香霖堂の朝は……普通です…ただ…
「♪~~~」
今日は、香霖よりも先に魔界神が
起きて朝ご飯を作っているだけの事です
もう、完全に寝巻きになってしまった
ワイシャツ一枚の上に、エプロンを着込んで
朝ご飯を作って居る姿は…………あえて何も言わない
そして、出来上がったお味噌汁を小皿に移して味見をする
「うん、これで美味しく出来ました」
そうこうしているうちに、朝ご飯の支度が出来たみたいなので
「さて…香霖さんを起こさないと♪」
炉利魔界神が、腕まくりをして香霖を起こすために
先ほど、自分が眠っていた寝室に向かっていきました
「香霖さん……朝ですよ~」
小さな声で、香霖を起こそうとする
何故小さな声かというと……
(…えへへ…眠っている、香霖さんの顔って可愛いんですよね)
じっくりと香霖の顔を見ることが出来る
いわば、魔界神の安息の時間だからだ
そのまま、しばらくの間香霖の顔を見ていたが
香霖が眠っているのを見ていると
(……うぅ…私も隣に入って…一緒に…)
迂闊にそのような事をすると、多分出てこれなくなる
それは良くわかっていた、でも入りたくなる
「いけない……香霖さん!朝ご飯で来ましたよ~!」
だが、前のような過ちをしないために、魔界神は気を強くもち
香霖を起こすために、大きな声で起こした
「…ん…う~ん」
(あ、起きた!)
魔界神がそう思って居ると
「……お休み…」
「ですから~!二度寝しちゃだめですよ!」
だが、香霖は再び夢の世界に……
(こうなったら!)
前に、これと同じ事があった…あの時は同じ夢の世界に連れて行かれたが
(……な、なんで顔が紅くなるんだろう?)
一度見せた技は、魔界神には通用しない!
これは魔界における常識……ここは幻想郷だが
(こ、こんな時のために、お店の中にあった本を見て覚えた技で)
神綺が顔を紅くしながら、その背中に羽を出現させると
「……えい!」
スペカ『萌符』「魔界幻想…炉利魔界神ダイブ」
香霖に向かって、ボディープレスを敢行した
(ぽふん!)
「うぐっ!?」
軽いといえど、いきなりお腹の上にきた衝撃に香霖が
夢の世界から引きずり出される
「……ぬう…」
だが、香霖も然る者…その程度の衝撃一度では
決定打にならないので、再び夢の世界へと向かおうとする
(こ、こんなときには!)
そこで神綺が次に行った事は
「眠ったらだめですよ!」
香霖のお腹の上で、トランポリンに乗るようにして跳ねた……
「…わかった…今起きる」
流石にそのような波状攻撃を受けては、
香霖といえどひとたまりも無い
だが、その時に神綺は気がつかなくても良い事に気がついた
「あ、あの……香霖さん…」
「ん?…なんだい?」
香霖の方は気がつかなかった
だが、それに気がついた神綺の顔は真っ赤だった
「あ、あの…その…た、たって…ますよ?」
小さな声で、それだけ言うとそのままの体勢で
固まってしまった……
香霖もその言葉に、固まった
(しまった!…迂闊だった)
この状態が続くのは余りいいことではない
「な、なにがかな?」
冗談として、言った一言だが
この真面目な炉利魔界神には逆効果だった
さらに、顔を紅くしてうつむくと
「そ、その…こ、香霖さんの…た、たくましい…な…が」
(いかん!逆効果だ)
香霖がそう思ったときにはもう遅かった
先ほどよりもさらに、空気が重くなる
どうしたものか?と思っていると
神綺が覚悟を決めたように
「わ、私が…香霖さんの…それを…何とかします」
「なっ!?」
そう言って、神綺が香霖の『たくましいなww』に手を伸ばした
「いや…まさか寝癖ここまで酷くなるとは…」
「うう、ごめんなさい…昨日私がお風呂壊さなければ…」
実は昨日、神綺がお風呂に入っているときに
ネズミが現れたせいで、お風呂場で弾幕が張られる事になった
幸い、ネズミはどこかに行ってしまったが
お風呂場はほぼ壊滅、直るのにはしばらく時間がかかりそうだった
そのせいで、香霖はお風呂に入る事が出来なかったのだ
仕方なく冷たい水で身体を拭き、頭を洗ったのだが…
「やはり、疲れたからってそのまま寝たのがいけなかったかな?」
そのまま眠ってしまったせいで髪の毛がとんでもない事になっていたのだ
「…でも、お風呂どうするんですか?」
「……とりあえず、朝ご飯を食べる事から始めようか」
神綺が香霖の髪の毛を梳かし終えると、朝ご飯を食べるために
二人は台所に向かった
「「頂きます!」」
今日の朝ご飯は、ご飯に焼きシシャモ、わかめと豆腐のお味噌汁であった
香霖が『うまい!』と言ったり、魔界神が『ほっぺにご飯が…』とか
…その辺は描写を控えます、みている人が糖尿病になると困るから
(もう遅いかも)
「香霖さん、今日はどうですか?」
神綺が心配そうに見つめる、その様子に香霖も少し苦笑して
「言わなくてもわかると思うけどな」
そう答えた、だがその回答に神綺は少し顔を膨らませると
「言って貰わないと、わかりません…」
少し拗ねた口調で答える
香霖は、その子供らしい所に仕方がないなと思いながら
「…今日も美味しいよ」
神綺が聞きたい言葉を告げた
「えへへっ……」
聞きたい言葉を聞けて喜んでいる神綺が、何かに気がつく
「あ、香霖さん…ちょっと…」
「ん?」
香霖は、何かあったのか?と思っていたら
神綺が香霖の頬についていたご飯粒を取る
「ご飯ついてましたよ?」
「ああ、そうかすまない」
香霖が感謝の言葉を言いうと
「(ぱくっ)」
神綺がそれを何の躊躇も無く自らの口に入れた
「あっ」
思わず香霖が声をあげる
「?どうかしました」
神綺は何も気がついてないみたいなので
「……いや…なんでもないさ」
「えへへっ……」
そのままにしておく事にした
こんなの見せ付けられたら、一発で糖尿病ですわ……
「でも、本当にお風呂どうしましょうか」
食事の最中に神綺がそう話しかけてきた
「ん~…まあ、明日には直ると聞いているから、今日一日を何とかしないとな」
すでに香霖が、昨日の内に妖怪の山にいる河童に話をつけておいたのだ
「……ということは…今日は一日…」
お風呂に入れないのか?と聞く前に香霖が
「そうだな、今日は久しぶりに温泉にでも行くか」
すでに対策を考えていた、たまには温泉に行くのも悪くない
「お店開けなくて良いんですか?」
お店を開けなくてもいいのかと問いかけると、香霖が頷く
「まあ、あんまり人来ないしね…それとも、ここで一人で留守番するかい?」
「嫌です!」
お客の来ないお店に一人で留守番など、絶対にごめんです
朝ご飯が終わると、今日は一日外に出ることになるので、荷物の準備をし始めた
「外は寒いから、キッチリと着込んで行くほうが良い」
香霖が外に出るための準備をしている間に
「今日一日お店に帰らないのなら、お弁当作りますね」
神綺がお弁当を作る
「準備は出来たかい?」
「はい!」
香霖は、いつもの旅に出る時の服を身に着けて
荷物を持つための鞄を背負う
一方、神綺の方は、猫耳がついているフードを頭にかぶり
ちょっと大き目のローブをスッポリと頭からかぶり、
背中にリュックを背負っていた
(……白魔導師?)
香霖が少しそう思ってしまったが
(…可愛いからいいか…)
そう思って、目的地に移動をし始めた
「~~♪」
香霖の隣を鼻歌を歌いながら、小さな魔界神がひょこひょこと歩いていく
「随分楽しそうだね」
思わず、香霖がそうたずねると
「はい!楽しいですよ、最近お店の中にいるだけでしたから」
その言葉にちょっとだけ香霖も納得した
(…確かに…最近お店の中にしかいなかったからな)
「でも、一番うれしいのは……」
小さな魔界神が香霖の方を見て微笑む
「香霖さんと一緒にいるからですよ」
真正面からそんな恥ずかしい話を聞かされた香霖は
「……そ、そうか…さて、少しスピードを上げようか」
「あ、まっ、待ってくださ~い!」
照れくさかったので、スピードを上げて逃げだした
目的地である温泉が近くにある所までたどり着いた
「……さて、目的地に着いたわけだが…」
「はあ、はあ……歩くの…早いですよ~」
香霖が、思わず歩くスピードを上げ過ぎてしまったために
本当は夜に着くはずだったのが
「……まだ、夕方にもなっていないな」
「余った時間どうするんですか?」
神綺の問いかけに対して、香霖は少し考えこんでから答える
「早くついてしまったものは仕方がない、ゆっくりと準備を整えてのんびりしよう」
それに対して、神綺も頷くと
「では、先にお弁当にしましょう」
そう言ってから自分が持ってきたリュックのなかから
お弁当箱を持ち出した
「なるほど…サンドイッチか」
香霖が中身を見て呟いた、そこには中身に様々な趣向を凝らした
サンドイッチがずらりと並んでいた
「これなら余っても、後からまた食べれますから」
そういってから、リュックの中に入れていたシートを広げると
その上に、ちょこんと座った
香霖もそれに習うと二人が両手を合わせると
「「頂きます」」
そういってから、料理を食べ始めた
「香霖さん?」
料理の感想を聞こうとしていたら
「ああ、美味しいよ」
香霖は分かっていたのですぐに答えました
「(…先に言われてしまいました)…よかった」
炉利魔界神がそう答えると、香霖がサンドイッチを手に持って
「というわけで神綺…」
炉利魔界神を手招きしました
「?なんですか」
神綺がなんだろうと思って近づくと
「はい、あーん」
「ま、またですか」
そう言いつつも、うれしくて仕方が無い神綺であった
そのままのんびりしていると
「……もうそろそろかな?」
いい感じに時間が過ぎたので、香霖が移動を開始し始めた
「何処にあるんですか?」
神綺がシートを片付けながら香霖に問いかけると
香霖が笑いながら
「ああ、まずはこの辺にある目印まで行こう」
「目印…ですか?」
神綺がそういいながら香霖に着いて行くと
「ん、よし…この小屋だ」
小さな小屋がありました、その中に香霖が一切の躊躇をせずに
中に入っていく
「いいんですか?勝手に小屋の中に入って」
神綺が心配そうにしていると、香霖が振り返り
「大丈夫さ……この小屋にはもう誰も居ないから」
少し寂しそうにそう答えた
香霖曰く
「今からかなり昔になるけど、この辺は昔小さな山村だったんだ
だけど、この辺ではろくな物が取れないから皆引っ越してしまったでね
……ここにあるこの小屋も…もう誰も居ないよ」
その話が終わると、香霖が荷物を小屋に置き
「そろそろ、温泉の方を見てこようか」
そう告げると、温泉がある場所に向かった
その場所は、その小屋の裏手にあった
自然に作り上げられているその場所は
天然の露天風呂そのものであった
「……よし、大丈夫みたいだな」
香霖がお湯を触わってそう答えると
「…さて?どちらが先に入ろうか」
神綺に向かってそう話しかけた
その言葉に、少しだけ神綺が考え込むと
「香霖さん、お先にどうぞ……」
そう答えた……香霖が先に温泉に入るのを見届けてから
(では、作戦開始ですね)
炉利魔界神の作戦が決行された
「ふう……やはり、大きなお風呂はいいな…」
一足先に、香霖が温泉に浸かる
(たまには……のんびりとするのもいいものだ)
持っているタオルで顔を拭くと
こっそりと持ってきたお酒を、御銚子に入れて飲み干す
「うん、うまい……」
「でしたら、私ももらいますね」
「ああ、御銚子はもう一つあるから……」
香霖がそう答えてから、しばらく沈黙が続く
そして、声がした隣を向くと
「では、一杯」
スク水を着た炉利魔界神一人……
「し、神綺!?」
香霖が慌てるのを無視して
「あ、これ美味しいですね」
お酒を飲む炉利魔界神
「い、いや、だがなんで……?」
うろたえながらも香霖が、どうしてこの場所に居るのかを
問い詰めると
「だって、香霖さん一人だけでこれだけ広い温泉に入るのはずるいですから」
そういって、何処からか持ってきたおつまみを食べ始める
「いや、だが……」
さらに何か言おうとしていた香霖に対して
「それに、あの小屋で一人で待っているなんて、お店と変わらないじゃないですか」
「(ぐさっ)うぐっ!」
会心の一撃、これ以上香霖は何もいえなかった
まあ、そんな風に言っていたが二人で入るの、ならそれはそれで
のんびりと……
「しかし、一体何処に水着なんて……(お酒飲む)」
「初めから着こんでいましたけど?(誰も居ないのを確認してから羽を伸ばす)」
「……帰りはどうするんだい?(神綺の御銚子にお酒を入れる)」
「どうするって?(美味しそうにそれを飲み干す)」
「下着……(自分の御銚子にお酒を入れる)」
「…パンツはきません(首をかしげる)」
「うそ!?(本気で驚く)」
「嘘ですよ~(舌を出す)」
……のんびりと会話をしていた
しばらく温泉に浸かってお酒を飲んでいたら
「…もう…おわりですか?…おしゃけ…」
神綺が酔っ払っていました
状況確認
スク水×羽×ほろ酔い×炉利=初めから!クライマックスだぜ!
「もう、このぐらいにしておいた方がいい」
そう言って香霖が、ほろ酔いの状態の神綺をたしなめると
「い~や~で~す!まだ飲むんです!」
そう言って暴れた……
(暴れたといっても、ただ両手でじたばたしているだけですけど)
香霖が少し困りつつも神綺をなだめると
諦めたのか、温泉から上がろうとして
(つるっ!)
「あっ!」
「ふぇ?」
(ばっしゃーん!)
魔界神がこけました……
「おい…大丈夫かい?」
香霖が温泉にダイブした炉利魔界神を抱き起こすと
頬をペチペチと叩く、しばらくすると
「……うぅ…」
「…目を覚ましたか」
炉利魔界神が半目をあけると
「ねえ……私…最後まで笑ってられたかな?」
「(…まだ意識がはっきりしていないのか?)……ああ、笑顔だよ」
「そう……よかった…」
少しぼけてから……目をはっきりと開き
「あれ?ここは……」
「(ようやく目が覚めたみたいだな)よかった、もう大丈夫みたいだな」
香霖が無事を確認すると
「……えっ!?」
神綺が今の状況を確認する、目の前に香霖の顔……
そして今自分は抱きかかえられている……
「~~!?わあ!…こ、香霖さん!?は、離して下さい!」
「うおっ!あ、暴れないで」
お酒を飲んでいる時以上にじたばたと暴れる
そのせいで……
(ざっぱ~ん!)
二人とも温泉の中にダイブしてしまいました
「へくちっ!」
「大丈夫かい?……神綺…へっくし」
温泉から上がって二人とも小屋の中に入ると服を着替えた
だが、少し長風呂をしてしまったためか
少しくしゃみが出ていた
神綺が香霖の方を向くと
「…ごめんなさい…」
そう呟く、香霖が何のことかと思っていたら
「私、酔っ払っていて…」
冷静になって、先ほどの事を思い出したのだろう
顔を紅くしてじっとうつむいていると
「……サンドイッチはまだ残っているかな?」
「えっ?」
唐突に話を変えると、香霖は持ってきていた鞄から
何かを取り出した
「……もう一つ持ってきているんだよ…」
「あっ……はい!今もって来ます」
そこにあったのは、ワインだった
しかも、かなりの年代物の……
意図を察すると神綺が残っていたサンドイッチを持ってきた
「では、頂くとしようか」
「はい!」
今日は少し贅沢な夜食です……
「で、また酔っ払っちゃた訳か」
「…き~いてるんでふか?こーりんふぁん?」
まだ少ししか飲んでいないのに、この炉利魔界神は
既に出来上がっていました
「(小さくなったからか?)はいはい…」
「ハイはいちどでじゅうぶんなんれふ!」
完全に呂律が回っていない状態で香霖の隣で
愚痴をこぼしていました
「まっふぁく…でふから、朴念仁っていわれりゅんでふ!」
(そういわれていたのか…)
「…こーりんふぁんだって、むねが大きなふぉうがいいんでひょう!?」
「いや、なんでそうなるのか…」
今度は泣き出す
「わらひらって……ほんろうはおおきいんれふよ?
…夢子ふゃんほどではないれふけど…」
(……結構あるんだ…はっ!?い、一体何を考えてるんだ僕は!)
首を振って、煩悩を払う香霖に対して愚痴をこぼし続ける炉利魔界神
(このままではいかんな…仕方が無い)
香霖がおもむろに、ワインを口に含むと
「きいてるん……!?…」
(むちゅ~)
話続けている炉利魔界神に口付けすると
そのまま、ワインを口移しで飲ませた
「……んむっ!?…(ごくっ…ごくっ…)…んっ…ふぁ…」
さすがにそのような事されたら、静かになるしかない
しばらく神綺が放心したようにしていると
香霖の方を向いて微笑むと、胸に抱きついてゴロゴロし始めた
「……おいおい…」
香霖がそういいながらも、頭を撫でていると
まるで猫のように香霖の胸元に頬をすり寄せたり
みーみー言いながら、引っかくそぶりをしたりしてきた
(そのまんま、猫だな…)
香霖が首を撫でていると、幸せそうに目を細めながら
「こーりんふぁん……らいすきでふ♪…」
そう呟くと、しばらくして炉利魔界神の寝息が聞こえてきた
魔界神は今酔っ払っています……
逞しいと言ったら寝癖だよなコンチクショウorz
こーりん殺す
広い温泉を二人占めで酒を飲む、一度はやってみたいですね~。
待ってました新作~。
郷も心が癒されました。
もうそろそろ、この作品もストップかも知れません
最後のいまさらながら、終わり方をどうしようかと考えている最中です
>ひぃや様
寝癖ですよ~…なんだと思いました?ww
>ちっくしょうが、香霖にアホ毛はいらねぇんだ
こーりん殺す
いやいや…彼も立派なたくましいな~wwを持っていないといけないんです
>幻想入りまで一万歩様
ええ、大きなお風呂で酒を飲む…そして隣には魔界神…無理だねOTL
>こーりんまとめてクライマックスだぜ!
オレノサクヒンハボロボロダ!
>時空や空間を翔る程度の能力様
よかった……そういってくださると頑張れます
>鱸様
これ以上いちゃつく事があれば、マスタースパークを使わざるおえない!