此処から先は、日記には記されてはいない
隠居を決めた幼かったデーモンロードの最後の戦いの記録である
「…あと少し…」
二ヶ月あまりを過ごしてきた借家の前に
一人の吸血鬼が立ち尽くしていた
(…大丈夫、私が此処に居れば家に来る被害は少なくなる)
その代わり、隠居を決めた吸血鬼である彼女は…
(このレミリア・スカーレットの……)
これから来る者に対して、完全に見つかるであろう
(この場所を守るための最後の戦いになるわね)
追跡者に見つかるまでの数分…
やられるかもしれないことを知りながら覚悟を決めて立つ姿に
前にカリスマがないと言われた姿は無かった
その場にいるのは偉大なるデーモンロードの姿であった
「お~じょ~う~さ~ま~!」
それは、鬼の反射速度でようやく見える程の速度で
レミリアの上空から降ってきた
・・・
紅魔館から表に出て数日…幻想郷中を探し回った
だが情報がくる事はなかった
もし、何か情報があるのなら既に部下が得ているはず
故に、私が取った方法は
(…お嬢様の気を探る…)
自らの能力を使って地道に歩き回る事であった
(…!?この気は!)
そして…幻想郷の中を移動して回って遂に発見した
(泣いていた咲夜さんと妹様…そして不安がっていたパチュリー様…)
見つかると同時に怒りがふつふつと湧いてきた
(いったいどれだけ…)
屋敷から勝手にいなくなり、一切の情報も返さず
「…どれだけ紅魔館のみんなを心配させれば」
その姿を見つけた瞬間
「気がすむんですかあぁぁ!」
プツン!
「覚悟は良いな!?」
心の中の何かが弾けた
・・・
動きが見えたのはほんの一瞬
はるか上空から拳を固めて降りてくる紅い髪の彗星の姿
その動きは人は勿論、かなり高位の妖怪ですら見切る事は出来ない
条件がそろえば、神や鬼…あの隙間妖怪にも通用するやも知れない
そして、何処からか『愚か者め!』とかけ声が聞こえてくる
赤髪の彗星と化した人物が地面に拳を叩きつけ
レミリアが居た場所一帯にクレーターを作り上げた
(あ、危なかったわ…)
クレーターの範囲の外でレミリアはそう呟いた
(防御するのは愚の骨頂…)
それで、両腕へし折られて地面に叩きつけられた
(そして、背後に引く事は出来ない)
背中を向けて逃げた瞬間に、無防備になった背中に拳が叩きつけられる
だが、運命を垣間見ていたレミリアは間一髪で逃げ切っていた
『ドラキュラクレイドル』
空中から降ってくる影を確信した瞬間に
自分の持っている必殺技を駆使して全力で前に飛んでいたのだ
(これで…一番初めの運命『禊』は回避したわ)
だが、これで終わりで無い事はレミリアにはわかっていた
砂煙の中から、赤い眼が光っているのが見えたからだ
(次の攻撃が来る!)
次の瞬間、レミリアに向かって赤い目の鬼が突っ込んできた
・・・
まさか『禊』を避けられるとは思っていなかった
(くっ!このままだと、お嬢様に再び逃げられてしまう!)
それだけは出来ない、確実に捕まえてから
紅魔館に連れて行かないと駄目なんです
地面をへこませてから大急ぎで逃げたお嬢様を確認する
(見つけた!)
この場から少し離れた樹の隣に居るお嬢様を見つける
「はああぁ!」
確認すると同時に呼吸を一息で調えてから
「熱血…」
地面を思いっきり踏みしめてお嬢様が居る位置に向かって
「大噴火!」
全力を込めたとび蹴りをかました
・・・
(二発目!)
それは唯の飛び蹴りのはずである
だが、その恐ろしさは既に運命の中の一つで見てきた
ガードだろうが、掠りだろうが少しでも蹴りが決まったら
動きが止まったレミリアに対して
美鈴が全力の気と全身のバネを使ってタメを作ってから
(紅魔館まで蹴り飛ばされて門に突き刺さる)
その運命を見てきたレミリアが取った方法は
(避ける!)
高速で目の前まで飛んできた美鈴から避けるように
(樹の後ろに!)
隣の大木の後ろに隠れる
その数瞬後、轟音と共に大木が吹っ飛んで行く
(二撃目…熱血大噴火…回避!)
レミリアの目測では後数回避ければ、美鈴も落ち着く筈であった
(その時までは、何とか一撃必殺技のオンパレードを回避しないと)
大木の裏側でしゃがんでいたレミリアがその場から立ち上がる
(そして、次の攻撃は…!?)
レミリアが次に来る攻撃を確認しようとした瞬間
目の前で美鈴が両手を合わせて突きを放ってきていた
「捕らえた!」
美鈴のかけ声と共に、レミリアの体が空中に吹っ飛ばされた
・・・
飛び蹴りが避けられる事になりましたが
(距離が広い…浅かった!?)
吹っ飛んだお嬢様との距離がかなり開きましたが
このしゃがみDが入ったら、たとえ世紀末覇者でも
世紀末救世主も南斗の帝王でも避ける術はありません
「はぁああああっ!」
お嬢様の体が地面に着く前に、己の身体に
凝縮した気を籠める為に地面に対して胡坐をかいて目を閉じる
「お嬢様…」
良く此処まで避けました…ですから
「せめて痛みを知らずに…安らかに気絶してください」
そのかけ声を共に、私は目を見開く
「紅魔有情破顔拳!」
全身に溜めた気を両腕から一気に放った
・・・
(やはり来たわねこの技が)
運命を見た中で、最も酷い一撃技がこれだった
判定が強い下段からの吹き飛ばし攻撃
そして、起き上がる事が出来ないままの繋がる
広い範囲を一瞬で捕らえる事が出来る一撃技
(吹っ飛ばされたら、そのまま一撃即死に繋げる極悪非道な技)
この一連の動きが完全に決まってしまうため
避ける事がほぼ不可能な極悪非道な技だった
(だから…名だたる世紀末覇者も救世主も…)
此処まで決まってしまっては、負けは確定である
(…でも!私は世紀末覇者でも救世主でも聖帝でもない!)
だが、そんな状態でもレミリアの目は生きていた
美鈴の一撃を受け吹っ飛ばされて身体は痛むが
レミリアの視線は美鈴だけに集中していた
(後は…タイミング…)
そして、美鈴が胡坐をかいて両目を開いて
「紅魔…」
(此処だ!)
両腕から気を飛ばす瞬間に
「ロマンキャンセル!」
レミリアの体が大量の蝙蝠になって辺り中に散り
「有情破顔拳!?」
極悪と言われるそのコンビネーションを避けきった
・・・
まさか、有情破顔拳をあんな避しかたするなんて思っていませんでした
(いけない、このまま逃げられる!)
せめて牽制の意味を籠めて!一撃を
(お嬢様に対して、生半可な一撃は通用しない!)
ならば、右手に力を籠めて…
「紅魔…」
当たらずとも!最大威力で闘気を放てば!
「剛掌波!」
・・・
(よし!此処までこれば!)
酷いと思われる技を避けきった
(後は一箇所に集まってから、美鈴との間合いを離して…!?)
そんな時、レミリアには見えてしまったのだ
美鈴が己の腕に闘気を籠めて放とうとしている姿…
それは別に構わない、この位置からだとその技を受ける事も無いだろう
だが、レミリアに見えたのはその位置から放たれる直線上
(な~う)
そこで、のんびりと構えているあの猫の姿が
「危ない!」
気がついたら無我夢中で動いていた
大声で叫ぶと同時に美鈴とその猫との直線上に入って
『剛掌波』
避けきる事が出来たはずの一撃をその身に受けて
「うぐぅぁあああ!?」
近くに生えていた数本の樹をなぎ倒しながら吹っ飛ばされて
一際大きな樹に打つかってようやく止まった
「げ…げほっ…げほっ…」
全身に激痛が走るが、何とか意識は保っている
苦しみながらもレミリアが思う事は
(…ま…全く…本当に…世話の焼ける)
最後の最後まで自分に迷惑をかけたもう一人の居候の事と
目の前から突っ込んでくる美鈴の姿だった
・・・
「命中!?」
かなり不自然な感じでしたが、剛掌波がお嬢様に命中しました!
(なんで?)
あのままでは、当たる事はないと思っていたのに…
いや、今は考えるな!
(それよりも、今の隙にお嬢様を気絶させる事が先決!)
少々、タイムラグが出来てしまったが
今のお嬢様は樹に叩きつけられて身動きが取れない
(…今しかない)
少々心に釈然としない物を残して、私は一気に前に出る
樹に叩きつけられたお嬢様の前に向かうと
(これが…最後の好機!)
「ほぉおあたぁぁ!」
全身全霊を込めた拳の連打を叩き込むための切欠を放った
・・・
(身体は?)
激痛が残るが、一応五体満足
(あいつは?)
大丈夫、どうやら無事に逃げたらしい
(目の前の状況は?)
ハイキックが飛んできている
この一撃から考えれうる技を思い出す
(ただのハイキックを美鈴が放つはずがない…と言う事は)
ハイキックを基点にしてから、怯んだ相手に怒涛の連打を当てる
(百烈拳!?)
美鈴のハイキックを避けるには距離も時間も足りなさ過ぎる
(此処までかしら?)
諦めを感じたその時
「にゃあ~!」
「!?」
背中からのんきな鳴き声が聞こえてきた
その瞬間、レミリアから諦めが消える
(あの馬鹿、何で逃げてないのよ!)
このままでは、あの猫も自分の巻き添えになってしまう
(どうする!?)
数瞬で背後に居る猫を助ける方法を考えて
(覚悟を決めるしかないわね)
「せいっ!」
次の瞬間、レミリアは美鈴のハイキックを打ち払っていた
だが、一発打ち払った所で高速で飛んでくる連撃が終るわけではない
「あ~たたたたたたたた!」
レミリアに向かって飛んでくる拳による壁
それに対してレミリアが取った方法は
「ぬぁあああああああ!」
自らの力の全てを籠めて、美鈴が放ってきた拳を一つ一つ打ち払っていく
(全て払いのけるまで!)
かすったりする、グレイズではない
全ての攻撃を打ち払う為のブロッキングであった
(36!37!38!)
美鈴が打ち込んでくる拳をその手で、足で、腕で
体の限界を超える勢いでレミリアが打ち払っていく
(50…55…60!)
完全に打ち払う事が出来ずに体中に細かな傷がつく
それでも、レミリアがその場から逃げる事は無い
(…私が堪えないと…あの馬鹿が巻き込まれちゃう!)
近くに居る居候のために暴風雨のような連打を払いのけ続けて
「あたぁ!」
「ブロッキング!」
本来なら止めとなるはずの打ち上げのハイキックを捌ききる
(こ、これで…)
肩で荒い息をしながら背後に居る猫を守りきったと言う安堵感から
レミリアが膝から崩れ落ちそうになる
「万手…」
そんなレミリアの耳に、目の前人物が更なる言葉を口にする
(…これ以上はもう無理ね…)
極度の緊張と無茶に無茶を重ねた捌きに
猫を庇う為にまともに受けた闘気の一撃
体中に大量に掠めている細かな被弾
その全てがレミリアから体力を奪っていた
(もう、これ以上の抵抗は出来ないわ)
後ろにある樹にもたれかかったまま
レミリアが静かに目を閉じた
(運命を…変える事は…)
「魔音…!」
美鈴の声が聞こえる、その両腕が技の構えのために動く
(さあ来なさい…かろんじて受けてあげるわ)
瞳を閉じたまま次に自分にかかって来るであろう衝撃を待つ
「…万手魔音…」
だが、何時までたってもその攻撃がレミリアに届く事は無かった
それよりも先に、レミリアの意識が落ちたのと
「…にゃあ~!」
美鈴の技とは別に、のんきな鳴き声が聞こえて来たからだ
・・・
初撃の頭上から一撃を真正面に踏み込んでかわし
砂煙からの奇襲をとっさの機転で避け
ほぼ完璧に決まっていた即死技を回避する…
挙句に、負傷しているはずの身体で渾身の連撃を捌ききる
…此処まで綺麗に近接戦で技を捌かれるなんて思っていませんでした
(…よもや…よもや此処まで…)
弾幕勝負以外ならば、まだお嬢様にも負けないと思っていましたが
(…成長なされましたね)
ですが、拳法家として…紅魔館にお嬢様をつれて帰りたい者として
「万手…」
秘奥義を使ってでも
「魔音…」
お嬢様を連れて帰ります
…ただ、不意に思うのは…何故お嬢様が不自然にあの技を受けたのか
(…何か避けてはいけない理由があった?)
心の中で『技を止めろ』と警告が走る
いや!此処で私が技を放たなければ…
「万手魔音!」
技を放つ覚悟を決めるために両腕を構えて
大木にもたれかかっているお嬢様に秘奥義を決めようとした時
「にゃあ~!」
私の体から怒り完全に消えて
お嬢様が何故あの奥義を不自然に受けたのかを理解しました
お嬢様と私の間に、一匹の三毛猫が現われました
「しゃぁぁ!」
そして、技を放とうとしている私の目の前で威嚇をする
既に意識が無いと思われるお嬢様を守るように
(ああ…そうか…お嬢様は…)
この子を守る為にあんな不自然な受け方をしたんですね?
ああ、やはりお嬢様は偉大なデーモンロードでした
その下で門番をしていたはずなのに…私は一体何を学んでいた?
「…参りました」
技を解き腕を降ろすと、意識が降りているお嬢様に頭を下げる
「お嬢様の勝ちです…技でも心でも」
さあ、これで追跡者から再び一介の門番に戻ります
満身創痍で疲れている偉大な主を抱えて、私がするべきことは…
「……?」
目が開く…あれからどうなった?
(私は…)
全身の痛みで意識がはっきりしない
そして、しばらくぼーっとしてから
(ああ、私は…)
美鈴との激戦に負けた事を思い出していた
だが、そこで目の前の光景がおかしい事に気がつく
「な~う♪」
「…なんで貴方が此処に居るの?」
紅魔館にボロボロになって連れ戻されたはずなのに
いま自分が居るのは、つい先日まで住んでいた借家
(それに、美鈴が本気の技を無防備な私に喰らわせたのなら)
五体満足なはずが無いのに
手が、足が、挙句に多少の擦り傷等はあるが
打撲や捻挫等の症状も見当たらない
「どういうこと?」
擦り寄ってくる同居人の顎の下を撫でながら
寝ている煎餅布団から上半身を起して考え込んでいると
「あ、起きられましたかお嬢様」
なにやら料理を持ってきている美鈴の姿が
それを確認すると同時に
自分のお腹から食事をよこせとの要求が来た
「色々話はありますけど、とりあえずご飯食べちゃいましょう」
「…そうね、まずはご飯から…」
「な~う…」
おっと…この子に渡した日記を忘れていたわね
最後になるかもしれないから、一筆書いておきましょう
66日目…
「「猫飯うま~!」」
「にゃぐにゃぐ…」
今日の晩御飯
猫飯…少々しょっぱい物になった
「えっ?お嬢様一人で生活なさられていたんですか?」
「えっ?今はフランが当主引き継いでいたんじゃなかったの?」
それから、私は美鈴と話をしてお互いの話の食い違いに気がついた
話し合いの結果
「…お嬢様、せめて一旦お屋敷にお戻りください」
「…でも…」
「私は無論の事、咲夜さんも妹様もパチュリー様も…皆お嬢様をお待ちしております」
「…ぬぅ…」
「それに、いい加減私もシリアスに疲れました!」
「…仕方ないわね」
結局、私は屋敷に戻る事になった
(…二ヶ月たっても待ってくれる人が居るからね)
さて、帰る前にもう一つだけやっておかないといけない事がある
次の日、私は借家の主である慧音の下に向かうと
「…この子を預かって欲しいんだけど」
「にゃう?」
頭を下げてもう一人の同居人の事をお願いした
そのお願いに慧音は快く頷いてくれた
もう、紅魔館に向かわないといけない
「…それじゃあ、元気にしてなさいよ?」
私は最後になるかもしれないお別れを同居人にする
「な~う」
別れになることがわかっているのか
同居人だった三毛猫は、初めて会った時のように頭を下げて
「お嬢様行きますよ?」
「…ええ、わかっているわ」
里から出て行く私を最後まで見ていてくれた
(楽しかったわ…とても)
でも、帰らないといけない
独り善がりで出て来たのだ
戻らないといけない日が今日来てしまっただけの事
また、昔と同じ生活に戻るだけの事
でも、あの子がきっと私の隠居生活を覚えていてくれる
(…命守ってあげたんだから…そのぐらいはしてくれるわよね?)
レミリアが美鈴と戻って行ってから慧音の家にて…
「な~う」
「おや?何かを背負っているのか?…これは…」
「しゃぁぁ!」
「おっと?…そうか、それはお前が大切に守っている物なんだな」
「にゃう」
「…そうか、その日記は大切な歴史だ…しっかりと守れよ?」
そんなやりとりがあったのは、レミリアは知らなかった
あれからしばらく経った…
美鈴に連れられて紅魔館に戻って中の様子を覗いて驚いた
まず、咲夜が瀟洒じゃなくてかなり気弱になっていた
(無論、私の姿を見つけたと同時に本気泣きで抱きついてきた)
次にフランは立派に仕事をこなそうとしていた
私から見ても、立派過ぎるほどのカリスマだった
(でも、私の姿を見たら泣き出して抱きついてきて背骨折られるかと思った)
パチュリー…3日間ほど口聞いてもらえなかったわね
(人が居なくなってから拳でぽかぽか叩かれた)
美鈴は言わずとも知れているが、門の前で眠っている
私が来る前までは、咲夜の代理を務めていたらしいけど
(…でも、最近は鍛錬を更にこなしているらしい)
私も、戻ってしばらくの間はフランが代行していた
主の勤めをさせられてなきそうだった
(…咲夜でも美鈴でもしてくれれば良かったのに)
楽しかった隠居生活から半年が過ぎた…
(懐かしいわね)
そして私は……
(誰も見てないわね?)
小さな風呂敷包みを担いで紅魔館の辺りを闇夜に乗じていた
(待ってなさいよ…)
紅魔館の皆は優しい…でも、あの隠居生活は捨てがたいのだ
そうこうしている間に、一番の難関にたどり着く
(さあ、後は門を通り過ぎて…)
「お嬢様…」
「げっ!?」
馬鹿な?確かに美鈴が非番の日を狙っていたはずなのに
咲夜も眠っているのを確かめているし
フランとパチュリーは魔理沙の家に遊びに行っている筈なのに!?
「…め、美鈴…これは…」
急いで言い訳をしようとする私に対して美鈴は
「…行かれるのですね?」
「えっ?」
何も言わずに道を譲ってくれた
「…おそらくもうそろそろだと思っていました」
「…かなわないわね」
…そうだった、こういう事には美鈴は化け物以上にわかってくれる
「咲夜さん、お嬢様から離れませんでしたからね」
「…わかって居たのなら止めてよ!」
かれこれ三ヶ月ほど咲夜は私から離れなかった
それだけならまだいい…
「咲夜ったら、私にお裁縫も料理も掃除もやらせてくれなかったのよ!?」
…私の新しい趣味を一切やらせてくれなかったのだ
「でも、門番隊の倉庫の一室で干し肉作っていたんでしょ?」
「…ま、まあそうだけど…」
代わりに、色々と咲夜の目を盗んでやっていたけど
「そろそろ限界、またのんきな生活がしたくなったの」
あの隠居生活に戻りたくなったのだ
「私は今日は非番です、それに門を押し入ろうとする者は相手をしますけど」
そんな私に美鈴がそう言うと、服を手渡してくれた
「…出て行くのでしたら、止めません…」
半年前に着ていた、二束三文の安い服を
「ただ…今度は一週間に一度帰ってきてくださいね」
「…それだと、また掴まっちゃうじゃない」
私の言葉に、美鈴が苦笑を浮かべる
「でしたら、手紙を書いてください…私が取りに行きますから」
「まあ…それなら…」
そのぐらいの条件は此方が飲まないといけないだろう
何せ、本来なら美鈴に見つかった時点で計画終了なのだから
少し時間を食ってしまった…私が再び表に出ようとした時
美鈴に背後から声をかけられた
「…また帰ってきてくださいね?…お嬢様は紅魔館の主なんですから」
「いいのかしら?私にカリスマは無いのよ?」
「皆、お嬢様の下に集まっているんですから…」
ああ…その言葉は卑怯だ…そんな事を言われたら
「…一ヶ月に一日二日は帰る事にするわ」
戻らないといけないじゃないか
「隠居、楽しんでくださいね」
「…ええ、美鈴も真面目に門番していなさい」
「はい!…明日、お嬢様を見逃した事を叱られてから」
立派な門番ね…嬉しくて涙が出るわ…
でも、こうしては居られない時間が経つのは早いのだ
紅魔館でこっそりと作った干し肉を齧りながら
月明りの下を私はあの借家に向かって歩き出した
(ああ、隠居するって…楽しいわね)
↓
パチュリー…3日『巻』ほど口聞いてもらえなかったわね
(人が居なくなってから拳でぽかぽか叩かれた)
『間』の間違いでは?
とても楽しかったです
というかお嬢様隠居生活どんだけ気に入ったんだよwww
あと咲夜さん自重wお嬢様のささやかな趣味くらい黙認してくれたって良いだろうに・・・
今後はエンドレス隠居生活を楽しみに待ってますよ~
次回はさとりが来るかもしれないだって!
さとりも地霊殿で自分にカリスマがないと思って
こいしに後を任せて来たのだろうか?
次も楽しみに待ってます
なんというジャスティス。
次回がとても楽しみだぁぁぁぁ!!!!!!!
ります」
一行あいてました
やっぱり隠居シリーズはいいな でも香岐の話も読みたいし・・・
いろいろ期待してるんで頑張ってください!
続編でしたら猫にも名前を付けてほしいですね。
まさかロマキャン(どちらかと言うとサイクバーストか?)でスマイルビームを回避するとは…私には無理だったぜ
このシリーズも終わりですか…次の作品も楽しみにしてますです
頭上くらいしか当たり判定の無い場所が無いというのに・・・
>赤髪の彗星と貸した人物が地面に拳を叩きつけ
「貸した」ではなく「化した」でしょうか?
>次回『ドキッ!レミさとフラグ?』
はやく続きを書く作業に(ry
面白かったのですが、たぶん読者の皆が考えそうなことですけど
ドキッ!レミさとフラグ?
これ、紅魔館勢ブチギレフラグじゃね?
Nice boatな展開が紅魔館勢よって繰り広げられそうで怖いのですが
美鈴は気絶させようと思ってるみたいですけど、リミリアははっきり「死ぬ」って言ってますし。
失踪したとはいえ、レミリアって美鈴の主でしたよね?
次回の再隠居生活をお待ちしています。
最近さとり様の株が急上昇中なのでむっちゃ楽しみです。
レミリア様隠居中の紅魔館は、やっぱりフランが当主をやってるんでしょうか?
そして、さぁ早く次回作を書く作業を始めるんだ!
>「…うん、やっぱりなめこの味噌汁とご飯ね…」
さすがお嬢様は分かってらっしゃる。
時々紅魔館のみんなには内緒でお嬢様のところに遊びに行ってる美鈴を幻視したw
ただお嬢様を逃がした美鈴がどうなるのかが非常に怖いですが。
>>8実は破顔2段当てという頭上で左右の破顔をhitさせるものがあってな…
あの極悪鬼畜性能の、瞬獄殺よりヤヴァイあの技っすか……。
やっぱ脇役さんの書く美鈴は最強やな……。
そしてエンドレス隠居。以前霖之助も隠居していたようですが、次はさとりですか。
楽しみにしてます。
>(人が居なくなってから拳でぽかぽか叩かれた)
なにこのパッチェさん、もって帰りたいんですけど
隠居終わりか~、と思っていたら今度はエンドレス隠居
さらにはさとりとのフラグまで持ってくるとは……
レミリア様侮りがたしですねwww
美鈴がヤンデレという事ですね
俺ちょっと隠居してくる
この先誰が借宿しに来るか楽しみです。
さて、エンドレス隠居のほうも楽しみに待たせていただきます。
マジで!!!じゃあ俺もちょっくら隠居してきます
でも、鳳凰の羽ばたきはやっぱり妹紅のものでしょうし…
そして美鈴がチートレベルのラスボス過ぎるww
このオチは、なんと言うか。
そこまで迷惑を掛けた挙げ句、自分が不在の間どれだけえらいことになっていたかを知りながら、紅魔館より隠居生活を取ったと。
身勝手過ぎる結論だと感じてしまいます。
話自体は面白いんですが……。紅魔館の大変さも見てるだけに、レミリアの行動にはあまり感心出来ないで居ます。