今日はひじょうにすきとおった空で、湖は雲のはしっていくところを鏡のように写していました。
ほとりにつめたい風が流れこんでくるので、チルノと大妖精のスカートはたびたび揺れました。
二人とも立ちん坊でしたが、チルノは片手に白いまだらの氷をつかんでいました。
冷たいとも思ってなさそうに、それは堂々とつかんでいました。
「どう。なかの蛙がきらきら見えてきれいでしょう。氷なんか一日中はとけないから、ずっとながめていられるわ。」
チルノの言葉はもっともで、たしかに蛙は白いまだらの後ろで光をまぶしたようになっていましたが、大妖精はどうしても気味がわるくってもじもじしました。
「これあげる。」
チルノがぐっと片手を突き出しましたが、大妖精は首を横にふりました。
「いらない。目がぎょろぎょろしているもの。うごきそう。」
「うごかないよ。」
「けど明日になったら氷もすっかりとけて、ケロケロ鳴き出すんでしょう。くれるならお花くらいがいい。」
チルノは何かいいたそうだけど、口がもごもごするだけで結局ひとこともありませんでした。
翌日
胸のすくような青白い空が湖にうつっていました。
今日は風がよく舞う日だったので波がたって鏡になりきれていなかったのです。
ほとりへのりこんだ風がざっと駆け抜けていくと、草穂が次々たおれていきました。
そんな中でチルノと大妖精はなにか喋っていましたが、とくにチルノは、片手にけむりをおこして霜がおりている一輪のコスモスをつまんでいました。
「きれいなお花でしょう。大ちゃんがお花をほしがったのもわかる。これならいいよね。」
チルノの言葉はもっともで、コスモスの桃色なところに霜がおりているのが、見惚れてしまっても仕方がなさそうでした。
しかし大妖精はきまりの悪いかおでチルノを見ていました。
「これあげる。」
チルノはいかにも誇らしそうにコスモスをそっと差し出しました。
「そうじゃないの。私はお花をつんだら、ふさふさか、とげとげしている茎をさわりたい。息をかけたら花びらがゆれたり散ったりするのがいい。」
「ふうん。」
チルノは分かったような分からないようなかおをして、コスモスを両手でにぎりしめましたら、みじんになって指の隙間から雪のようにこぼれ落ちました。
また両手をひらきますと桃や緑の粉がすべて風にのっていってしまいました。
翌日
鉛のまざったような景色がつづいています。
湖までもが鉛色をしていて、波もしぶきも断じてたてぬといった様子で沈黙していました。
いちめんの草穂もぜんたいひっそり閑とうごきませんでしたが、ただチルノと大妖精の立つ場所だけはわずかに囁くようでした。
そしてチルノは両手いっぱいにうんと透明な水晶をかかえて、すこし不安なかおいろでした。
「大ちゃんのためにつくったんだよ。氷のお花。こんなに透明なのをつくるのはたいへんなんだから。」
チルノの言葉はもっともで、硝子のような水晶はチルノの手の裏までくっきりと見せました。
茎の部分があり、花の部分があり、こと花の部分は何角形やら見当もつかない形でたいへん複雑そうでしたが、それが金剛石にも似てきれいでした。
「茎をみて、バラをまねたんだよ。花びらなんかちゃんと散るんだから。」
もっともでした。
薔薇とそっくりな茎の部分はとげとげしいために、そこを抱えるチルノの手のひらやら二の腕やら、ちょっとささって赤い斑点ができていますし、チルノが大きく息を吐いたり足ぶみしますと、蓮華のような朝顔のような、そんな花びらがきらきらしながら真っ逆さまに落ちていきました。
ですが妖精はさびしそうに眉をよせています。
「これあげる。」
「うん、一輪だけもらっておく。」
大妖精がおそるおそる、ほんとうに一輪だけ抜き取っていきました。
すると、にわかにチルノは叫び声をあげて両手を自由にしてしまったのです。
たちまち水晶の花束はカアンカアンと鳴って草のなかへまぎれていくと、そこだけが水をまいたように輝きました。
大妖精もびっくりして抜き取った一輪を離してしまいました。
「ど、どうしたの。」
「せっかくつくったのに、ひどいよ大ちゃんっ。」
チルノは相当目の形をわるくして、大妖精はおろおろと口をひらいているばかりでした。
さて、また翌日からのお話になりましが、みなさんチルノと大妖精の二人は、昨日のことなどもう空を過ぎ去っていく雲のように、なかったことのようでした。
まぶしいくらい鏡のような湖のうえで大回転をしたり、交差してとびあっている二人の女の子がいましたら、チルノと大妖精だと思ってください。
それにチルノに話しかけて気に入ってもらえれば、こおらせた蛙か季節のお花くらいはもらえるかもしれません。
けれど、どうしても水晶の花束くらいは、もう小鳥の夫婦のようにいっしょに飛びまわれるくらい仲良くありませんともらえないようです。
喧嘩しても次の日は普通に遊んでた小さい頃を思い出しました
・・・でも太妖精呼ばわりは彼女も気を悪くするんじゃないでしょうか(笑)
すさまじい変換ミスをしていました。
これは申し訳ありません。
安心しました。
しかし盛大すぎるだろうおいっwww
大好きです、こういう雰囲気。
> さて、また翌日からのお話になりましが、
なりますが、ですか?