ある日、にとりが歩いていると何かを持った椛がやってきた。
「にとり、こんなの拾ったんだけれど」
よく見てみるとそれは何かの看板。もじもじしながら椛は言う。
「にとり、この看板の文字、読んでみてよ」
言われてにとりが覗いてみると、看板にはこう書いてあった。
ちんこ
なるほどウブな椛が顔を真っ赤にするわけだ。にとりは椛に言った。
「別に本物が描いてあるわけじゃあるまいし、文字だけなんだしさぁ。そんなに敏感にならなくてもいいんじゃない?」
「う、そう言われても……慣れないものは慣れないのよ……にとりは平気なの?」
「平気平気。だって文字じゃん?」
「そりゃ文字だけどさ……」
相変わらず看板の文字を見て、もじもじしてる椛。略してもみじもじもじ。
いや、もじもじもみじの方が語呂的にいいか。
なんて事を考えてると不意に椛が、こんな質問をしてきた。
「にとりって本物見たことあるの?」と。
「あいー?」
思わず素っ頓狂な声を上げるにとり。椛はたまに突拍子もない事を言うことがある。
いわゆるひとつの爆弾発言。まさにバクザン先生もびっくりもの。
これも天然椛だから為せる技。
気を取り直したにとりはすぐさま答えた。
「まぁ、あるよ?」
「まじで!?」
椛は更に顔を真っ赤にさせて手で覆い隠してしまった。
ウブもここまで行けば天然記念物級だ。
思わず感心してしまうにとり。
「まぁ、あると言ってもねぇ。ちらっと見ただけだよ?」
「ちらっと……」
言葉に合わせて指の間から覗くように目を向ける椛。そして「いや!」と言いつつすぐ俯いてしまう。
一体何を想像してるんだ。
そんな彼女を見かねて思わずにとりが言い聞かせる。
「もうさー。これただの言葉でしょ? 書いてるだけでしょ? ちん……」
「やっ、声に出して言わないでよ! 恥ずかしいってば!」
埒が明かない。いっそこのまま彼女を放置していこうか。
そもそも別に彼女に固執している理由はどこにもないし、元はと言えば、ただ彼女が看板見て興奮してるだけだ。
なぁんだ。別に放って置いてもいいんじゃないか。と、その場を去ろうとしたにとりは、ふと立ち止まる。
でも、このまま彼女を放置して去ったらかわいそうじゃないか?
流石に友人としてあるまじき行為じゃないか?
ここは彼女を救ってやるべきじゃないか?
にとりは、未だにもじもじもみじしてる椛の方を見る。
たかが看板されど看板。看板の力は偉大なんだなぁ。などと思わず妙な感心をしてしまうにとりだったが、同時に一つの疑問が浮かび上がる。
「ねぇ、椛。私思ったんだけどさ」
「なぁに?」
ようやく顔を上げる椛。顔にはべったりと手の跡。
どんだけ強い力で顔を覆っていたというのか。この子は。
「この看板何の看板なのさ?」
「何の看板って決まってるでしょ」
「何?」
「ち……いやっ恥ずかしい!」
また元に戻ってしまった。だめだこりゃ。
彼女はひとまず置いておいて、この看板の真理に迫ってみようじゃないか。と、にとりは持ち前の好奇心をフル回転させる。
この看板が、ちんこそのものを指しているとしたら、一体何のための看板なのか。
幻想郷でこんな看板なんて見たことがない。
看板てのは大概店先にあるもの。
まさか外の世界には、ちんこ屋なんて商売が存在するのだろうか。
それはいったいどういう商売なのか。まるで想像できない。
ならばここは、そこら辺詳しそうな香霖堂の店主に聞いてみるのがいいかもしれない。
と、そのときである。
「ねぇ、にとり。こんなの拾ったんだけど……」
そう言って椛が差し出したのは
「ぱ」と言う文字だった。
あと、多少なりとも卑猥な表現と受け取れる場合には、何かしらの対策を施してください。
いきなりストレートに出されると読み手としては驚きますし、その後の展開を読む意欲が失せます。
文頭に「若干の卑猥表現アリ」とでも書いておけばいいのでは?
苦手だった私には、この文が好きにはなれませんでした…
ってか、ありきたりすぎてツマラン。
まぁ、その、なんだ
もじもじもみじかわいいよもじもじもみじ