「こんにちは魔理沙」
「よう、霊夢」
霊夢は笑っていた。だから私も笑いを返した。
しかしおそらくそれはひきつっていただろう、自分でもわかる。
今返したのは、銃を頭に突きつけられ、笑えと言われた時のような、それくらい不自然な笑みだ。
「魔理沙、どうしたの? 具合でも悪いの?」
「どうも具合がわるいみたいだな、お前の」
今までの状況を少しだけ説明させて貰う。
ジャイアニズム魔法使い魔理沙様は、この先も横暴っぷりを発揮するために、自分のマジカルグッズを掃除していたんだ。
そこで登場するのが、今左手に持っているこの八卦炉。私がマスタースパークをうつやつに使ってるやつだ。
これだけは、毎日、綺麗に拭き掃除をしているんだ、キュッキュ、キュッキュとな。
それこそあれだ、ボディービルダーが体にオイルを塗るときくらい丹念にだ。
今日もお前を綺麗にしてやろう、ってな布を持ってきてな、拭いたんだよ。
そしたら、こう、ランプの魔人よろしく、霊夢がにゅるにゅるっと出てきて今に至るわけだ。
「ヘイ霊夢さんよ、それ自分自身で変だと思わないのかい?」
「いや、別に、便利じゃん」
こいつはだ厄介だ、なんとも思っちゃいない。
今だって私の左手に持っている八卦炉から魅魔のような感じで上半身だけを出している。
魅魔の真似して とんでも霊夢、手軽で簡単どこでも八卦炉、ってとこか?
「外の世界ではこういう道具があるとか紫が言ってたわよ」
「あぁ、それは聞いたことあるけどさ」
「けど?」
「外では飛べないけど、こっちでは飛べるじゃないか霊夢」
「面倒なのよ」
オゥ……、天性の面倒臭がり屋だ。
代々の家業が巫女でなく、面倒臭がり屋とか、そんな店だって言われて納得するくらいアレだ。
先祖代々の由緒ある面倒臭がり屋の看板をおろしてもらうために続ける。
「ガール、ところでなんで出てきたんだ?」
「あなたがこの八卦炉をこすったから」
「……つまり、どういう事だ?」
「出張何でも祈願サービスでーす」
呼んでねえ、燃え盛る炎を自分の身にまとったまま、図書館に来るやつくらい私のもとには来てほしくなかった。
そして浮かべられる愛想笑い、逆に居心地が悪い。それでも笑みを絶やさない。努力の賜物だ。スマイリィスマイリィ。
「祈願内容をどうぞ」
「そうだな……金はいくらだ?」
「ご新規様は無料となっております」
敬語なんて使うな気持ち悪い。
「早くしてよ」
「……オーケイ、わかったよ、帰ってくれベイベー」
霊夢がすごい嫌そうな顔をした。うぇ、って顔した。
それでも笑みを絶やさない。日々の心労の賜物だ。スマイリィスマイリィ。
「わかったわよ魔理沙、また呼んでね」
「ところで霊夢、なんでこんなことを……」
話は終わっちゃいない、しかし霊夢は八卦炉に吸い込まれるように消えやがった。
オゥ、こいつはめんどうだ、聞きたいことは聞けてないってのに。
ところであいつは何しに来たんだよ、祈願サービスだっけか、何の意味があるってんだ。
そういえばあいつ、こすったから出てきたとか言ったな……、試してみるか。
そう思ったので、私は試しに八卦炉の側面を、少しだけ強めにこすった、ゴシゴシ、ゴシゴシと。
「ハイ、マイワイフ魔理沙」
「ワイフってお前……」
さすがに気持ち悪い。
そして気づいた。声しか聞こえない。
さっきのように気持ち悪い、いや見慣れない魅魔ごっこ霊夢がみえていない。八卦炉から声が聞こえるだけだ。
「マイスイートエンジェル霊夢、なんでお前は私の前に姿を見せてくれないんだい?」
さすがに気持ち悪すぎたか。
そして、しばらくの間があって、また八卦炉の中から声が聞こえた。
「コインを入れてね!」
やだよ馬鹿。
なんで金払ってまでこんなことした原因聞かなきゃいけないんだよ。
「コインを入れてね!」
うっせーよ霊夢、こちとらイラついとんじゃ、しばらく黙ってろ。
そういえばよく見ると八卦炉の上部に穴が開いている。硬貨を入れてくれと言っているような。
「ねぇお賽銭まだー?」
無言を貫く私、無視を貫く私、無下にせびる霊夢、無理に求む霊夢。
対価だと思ってるのか? こいつは……。
「コインを入れてね!」
「うっせ――!!」
何かが切れた。だからそこに、今朝拾った鉄板を突っ込んだ。
「5円にはなるわね、ところで要件は何?」
魅魔ごっこ霊夢が姿を表す。
「腹の虫の居所が悪いから手短に済ませる、なんでこんなことしてるんだ」
「怒らなーい怒らなーい、祈祷して魔理沙に答えをお告げしてあげるから」
そう言うと、どこからかお祓い棒と似てるようで似てるような棒を取り出した。
「リーンゴ」
ふむ。
「ゴロリア」
ほう。
「アストリア!」
わからん。
「わかったわ魔理沙! オカルトヴィーナスがファストレーンをS字ドリフトよ!」
「知らん!」
「ちょっとだけ簡単に表すとね、テクノブレイクなゲゼルシャフトのダンス」
「もっと分からん」
「あれ、こんなのもわからないの?」
「お前に穴をあけて撃ち殺したい気分だぜ」
「私にこれ以上穴を増やしたって魔理沙の慰み者にはならないわよ」
「オゥファック」
「よう、霊夢」
霊夢は笑っていた。だから私も笑いを返した。
しかしおそらくそれはひきつっていただろう、自分でもわかる。
今返したのは、銃を頭に突きつけられ、笑えと言われた時のような、それくらい不自然な笑みだ。
「魔理沙、どうしたの? 具合でも悪いの?」
「どうも具合がわるいみたいだな、お前の」
今までの状況を少しだけ説明させて貰う。
ジャイアニズム魔法使い魔理沙様は、この先も横暴っぷりを発揮するために、自分のマジカルグッズを掃除していたんだ。
そこで登場するのが、今左手に持っているこの八卦炉。私がマスタースパークをうつやつに使ってるやつだ。
これだけは、毎日、綺麗に拭き掃除をしているんだ、キュッキュ、キュッキュとな。
それこそあれだ、ボディービルダーが体にオイルを塗るときくらい丹念にだ。
今日もお前を綺麗にしてやろう、ってな布を持ってきてな、拭いたんだよ。
そしたら、こう、ランプの魔人よろしく、霊夢がにゅるにゅるっと出てきて今に至るわけだ。
「ヘイ霊夢さんよ、それ自分自身で変だと思わないのかい?」
「いや、別に、便利じゃん」
こいつはだ厄介だ、なんとも思っちゃいない。
今だって私の左手に持っている八卦炉から魅魔のような感じで上半身だけを出している。
魅魔の真似して とんでも霊夢、手軽で簡単どこでも八卦炉、ってとこか?
「外の世界ではこういう道具があるとか紫が言ってたわよ」
「あぁ、それは聞いたことあるけどさ」
「けど?」
「外では飛べないけど、こっちでは飛べるじゃないか霊夢」
「面倒なのよ」
オゥ……、天性の面倒臭がり屋だ。
代々の家業が巫女でなく、面倒臭がり屋とか、そんな店だって言われて納得するくらいアレだ。
先祖代々の由緒ある面倒臭がり屋の看板をおろしてもらうために続ける。
「ガール、ところでなんで出てきたんだ?」
「あなたがこの八卦炉をこすったから」
「……つまり、どういう事だ?」
「出張何でも祈願サービスでーす」
呼んでねえ、燃え盛る炎を自分の身にまとったまま、図書館に来るやつくらい私のもとには来てほしくなかった。
そして浮かべられる愛想笑い、逆に居心地が悪い。それでも笑みを絶やさない。努力の賜物だ。スマイリィスマイリィ。
「祈願内容をどうぞ」
「そうだな……金はいくらだ?」
「ご新規様は無料となっております」
敬語なんて使うな気持ち悪い。
「早くしてよ」
「……オーケイ、わかったよ、帰ってくれベイベー」
霊夢がすごい嫌そうな顔をした。うぇ、って顔した。
それでも笑みを絶やさない。日々の心労の賜物だ。スマイリィスマイリィ。
「わかったわよ魔理沙、また呼んでね」
「ところで霊夢、なんでこんなことを……」
話は終わっちゃいない、しかし霊夢は八卦炉に吸い込まれるように消えやがった。
オゥ、こいつはめんどうだ、聞きたいことは聞けてないってのに。
ところであいつは何しに来たんだよ、祈願サービスだっけか、何の意味があるってんだ。
そういえばあいつ、こすったから出てきたとか言ったな……、試してみるか。
そう思ったので、私は試しに八卦炉の側面を、少しだけ強めにこすった、ゴシゴシ、ゴシゴシと。
「ハイ、マイワイフ魔理沙」
「ワイフってお前……」
さすがに気持ち悪い。
そして気づいた。声しか聞こえない。
さっきのように気持ち悪い、いや見慣れない魅魔ごっこ霊夢がみえていない。八卦炉から声が聞こえるだけだ。
「マイスイートエンジェル霊夢、なんでお前は私の前に姿を見せてくれないんだい?」
さすがに気持ち悪すぎたか。
そして、しばらくの間があって、また八卦炉の中から声が聞こえた。
「コインを入れてね!」
やだよ馬鹿。
なんで金払ってまでこんなことした原因聞かなきゃいけないんだよ。
「コインを入れてね!」
うっせーよ霊夢、こちとらイラついとんじゃ、しばらく黙ってろ。
そういえばよく見ると八卦炉の上部に穴が開いている。硬貨を入れてくれと言っているような。
「ねぇお賽銭まだー?」
無言を貫く私、無視を貫く私、無下にせびる霊夢、無理に求む霊夢。
対価だと思ってるのか? こいつは……。
「コインを入れてね!」
「うっせ――!!」
何かが切れた。だからそこに、今朝拾った鉄板を突っ込んだ。
「5円にはなるわね、ところで要件は何?」
魅魔ごっこ霊夢が姿を表す。
「腹の虫の居所が悪いから手短に済ませる、なんでこんなことしてるんだ」
「怒らなーい怒らなーい、祈祷して魔理沙に答えをお告げしてあげるから」
そう言うと、どこからかお祓い棒と似てるようで似てるような棒を取り出した。
「リーンゴ」
ふむ。
「ゴロリア」
ほう。
「アストリア!」
わからん。
「わかったわ魔理沙! オカルトヴィーナスがファストレーンをS字ドリフトよ!」
「知らん!」
「ちょっとだけ簡単に表すとね、テクノブレイクなゲゼルシャフトのダンス」
「もっと分からん」
「あれ、こんなのもわからないの?」
「お前に穴をあけて撃ち殺したい気分だぜ」
「私にこれ以上穴を増やしたって魔理沙の慰み者にはならないわよ」
「オゥファック」
微妙なアメリカンテイストにイヤされたのは確かです、はい。