「ヴェェェェェエエェェェェエェェエェェエェェェベェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェゴエェェェェボエエエェェボェェェェェゴエェェヴェェェェェェエエェェェエェェェェェェエエェボェェェェェゴエェェエェェェエエゴエェェェェゴエェェエェェェエエゴエェェェボエエエェェェボェェェェェゴエェェエェェェエエゴエェェェェヴェエェエェエェエェエェエェエェエェェェェェ」
ブブゼラのちょっとアレな音色が、昼下がりの博麗神社に鳴り響く。
音の出口が放射状に膨らんだその楽器の音色は、高らかに響き渡る。
流れる風、ここにある大気はまさにアフリカ――。
熱気に包まれた南アフリカへ想いを馳せつつ、胸いっぱいに酸素を吸い込んだ。
吸い込んだ空気はどこか、ヨハネスブルクの味がした。
端的に言うと、全部紫が悪いのだ。
いつものごとく私が縁側に座ってお茶を飲んでいると、
突然目の前の空間にスキマが開き、紫が上半身だけ姿を現した。
手には何か、細長い棒のようなものを持っていた。
「れいむれいむー! 外の世界で話題のコレ、手に入れちゃったわ~」
突然現れた紫は、1メートルほどの長さのそれを口に付け、吹く姿勢を私に見せた。
彼女の髪はなぜか黒く染められており、しかもパンチパーマだった。
「……なにこれ、笛?」
「違うわ。これはブブゼラっていう楽器よ」
「ぶぶぜら……?」
私はなんとなく、この間飲んだバオバブ味のコーラを思い出していた。
ブブゼラとバオバブって親戚なの? って聞いたら否定された。全然別物らしい。
「ちょっと吹いてみるわね」
「うん」
紫はすぅと空気を吸い込むと、瞳をぎゅっと瞑り、一気に息を吹き込んだ。
「ボェェェェェゴエェェエェェェエエゴエェェェェゴエェェエェェェエエゴエェェェボエエエェェェヴェエェエェエェエェエェエェエェエェェェェェゴエェェェェボエエエェェボェェェェェゴエェェボェェェェェゴエェェエェェェェェエエゴエェェェェボェェェェェゴエェェエェェェエエゴエェェェェボエエエェェェボェェェェェゴエエェェェェエエヴェェェェェエエェェェェエェェエェェエェェェボエエエェェェボェェェェェゴエエェェェェエエボェェェェェゴエェェエェサスケェェェェェェエエゴエェェェェベェェェェェェェべえええェぇぇぇぇぇェェェェゴエェェエェェェエエゴエェェェボエエエェェェベェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ……」
紫は一息で吹き終えると、満足そうな表情を浮かべた。
額に浮かんだ玉のような汗を腕で拭い去ると、遠くを見るように目を細めた。
そして、酸欠でフラフラになりながら私に歩み寄ると、突然私の体に倒れこんだ。
「ゆ、ゆかり!?」
ぐったりした紫の体を、自分の体で受け止める。
紫の方が背があるので、しな垂れかかる彼女の体は予想以上に重かった。
「フフ……霊夢……よく聞いて頂戴……」
「どうしたのよ、ねえ、ゆかり!?」
「いいから……聞くのよ……」
突然の出来事に慌てふためく私を遮り、紫は弱弱しい声で話し始めた。
「私はもう長くはない……もうすぐ死ぬわ……酸欠で」
「なにいってるのよ、なにそれ、やだよぅ」
最愛の女性から死期が迫っていることを告げられ、思わず涙目になる。
なにもかも、意味が判らなかった。
まずブブゼラが意味不明だ。
そして次に意味不明なのもブブゼラだ。
最後に意味が判らないのは――――やっぱりブブゼラだ。
そんな私の思考もおかまいなしに、紫は苦しそうにブブゼラを手渡してきた。
「いい、霊夢――ブブゼラは託したわよ……」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 死なないでよぉ、ゆかり!」
「あなたの前でブブゼラを吹けて、私、幸せだったわ――」
「ゆかり!? ゆかり、うそでしょ、やめてよ」
「さよなら、霊夢――――」
「ゆかりいいいっ!」
紫の腕から、全身から、力が抜けていった。
「ゆかり、ねえ、うそでしょ、やだ、よ、ねえ、」
口から、震えた言葉が溢れて止まらなくなった。
私がいくら紫の名前を呼び抱えても、反応は帰ってこない。
縁側に運んで脈を取り、私は今度こそ絶望の谷に叩き落された。
彼女の心臓は、もう動いてはいなかった。
彼女の生命の炎は、完全に消えてしまった。
幸せそうに眠る紫が目覚めることは、二度となかった。
――ああ、私は失ってしまったのだ。
紫を。
最愛の女性を。
八雲紫は死んでしまった。
手の中には、彼女の形見だけが残された。
そう、ブブゼラ。
残されたものは、もうこれしかない。
ブブゼラしかない。
彼女は、私にこれを託して死んでいった。
ならば、残された私のすることは、ひとつしかない。
ブブゼラを力の限り握り締め、私は決心した。
紫から受け継いだこのブブゼラを吹こう、って。
彼女の形見であるこのブブゼラを、吹いていこうって。
ぽたり、ぽたりと落ちる涙を見送り、
博麗の名と、形見のブブゼラに誓った――
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――霊夢が境内でブブゼラを吹きながら妄想にふけっていると、本物の八雲紫がスキマから姿を現した。
「……霊夢、あなたブブゼラ片手になにしてんの?」
「ボエエエェェボェェ(あら紫じゃない)」
「いや、ブブゼラはいいから。なにしてたの?」
「ゴエェェェボエエェェェボェェェェ(ブブゼラを私に手渡して死んじゃった紫ごっこ)」
「日本語でおk」
だが次の瞬間、ブブゼラが眩い光に包まれ、どこからとも無くTさんの声が
「破ぁ!!」
ブブゼラは光と共に飛び散り、霊夢が吹き飛んだ。
「これで安心ですね……」
そう呟いて片手でタバコに火をつけるTさん。
寺生まれってスゲェ……紫はその時初めてそう思った。
<THE ENDォオ!!>
ブブゼラに大笑いしました
ゴエェェエエエェェェ(マジで日本頑張れ!)
作者名見て納得した。日本超頑張れ。
それはともかく日本がんばれ!!超がんばれ!!
>ブブゼラとバオバブって親戚なの?
確かにちょっと似てるかもww
日本勝ちましたね。おめでとう!
混ぜんなw