幻想郷に小さな異変が起こった
まあ、何も周りに迷惑が掛かるものでもなく
霊夢の神社が壊れたり、温泉が湧いたりするものでもなく
ただバカルテットの四人が、しばらくの間
空を飛ばなかっただけだったのだが
幻想郷の中で空を飛べるのに飛ばないのは
少しだけおかしなことであった
始めにそれに気がついたのは、バカルテットの一人
ルーミアと面識がある哨戒天狗の犬走椛であった
「そういえば、最近ルーミアちゃん空を飛んでませんね…
あれ?チルノちゃんもミスチーもリグルさんも…?飛んでない」
ボソッと呟いたその一言
「スクープの予感がします!椛!ちょっと行ってきます!」
その言葉に、椛の上司である射命丸文が神速の反応を示すと
「あ、文様!?お仕事はどうするんですか!」
椛が振り返る間もなく、幻想郷一とされる神速を持って
「後よろしくお願いしますね~椛!」
「ま、まってください!これから大掃除があるんですよ!」
妖怪の山の大掃除から逃げ出した
「うふふ、私の記者魂は大掃除なんかでは止められませんよ」
新聞のネタになるのなら、たとえ竹林の火の中
暑い時の滝の中、文を止めるものは何処にもいない
けして、大掃除が面倒だからとはこれっぽっちも思っていない
「まずは、チルノさんの所に向かいましょうか」
近くから攻めるために、文は紅魔館の近くに向かった
「え~と…多分この辺に居ると…あ、居ましたね」
文が紅魔館の近くの湖で、バカルテットの一人である
チルノの姿を発見すると、その傍に向かう
「こんにちは~」
「あっ、ブンブン!今日は面白いネタってやつ見つかったの?」
挨拶をしてきた文に対して、チルノが近寄ってきた
「はい、そのことでチルノちゃんに聞きたい事があるんですけど」
「あたいに?」
自分の事を聞かれると思っていなかったチルノが
不思議そうな顔をするが
「いいよ!」
笑顔でOKを出してくれた
「では、まず一枚」
(かしゃっ!)
自然な笑みをこぼしているチルノの写真
実は高値で取引されている
主に大妖精とレティに対してだが
それと、紅魔館門番隊に方々も
『汚れを知らないあの笑顔に癒される』
『守ってあげないとって思ってしまう』
等といわれて、かなりの収益を上げているのだ
因みに、一番の高値がついたのは
門番長の胸で抱きついて眠っている写真だ
オークションをかけると、謎のメイド長が一気に
二桁値段を上げて即決で購入して行った
チルノが空を飛ばなかった理由
「最近、空を飛んでいないみたいですけど…」
「うん!そうだよ」
文の言葉に、チルノが頷く
「何か理由でもあるんですか?」
「え~とね…レティがもうそろそろ帰ってくるから」
意外な回答だった
「レティが帰ってきたら、いつでも遊べるように体力をつけているんだ」
「ですが、それと空を飛ばないのはどういう関係が」
「だから、こうやって走るの」
「えっ?」
文の見ている前で、チルノが全速力で走り出す
(あやや、意外と早い?)
天狗のスピードからしたら、たいした事無いが
それでも、かなりのスピードでチルノが走って戻ってきた
「ぜぇ…ぜぇ…れ、レティと一緒に今年の冬も体を鍛えるんだ…」
「き、鍛える!?」
息が途切れ途切れになりながらも
チルノが文に説明をする
それを要約すると
チルノとレティが始めて会った時に、周りから
『ふとましい』と呼ばれたレティが悔しいからダイエットに挑戦
始めは、痩せるために始めた運動が
何時の間にやら様々な格闘技をこなすまでになってしまい
毎年、冬になるとチルノの元に帰ってきて
一緒に(トレーニング)遊ぶそうなのだ
思っている以上の回答に文が額から汗を流して返答した
「ぐ、具体的にどのように?」
「え~と…走ったり、美鈴の居るところでサンドバック叩いたり…」
紛れも無く、本格的なトレーニングだった
「美鈴も、レティが来てくれるの楽しみにしてるんだよ」
「そ、そうですか…」
「うん!『私とガチの殴り合いが演じれる相手が居て本当に嬉しい』
って美鈴が言っていたもん」
「今度はレティさんが帰ってきたら呼んで下さいね
(冬の忘れ物vs紅魔館の門番のガチの戦い!絶対売れる)」
そこまで取材をすると、文はチルノに礼を言って
足早に、次の場所に向かった
木に囲まれた森の中、比較的明るい場所に次の人物は居た
人目に極力つかないように、地面をゆっくりと歩きなら
身体にマントを巻きつかせて
「こんにちわ!いつも笑顔な射命丸文ですよ!」
「うわあっ!?」
そして、その人物の隣に文が唐突に現われたおかげで
その人物が全力で驚く
「リグルさんにお聞きしたい事が…」
「ご、ごめんなさい!急いでるんで」
文が喋るよりも先に、リグルが逃げ出す
(てっぽ、てっぽ)
歩いて…
「お時間は取らせませんから!」
だから、文に高速で回りこまれた
「す、すいません!私これで!」
それでも、リグルが逃げ出そうとするが
(てっぽ…)
「そこをなんとか!」
腕をがっしりと文につかまれた
「は、離してください!」
「まあまあ、逃げ出すよりも話した方が楽ですよ?」
確かに、リグルが逃げるよりも
文が追いかける方が早い
「…分かりました」
最終的に、リグルも諦めたようだった
「それで…何を聞きたいんですか?」
リグルが少し怒った様子で文にそう話しかけた
「たいした事ではないんです、リグルさんが最近空を飛ばないと
聞いたもので、その訳を聞こうと思っただけです」
文のその言葉に、リグルが嫌そうな顔をする
「…できたら言いたくないんですけど」
「分かりました、では新聞にしないという条件では?」
「…まあ、新聞にしないのなら…」
新聞にしないという条件の元、
リグルが空を飛ばない理由を教えてくれた
「…実は…」
「はいはい!」
「…その…」
「なんでしょう!?」
「…今、半ズボン穿いてないんだ…」
(きた!リグル・ナイトバグ!その知られざる趣味!)
そのスジの人が聞いたら、喜んでリグルに向かって行く事であろう
主に、向日葵畑に居る大妖怪とか…
リグルの写真も文にとっての収入源の一つであった
主な取引相手は、覆面をかぶった謎の向日葵大妖怪で
後、里の人々…主に女性の方達に大変な人気であった
『リグルタン、ハァハァ!』
『やっぱり時代はショタよね!』
と言う叫び声と共に、大変な人気を得ているのだ
「今変な想像しなかった!?」
「あややややっ!?そ、そんな事はないですよ?」
「…穿いてないんじゃなくて、今は…その…」
リグルが少し恥ずかしそうにしながら、考え込む
「では一枚」
(かしゃっ!)
「あっ!?」
いきなり文に写真を取られて驚いたリグルが
手で顔を隠そうと動かそうとして
その拍子に身体に巻いたマントが外れた
「あややっ!?」
「わ、わあっ!?」
急いでマントを身体に巻きつけようとするが、すでに遅い
文の目には、空を飛ばない理由が見えた
「なるほど、スカートですか」
「み、皆には絶対に言わないでくださいね?」
リグルがそう言って、文に口止めをすると
空を飛ばなかった理由を告げた
普段は半ズボンを穿いているリグルだが
ここ数日はスカートを穿いているそうで
空を飛んだら、下着が見えるのが嫌で
ここ最近は、自分の足で歩いているらしい
「半ズボンはどうしたんですか?」
「…白黒の魔法使いに襲撃されて持ってかれた…」
「ご愁傷様です…」
流石に、文もリグルに少し同情した
収集癖がある魔理沙の事だ
数日したら飽きると思うから、
香霖堂に並ぶその時に手に入れるそうな
「絶対に新聞にしないでくださいね!」
「仕方ありません、それが約束ですから」
リグルに念を押されながら、文は次の人物の元へ向かった
里の中でも、有名な建築会社…
規模は余り大きくないが、
丁寧な仕事と技を持っている者の集まりであった
そして、その中でも更に異彩を放っているのが
「よいしょ…よいしょ…」
金髪の女の子であった
肩に担いでいるのは、建築資材
こんな小さな子が何故場違いな所にいるのか…
そんな中、同じく荷物を持った人物が女の子に話しかけた
「ルー、まだいけるか?」
「うん、一気に運ぶ」
「そうか!よし、それ終ったらみんな飯にするか」
『おう!』
その男の言葉に、周りに居た男達が笑顔で頷く
それと同時に、ルーと呼ばれた女の子が
「終ったら食事なのか!」
残っていた建築資材…大人が一つ担ぐのにも大変な荷物を
「わは~♪」
残っていた5つ全て持ち上げて
「あっちに持っていくね!」
「ああ、今飯の準備するからな!」
「わかった!」
運ぶ場所に持っていき
「わは~!」
それを纏めて放り投げた
「…やっぱすげえな~」
「ああ、家の会社にはルーがいるから余計な機械はいらないな」
それを見た、周りの大人も負けてられないとばかりに
張り切り始めた、これがこの会社が小さくともやっていける理由であった
「あやや…」
そして、それを外から見ていた文は驚いていた
「…真面目に働いているんですね」
文がそう言って、写真を撮る
ルーと呼ばれた女の子…
つまり、ルーミアなのだが
ルーミアの写真も人気がある
こっちは、里の中年のおじさん方で
『まるで、家の娘みたいだからな…』
『ああ、仕事場にいるとワシらも頑張れる』
と、その笑顔に元気を貰っているらしい
因みに、椛もその写真を買っている
少し肌がはだけている写真があると
文を殴り倒して、その写真のネガを奪うのだ
「なにかようなのか?」
「はい、実はここ最近ルーミアさんが
空を飛んでいないと聞いていたものですから」
「そうなのか~…最近は仕事がいっぱいだったから確かに飛んでないのだ」
「ええ、見ていて分かりました…」
つまり、ここ最近、ルーミアは里の建築作業の仕事をしていたのだ
「明日からしばらくお休みだから、椛お姉ちゃんの所に行くよ?」
「そうですか、それではまた飛ぶんですね?」
「うん…でも、その前に美鈴の所に行って肩押さえてもらう…」
理由が判明した所で…
「お~い!ルー!飯できちまったぞ~」
「わは~!?班長が呼んでいるのだ!」
ルーミアがそう言うと、大急ぎで作業場の中に戻って行った
「さて…次は」
文が次の場所に向かおうとしたとき
(がしっ!)
「えっ?」
何者かに背中の羽をつかまれた
急いで後ろを振り向くと
「…文様…」
「も、椛?」
笑顔で文の背中の羽を掴んだ椛の姿が…
「帰りますよ…大掃除が待っています」
「あ、あやややっ!?ま、待ってください!まだスクープが!」
文が何とか逃げようとしたが
椛が笑顔のまま額に青筋を立てて
「…何か言いましたか?(ぎりぎりぎり)」
「いたたたたっ!?ちょ、椛!?いっ痛いです!羽離してくださ~い!」
文の背中をギリギリと掴みながら妖怪の山まで引きずっていった
天狗の社会は縦社会…本来なら椛が文を連れて帰る事は無いが
「文様…天魔様から御免状が出ております」
「げっ~?天魔じいちゃん!?」
「…どうしますか文様?後で天魔様の説教10分に昔話5時間聞くのと、ここで戻って、真面目に大掃除するのと…」
「…さ、さあ椛、大掃除をしましょうか~」
「わう、それが賢明です」
こうして、文も大掃除をさせられる羽目になった
そして、無事に大掃除も終って
何とか天魔様の説教十分だけで済んだ後
「ふぅ…やっぱり仕事の後のお酒は美味しいですね」
「文様もお疲れ様でした」
椛と文は一日の疲れを癒す為に飲み屋に来ていた
「はいは~い!八目鰻焼きあがったよ~♪」
「あややっ、待ってました」
「わう、待ってました!」
バカルテット最後の一人の営業する屋台に
「わうわう…おいひい…」
「あははっ、やっぱりお客にそう言ってもらえるのが一番だね」
お酒を飲めない、椛にとって
この鰻はありがたかった
「あの、店主に一つ聞きたいのですが」
「ん?なにかな?」
椛が八目鰻を食べている間に、文が店主である
ミスチーに聞いてみる
「えーと、ミスチーが最近空を飛ばないって聞いたのですけど」
「あ~…うんそうだよ」
ミスチーがそう言って、少し恥ずかしそうに話す
「一体、どうしたんですか?」
「ん~…まず、『飛ばない』んじゃなくてね『飛べない』が正しいかな?」
「飛べないんですか?それはまたどうして…」
文の言葉に、ミスチーが恥ずかしそうにこう告げた
「実は、胸が大きくなっちゃって…今少し飛び辛いんだ」
「はい!では一枚」
(かしゃっ!)
この日の事は、新聞になり
夜雀の屋台に里の男性が大量に向かう事になった
サラシを巻きながら、鰻を焼いているミスチーの写真が入った
文の新聞も大量に売れることになった
レティは関取になりそ・・・(トントン!)おや?誰か来たみたいだ。居留守居留守・・・
特命門番の続きを忘れていなかった(ドン!)ことに安心して感激です。(ドン!!)もう終わらないんじゃないかと(ドン!!!)思ってました。
(ドグシャアッ!!!!)
なにぃ!ドアをタックルで!?
みすちーさんに夢を感じました。
お年寄りの説教はいつの間にか脱線した話になるんですよね~わかるよー
アライJr.wwwwwwあの顔はまずいwwww
>おまけ
魔法滅土Jr.wwwwwwwwwwwww
む、胸に釣られたわけじゃないからな!