雨の紅魔館――
レミリアは珍しく自室に篭っている。いや、何のことはない、雨で外を出歩けないのである。
「暇ねぇ。。」
「ああ、暇だぜ。○欲を持て余す」
「暇ね。あんた、何か面白いことしなさいよ」
「あいつらならこんな感じかなぁ…?」
ここの所、暇さえあれば神社に入り浸る毎日を送っている彼女にとって霊夢や魔理沙がいることはあたりまえになっているようで、
最近では神社に行きたいが行けない日には彼女らを自然と演じてしまう癖が付いているらしい。当然、独り言も多い。
「あうー。私の500年は暇死で幕を閉じるー。だれかたすけてー。。。」
「今行くよ!オリィィィブ!!」
「……暇ねぇ。…てかオリーブって誰よ、いったい。。。」
この吸血鬼、ノリノリである…失礼。よくもまあこんな体たらくで500年も生きてこれたものである。
それだけ霊夢や魔理沙といった人間たちは彼女の500年の中でも異質のものであるのだろう。
「あうー。。あ、そろそろお茶の時間かなぁ。咲っく夜ー、のーどがかわいったぞー…と。」
降りしきる雨。雪だったらいいのに。流れがなければ出歩ける。極寒の2月というのにこんな日に限って雨。
ぽふっ――
レミリアはその小さい体をベッドに横たえ、翼をぱたぱたとさせている。次の瞬間――
レミリアの全身がベッドから弾き出される。しな垂れていた翼はぴしっと張り、
その表情は輝いている。
「咲夜ー!おーい、咲夜ー!」
いつにも増して大音量の呼び声。メイドは何事か、とあわてて駆けつけた。
「どうされました!?お嬢様!」
「思いついた!いいこと!思いっ…」
「落ち着いてください、お嬢様」
レミリアはふぅぅぅ…すぅぅぅ…と深呼吸をすると、こう言い放った。
「今 日 一 日 、 貴 方 と 役 割 交 代 す る わ ! !」
「………は……い…?」
メイドは何か言おうとして、必死に腹の底から言葉を搾り出して、出た言葉がこれである。
無理もない。メイドには状況が掴めていない。You are Fired!!とか言われたほうがまだ分かるってものだろう。
「もう、何呆然としてるのかしら?」
かくかくしかじか――レミリアは自分の暇さをせつせつと語った。メイドは神妙な顔をしつつも、主の突飛な申し出を快諾した。
「…分かりました。もう、おおかたのお仕事は終わってしまいましたが、いいのですか?」
「いいわ。ちょうどお茶の時間だったし…じゃあ、お茶入れてく…きます…わ♪」
「くすくすっ…お願いしますわ。おじょ……レミ、リ…ア?」
「くすすっ…あははははははは!!!」
「…レミリア」
「…咲夜お嬢様」
「あははははははははは!!」
二人は笑いっぱなしだった。それはもう、笑いだけで声が枯れるほどに。
ひとしきりふざけ合い、笑い疲れると…もう日が落ちてしまっている。冬の日は短い。
「いやー、楽しかったー。紅魔館の小さなメイドさん…ってね」
「ふふっ。お似合いですわ。そのエプロン姿」
「あら。返してなかったや。ほい。やっぱサイズ合わなかったな。…あ、咲夜も私のキャップかぶりっぱなしじゃない」
「あっ、違和感なくてそのままでした…」
「違和感しかないわよ?」
「ふふっ…くすくすっ…」
二人は盛り上がるうちにお互いのアクセサリーを交換していたらしい。ただ、レミリアに咲夜のエプロンは少々大きすぎたようである。
「ありがとう。咲夜。馬鹿なことに付き合わせたわね。」
「らしくありませんわ。…いいのですよ。お嬢様が笑って過ごせるなら…私にはそれが至福ですもの」
レミリアは素直に嬉しかった。同時に、とても後ろめたい思いに駆られた。
「…わかっていたのね。まったく、咲夜らしいわね」
沈んでいた自分―― いつしか自らの居場所を檻と為した自分――
種族も立場も違う少女が、そんな自分をいつだって支えてくれている。
それがあたりまえになっていて。
「…明日は晴れるみたいですね。パチュリー様が仰ってましたよ。どこかお出かけになりますか?」
「んにゃ。いいや。明日は…のんびりしようかな」
「明日も…ですよね?」
「一言多い。」
「ひゃあっ!」
おわり
ティアラではなくカチューシャですかね。>後書き
とりあえずティアラではないと思いますww
髪が前にかからないようにつけるもので、装飾品であるヘッドドレスとは区別されるそうな。
ほんわかレミ咲よろしすなぁ
>>1さん
お褒めに与って光栄です。ティアラすみませんwww
>>2さん
ティアラで赤面してますwww
>>3さん
ほうほう、ホワイトブリム…ですか。ググってみるとします!情報感謝です!
>ほんわかレミ咲よろしすなぁ
ありがとうございます。これ系の話大好きなんですw
良い主従関係で何より。