「霊夢さんが病気、ですか?」
「そうなんですよー」
冬の寒さが厳しくなってきたある日の朝。紅魔館の門の前では美鈴と号外を持ってきた文が居た。号外によると、脇巫女などの愛称で親しまれている博麗霊夢が今朝から風邪を引いて寝込んでいるとのこと。
「霊夢さんが風邪なんて珍しいですね」
「最近、かなり冷え込んできましたからね。それでは、私はこの号外を他の方にも渡しに行くので」
「お疲れ様でーす」
飛んで行く文に一言だけ言うと、美鈴は号外を持っていったん屋敷の中に戻って行った。
「ふ~ん、あの霊夢が風邪ね~」
「咲夜さんも風邪には気を付けてくださいね」
「大丈夫よ美鈴。だけど美鈴の方がいつも外に居るんだから、貴方こそ気を付けなさい」
「は~い」
「なに話してるのかしら2人とも?」
咲夜と美鈴の後ろから主人であるレミリアが不思議そうな顔で声を掛けてきた。
2人は一礼すると号外のことを離した。
「ふ~ん、霊夢もやっぱり普通の人間ね。ここは私が看病…しな…く……あれ?」
「どうしましたか、お嬢様?」
咲夜がそう聞いてもレミリアはただ口元に指を置いて何やら考え込んでいるだけである。
もう一度声を掛けようとレミリアの顔を咲夜は覗くために一歩近寄る。
「あああぁぁぁあぁあぁああぁああぁあぁあぁぁあぁあぁあぁッ!!!?」
しかし突然大声を出したレミリアに驚いてしまい咲夜は尻餅を付いてしまう。「お、お嬢様どうしたんですか!」と美鈴が駆け寄るが、レミリアは頭を抱えて驚愕の表情を浮かべている。
「ああぁあぁあぁあ、咲夜に美鈴ッ! ちょっと霊夢の神社まで行ってくるわッ!」
「ちょ!? お嬢様! 窓を突き破らないでください!?」
「というか日傘忘れてますよ!?」
美鈴の忠告空しくレミリアは「あっぢぃいいぃぃぃいいぃぃいッ!!」と言いながら頭から地面に墜落した。
「アンタに色々文句を言いたいところだけど、大丈夫なのその怪我?」
「そんなことよりごめんなさい霊夢ッ!」
布団から上半身だけを起こしている霊夢の横で、レミリアは頭や体中に包帯を巻きながら額を畳に擦り付けるようにしている。所謂、土下座である。
「まあ、自業自得でもあるから。アンタが一昨日、突然押し掛けてきて『明日ポッキーゲームをやるから神社の前で待っててね!』て言ったから神社の前で“一日中”寒いなか外で待っていたんだから」
「それなら霊夢も悪かったんだね!」
「あん?」
「すみません調子に乗りました」
霊夢のドスの利いた声とギロリという擬音が聞こえそうな睨みにレミリアは再び畳に額を擦り付ける。
「まったく。もうホントに気にしてないから顔を上げなさい?」
霊夢はそう言ってぽすん!と音を立てながら枕に頭を置く。
そしてしょんぼりとした顔をしてレミリアは顔を上げる。その額は畳に擦り付けたことによって少しだけ赤くなっていた。
「ごめんね霊夢」
「だからいいって言ってんでしょ?」
「でも――」
「もう、なんだか私が悪者に思えてくるじゃない。それじゃあレミリア。ちょっとこっちに来なさい」
そう言われてレミリアは素直に霊夢の近くまで移動する。すると霊夢はがばり!とレミリアを抱きしめて布団の中へと引きずり込んだ。
「ふぇう!? れれれれ霊夢!?」
「あ~やっぱり気持ちいいわ~」
「な、なにが…?」
「いや、私いま体中が暑苦しくてたまらないのよ。ほら? 吸血鬼って体温が低いでしょ? だから氷枕の代わりにいいかなって思ったんだけど、ちょうどいい冷たさだわ」
「そ、そう?」
「そうよ。だからねレミリア」
両手でレミリアの顔を挟んで上へと向かせる。
「約束を忘れたのと風邪を引かせるきっかけになったアンタには、今日一日ずっとこのままでいてもらうわよ」
そう言われて5秒後。顔を赤くしながらレミリアは「うーうー」言いながら霊夢の胸元に顔を隠してしまう。
霊夢が胸元に隠れてしまったレミリアの頭を撫でていると、レミリアは上目遣いで霊夢を見つめてきた。
「来年はちゃんとポッキーゲームするからね霊夢?」
「アンタのことだから、また忘れると思うけど?」
「そ、そんなことないわよ」
「まあ、期待せずに待っとくわ」
「う~……」
冬の寒さが厳しくなってきたある日の朝。だが、博麗神社の霊夢の寝室だけは春のような暖かさだったという。
おまけ
「あの、咲夜さんに妹様? 何してるんですか?」
「一日遅れたけど美鈴、ポッキーゲームするわよ!」
「めいりんはフランとするんだよー!」
「あのパチュリー様? ポッキーなんて加えてどうしました?」
「わはひとひたほとがわふれてたわ(私としたことが忘れてたわ)」
「なにをですか?」
「ほぉっひーげーむふるわよほあ!(ポッキーゲームするわよこあ!)」
「そうなんですよー」
冬の寒さが厳しくなってきたある日の朝。紅魔館の門の前では美鈴と号外を持ってきた文が居た。号外によると、脇巫女などの愛称で親しまれている博麗霊夢が今朝から風邪を引いて寝込んでいるとのこと。
「霊夢さんが風邪なんて珍しいですね」
「最近、かなり冷え込んできましたからね。それでは、私はこの号外を他の方にも渡しに行くので」
「お疲れ様でーす」
飛んで行く文に一言だけ言うと、美鈴は号外を持っていったん屋敷の中に戻って行った。
「ふ~ん、あの霊夢が風邪ね~」
「咲夜さんも風邪には気を付けてくださいね」
「大丈夫よ美鈴。だけど美鈴の方がいつも外に居るんだから、貴方こそ気を付けなさい」
「は~い」
「なに話してるのかしら2人とも?」
咲夜と美鈴の後ろから主人であるレミリアが不思議そうな顔で声を掛けてきた。
2人は一礼すると号外のことを離した。
「ふ~ん、霊夢もやっぱり普通の人間ね。ここは私が看病…しな…く……あれ?」
「どうしましたか、お嬢様?」
咲夜がそう聞いてもレミリアはただ口元に指を置いて何やら考え込んでいるだけである。
もう一度声を掛けようとレミリアの顔を咲夜は覗くために一歩近寄る。
「あああぁぁぁあぁあぁああぁああぁあぁあぁぁあぁあぁあぁッ!!!?」
しかし突然大声を出したレミリアに驚いてしまい咲夜は尻餅を付いてしまう。「お、お嬢様どうしたんですか!」と美鈴が駆け寄るが、レミリアは頭を抱えて驚愕の表情を浮かべている。
「ああぁあぁあぁあ、咲夜に美鈴ッ! ちょっと霊夢の神社まで行ってくるわッ!」
「ちょ!? お嬢様! 窓を突き破らないでください!?」
「というか日傘忘れてますよ!?」
美鈴の忠告空しくレミリアは「あっぢぃいいぃぃぃいいぃぃいッ!!」と言いながら頭から地面に墜落した。
「アンタに色々文句を言いたいところだけど、大丈夫なのその怪我?」
「そんなことよりごめんなさい霊夢ッ!」
布団から上半身だけを起こしている霊夢の横で、レミリアは頭や体中に包帯を巻きながら額を畳に擦り付けるようにしている。所謂、土下座である。
「まあ、自業自得でもあるから。アンタが一昨日、突然押し掛けてきて『明日ポッキーゲームをやるから神社の前で待っててね!』て言ったから神社の前で“一日中”寒いなか外で待っていたんだから」
「それなら霊夢も悪かったんだね!」
「あん?」
「すみません調子に乗りました」
霊夢のドスの利いた声とギロリという擬音が聞こえそうな睨みにレミリアは再び畳に額を擦り付ける。
「まったく。もうホントに気にしてないから顔を上げなさい?」
霊夢はそう言ってぽすん!と音を立てながら枕に頭を置く。
そしてしょんぼりとした顔をしてレミリアは顔を上げる。その額は畳に擦り付けたことによって少しだけ赤くなっていた。
「ごめんね霊夢」
「だからいいって言ってんでしょ?」
「でも――」
「もう、なんだか私が悪者に思えてくるじゃない。それじゃあレミリア。ちょっとこっちに来なさい」
そう言われてレミリアは素直に霊夢の近くまで移動する。すると霊夢はがばり!とレミリアを抱きしめて布団の中へと引きずり込んだ。
「ふぇう!? れれれれ霊夢!?」
「あ~やっぱり気持ちいいわ~」
「な、なにが…?」
「いや、私いま体中が暑苦しくてたまらないのよ。ほら? 吸血鬼って体温が低いでしょ? だから氷枕の代わりにいいかなって思ったんだけど、ちょうどいい冷たさだわ」
「そ、そう?」
「そうよ。だからねレミリア」
両手でレミリアの顔を挟んで上へと向かせる。
「約束を忘れたのと風邪を引かせるきっかけになったアンタには、今日一日ずっとこのままでいてもらうわよ」
そう言われて5秒後。顔を赤くしながらレミリアは「うーうー」言いながら霊夢の胸元に顔を隠してしまう。
霊夢が胸元に隠れてしまったレミリアの頭を撫でていると、レミリアは上目遣いで霊夢を見つめてきた。
「来年はちゃんとポッキーゲームするからね霊夢?」
「アンタのことだから、また忘れると思うけど?」
「そ、そんなことないわよ」
「まあ、期待せずに待っとくわ」
「う~……」
冬の寒さが厳しくなってきたある日の朝。だが、博麗神社の霊夢の寝室だけは春のような暖かさだったという。
おまけ
「あの、咲夜さんに妹様? 何してるんですか?」
「一日遅れたけど美鈴、ポッキーゲームするわよ!」
「めいりんはフランとするんだよー!」
「あのパチュリー様? ポッキーなんて加えてどうしました?」
「わはひとひたほとがわふれてたわ(私としたことが忘れてたわ)」
「なにをですか?」
「ほぉっひーげーむふるわよほあ!(ポッキーゲームするわよこあ!)」
ポッキーゲームなんてやった事無いよ…