捏造と妄想と残念な船長とムラいち風味を許容できる方のみどうぞ…
「海に行きたいです!!」
「いってらっしゃい」
「冷たーい。いっちゃん冷たあいー」
「ちょっとくっつかないで。暑いでしょ」
「だって…心の冷たさが表皮にも洩れてるかと思って」
「尼僧に向かって心が冷たいとは何事ですか。成仏させてやる」
「ふーんだ。成仏させたかったら水着着ろ水着ー」
「なんでよ」
「いまの私の心残り」
「……」
「あっ、なにその目!」
「いや…あの碇とかをどうやって処分するか考えてた」
「酷っ! だってしょーがないじゃない、ずうっと地底にいてようやくお天道さまの元に帰って来たのよ? そしていまの季節はまさに夏! もう海で水着ではしゃぐしかない!」
「ここに海はないわよ」
「そんな! 私のアイデンティティが!!」
「湖はあるみたいだけどね。神さまのものらしいから、幽霊浮かせるのは罰当たりよね」
「泳げるもん!」
「罰当たりは否定しないのね」
「……ねーえー、ちょっと水着着てみない?」
「着ないわよ。肌出したくないもの」
「いやいや、私もいきなりハイレグいってみようフンドシいってみようとは言わないよ!」
「言われたら私、あんたになにするかわからないわ」
「いやんいっちゃんのエッツィー」
「…………」
「じゃーん! ちゃんとワンピースタイプにしたんだよ。色も青でおとなしめなやつ!」
「…なんで、あるのよ」
「昨日聖と買ってきた」
「姐さんと?」
「姐さんが選んだんだよコレ。湖でもいいからさ、今度泳ぎに行こうよー」
「…うーん、でも…」
「姐さんだって久しぶりの外なんだよ? 息抜き息抜き」
「そうねえ…」
(よし、もうひと押し!)
「一輪ー、ムラサー」
「姐さん」
「げ」
「こんなところにいたのね。…あら、その水着…」
「あ、姐さん、ありがとうございます」
「? なにが?」
「へ? この水着、姐さんが買ってくださったんじゃ」
「いいえ。それ、昨日の買い出しのとき、ムラサが買っていたものでしょう?
別行動していたときだったんだけれど、とっても楽しそうだったから…声かけそびれちゃったのよ」
「ア、アハハー。声かけてくれてよかったのにー」
「だって、本当に楽しそうだったのよ。海を思い出しているのかと思って、そっとしておいたの。ここに海は無いって聞いていたから」
「わあー聖優しーい」
「ムラサ」
「なにかな」
「わかってるわよね」
「………………………ウン」
*
「…まったく」
「あのねえ、私は一輪のためを思って言ってるの! いつもそんなに肌隠してたら熱射病になっちゃうわよ! だからコレ! 水着着なさい!」
「もう一発殴ってやろうかお馬鹿。熱射病じゃなくて熱中症よお馬鹿。…そもそも、そんなに暑くないのよこの服」
「うっそー。半袖の私だって暑くて干からびちゃいそうなのに」
「あんたは無駄に動き回ってるからよ。私は、夏は中一枚減らしてるし、生地が薄いのを着てるからあんまり…」
「…え?」
「え? って?」
「生地薄いの?」
「え、ええ。昔から夏はそうよ。まあ、地底の夏はそこまでじゃなかったから、同じの着てたけど。地上にいるときはずっとそうして…」
「知らなかった…」
「言ってないからねえ。あんたは洗濯手伝わないし」
「くっ…一枚減らして薄地の服か…なるほど…!」
「外では『くーるびず』とか言うらしいわね。見た目より涼しい服がたくさんあるそうよ。そうだムラサ、八雲の紫さんに頼んで外の服を…」
「つまりいまの季節が一輪の地肌に一番近い季節なのね!!!」
「……………………………………………………………」
「……………………………………………………………」
「……………………………………………………………水蜜」
「……………………………………………………………ナンデショウイチリンサン」
ぴちゅーん。
「けちー。ちょっとはサービスしてくれたっていいじゃーん」
「なに言ってんのよ………………………………………………………………………………………………いまさら」
そう思っていた時期が私にもありました
これはいいムラサと一輪だ
と、閻魔さまが言ってました。
それが残念でした
>4
違和感の正体それだ!
冬でもムラ一に熱中症です。
あ、水蜜が全部水密になってました。タグのほうも。
ムラ一好きを名乗っておいて名前を間違えるとは何事ですか。地獄行きです。
しかし罰として名前の書取りを兼ねて、ムラ一を普及させるため書き続ければ天国行きも考えてあげましょうと閻魔様が仰っておりました。