永遠亭の近くには打ち捨てられた古い古い廃寺がある。
長い間風雨にさらされてきたそこは、しかし宮大工の腕がよかったのか崩れずに姿を
保っている。
そこにある三門もまた同じように、草木に覆われいても形を残していた。
こういう場所ではあるから、永遠亭に住むイナバたちも時折ここを遊び場にしている。
かくれんぼしたり、鬼ごっこしたりと陽気なものだ。
そんなイナバたちのリーダーといえばもちろん『因幡 てゐ』。おおむね彼女は
”嘘つき兎”だの”詐欺兎”だのと(彼女自身のせいでもあるが)芳しくない評判を
得てはいるのだが、イナバ達から話を聞けば、”楽しくて頼りになるリーダー”、
”面倒見がよくて優しい大先輩”なのだから所変われば、である。
今、てゐは廃寺に向かう道を歩いていた。夕刻近くになっても数匹のイナバ達が亭に
戻っていないのを知って探しに出かけているのである。
その先には草むした三門が待ち構えていた。
「しかしいつ見てもオンボロねー。……ここ百年ずっとそんな事思ってる気がする」
ぽつりと呟いたてゐ。その視線の先、門の向こうには跳ね回る白い姿。やはり
イナバ達は時間を忘れて遊び惚けていたようだ。
「おっと、いたいた。ほらー! みんなー! 夕ご飯の時間だよー!」
「あっ! てゐさまだ!!」
声をかければようやくイナバ達も遊びを終えて、境内に集合してくる。全員揃って
いることを確認してうんうん、と頷くてゐ。そのまま歩を進めて古びた門をくぐった。
その瞬間!!
てゐの着ている一切の衣類がはじけ消えた。
「……へ!?」
あまりの出来事にしばし呆然と立ち尽くしたかと思えば、さすがのてゐも真っ赤に
なって乙女のスィートプレイスを隠しながらへたりこむ。その様を見て元気な男の子の
イナバ達は鼻血を拭いて卒倒し、女の子のイナバ達も黄色い悲鳴を上げる。
「な、なんで……? なに、どういうこと……?」
つるんぺたんの幼い肢体を夕なの風にさらしつつ、混乱したままのてゐ。自分が
仕掛けたいたずらを忘れてたかとも思ったが、どう考えても心当たりがない。思わず
自分が鈴仙にでもなった気分だ。
「て、てゐさま! わたし、永琳さまを呼んできます!」
「え、あ、うん、お、お願い」
一人のイナバがそう言うと、永遠亭のほうへ向かって駆け出した。てゐもすっぽんぽんの
まま帰るわけにもいかず彼女に伝令を任せる。数人の女の子のイナバが気を利かせて
てゐに寄り添い、だんだん冷えていく空気と妙に瞳の光をぎらぎらと発しだした男の子の
イナバからその身を守った。
「てゐさまー!」
しばらくすれば永琳を呼ぶといって帰っていったイナバの声が空からする。てゐには
希望の声である。上空に目をやれば、イナバと着替えを抱いて飛んできた『八意 永琳』の
姿。なんだかんだいって優しい師匠ではある。ふわりとてゐの側に着地した。
「う、うう。師匠、ありがとうございますぅ……」
「お礼はいいから先に服を着なさい」
珍しく本気で涙目のてゐは着替えに袖を通した。永琳の肌の暖かさが移っていて
心地よい。実際のところ全裸でいたのは30分もないのだが、てゐにすれば1時間も
2時間も待った気分であった。
「ししょおー」
がっしと永琳に抱きついて、しばらくそのままのてゐ。その肩の震えが落ち着くまで
優しい師匠はてゐの黒髪を優しく撫でていた。
しばし後、てゐに聞く永琳。
「ところでてゐ。一体何事があったの?」
「それがー……全然分からないんです。こんないたずらを仕込んでいたわけでもないですし」
一番の可能性があることが否定され、考え込む永琳。腕をたわわな胸の下で組み、
天才的頭脳をフル回転させる。
やがて目を見開く永琳。
「まさか、まさかね……」
「何か分かったんですか、師匠!?」
永琳の瞳が古い門に向く。次いでてゐに。
「こんな馬鹿なこと……常識ではありえないわ。さすが幻想郷」
頭を抱えそうな雰囲気で永琳。こう呟いた。
「古門、てゐ。……ふるもんてぃ」
長い間風雨にさらされてきたそこは、しかし宮大工の腕がよかったのか崩れずに姿を
保っている。
そこにある三門もまた同じように、草木に覆われいても形を残していた。
こういう場所ではあるから、永遠亭に住むイナバたちも時折ここを遊び場にしている。
かくれんぼしたり、鬼ごっこしたりと陽気なものだ。
そんなイナバたちのリーダーといえばもちろん『因幡 てゐ』。おおむね彼女は
”嘘つき兎”だの”詐欺兎”だのと(彼女自身のせいでもあるが)芳しくない評判を
得てはいるのだが、イナバ達から話を聞けば、”楽しくて頼りになるリーダー”、
”面倒見がよくて優しい大先輩”なのだから所変われば、である。
今、てゐは廃寺に向かう道を歩いていた。夕刻近くになっても数匹のイナバ達が亭に
戻っていないのを知って探しに出かけているのである。
その先には草むした三門が待ち構えていた。
「しかしいつ見てもオンボロねー。……ここ百年ずっとそんな事思ってる気がする」
ぽつりと呟いたてゐ。その視線の先、門の向こうには跳ね回る白い姿。やはり
イナバ達は時間を忘れて遊び惚けていたようだ。
「おっと、いたいた。ほらー! みんなー! 夕ご飯の時間だよー!」
「あっ! てゐさまだ!!」
声をかければようやくイナバ達も遊びを終えて、境内に集合してくる。全員揃って
いることを確認してうんうん、と頷くてゐ。そのまま歩を進めて古びた門をくぐった。
その瞬間!!
てゐの着ている一切の衣類がはじけ消えた。
「……へ!?」
あまりの出来事にしばし呆然と立ち尽くしたかと思えば、さすがのてゐも真っ赤に
なって乙女のスィートプレイスを隠しながらへたりこむ。その様を見て元気な男の子の
イナバ達は鼻血を拭いて卒倒し、女の子のイナバ達も黄色い悲鳴を上げる。
「な、なんで……? なに、どういうこと……?」
つるんぺたんの幼い肢体を夕なの風にさらしつつ、混乱したままのてゐ。自分が
仕掛けたいたずらを忘れてたかとも思ったが、どう考えても心当たりがない。思わず
自分が鈴仙にでもなった気分だ。
「て、てゐさま! わたし、永琳さまを呼んできます!」
「え、あ、うん、お、お願い」
一人のイナバがそう言うと、永遠亭のほうへ向かって駆け出した。てゐもすっぽんぽんの
まま帰るわけにもいかず彼女に伝令を任せる。数人の女の子のイナバが気を利かせて
てゐに寄り添い、だんだん冷えていく空気と妙に瞳の光をぎらぎらと発しだした男の子の
イナバからその身を守った。
「てゐさまー!」
しばらくすれば永琳を呼ぶといって帰っていったイナバの声が空からする。てゐには
希望の声である。上空に目をやれば、イナバと着替えを抱いて飛んできた『八意 永琳』の
姿。なんだかんだいって優しい師匠ではある。ふわりとてゐの側に着地した。
「う、うう。師匠、ありがとうございますぅ……」
「お礼はいいから先に服を着なさい」
珍しく本気で涙目のてゐは着替えに袖を通した。永琳の肌の暖かさが移っていて
心地よい。実際のところ全裸でいたのは30分もないのだが、てゐにすれば1時間も
2時間も待った気分であった。
「ししょおー」
がっしと永琳に抱きついて、しばらくそのままのてゐ。その肩の震えが落ち着くまで
優しい師匠はてゐの黒髪を優しく撫でていた。
しばし後、てゐに聞く永琳。
「ところでてゐ。一体何事があったの?」
「それがー……全然分からないんです。こんないたずらを仕込んでいたわけでもないですし」
一番の可能性があることが否定され、考え込む永琳。腕をたわわな胸の下で組み、
天才的頭脳をフル回転させる。
やがて目を見開く永琳。
「まさか、まさかね……」
「何か分かったんですか、師匠!?」
永琳の瞳が古い門に向く。次いでてゐに。
「こんな馬鹿なこと……常識ではありえないわ。さすが幻想郷」
頭を抱えそうな雰囲気で永琳。こう呟いた。
「古門、てゐ。……ふるもんてぃ」
……色々な意味で。
てゐの全裸ごちそうさまでした。
ぺこり。
涙目てゐが可愛すぎてたまらない。
誤字?報告です
>草木に覆われいても形を残していた。
覆われていても?
女の子なてゐ、御馳走様でした(ジュルリ