※大前提:リリーと静葉が恋仲です。
◆ ◆ ◆
ある日朝起きたら、静葉さんが250人に増えていました。
「……な、………え?」
私は思いました。これは夢です。夢に間違いないのです。だから寝て起きたら全部元通りになるのです。
というわけで、おやすみなさーい……
――よし目が覚めた。起きた。静葉さん、おはようござ…
「あらおはよう、リリー。」
「おはよう」「おはよう」
…静葉さんは減ってませんでした。むしろ増えてませんか?
「あら、まだ300人くらいよ?」
「そんなもんよね」「そうね」「うそね」「それは違う」
300人の静葉さんがめいめい好き勝手に家の中や外を歩き回ったり飛び回ったりしています。この状況は何なのでしょうか。
とりあえず落ち着いて考えましょう。
私は居間にある椅子にとりあえず腰掛けて……考えようと思ったのですが。
椅子にしてはやわらかい感触が私のお尻に。
ぎょっとして後ろの方を見上げると
「あら、あはよう」
……おはようございます。
「308人目ね」「ね」
その後もどんどん静葉さんは増えて行きます。
おまけに500人を越えた(らしい)静葉さんたちは、ちょっとづつ違う静葉さんで、ちょっとお話好きな静葉さんや、ちょっとのみすぎてる静葉さん、紅葉を手裏剣にして遊んでる静葉さんとか、さっきは何故か私の格好をした静葉さんもいましたね。
そして今は、なんかてんしょんの高い?って言うんですか?
そんな静葉さんに捕まって、もみくちゃになっています。
「リリーって本当に髪が綺麗で羨ましいな」
「ぇ、そんな事無いです…ょ……」
「ううん、こんなさらさらにはならないもん。いいなーこの髪欲しいなー」
「ぁの…恥ずかしぃ…でス………」
「というかリリーが欲しい!身も心もアタシのものになれぇ~!」
「ふえっ?!」
そんなことを言いながら私の髪をわしゃわしゃと弄る静葉さん。
ぇ、というか、今言ったのはどういう事ですかぁぁっ?!!
「どういうって、そのままよ。」
「ぇ、ぇと…その…それは……」
「リリー」
「は、はひぃっ!」
「好きよ」
………
「大好き。いくら言っても足りないくらい。貴女のことしかもう私は見れないの。貴方の全てが、私は大好き」
そう言って、じっと私の眼を覗いてくる静葉さん。
辺りを闇が包み、1000人の静葉さんが私に口々に「好き」と言ってきます。
「リリー、大好きよ」
「……………ずっと、側に居て欲しい」
「お願い、どこにも行かないで!」
「………(潤んだ目でこちらを見ている)」
1000人の静葉さんはやっぱり人それぞれ(?)で、
「その、…か、勘違いしないでよ!別に、そんなんじゃなくて…………私がこんな風になったの、あ、アンタの所為なんだから!」
なんていう人も居たり。
可笑しいなぁなんて思っていたら
「ねえリリー、貴女はどうなの?」
と言って、(私を抱きしめている)静葉さんが私の眼を見てきます。
「ゎ、わた…ぇ、ぁぅ・そ、の……」
私が何もいえないうちに、静葉さんの顔がどんどん近づいてきて、
私はもう何がなんだか分からずに目を閉じて――
――目を覚ましたら口の中が甘かった。涎か。
時計を見ればまだ寅の刻。だけど私はもう眠る気はなかった。
なんだ今の夢は。私が1000人に増えてリリーに愛の告白をする…って。
寝惚けた頭をゆっくりと起動する。私は昨日の、リリーと穣子の会話を思い出していた。
――いちじつせんしゅう、?
――そうよ。アンタみたいに待ち焦がれて待ち焦がれて、もう堪えられない!っていう時に使うの。
――へー!そうなんですかぁ!
――字もね。一日に千の秋って書くのよ。
――千の秋!静葉さんが千人ですか?
――バカね。そんなわけ無いじゃない。
――
それでどうして私が1000人の私の夢なんか見るのかしら。おまけに私がリリーになってて………
……………冴えた頭で夢の内容を繰り返したら、途端に顔が真っ赤になった。
特にツンデレ静葉とか妖精リリー静葉とか。今にして思うと非常に恥ずかしい。
おまけにあのクサすぎる告白の台詞は何なのか。私が言ったものとは到底思えない。思いたくない。我ながら恥ずかしい。もう死にたい。
火照った体が寝汗に濡れた服について気持ちが悪い。
どうせもう目が覚めてしまった身だ。身体を拭いて服も着替えてしまおう。
そう思い、寝床を発とうとすると、
「ぅぅん。。。静葉さん?」
と、リリーの声がした。
見ると彼女も目覚めてしまったのか、目をこすりながら身体を起こしてこちらを見ている。
「どうしたの?ヘンな夢でも見た?」
そう言ってリリーの側に寄る私。リリーは、こくりと頷いて、ぽつりぽつりと
「私が静葉さんで」
「うん」
「私がいっぱいいて」
「うん」
「それで、たくさんの私が私に抱きついてきて
……なんだか、こころがぐしゃぐしゃになって、わかんなくて……」
「怖かったの?」
「でもなんだか、しあわせで……」
そう言いながら、泣きながら、私にしがみついてきたリリー。
綯い交ぜになった感情が私の中にも湧き上がってくる。
「よしよし、私はここにいますよ」
泣かないように、気をつけながら、そう言って、背中をなでてやる。
私は1人しかいないし、リリーも1人しかいない。
でも、それで十分。
1000人が1人に減っても、私の「だいすき」は減らないもの。
◆ ◆ ◆
ある日朝起きたら、静葉さんが250人に増えていました。
「……な、………え?」
私は思いました。これは夢です。夢に間違いないのです。だから寝て起きたら全部元通りになるのです。
というわけで、おやすみなさーい……
――よし目が覚めた。起きた。静葉さん、おはようござ…
「あらおはよう、リリー。」
「おはよう」「おはよう」
…静葉さんは減ってませんでした。むしろ増えてませんか?
「あら、まだ300人くらいよ?」
「そんなもんよね」「そうね」「うそね」「それは違う」
300人の静葉さんがめいめい好き勝手に家の中や外を歩き回ったり飛び回ったりしています。この状況は何なのでしょうか。
とりあえず落ち着いて考えましょう。
私は居間にある椅子にとりあえず腰掛けて……考えようと思ったのですが。
椅子にしてはやわらかい感触が私のお尻に。
ぎょっとして後ろの方を見上げると
「あら、あはよう」
……おはようございます。
「308人目ね」「ね」
その後もどんどん静葉さんは増えて行きます。
おまけに500人を越えた(らしい)静葉さんたちは、ちょっとづつ違う静葉さんで、ちょっとお話好きな静葉さんや、ちょっとのみすぎてる静葉さん、紅葉を手裏剣にして遊んでる静葉さんとか、さっきは何故か私の格好をした静葉さんもいましたね。
そして今は、なんかてんしょんの高い?って言うんですか?
そんな静葉さんに捕まって、もみくちゃになっています。
「リリーって本当に髪が綺麗で羨ましいな」
「ぇ、そんな事無いです…ょ……」
「ううん、こんなさらさらにはならないもん。いいなーこの髪欲しいなー」
「ぁの…恥ずかしぃ…でス………」
「というかリリーが欲しい!身も心もアタシのものになれぇ~!」
「ふえっ?!」
そんなことを言いながら私の髪をわしゃわしゃと弄る静葉さん。
ぇ、というか、今言ったのはどういう事ですかぁぁっ?!!
「どういうって、そのままよ。」
「ぇ、ぇと…その…それは……」
「リリー」
「は、はひぃっ!」
「好きよ」
………
「大好き。いくら言っても足りないくらい。貴女のことしかもう私は見れないの。貴方の全てが、私は大好き」
そう言って、じっと私の眼を覗いてくる静葉さん。
辺りを闇が包み、1000人の静葉さんが私に口々に「好き」と言ってきます。
「リリー、大好きよ」
「……………ずっと、側に居て欲しい」
「お願い、どこにも行かないで!」
「………(潤んだ目でこちらを見ている)」
1000人の静葉さんはやっぱり人それぞれ(?)で、
「その、…か、勘違いしないでよ!別に、そんなんじゃなくて…………私がこんな風になったの、あ、アンタの所為なんだから!」
なんていう人も居たり。
可笑しいなぁなんて思っていたら
「ねえリリー、貴女はどうなの?」
と言って、(私を抱きしめている)静葉さんが私の眼を見てきます。
「ゎ、わた…ぇ、ぁぅ・そ、の……」
私が何もいえないうちに、静葉さんの顔がどんどん近づいてきて、
私はもう何がなんだか分からずに目を閉じて――
――目を覚ましたら口の中が甘かった。涎か。
時計を見ればまだ寅の刻。だけど私はもう眠る気はなかった。
なんだ今の夢は。私が1000人に増えてリリーに愛の告白をする…って。
寝惚けた頭をゆっくりと起動する。私は昨日の、リリーと穣子の会話を思い出していた。
――いちじつせんしゅう、?
――そうよ。アンタみたいに待ち焦がれて待ち焦がれて、もう堪えられない!っていう時に使うの。
――へー!そうなんですかぁ!
――字もね。一日に千の秋って書くのよ。
――千の秋!静葉さんが千人ですか?
――バカね。そんなわけ無いじゃない。
――
それでどうして私が1000人の私の夢なんか見るのかしら。おまけに私がリリーになってて………
……………冴えた頭で夢の内容を繰り返したら、途端に顔が真っ赤になった。
特にツンデレ静葉とか妖精リリー静葉とか。今にして思うと非常に恥ずかしい。
おまけにあのクサすぎる告白の台詞は何なのか。私が言ったものとは到底思えない。思いたくない。我ながら恥ずかしい。もう死にたい。
火照った体が寝汗に濡れた服について気持ちが悪い。
どうせもう目が覚めてしまった身だ。身体を拭いて服も着替えてしまおう。
そう思い、寝床を発とうとすると、
「ぅぅん。。。静葉さん?」
と、リリーの声がした。
見ると彼女も目覚めてしまったのか、目をこすりながら身体を起こしてこちらを見ている。
「どうしたの?ヘンな夢でも見た?」
そう言ってリリーの側に寄る私。リリーは、こくりと頷いて、ぽつりぽつりと
「私が静葉さんで」
「うん」
「私がいっぱいいて」
「うん」
「それで、たくさんの私が私に抱きついてきて
……なんだか、こころがぐしゃぐしゃになって、わかんなくて……」
「怖かったの?」
「でもなんだか、しあわせで……」
そう言いながら、泣きながら、私にしがみついてきたリリー。
綯い交ぜになった感情が私の中にも湧き上がってくる。
「よしよし、私はここにいますよ」
泣かないように、気をつけながら、そう言って、背中をなでてやる。
私は1人しかいないし、リリーも1人しかいない。
でも、それで十分。
1000人が1人に減っても、私の「だいすき」は減らないもの。
名前だけがリリーと静葉で、個性が感じられなかった。
例えば名前だけキスメと鈴仙に変えてもなんとかなってしまいそう。
それとは別に、今後のリリ静の発展には大いに期待。
もっとやれ
春秋総万歳!!
春秋総万歳!