『地底のカップルの会話』
――おりんくうの場合
「お燐~、お腹減ったよ~」
「はいはい。今ゆで卵を作ってあげるから待ってな」
「うにゅ~。お腹パコパコで死んじゃう~」
「ば、馬鹿! パコパコじゃなくてペコペコでしょ!?」
「うにゅ? そだっけ? じゃあパコパコって一体何だろね?」
「お……お空は知らなくて良い事さ」
「うにゅ~? お燐は知ってるの?」
「し、知らないよ!」
「ははーん。私、分かっちゃったよ? お燐はいつもパコパコしてるんだね?」
「あ、あたいは……そんな事……」
「ズ~ル~い~! 私もお燐と一緒にパコパコしたい~!」
「お、お空……本気で言ってるのかい?」
「うん。私もパコりたい!」
「な……なら……い、今から一度試してみるかい?」
「やったー! お燐大好きー!」
「ハァ……ハァ……落ち着け……火焔猫燐。詰めを誤ってはいけない」
「うにゅ?」
「じゃあ早速……一緒にトイレへ行こうか」
「うにゅ~♪」
「ふっふふ~ん♪ あれ、お燐達だ。何やってるんだろう? マインドスキャーン」
『グヘヘへ!遂にお空と添い遂げられる日が来た来たきぃたぁぁぁあああううううっひゃああい!待っててねお空!今からそのたおやかなおみ足をあたいの猫舌でペロペロと舐めてあげるからァ!ペロリペロペロ!うっきょぉぉぉおおおおおお!お空ぅぅぅううううう!大好きだぁぁぁああああ!うにゃぁぁああああああん!にゅああああ!その大きな胸を舐めさせていやしゃぶらせてくりゃぁぁぁぁぁぁああああ!!!』
「お、お燐……」
こうして――こいしの心は閉じてしまった。
――勇パルの場合
「パルスィ。好きだ」
「嘘つき」
「嘘じゃないよ」
「嘘よ」
「鬼は嘘をつかないさ」
「知らないわよ。そんな事」
「本当に好きなんだ……私を信じてくれ」
「じゃあどれ位好き?」
「規模なら旧都を上回る」
「その質は?」
「毎日お前さんを抱き締めに来てやってるだろ?」
「女同士じゃないの……」
「惚れちまったもんは仕方ないさ」
「子供だって……作れないのに」
「紫に男と女の境界を弄って貰うよ」
「な、何よそれ……!?」
「私の子を産んでくれるかい? パルスィ」
「い、嫌よ! どうしてアンタの子供なんか……」
「なら諦めるよ……すまなかったね」
「えっ!? ちょ、ちょっと、諦めるの早くない!?」
「いや、紫がこういう風に言ってみなって……」
「パルパル……あのスキマ女め……」
「結婚しよう、パルスィ。絶対幸せにする」
「ふん……絶対に嫌。どうせそんな事言って、すぐに別の女に目が行くに決まっているわ。男なんて皆そうよ」
「私は女さ」
「こんな時だけ……本当、妬ましいわね」
「私の事、嫌いかい?」
「大っ嫌いよ」
「……しょんぼり」
「しょんぼりしてんじゃないわよ。本当、そういう所が妬ましいってのよ」
「どうやったら私の事好いてくれるかな?」
「そうね……私の前から消えたら好きになるかもよ?」
「大切なモノの尊さは失ってから気付くもんだからね」
「どれだけゴミが暮らしの邪魔になっていたかもね」
「あっ、パルスィ。ご飯おかわり」
「はいはい……中盛り、大盛り?」
「パル盛で」
「パルパル……本当に、妬ましいわ」
「その口癖、愛してるわに変えると素敵だと思わない?」
「思わないわね。一回死んで来なさいよ、バカ鬼」
「あっ、パルスィ。お茶ー」
「はいはい……そういえば、今日はこの後どうするの?」
「ちょうど特売日だし、買い物に行こう」
「あぁ、確かにそうだったわね。あと買わなきゃならないのは、えーと」
「確かもう石鹸が切れてたよ。あとお酒――」
「お酒は買わない」
「けちー」
「うちは裕福じゃないんだから節約しなくちゃね」
「へーいへい」
「それじゃあ皿洗い頼んだわよ、勇儀」
――ヤマキスの場合
「キスメ、ほらほら。今日は風が気持ち良いよ」
「…………い」
「うん。確かに、最近は漸く暖かくなって来たね。何だか、地上でゆっくり昼寝でもしたい気分だ」
「……………?」
「あははっ、バッカだねぇ。私がキスメを置いていく訳ないだろ?」
「…………?」
「な、何でって……そりゃあ……言わなくても分かるだろ……?」
「…………い」
「うっ……」
「…………や……」
「あ、あんたねぇ……何で朝っぱらからそんな事を……」
「……嫌い」
「うぇっ!? ちょ、ちょちょっと!? それは流石にあんまりじゃないかい!?」
「…………?」
「好きだよ、当たり前でしょうさ!」
「じゃあ…………?」
「うぅっ……本当、キスメってこういう事になると途端に大胆になるよね……」
「ヤ…メ…………好き……から」
「~~~~っ!? わ、分かった……やるよ、やってやるさ!」
「えへへっ」
「そんな余裕かませない位吸い付くしてやるから……覚悟しなよ!」
――ガタッ
――バサッ
――チュッ♪
「キ、キスメ!? ちょっ、ちょっとタンマ! ちょっとタン――ひゃぁぁぁあああああああっ!?」
――こいさとの場合
「こいし。そろそろ起きなさい。もうお昼になるわよ?」
「ん~~っ……あと五分~~」
「その台詞はもう五時間前に聞いたわ」
「むにぁ……一人じゃ起きらんないよぉ」
「もう……こいしはいつまで経っても子供ね」
「子供で良いもん~。お姉ちゃんよりおっぱい大きいし~」
「そ、そんな事今どうでもいいでしょ?」
「とにかく、私は王子様のチッスがないと起きらんないの~」
「王女様のチッスなら……すぐ用意できるけど?」
「王女様はダメだよ」
「な……なんで……?」
「王女様はチッスはおろか好きな人と手を繋いだことも無いから」
「――!? そ、そそそ、それは流石に王女様を、かか、軽くみすぎじゃない?」
「ううん。妹にキッスを求められた位でうろたえるんだから、それはないよ」
「う、うう、うろたえてるっ? な、何の話かしら~♪」
「サードアイが半泣きだよ?」
「うぇっ!?」
「これが本当の、眼は口ほどにものを言うって奴だね。上手い!」
「う、上手くない! 早く起きないとお姉ちゃんパンチをお見舞いするわよ!?」
「フン。お姉ちゃんのケッチンボー」
「お姉ちゃんパンチ3秒前」
「むー、チッス位してくれたって良いじゃないのさぁ」
「2」
「お姉ちゃんのイジワルー!」
「1」
「こいしちゃんチッス!」
「んん~~~~っ!?」
「これが本当の、口が動けば手が止むって奴だね。上手い!」
「う、上手くない……っていうか意味が違……もう良いや……」
意外と大胆なキスメさんがたまんねえ。さすが「キス女」さんなだけはある。
勇パルがホント幸せそうでいいな。
だがしかし…
100点をやろう
って、こいしよ、お前はサウンドウェーブか!?
ちーん