魔理沙、パチュリー、アリスのお話です。タイトル似ちゃったけどあ、ありのままryとかだが断るとかではないです。
夕暮れの魔法の森は、どこか寂しげな雰囲気に包まれながらも、季節の変わり目を告げていた――
「…よし、出来上がり!上海、新しい仲間よ?」
出来上がった人形をうれしそうに掲げながら、虹色の人形遣いは一体の人形に語りかける。
「シャンハーイ」
「ふふ、うれしそうね。それにしても今日は魔理沙来なかったわね…何かあったのかしら」
魔理沙はこのところ毎日アリスの家を訪れていた。何をするのかと言えば、他愛もない話をしたり本を漁って怒られたりするだけなのだが、そんなくだらない時間をアリスは楽しみにしていた。現に、彼女が何時ふらっとやってきてもいいように、ティーカップは常に二つ用意しているのだ。
しかし、今日魔理沙は来なかった。気まぐれな彼女のことだ、たまたま来なかっただけだろう。もしかしたら、またどこぞのキノコでも使って実験に没頭してるのかもしれない。そんな事を考えながら、アリスはカップを片付けようと手を伸ばした。そのとき――
ドンドン!ドン!ドガッ!バキッ!
「来たわね。まったく…バキッってノックですらないじゃない…魔理沙、ドアを乱暴に叩くなってあれほど…」
「アリス…大変なんだ…魔法が、まほうが…うわああああん!」
「お、落ち着いて!えぇっと…とりあえず入って!ここじゃ寒いでしょ?」
やはり何かあったのだろう、魔理沙の顔は青ざめ、瞼は腫れていた。アリスは魔理沙を落ち着けるように、不安な気持ちを押し殺して言った。
「はい、お茶。で、どうしたの?」
「あ、ありがとう。私…急に魔法が使えなくなっちゃったんだ」
「魔法が!?どういうこと?」
「昼間の事なんだけど、新種のキノコを見つけたからそれで実験してたんだ。そしたら組み合わせが悪かったらしく、私死ぬんじゃないかって規模の爆発があって…気がついたとき、なんか変な感じがしたんだ。こう、だるいみたいな感じ。まさかと思って試したら…」
「魔法が使えないと。」
「うん…私、これからどうしたら…」
「平気よ。きっと一時的なものよ。たぶん、魔力が一時的に発現できなくなったんだと思うの。二人で方法を探せばきっと治す方法も見つかるわよ」
「アリス…ありがと…」
「いいのよ。貴女のそんな顔、見ていたくないもの。さ、涙拭いて」
本当は、すごく不安だった。ありがとう、そう言った魔理沙は儚げで、今にも消えてしまいそうで。だから、俯いたままの魔理沙を見てアリスは決意した。どんなことがあっても、彼女の笑顔を取り戻そうと。そして彼女達は、一人の少女に助けを求めることにした。
紅魔館。悪魔の館に住む者にも、季節を感じる心はある。メイド長は思いがけず目に入った桜に手を止め、主も見とれて食事を取り落とす。門番は悪魔の妹の遊びにつき合わされ、必死で逃げている。
「めーりん、逃げたらだめだよー!あははっ!」
「む、無理です妹様、死ぬ、死んじゃいますって!ぎゃー!?」
妹様も春の訪れを感じてうれしいのだろう、いつもより激しく、それこそ美鈴を消し飛ばしてしまう勢いだ。皆がそれぞれ季節の移り変わりを楽しむ中、一人の少女は独り本に囲まれ、物思いに耽っていた。
「魔理沙、今日は来なかったな…」
この図書館にも魔理沙はほぼ毎日来ていた。あいつが勝手に本を盗って、あいつに返せと言って、あいつと偶にお茶する。それがパチュリーの楽しみだった。だから、珍しく来ない魔理沙に何かあったのではないかと心配していたのだ。かといって、自分には何も出来ない。季節の変わり目は体調を崩しやすい。自分が無理に外に出ればきっと体調を崩してしまうだろう。でも、何もしないなんて…
「パチュリー様、魔理沙達が訪ねて来ていますが、いかが致しますか?」
「魔理沙が!?通して頂戴」
「咲夜から話は聞いたわ。魔理沙に何かあったの?」
「大変なの!魔力をなくしちゃったみたいで…」
「…詳しく話して?」
一目見て、これは尋常じゃない、そうパチュリーは確信した。あの魔理沙に全く元気がない。それどころか、一言も喋ろうとせず、俯いたままだった。あの笑顔を、あの元気をもう一度取り戻してほしい。そのためなら、なんでもしてあげよう。ひ弱な少女は、強く決意したのだった。
「…成程。この場合問題の組み合わせを聞く必要があるわね。」
「あのキノコは珍しいやつだから…きっと見つからないぜ。」
「私、採ってくる」
「ま、待てアリス!あれ、森の奥にしかないんだ!まだ冬だし、危ないよ」
「でも、実物から成分を分析する必要があるわよ。たぶん色々な成分が複雑に混ざりあった結果だから」
「私に任せて、魔理沙」
「アリス、私も…」
「魔理沙はここにいて。すごく疲れてそうだもの、無理しちゃ駄目よ。じゃあパチュリー、魔理沙をお願い」
「ええ。貴女も気をつけてね、アリス。」
魔法の森の奥にはまだ春は訪れていないようだった。冷たい風が肌を刺し、足元には冬の名残の雪が積もったままだ。その中を、珍しいキノコを探しながらアリスは懸命に進んでいく。
「寒…奥のほうはまだまだ冬ね…見つかるといいけど」
雪が積もるような場所に、キノコが生えていてくれるだろうか。魔理沙への想いで奮い立たせたアリスの心を、再び不安が襲っていた。そのせいだろうか、彼女は眼前の崖に全く気づいていなかった。そしてそのまま――
ズルッ!
「あっ!?きゃあああっ!!」
どのくらい滑り落ちたのだろうか。アリスは崖から落ちてしまった。意識は失っていなかった彼女は、体中に傷を負っているのに気がついた。特に左足には感覚がなく、余程の怪我をしてしまったのだと悟った。
「魔理沙…」
絶望に暮れ、彼女は思わず呟いた。もうだめだ。結局自分は大好きな人のために何もしてあげられない。もう…だめだ。そう思った彼女の耳に、聞き覚えのある、元気そうな少女の声が響いてきた。
「アリスー!」
「まり…さ?」
「大丈夫か?ほら、元気出せよ。な?」
「魔理沙…そうだよね。私がこんなじゃだめだよね。待ってて、魔理沙!」
そう、これは幻聴だ。わかっていても、魔理沙の声はアリスに再び力を与えた。気持ちの問題だ、とよく言うように、アリスは立ち上がり、再び歩みを進めることができた。大好きな人の笑顔のために。
アリスが紅魔館を出てから半刻ほど経ったころ、季節はずれの雪が降り出した。折角顔を出した春もすっかり引っ込んでしまい、ふとましい某妖怪も大喜びだろう。
「雪…か。アリス…」
「こんな状況でただ見てるだけだなんて、貴女らしくないわね?」
「だって…今の私が行ったって、足手まといになるだけだぜ。私は…今の私には、何もできない。何も…」
「馬鹿ね。アリスが欲しいのは、貴女の思いよ。貴女がいてくれたら、きっと頑張れる…ま、まぁ、私がアリスの立場だったら、の話だけど」
「そう…だよな。うん、そうだ!私は霧雨魔理沙!いつも元気100%だぜ!私、行ってくる!ありがとな、パチュリー!」
「そう、その顔よ…って、もういないし。…たとえその想いが私に対してじゃなかったとしても…貴女のそんな顔を見られたら、私は満足よ。」
パチュリーが魔理沙のことを意識し始めたのはきっと、魔理沙の自由な雰囲気に惹かれたからだろう。内向的で、いつも消極的になってしまう自分に比べて、彼女は無茶苦茶だけど、いつも自由に生きている。そんな彼女に憧れを抱いたのだろう。しかし、彼女は知っていた。アリスと一緒にいるとき、魔理沙の笑顔は一番輝いている事を。頑固で、素直じゃなくて。一見似てないけど、実はそっくりな二人。自分は一歩後ろから二人を見ていようと決めていたのだ。だから、もし自分の想いが伝わらなくても、それでいいと思っていた。諦めるのではない。友人のためだ。大事な…二人の友人のために。
「さてと…いつ帰ってきてもいいように、準備しておかなきゃ」
探し始めて一刻ほど過ぎただろうか。人間より丈夫とはいえ、アリスにも限界はある。次第に思い通りにならなくなる足を引きずりながら、魔理沙への思いを支えに、アリスは探し続けた。
「見つけなきゃ…私が、魔理沙のために…きゃっ!?」
足元の木の根にも気づかないほど、アリスは疲弊していた。つまずき、転び、ついにアリスは立てなくなった。
「もう無理か…ごめん、魔理沙…」
「アリスー!!」
「あぁ、幻聴まで聞こえてきた…さっきは元気もらえたけど、やっぱり無理だよ…」
「何言ってるんだよ、私はここにいるぜ!」
「魔理沙!?ほ、ほんもの?でも、空も飛べないのにここまでどうやって…」
「走ってきた!さすがに疲れたぜ…」
「もう、無茶しちゃだめって言ったのに…」
「へへ、悪い。アリスが心配でさ。アリスだって、こんなに頑張ってくれただろ?ごめんなアリス、私のために…」
「魔理沙…うれしい」
「アリス…あ!あれだ!」
「え!あ、あんな所にあったんだ」
翌日の紅魔館には雪が積もり、メイド妖精達は雪掻きに追われていた。特別製の日焼け止めを塗った姉妹がギャーギャー騒ぎながら雪合戦したり、それを眺めながら横でメイド長がニヤニヤしていたり、そこに門番がふざけて雪玉を投げたために雪合戦がタッグマッチになったりして、それぞれが季節はずれの雪を楽しんでいた。三人の魔女達はというと、図書館でお茶を楽しんでいた。
「いやー助かった!二人のおかげだぜ」
「とにかく元気になってくれてよかったわね」
「ほんとね。ところで魔理沙…」
「ん?」
「その…お礼的なものはないのかしら?たとえば二人っきりで食事とか…いや、たとえばよたとえば!」
「ほら、こうしてお茶してるだろ?」
「…よし、じゃあ、魔理沙は目瞑って?」
「え?なんだよ、変な事するのはやだぜ?」
「それがお礼になるのよ。魔理沙にもいいものあげるから、おとなしく瞑ってなさい」
「え、いいのか?よし、いいぜ」
「アリス…?」
「ごにょごにょ」
「えっ!?だ、だってその、それじゃ…」
「どうかしたか?いつまでこうしてればいいんだよー」
「ほら、いくわよパチュリー」
「う、うん。せーの」
「わわっ!?な、何するんだよいきなり!」
「チューさせてもらうのがお礼よ。ごちそうさま」
「ありがたくいただいたわ」
「お、お前らな…」
「じゃあ続きもしようか?」
「魔理沙のほっぺやわらかかった…他も知りたくなっちゃった」
「ば、お前らやめ、ぎゃあああああ!!」
おしまい。
夕暮れの魔法の森は、どこか寂しげな雰囲気に包まれながらも、季節の変わり目を告げていた――
「…よし、出来上がり!上海、新しい仲間よ?」
出来上がった人形をうれしそうに掲げながら、虹色の人形遣いは一体の人形に語りかける。
「シャンハーイ」
「ふふ、うれしそうね。それにしても今日は魔理沙来なかったわね…何かあったのかしら」
魔理沙はこのところ毎日アリスの家を訪れていた。何をするのかと言えば、他愛もない話をしたり本を漁って怒られたりするだけなのだが、そんなくだらない時間をアリスは楽しみにしていた。現に、彼女が何時ふらっとやってきてもいいように、ティーカップは常に二つ用意しているのだ。
しかし、今日魔理沙は来なかった。気まぐれな彼女のことだ、たまたま来なかっただけだろう。もしかしたら、またどこぞのキノコでも使って実験に没頭してるのかもしれない。そんな事を考えながら、アリスはカップを片付けようと手を伸ばした。そのとき――
ドンドン!ドン!ドガッ!バキッ!
「来たわね。まったく…バキッってノックですらないじゃない…魔理沙、ドアを乱暴に叩くなってあれほど…」
「アリス…大変なんだ…魔法が、まほうが…うわああああん!」
「お、落ち着いて!えぇっと…とりあえず入って!ここじゃ寒いでしょ?」
やはり何かあったのだろう、魔理沙の顔は青ざめ、瞼は腫れていた。アリスは魔理沙を落ち着けるように、不安な気持ちを押し殺して言った。
「はい、お茶。で、どうしたの?」
「あ、ありがとう。私…急に魔法が使えなくなっちゃったんだ」
「魔法が!?どういうこと?」
「昼間の事なんだけど、新種のキノコを見つけたからそれで実験してたんだ。そしたら組み合わせが悪かったらしく、私死ぬんじゃないかって規模の爆発があって…気がついたとき、なんか変な感じがしたんだ。こう、だるいみたいな感じ。まさかと思って試したら…」
「魔法が使えないと。」
「うん…私、これからどうしたら…」
「平気よ。きっと一時的なものよ。たぶん、魔力が一時的に発現できなくなったんだと思うの。二人で方法を探せばきっと治す方法も見つかるわよ」
「アリス…ありがと…」
「いいのよ。貴女のそんな顔、見ていたくないもの。さ、涙拭いて」
本当は、すごく不安だった。ありがとう、そう言った魔理沙は儚げで、今にも消えてしまいそうで。だから、俯いたままの魔理沙を見てアリスは決意した。どんなことがあっても、彼女の笑顔を取り戻そうと。そして彼女達は、一人の少女に助けを求めることにした。
紅魔館。悪魔の館に住む者にも、季節を感じる心はある。メイド長は思いがけず目に入った桜に手を止め、主も見とれて食事を取り落とす。門番は悪魔の妹の遊びにつき合わされ、必死で逃げている。
「めーりん、逃げたらだめだよー!あははっ!」
「む、無理です妹様、死ぬ、死んじゃいますって!ぎゃー!?」
妹様も春の訪れを感じてうれしいのだろう、いつもより激しく、それこそ美鈴を消し飛ばしてしまう勢いだ。皆がそれぞれ季節の移り変わりを楽しむ中、一人の少女は独り本に囲まれ、物思いに耽っていた。
「魔理沙、今日は来なかったな…」
この図書館にも魔理沙はほぼ毎日来ていた。あいつが勝手に本を盗って、あいつに返せと言って、あいつと偶にお茶する。それがパチュリーの楽しみだった。だから、珍しく来ない魔理沙に何かあったのではないかと心配していたのだ。かといって、自分には何も出来ない。季節の変わり目は体調を崩しやすい。自分が無理に外に出ればきっと体調を崩してしまうだろう。でも、何もしないなんて…
「パチュリー様、魔理沙達が訪ねて来ていますが、いかが致しますか?」
「魔理沙が!?通して頂戴」
「咲夜から話は聞いたわ。魔理沙に何かあったの?」
「大変なの!魔力をなくしちゃったみたいで…」
「…詳しく話して?」
一目見て、これは尋常じゃない、そうパチュリーは確信した。あの魔理沙に全く元気がない。それどころか、一言も喋ろうとせず、俯いたままだった。あの笑顔を、あの元気をもう一度取り戻してほしい。そのためなら、なんでもしてあげよう。ひ弱な少女は、強く決意したのだった。
「…成程。この場合問題の組み合わせを聞く必要があるわね。」
「あのキノコは珍しいやつだから…きっと見つからないぜ。」
「私、採ってくる」
「ま、待てアリス!あれ、森の奥にしかないんだ!まだ冬だし、危ないよ」
「でも、実物から成分を分析する必要があるわよ。たぶん色々な成分が複雑に混ざりあった結果だから」
「私に任せて、魔理沙」
「アリス、私も…」
「魔理沙はここにいて。すごく疲れてそうだもの、無理しちゃ駄目よ。じゃあパチュリー、魔理沙をお願い」
「ええ。貴女も気をつけてね、アリス。」
魔法の森の奥にはまだ春は訪れていないようだった。冷たい風が肌を刺し、足元には冬の名残の雪が積もったままだ。その中を、珍しいキノコを探しながらアリスは懸命に進んでいく。
「寒…奥のほうはまだまだ冬ね…見つかるといいけど」
雪が積もるような場所に、キノコが生えていてくれるだろうか。魔理沙への想いで奮い立たせたアリスの心を、再び不安が襲っていた。そのせいだろうか、彼女は眼前の崖に全く気づいていなかった。そしてそのまま――
ズルッ!
「あっ!?きゃあああっ!!」
どのくらい滑り落ちたのだろうか。アリスは崖から落ちてしまった。意識は失っていなかった彼女は、体中に傷を負っているのに気がついた。特に左足には感覚がなく、余程の怪我をしてしまったのだと悟った。
「魔理沙…」
絶望に暮れ、彼女は思わず呟いた。もうだめだ。結局自分は大好きな人のために何もしてあげられない。もう…だめだ。そう思った彼女の耳に、聞き覚えのある、元気そうな少女の声が響いてきた。
「アリスー!」
「まり…さ?」
「大丈夫か?ほら、元気出せよ。な?」
「魔理沙…そうだよね。私がこんなじゃだめだよね。待ってて、魔理沙!」
そう、これは幻聴だ。わかっていても、魔理沙の声はアリスに再び力を与えた。気持ちの問題だ、とよく言うように、アリスは立ち上がり、再び歩みを進めることができた。大好きな人の笑顔のために。
アリスが紅魔館を出てから半刻ほど経ったころ、季節はずれの雪が降り出した。折角顔を出した春もすっかり引っ込んでしまい、ふとましい某妖怪も大喜びだろう。
「雪…か。アリス…」
「こんな状況でただ見てるだけだなんて、貴女らしくないわね?」
「だって…今の私が行ったって、足手まといになるだけだぜ。私は…今の私には、何もできない。何も…」
「馬鹿ね。アリスが欲しいのは、貴女の思いよ。貴女がいてくれたら、きっと頑張れる…ま、まぁ、私がアリスの立場だったら、の話だけど」
「そう…だよな。うん、そうだ!私は霧雨魔理沙!いつも元気100%だぜ!私、行ってくる!ありがとな、パチュリー!」
「そう、その顔よ…って、もういないし。…たとえその想いが私に対してじゃなかったとしても…貴女のそんな顔を見られたら、私は満足よ。」
パチュリーが魔理沙のことを意識し始めたのはきっと、魔理沙の自由な雰囲気に惹かれたからだろう。内向的で、いつも消極的になってしまう自分に比べて、彼女は無茶苦茶だけど、いつも自由に生きている。そんな彼女に憧れを抱いたのだろう。しかし、彼女は知っていた。アリスと一緒にいるとき、魔理沙の笑顔は一番輝いている事を。頑固で、素直じゃなくて。一見似てないけど、実はそっくりな二人。自分は一歩後ろから二人を見ていようと決めていたのだ。だから、もし自分の想いが伝わらなくても、それでいいと思っていた。諦めるのではない。友人のためだ。大事な…二人の友人のために。
「さてと…いつ帰ってきてもいいように、準備しておかなきゃ」
探し始めて一刻ほど過ぎただろうか。人間より丈夫とはいえ、アリスにも限界はある。次第に思い通りにならなくなる足を引きずりながら、魔理沙への思いを支えに、アリスは探し続けた。
「見つけなきゃ…私が、魔理沙のために…きゃっ!?」
足元の木の根にも気づかないほど、アリスは疲弊していた。つまずき、転び、ついにアリスは立てなくなった。
「もう無理か…ごめん、魔理沙…」
「アリスー!!」
「あぁ、幻聴まで聞こえてきた…さっきは元気もらえたけど、やっぱり無理だよ…」
「何言ってるんだよ、私はここにいるぜ!」
「魔理沙!?ほ、ほんもの?でも、空も飛べないのにここまでどうやって…」
「走ってきた!さすがに疲れたぜ…」
「もう、無茶しちゃだめって言ったのに…」
「へへ、悪い。アリスが心配でさ。アリスだって、こんなに頑張ってくれただろ?ごめんなアリス、私のために…」
「魔理沙…うれしい」
「アリス…あ!あれだ!」
「え!あ、あんな所にあったんだ」
翌日の紅魔館には雪が積もり、メイド妖精達は雪掻きに追われていた。特別製の日焼け止めを塗った姉妹がギャーギャー騒ぎながら雪合戦したり、それを眺めながら横でメイド長がニヤニヤしていたり、そこに門番がふざけて雪玉を投げたために雪合戦がタッグマッチになったりして、それぞれが季節はずれの雪を楽しんでいた。三人の魔女達はというと、図書館でお茶を楽しんでいた。
「いやー助かった!二人のおかげだぜ」
「とにかく元気になってくれてよかったわね」
「ほんとね。ところで魔理沙…」
「ん?」
「その…お礼的なものはないのかしら?たとえば二人っきりで食事とか…いや、たとえばよたとえば!」
「ほら、こうしてお茶してるだろ?」
「…よし、じゃあ、魔理沙は目瞑って?」
「え?なんだよ、変な事するのはやだぜ?」
「それがお礼になるのよ。魔理沙にもいいものあげるから、おとなしく瞑ってなさい」
「え、いいのか?よし、いいぜ」
「アリス…?」
「ごにょごにょ」
「えっ!?だ、だってその、それじゃ…」
「どうかしたか?いつまでこうしてればいいんだよー」
「ほら、いくわよパチュリー」
「う、うん。せーの」
「わわっ!?な、何するんだよいきなり!」
「チューさせてもらうのがお礼よ。ごちそうさま」
「ありがたくいただいたわ」
「お、お前らな…」
「じゃあ続きもしようか?」
「魔理沙のほっぺやわらかかった…他も知りたくなっちゃった」
「ば、お前らやめ、ぎゃあああああ!!」
おしまい。
>パチェの手をとり二人一緒に魔理沙に駆け寄る。
この展開の話が読みたくなってきましたwむしろ一歩引くのはアリスかもしれませんね
…てのは冗談として、愛され魔理沙はいいですねぇ。落ち込んで元気がない魔理沙も
かわいいけど、やっぱ元気に笑っているほうが彼女には似合いますね