霊夢はいくつもの異変を解決した。
そうすることが博麗の巫女としての責務であり、唯一の仕事と言えるものであったからだ。
博麗の巫女は世襲制ではないが、現巫女がやめない限り、次代の巫女が継ぐことはない。
しかし、霊夢は異変を解決するのをやめた。
当然、異変は放置されることになる。
「どうしたの?」と紫は異変解決を促した。
「べつにたいしたことはないんだけどね」霊夢はけだるそうに答えた。「飽きちゃったのよ」
「飽きたって……」紫があきれた声をだす。
「異変解決に飽きちゃったの。弾幕避けるの面倒だし、いつも避けるかボムるかしかないし」
「いろいろあるでしょ。弾幕にも避け方とか、ほら、綺麗さとか優雅さとか」
「知らないわよ。どうせいつも避けるかボムるかじゃない」
「あなたがいないと、異変が、幻想郷が」
「知らないって言ってるでしょ。そんなの私に関係ない」
「そうね。あなたには関係ないわね」
あはははははは!
紫が突然笑いだす。
もう次の博麗の巫女を探すしかない。
幻想郷を存続させるためには他の人間を据えるしかない。
それにしても人間とは不可解なものだ。
同じ場所に留まっていられない。
異変はある種の刺激になって、博麗の巫女を博麗の巫女として機能させる。
しかし、その異変すら消費の対象に過ぎない。
慣れてしまえば、消費尽くしてしまえば、結局最後にはどうでもよくなってしまう。
安定を望んでいるくせに、他方で同じことを続けることは苦痛に思う。その両義性を満足させるにはどうすればよいのか。
「本当にどうしようもないものね」
楽しませるために、新しくあろうとしたけれど。
安心させるために、古くあろうとしたけれど。
無責任と暢気は違うと思いますよ。
下手にショートショートにしようとして東方らしさを感じさせなくするくらいなら
いっそ最後の9行だけにしてしまか、あるいはその9行をプロローグかエピローグにして話を紡いで欲しかったかも。
異変解決は仕事なので異変解決が飽きた云々は別問題な気もします。
~萌えはたしかに最近目にする機会が少ない気がしますね。
紫は霊夢を幻想郷のための装置としか見ておらず、それこそ消費の対象にしていると思う。
霊夢は漠然と無気力なまま話が終わっている。
作品としては中途半端だと思う。
しかし、星蓮船の難しさにめげそうな自分にはぐさっと来た。