「こいしの恋する夢相談室♪ 始まるよー!」
さぁ、ここ地霊殿に開店しました私の可愛い小さなお店。
その名の通りみんなが見た夢を元に、精神状態を診察するお店だよ。
今日はどんな人が来るかなぁ。
と、恋する少女の様に待ち焦がれてたら、さっそくお客さんが来たよー!
「えーと、入っちゃまずかったかな」
「いいよ、どんどん私に相談しちゃってよ♪」
今日のお客様第一号はフランちゃんのお姉ちゃん、レミリアさんだね。
目に濃いクマが出来ていてとっても眠そうだよ。
可愛そぉーに、よっぽど怖い夢を見てるんだね。
「それで、どんな夢を見てるんですか?」
「実は、毎日のように妹のフランに襲われる夢を見るんだ。夢の中の私はまったくと言っていいほどカリスマが無くて、フラン×4に体を抑えられ服をビリビリに破かれその後は……」
「その後は、どうしたの?」
私が尋ねると、レミリアさんは急に顔を真っ赤に染めて俯いちゃった。
変なのー、夢の話なんだからちゃんと言ってくれればいいのに。
「と、とにかくなんとかしてくれよ。このままじゃ、恥ずかしくってフランと顔を合わせられないよ」
「うーん、とりあえず欲求不満だと思うよ。もっとストレスを発散させなきゃ駄目だよ。自分の想いを真正面からフランちゃんに伝えなさい!」
「そうか、やっぱりそうだよな。いやありがとう、これで堂々とフランを襲う……、じゃなくて接する口実が出来たよ」
「どういたしまして♪」
私が診察してあげると、レミリアさんはさっきまでの陰惨な顔はどこへやら、やる気満ち溢れた表情に変化してったよ。
なんだか知らないけど良かったー。
これでフランちゃんとレミリアさんの仲も、いっそう深まりそうだね。
「本当に助かったよ、これはほんの気持ちね」
レミリアさんは私に一礼をして、相談の代金代わりにポカポカホッカイロを置いて店を後にして行ったよ。
「ってあれ?」
えぇ、いやなんでホッカイロなんかくれたの?
もう春になるのにいらないよー、こんな季節はずれなもの。
「春だからボケちゃったのかなー。可愛そうに」
んー、もしかして何か無意識に隠されたメッセージがあるのかなぁ。
でも目の前にあるホッカイロをじっくり観察したけど、特に変わった所は見当たらないよ。
なんなんだろね本当に。
考え込むように唸りながら、置いてあるホッカイロを後ろに放り投げたら、また別のお客さんが入店して来たよ。
「えっと、今大丈夫ですか?」
「もちろん大歓迎だよ。さぁどんどん相談くださいまし」
今度のお客さんはぬえのお友達の水蜜さんね。
ぬえがよく『あいつは暴れん坊で狡猾で策略家だから気をつけな』とか言ってたけど、物腰は柔らかそうだしそんなに悪い人には見えないなー。
相変わらず目の下にクマが出来てるのが、少し気になるけどね。
「それで? 水蜜さんはどんな夢を見るんですか?」
「実は、毎日のようにモザイク修正が入ったぬえとピーしたりピーしたりする夢を見るですよ……」
「うん、まったくわからないよ」
冷静な顔でピー、ピー言われてもわからないよー。
私はおくうじゃないんだもん。
しかもぬえがピーピー鳴くのなんて、いつもの事じゃないの。
「とにかく、なんとかしてよ。このままじゃぬえがモザイクにしか見えないよ」
「えー、もう欲求不満だよ、欲求不満。ムラムラするなら、ぬえをぬえぬえ泣かせればなんとかなるよー」
私が厄介な物を放り投げるように言うと、それでも水蜜さんは納得してくれたみたいだね。
今にも事件を起しそうな不敵な笑みを浮かべたよ。
うん、やっぱりぬえの言うとおり油断出来なそうな人だね。
「いやぁ、助かりましたよ。これで正々堂々とぬえを襲う……、じゃなくて向き合える事が出来ます」
「いえいえ、お力になれてよかったよ」
「お礼と言っては何だけど、これをこいしに上げるよ。それじゃあ、また今度ね」
私の忠告が役に立ったらしく、レミリアさんのような笑みをして、店を去っていったわ。
代金の代わりのポカポカホッカイロを残していって。
「うへぇ……」
もう春なのに、地上のみんなはお馬鹿さんなんだね。
正直もうゴミになるだけだよホッカイロなんて貰っても。
「えぇと、今入って大丈夫かな? なんか困ってるようだけど」
「もっちろん大丈夫だよ。さぁどうぞどうぞ♪」
今度のお客さんは、タンスに小指をぶつけたような残念な顔をしたルナサさんだね。
いつもの細目がさらに細くなって、眼が消えて無くなっちゃいそうだよ。
「実は最近変な夢を見てるんだ。妹達に私の喘ぎ声を楽器変わ……」
「欲求不満です。発散させましょうよ!」
「いや、まだ話の途中なんだけど」
「リーダーがそんなくだらない事を気にしちゃ駄目だよ。いっちょ力いっぱい暴れてきなさいっ」
うだうだとしてるルナサさんの肩を、私は元気付けるように叩き出す。
もー全ての事柄は欲求不満の所為にしちゃってもいいよね。
「そうか、どうだよなこいし。長女の私がどうかしてたよ。ちょっと自分の家で暴れてくるよ」
「行ってらっしゃ~い♪」
ルナサさんの家かぁ。
ついて行くのも楽しそうだけど、今は自分のお仕事を優先させないとねー。
「それじゃあこれ、ほんのお礼だけど。体には気を付けてねこいし」
そして、ルナサさんは触れるもの全てを壊しちゃいそうな勢いで、私のお店を後にして行ったわ。
お礼のポッカポカホッカイロを捨てて行って……。
「みんな私のお店をゴミ捨て場と勘違いしてるのかなー」
目の前にある体を温める物を見て、私の心は真冬のように冷たくなってゆく。
みんな年中同じ服を着てるから、季節感がどっか行っちゃったのだろうか。
「まぁ、一人くらいまともな人もいるでしょう」
のーんびりと、気長に待つしかないよね。
その後も沢山のお客さんが私のお店に訪れたわ、萃香さんに角で弄られる夢を見た勇儀さん、妹に正拳突きで弄れらる夢を見た静葉さん、大ナマズがお母さんになってる夢を見た美鈴さん、妹にセンスと桃で弄られる夢を見た依姫さんといろんな人が来たわ。
その全ての人に私は「欲求不満ですっ!」と答えてあげると、すっきりしたように帰って行ったよ。
代金のポカポカホッカイロを投げ捨てて行ってね!
「みんな頭がおくうになっちゃったかなー。もういらないよぅホッカイロ。地底ポッカポカだよ」
それに、みんな身内に弄られてる夢だしね。
オマケに姉は漏れなく妹に虐められたいみたいだよ。
情けないよみんな。
もっと姉として頑張らなきゃ駄目だよもぅ。
「そういえば、姉と言えばまだ私のお姉ちゃんがまだ来てなかったわね」
「呼んだかしらこいし?」
「うわっ、いつからそこに座ってた居たのよ」
「さっきからずっと居たわよ。あなたったら考え事をして気が付かないんだもの」
ぷんすかと子供のように怒り、顔を背けるお姉ちゃん。
居たなら一言呼んでくれればいいのに、まったく妙な所でシャイガールなんだから。
「それで、お姉ちゃんも私に嬲られる夢を見たの? もぉ欲求不満だよ欲求不満。お燐とやってきなよ。きっとスッキリするよー」
「いいえ全然違います。むしろ、貴方を探す夢だったわ」
「どういう事?」
私が尋ねると、お姉ちゃんが明後日を見るような目で考え事をしだした。
そして、言葉を選ぶようにゆっくりと話し出す。
「地上のどこを探してもあなたが居ないのよ。お空に尋ねても、お燐に尋ねてもどこにもいない。本当に、困ったわ」
「お姉ちゃん……」
そんな寂しい夢を見るなんて可愛そうなお姉ちゃん。
本当に心配性なんだから。
大丈夫、私はもうどこにも行かないよ。
ずっとずっと、そばにいるからね。
「本当に困ったわ。夢の中のこいしったら、かくれんぼの途中で家に帰っちゃうんですもの」
「ええっ? 何それ?」
「かくれんぼだけど。知らないの?」
疑問そうに姉が首を傾げる。
なんだかくれんぼか。
まったく、しんみりしちゃった時間を返してよ。
まぁ、そのマイペースな所が私の姉らしいけどね。
「まーとにかく欲求不満だよ。ちゃんとすっきりさせなきゃ駄目だよお姉ちゃん♪」
「やっぱりそうよね。今夜発散させてもらうとするわ」
と言って、口をにんまりと広げ誘うような笑みでこっちを見るお姉ちゃん。
なーにその表情?
そんな顔で変態みたいな顔でこっちを見られても困るよぅ。
心が読めなくても考えてる事くらいはわかるんだからね。
「そうそうこいし、はいこれ」
お姉ちゃんが、懐の中からお礼であろう品物を取り出す。
またホッカイロだったらどうしてくれようかと待ち構えていたら、意外にもそれはいつも見ている物だったわ。
「これって私の服じゃないの。しかも新品ってわけでもないし」
眺めるように、姉が取り出した服を見つめる。
帽子と洋服と下着とスカートとパンツ。
もぉ、何を考えてるのかなーお姉ちゃんは。
欲求不満で変態になっちゃったのかなー。
「いやだってこいし。貴方いくら春でも全裸は寒いと想うわよ」
そんなさとり様に、そう返すこいしちゃん優しいなーw
(これ、他の姉妹だったら姉が問答無用でぶっ飛ばされてもおかしくないぞ…w)
そして毎晩のようにムラサとぬえがピーピーしてry……
こいさとちゅっちゅ!!
仲良くこいさとちゅっちゅしてるんだろうな
ちゅっちゅしたらしたでそれをまた夢にみそうですけどねー。
ムラサさんはアレだ。ぬえの全てをちゃんと見たことがないから肝心なところがモザイクになるのですよ。
これでしっかりモザイクなしのぬえを夢に見ることができますね。よかったよかった。
>1さん
こいさとちゅっちゅ
>2さん
案外他の姉妹も(ry
>3さん
無限ループですね
わかります
>奇声を発する程度の能力さん
夢の中でもこいさとちゅっちゅ
>5さん
後書きの続きは夢の中で……
>ぺ・四潤さん
誤字報告本当にありがとうございます。修正させていただきました。
これで船長も一歩前進ですねっ!
>8さん
春だからです。