境界の狭間に立つ一軒の家、八雲家。
この家には私、八雲紫とその式神である八雲藍が住んでいる。
藍の式である橙は、よくここに遊びに来るし泊まりもするけれど、基本的には私達とは別居していてマヨヒガにある自宅に住んでいる。
つまり、この家に住んでいるのは私の藍の二人。二人だけだったはずなのだが……
「お邪魔するわよ~」
最近、新しい住人が増えた。私が我が娘のように溺愛している巫女、博麗霊夢である。
今までずっとアプローチをかけてきたが、全て無視されていた。
それでも私はアプローチをし続けた。その効果がようやく表れたのか、最近になって急に我が家へと訪れる回数が増加し、
今では橙に迫る勢いの訪問頻度である。
「あら~霊夢!私に会いに来てくれたのね~?うれしいわ!」
「別にアンタに会いに来たわけじゃないわよ。」
こんな言い草だが、これはいつものこと。
霊夢はあまり感情を素直に出す方ではない、ここで「わーゆかり~!会いたかったわ~!」などとハートマーク全開な振るまいをされたら逆に引く。この私でも引く。
しかし子供の頃から霊夢を見守り、溺愛してきた私からすれば一目瞭然。
宣言しよう、これは照れ隠し、所謂ツンデレであると!
『べ、別にアンタに会いに来たわけじゃないんだからねっ!』
このように少しどもりと『っ!』を加えてやれば、皆様にもお分かり頂けるでしょう。
霊夢にはこれは見られないが、それは霊夢がテンプレート的なツンデレ娘よりも更に感情を隠すのが上手いだけである。
もちろん、この私から見ればバレバレなんだけどね。顔が赤くなってるわよ、霊夢。
「うふふ、かわいいわね。」
「い、いきなり何よ。」
「いいえなんでも?まあ上がって頂戴、お菓子ならあるわよ?」
「そう?それじゃあ遠慮なく。」
靴を脱いで、ズカズカとあがっていく霊夢。まるで何か急いでいるかのよう。
ふふ、少しいじめすぎたかしらね?霊夢は誉められるのに慣れてはいない。
こうやってストレートに誉めてやるとすぐに顔を赤くして逃げてしまうのだ。
それでも私は霊夢を誉める。だって、霊夢がかわいいのは事実ですものね!
「うふふ、ツンデレの霊夢、略してつんでれいむ。いつか素直にさせてあげるわ。」
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結局霊夢は晩御飯も一緒に食べて、そのままこの家に泊まることになった。
私はいつも一緒の布団で寝ようと誘っているのだけれど、なかなか一緒に寝てくれない。
ホントは私に甘えたくて仕方が無いくせに、ほんとに素直じゃないんだから。
まあ、そこがかわいいのだけれど、ね。
「じゃあ私は先に寝るけど、霊夢、寂しくなったらいつでも布団の中にウェルカムよ?」
「誰が行くか!」
うふふ、こわーい。
まあ来てくれるとは思ってないけど、それでも私は待ちつづける。
今はちょっと気難しい年頃なだけなのだ。時が経てば、あの子も素直に自分の感情を出して私に甘えてきてくれることだろう。
その日を楽しみにしながら、私はそっと瞳を閉じた。
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「……じゃあ、これからは私達の時間よ。」
「……なあ霊夢、いいのか?」
「何が?」
「紫様は、自分に会いに来てくれていると勘違いなさっているぞ。
今日もとても楽しみにしておられた。」
「だから何?私はね、藍。アンタに会いに来てるの。私が好きなのはあなたなのよ。
藍だって、私が好きだって言ってくれたじゃない。」
「それでも思うんだ。こうやって紫様に隠れて逢引を続けることは、紫様への裏切りじゃないかとな。なあ霊夢、せめて紫様に本当のことを……」
「紫に話したら確実に私達の関係は終わる。アンタが式神を辞めさせられるか、私がここに出入り禁止になるか……どっちも私はごめんだわ。」
「……紫様はそんなことをするようなお人では……」
「それでも、バラして全てが上手くいくとは限らないわ。いいじゃない、アイツだってバカじゃない、すぐに気付くわよ。だったら、バレるまで今の関係を楽しみましょう?
……愛しているわ、藍。」
「ああ、私もだ、霊夢……」
二人はそっと口付けを交わした。
果たしてこの胸の高鳴りは純粋な愛によるものなのか、それとも禁じられた恋愛をしている自分に酔っているためのものなのかは霊夢自身にも知る術はない。
それでも霊夢は、それでも藍は、お互いを強く求めた。
「むにゃむにゃ……れいむ~……かわいいわね~……」
何も知らないスキマ妖怪だけが、幸せそうに寝言をつぶやいていた。
夢の中の霊夢は、とても素直で、自分だけを愛してくれていた。
了
藍霊大好きな俺は全力でこのssを支援します!!!!
勘違いしまくっている紫様が悲しすぎる……
いつか気がつき傷心された時は私が慰めて差し上げます。下心なしで本当に。可哀想過ぎる……
大好物です、ありがとうございました
禁断の関係がばれた後のことを考えるとwktkが止まらない……!!
まさかこれが本心だったなんて……
うん、らんれいむも良いね(マテ
しかし、何かしら紫さまに救いの手が欲しいですね(汗
タイトルでほのぼのと見せかけてダークに追いやる展開にが俺好みすぎて困る
安易なダークからの飛躍を望むところ。
というかむしろギャグでしかないような。
先が完全に読めてしまえるだけに、もうひと捻りするか本当にシリアスなダークにするか、思い切って針を振ったほうが良かったと感じた。
けどちょっと紫が可哀想だなぁ…w
バレたらどうなってしまうのやら。
その方向での続きも読んでみたいところです
紫と霊夢たちのギャップがすごくよかったです!
紫も物凄く可哀相だしお互い傷つけあうだけで皆が不幸になる
いっそのこと最期まで気づかなきゃいいな
>こういうダークなのも妄想してしまうから困る。
ナカーマ(AA略
藍⇔霊夢
↑ ↑
橙 紫
こんな感じだったら尚俺に良しだな
もうちょっとひねりがないと物足りないかな
慰めるSSを所望する!!
でもこのカップルは昔から好きです!流行れ
・・・さすがにこれはないな
そんな目のハイライトが消えてるゆかりんを夢想したww