですれば迂闊な動きは出来まい。さぁ尋問だ!
「スクリーントーンというものが何であるのかはおおよそ理解した。だがその用途がわからん…ちんこに貼るという事は貴様はちんこを描いているということだな」
「あなたこの数分で既に私を上回るちんこカウンターを稼いでるわよね? 少女としてそれでいいの?」
「黙れちんこ野郎。心の中で沖縄銘菓を常に思い浮かべた上での発言だ、猥褻はない」
「年末には沖縄県の人に謝んなさいよね!」
「うるさいぞファッキンディックサノバビッチ。質問に答えろ」
つるし上げた紫風の物体を回転させつつ、私は熱々のおでんや数々のクソアニメを用意していく。
拷問は専門外だがこの非常事態にそうも言えまい。大丈夫、ベルモンド読んだし。
「か、描いてるわよぅ…でもいいじゃない漫画描いたって」
「それについては異論はない。問題なのはちんこがボロンするような漫画を描いているかもしれんということだ」
「おぼっちゃまくんとか珍遊記とかの同人とかもダメなん?」
「貴様、このご時勢にそんな古代の作品の需要があるとでも思っているのか」
「…ない」
もしあったら謝罪はする。まぁそれはそれとしてだ…このライク・ア・紫はちんこを描いていることをゲロった。
これについて詰めていかねばならん。幻想郷屈指の実力者であり強く賢く美しい八雲紫が、ちんこにスクリーントーン貼っている、だなんて事実が漏洩しようものなら…
それはそれは残酷な話である。
「よしでは次の質問だ。どういう漫画を描いているのだ」
「ええと今回のはね…男性が苦手なキャワイ~イ少女がある日いきなり美少年に! それが彼が男性苦手になった原因でもある奔放な兄に見つかっちゃってさぁ大変! みたいな話よ」
T
S
ホ
モ
漫
画
:
!?
私は程よく煮えたちくわぶを小皿に取り、八雲紫(仮)の元へと戻る。
食べさせてくれるとでも思ったのか、彼女は嬉しそうに口を開けて、まるでひな鳥のようだ。
「腹が減ったろう? とりあえずちくわぶを食べさせてやる」
「わぁいちくわぶ! 紫、ちくわぶだぁいすき!」
「だがその前に…漫画の内容についてもう少し詳しく」
「何よ…まぁいいけど…要は最近流行のTSモノね。ああ、TSって言うのはTransSexualのことで要するに性転か…」
ジュッ、と。
私はちくわぶを八雲紫のようなものの頬に押し付けた。
「オアアアアアアア!?」
「ああすまない、手が滑った。しかしそれよりも、エロ漫画を描いていることだけでも許しがたい所業だというのに、言うに事欠いてTSホモ物だと。そう聞こえたが」
「あっちぃいいいいい!? いや、ちょっと待ってよ! 鶴ちゃんじゃないんだからさあ!!」
「黒田官兵衛の最初の上司をやっていたと思ったら、次はライダーの上司だとさ。まったく鶴ちゃんの上司力には参るね…さぁ口を開けろ」
「へへへ…うまそうだにゃー…ネリモノなのか何なのかよくわからない物体ァアアアアアア!? ンあッちぃいいいいいい!」
それから少しして…
タマゴ、豆腐、バラムツのタトバコンボをもってすれば、どんな屈強な犯人だろうと口を割らせることが出来る。
私は背後で流れる拷問用クソアニメの再生を停止し、紫様の拘束を解いた。
彼女曰く、TSホモ漫画を描き始めたのは一時の気の迷いであった。二度とちんこにスクリーントーンを貼ろうなどとは言わない。だから熱々のおでんを押し付けつつクソアニメを見させるのはやめてくれ…と。
「よかろう、改心したのであればそれで良い。以後描くなら少年少女に夢を与えるようなものだけ描くように」
「テ、テラさんみたいな事言いだしおってからに…」
「…あ?」
「はい…八雲紫健全な漫画だけ描きます…」
解決した。
私は改めておでんを加熱して、少し遅い昼食へと備えた。そんな折、今までどこにいたのか、橙がふらりと居間にやってきた。
「おお橙、ちょうど良かった。これから昼食だよ」
「いっつも思うけどこの扱いの差は何なワケ!?」
「ハハハ何をおっしゃいますやら紫様。おや橙、その封筒は何だい? どこかへ出かけていたのかな? …うん? カニマガジン社…と書いてあるが」
すると橙はその封筒を卓に置き、『忌憚の無い意見を聞かせて欲しい』と、その中身を取り出した。
それは紙の束…漫画用の原稿用紙であった。
「あら橙、貴女も漫画を描く…の…ね…?」
「どれどれ、見せて下さいよ紫様。フフ、橙の漫画なんて初めて見…る…」
それは田亀源五郎もかくや、と言った屈強な男達が、これでもかこれでもか、と言わんばかりのマッスルドッキング(意訳)を繰り広げるというシロモノであった。
ほんの数秒で私と紫様は混乱の渦に落ち、がくがくと身体を震わせる。
まさか、あの無垢で可愛い私の橙が…何故…なんで…
「ちぇ、チェチェン…これは一体…? うん? なに、先月は女性向け、先々月は男性向けだったから、今月は趣を変えてホモ漫画…ええ…?」
「ら、らららら、藍、見てこれ、これ見て。絵柄」
「な、なんです…絵柄? ハッ!?」
それは幻想郷において知らぬ者はいないとまで言われる成人向け漫画家、『鉄棒ムラムラ』のそれであった。
掲載される雑誌は売り切れが続出し、刊行される単行本は何十にも渡って増刷がかかるが、その正体を知る者はいないとされている。
それがまさか、我が式である橙であったとは。
私はごんを撃ってしまったHeyjudeのごとく膝から崩れ落ち、橙の顔を見つめて言う。
「橙…おまいだったのか…」
「いやいや新見南吉はいいから…で、でもちょっと待って…その、下世話な話になるけれど…印税とか原稿料とかどうしてるワケ?」
そうだ。
鉄棒ムラムラ先生ともなれば、収入も桁違いのはず…マヨヒガの維持運営にかかるコストなどたかが知れているし、橙が贅沢な暮らしをしているというわけでもない。
「え、寄付? 全額?」
「諸経費だけさっ引いてあとは全額…!? マジで? ねぇ橙、マジで言ってるの?」
橙曰く、漫画は趣味で描いてるだけなので、そこから得られる金銭に興味は無いということだ。
何という…何という良く出来た式なのであろうか…私は思わず橙を抱き寄せ、頭を撫でてやる。
だがそんな私たちの後ろから、何やら凄まじい圧力のようなものを感じれば、振り向かざるを得ない。
「らぁ~~~~ん?」
「な、なんでしょうか紫様…」
「ンフーフ…橙がちんこにトーン貼ってるのはよくて、私がダメな道理は無いわよねえ…?」
まさにその通りだ。
いくら善意でやっていることとは言え、ちんこにトーン。その本質に変わりはない。
我が式可愛さにそれを許容すれば、紫様の行いもまた止める理由が無くなる。
「わ、わかりました。先ほどの非礼は詫びます」
「わかればいいのよ。さぁお昼食べたら仕上げに入るわよ! 橙! 良かったら手伝って!?」
やる気満々の紫様の申し出に、橙もこくりと頷く。
ここに新たなる漫画家共同戦線が誕生したのだ。私には見守ることしか出来ないが、その前途に幸あれと願うほかにない。
新着漫画レビュー
『弟君Change!』 著者・エイトクラウド紫(むらさき) カニマガジン社「コミック毘沙門天」十月号掲載
・今流行のTSモノだが何故男性向けの雑誌に載っているのか疑問の一言。絵も微妙でまだまだこれからといったところ。しかしちんこは上手い。
・絵が無理。ただしホモ受けしそうなちんこを描くのは高評価。
・見るだけでムカつく漫画。特にカラーが嫌いだ。
・気持ち悪いよ、あんたの絵!
・やっぱり何て言うのか、新人なんだけど
苦労してなさそうな作風でうーんとなった
モーリス
ユトリロの爪の垢でも煎じて飲めばいい
かっこいいちんこは見れるけどね
リンパ腺
いる。いますとも。でも今は洗濯物を干していてそれどころではないのです紫様。
「LAN! るぁあああああん!」
ああもうしつこい! 今干しているのは紫様の普段着用パンツ、クマちゃんのワンポイントつきだというのに!
「ランランラー ランランラー ズィーグルズィング…」
Q.急に歌い始めた?
急や
「ああもう…はいはいはい、何ですか紫さま!」
私は洗濯籠を縁側に置き、つっかけを脱いで紫様の部屋へと向かった。
どうせろくでもない用事であろうが、いつまでも無碍にしている訳にもいくまい。
「パトラッシュとあーるーいたー…」
「はいはい、何ですか紫さま! 洗濯物を干していたんですよ」
「スクリーントーン買ってきて?」
「は?」
熱しやすく冷めやすい…紫様を端的に現す言い回しとして、これ程的を得ているものはそうそうない。
一ヶ月前に始めた家庭菜園は荒れ果て、私が再生させて日々のおかずにしているし、二ヶ月前に始めた詰め将棋は「大体何で王に対して玉なの? 王に対するなら大統領とか皇帝とかじゃないの? あと角とかナメてんの? 斜に構えてりゃかっこつくとか思っちゃう年頃?」とか言いがかり以下の言い訳でやめてしまったし、その他にも様々な趣味や学問に手を出しては投げ捨ててきているのだ。
「過去に囚われないって素敵やん?」というもっともらしいことを言いはするが、それならばせめて私に面倒をかけるのはやめて頂きたい。
これがまだ物言わぬモノであるから良いが、その内「ヒメマルカツオブシムシ飼いたい」とか言い出したら、実力を以って止めざるを得ない。
生物は飽きた止めたで捨てていいものでは無いのだから…まあその話はともかくとして。
「スクリーン…なんです?」
「スクリーントーンよ。原稿に貼り付けてデコしちゃお♪ 的な、漫画にはモストフェイマスなアイテム」
「…手で描けばよいではありませんか」
「トーシロはこれだから。手じゃ再現し切れぬ繊細かつダイナミックプロな表現には欠かせぬものなのよ」
…つい一週間程前に「永野があれほどのことをやってのけた。私も勇気付けられた。よって漫画描く」というよく判らない三段スライド理論を以って、漫画家デビューした(気になった)素人に素人と謗られ、若干カチンと来たが…まあ、いつものことだ。
適当にあしらって飽きるのを待つほかにあるまい。
「アッハイ。それで、そのスクリーンは何処で売っているのです」
「メガネガイの店にあるんじゃない?」
「香霖堂ですか。紫様はあすこをドラえもんの四次元ポケットか何かと勘違いしているフシがありますね?」
「利便性という点では似たようなモノだと思わない? それにあのメガネボーイだって男だし、キャワイ~イ藍ちゃんが訪ねてきて『ちんこに貼るスクリーントーン下さい』って言おうものなら、さぞかしエキサイトするでしょうよ」
ちんすこう?
沖縄銘菓に貼り付けてデコしちゃう? ナンデ?
そういえば今の若者はデータイーストなんて知らないな…
「藍?」
「あ、ああ、はい。すいませんが紫様、もう一度。ワンモア」
「藍」
「そうじゃなくて、キャワイくてモストアグレッシブフォックスでモンドセレクションな藍ちゃんが訪ねてきて、のあとです」
「ちんこ」
ゴッ。
私は思考するよりも早く、八雲神拳奥義・八雲パンチを紫様の顔面に叩き込んでいた。
その三文字、幻想郷トップクラスの実力者である八雲紫ともあろうお方の口から出て良い単語ではない。私はマウントを取って2、3発八雲パウンドをねじ込み、八雲式ボー・アンド・アローで紫様を締め上げつつ、もう一度尋ねた。
「何と?」
「あがががががが! いやら、らぁん! これって主人に仕掛けていいタイプのアクションじゃあないわよね!? スキンシップの範疇じゃないわよねっぇええええ!?」
「紫様はちんこなどと言わぬ。さては貴様偽者か、あるいは新手のスタンド使いだな!?」
「いやちょっと待って!? 八雲紫はたった一人! あなたの街のスキマ妖怪! オアアアア!?」
この期に及んで言い逃れとは、神をも恐れぬ所業、まさに沙汰の外。
八雲紫を騙り卑語淫語の類を口にするとは不届千万…アタイ・オブ・バンシィというやつだ。徹底的に殺す。
殺した。
「ら、藍…」
「おのれまだ囀るか。前歯全部折って舌を引っこ抜いてやろう」
「らぁああああん! ステイ! だから何度も言うけど私は本人だっていうのよ!」
「ならば証拠を見せろ。今からする問いに淀みなく答えねば殺す。間違っても殺す」
「お、おうよ…ドンときなさい」
1 好きな食べ物は?
「ナス」
2 好きなスタンドは?
「パープル・ヘイズ」
3 瀬戸内寂聴がケータイ小説を書いた際のPNは?
「ぱあぷる」
4 サードストライクでの持ちキャラと使用SAは?
「ユン。幻影陣」「死ね」「いやいやいやいやちょっと待ってよ! 私ユンしか使えないからね!? 一昨日も藍のことボッコボコにしたでしょう!?」「…私情が入りました。続けます」「春麗で鳳翼、ケンで迅雷、ふんどしでエイジスって答えても死ねって言いそう」「言います」「うわー超ゴーマン…」
5 ふりかけと言えば?
「ゆかり」
「…よかろう、一応本人の確認が取れ次第拘束を解く」
「いやいやいやいや! もうバッチ確認できてんでしょーが! これ以上の狼藉は事務所を通してからにしてもらうわよ!」
「貴様のマネジメント及び三食掃除洗濯を司るこのラン・ヤクモを目の前にしてそれか」
「本人認証してるじゃない! 思いっきり! ア、アーーーー!」
私は単分子ワイヤー製の八雲式ニンジャロープで紫様らしき物体を縛り上げて、更につるし上げた。
ここまですれば迂闊な動きは出来まい。さぁ尋問だ!
「スクリーントーンというものが何であるのかはおおよそ理解した。だがその用途がわからん…ちんこに貼るという事は貴様はちんこを描いているということだな」
「あなたこの数分で既に私を上回るちんこカウンターを稼いでるわよね? 少女としてそれでいいの?」
「黙れちんこ野郎。心の中で沖縄銘菓を常に思い浮かべた上での発言だ、猥褻はない」
「年末には沖縄県の人に謝んなさいよね!」
「うるさいぞファッキンディックサノバビッチ。質問に答えろ」
つるし上げた紫風の物体を回転させつつ、私は熱々のおでんや数々のクソアニメを用意していく。
拷問は専門外だがこの非常事態にそうも言えまい。大丈夫、ベルモンド読んだし。
「か、描いてるわよぅ…でもいいじゃない漫画描いたって」
「それについては異論はない。問題なのはちんこがボロンするような漫画を描いているかもしれんということだ」
「おぼっちゃまくんとか珍遊記とかの同人とかもダメなん?」
「貴様、このご時勢にそんな古代の作品の需要があるとでも思っているのか」
「…ない」
もしあったら謝罪はする。まぁそれはそれとしてだ…このライク・ア・紫はちんこを描いていることをゲロった。
これについて詰めていかねばならん。幻想郷屈指の実力者であり強く賢く美しい八雲紫が、ちんこにスクリーントーン貼っている、だなんて事実が漏洩しようものなら…
それはそれは残酷な話である。
「よしでは次の質問だ。どういう漫画を描いているのだ」
「ええと今回のはね…男性が苦手なキャワイ~イ少女がある日いきなり美少年に! それが彼が男性苦手になった原因でもある奔放な兄に見つかっちゃってさぁ大変! みたいな話よ」
T
S
ホ
モ
漫
画
:
!?
私は程よく煮えたちくわぶを小皿に取り、八雲紫(仮)の元へと戻る。
食べさせてくれるとでも思ったのか、彼女は嬉しそうに口を開けて、まるでひな鳥のようだ。
「腹が減ったろう? とりあえずちくわぶを食べさせてやる」
「わぁいちくわぶ! 紫、ちくわぶだぁいすき!」
「だがその前に…漫画の内容についてもう少し詳しく」
「何よ…まぁいいけど…要は最近流行のTSモノね。ああ、TSって言うのはTransSexualのことで要するに性転か…」
ジュッ、と。
私はちくわぶを八雲紫のようなものの頬に押し付けた。
「オアアアアアアア!?」
「ああすまない、手が滑った。しかしそれよりも、エロ漫画を描いていることだけでも許しがたい所業だというのに、言うに事欠いてTSホモ物だと。そう聞こえたが」
「あっちぃいいいいい!? いや、ちょっと待ってよ! 鶴ちゃんじゃないんだからさあ!!」
「黒田官兵衛の最初の上司をやっていたと思ったら、次はライダーの上司だとさ。まったく鶴ちゃんの上司力には参るね…さぁ口を開けろ」
「へへへ…うまそうだにゃー…ネリモノなのか何なのかよくわからない物体ァアアアアアア!? ンあッちぃいいいいいい!」
それから少しして…
タマゴ、豆腐、バラムツのタトバコンボをもってすれば、どんな屈強な犯人だろうと口を割らせることが出来る。
私は背後で流れる拷問用クソアニメの再生を停止し、紫様の拘束を解いた。
彼女曰く、TSホモ漫画を描き始めたのは一時の気の迷いであった。二度とちんこにスクリーントーンを貼ろうなどとは言わない。だから熱々のおでんを押し付けつつクソアニメを見させるのはやめてくれ…と。
「よかろう、改心したのであればそれで良い。以後描くなら少年少女に夢を与えるようなものだけ描くように」
「テ、テラさんみたいな事言いだしおってからに…」
「…あ?」
「はい…八雲紫健全な漫画だけ描きます…」
解決した。
私は改めておでんを加熱して、少し遅い昼食へと備えた。そんな折、今までどこにいたのか、橙がふらりと居間にやってきた。
「おお橙、ちょうど良かった。これから昼食だよ」
「いっつも思うけどこの扱いの差は何なワケ!?」
「ハハハ何をおっしゃいますやら紫様。おや橙、その封筒は何だい? どこかへ出かけていたのかな? …うん? カニマガジン社…と書いてあるが」
すると橙はその封筒を卓に置き、『忌憚の無い意見を聞かせて欲しい』と、その中身を取り出した。
それは紙の束…漫画用の原稿用紙であった。
「あら橙、貴女も漫画を描く…の…ね…?」
「どれどれ、見せて下さいよ紫様。フフ、橙の漫画なんて初めて見…る…」
それは田亀源五郎もかくや、と言った屈強な男達が、これでもかこれでもか、と言わんばかりのマッスルドッキング(意訳)を繰り広げるというシロモノであった。
ほんの数秒で私と紫様は混乱の渦に落ち、がくがくと身体を震わせる。
まさか、あの無垢で可愛い私の橙が…何故…なんで…
「ちぇ、チェチェン…これは一体…? うん? なに、先月は女性向け、先々月は男性向けだったから、今月は趣を変えてホモ漫画…ええ…?」
「ら、らららら、藍、見てこれ、これ見て。絵柄」
「な、なんです…絵柄? ハッ!?」
それは幻想郷において知らぬ者はいないとまで言われる成人向け漫画家、『鉄棒ムラムラ』のそれであった。
掲載される雑誌は売り切れが続出し、刊行される単行本は何十にも渡って増刷がかかるが、その正体を知る者はいないとされている。
それがまさか、我が式である橙であったとは。
私はごんを撃ってしまったHeyjudeのごとく膝から崩れ落ち、橙の顔を見つめて言う。
「橙…おまいだったのか…」
「いやいや新見南吉はいいから…で、でもちょっと待って…その、下世話な話になるけれど…印税とか原稿料とかどうしてるワケ?」
そうだ。
鉄棒ムラムラ先生ともなれば、収入も桁違いのはず…マヨヒガの維持運営にかかるコストなどたかが知れているし、橙が贅沢な暮らしをしているというわけでもない。
「え、寄付? 全額?」
「諸経費だけさっ引いてあとは全額…!? マジで? ねぇ橙、マジで言ってるの?」
橙曰く、漫画は趣味で描いてるだけなので、そこから得られる金銭に興味は無いということだ。
何という…何という良く出来た式なのであろうか…私は思わず橙を抱き寄せ、頭を撫でてやる。
だがそんな私たちの後ろから、何やら凄まじい圧力のようなものを感じれば、振り向かざるを得ない。
「らぁ~~~~ん?」
「な、なんでしょうか紫様…」
「ンフーフ…橙がちんこにトーン貼ってるのはよくて、私がダメな道理は無いわよねえ…?」
まさにその通りだ。
いくら善意でやっていることとは言え、ちんこにトーン。その本質に変わりはない。
我が式可愛さにそれを許容すれば、紫様の行いもまた止める理由が無くなる。
「わ、わかりました。先ほどの非礼は詫びます」
「わかればいいのよ。さぁお昼食べたら仕上げに入るわよ! 橙! 良かったら手伝って!?」
やる気満々の紫様の申し出に、橙もこくりと頷く。
ここに新たなる漫画家共同戦線が誕生したのだ。私には見守ることしか出来ないが、その前途に幸あれと願うほかにない。
新着漫画レビュー
『弟君Change!』 著者・エイトクラウド紫(むらさき) カニマガジン社「コミック毘沙門天」十月号掲載
・今流行のTSモノだが何故男性向けの雑誌に載っているのか疑問の一言。絵も微妙でまだまだこれからといったところ。しかしちんこは上手い。
・絵が無理。ただしホモ受けしそうなちんこを描くのは高評価。
・見るだけでムカつく漫画。特にカラーが嫌いだ。
・気持ち悪いよ、あんたの絵!
・やっぱり何て言うのか、新人なんだけど
苦労してなさそうな作風でうーんとなった
モーリス
ユトリロの爪の垢でも煎じて飲めばいい
かっこいいちんこは見れるけどね
リンパ腺
なんてもの書くのよ変態!!
あ、レミこい編待ってます
>急や
こんなしょーもないダジャレで笑ってしまうとは自分自身に疑問を持たざるを得ない
やっぱり紫さまは紫色のものが好きなんすね~
でも3rdの持ちキャラの意味だけはわからんw
橙先生歪みねぇな!