" />家庭教師パチュリー 作者: 喉飴
Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

家庭教師パチュリー

2010/06/09 21:18:01
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「家庭教師のクライから来た、パチュリー・ノーレッジよ」
「なんか嫌な家庭教師だね」
「それじゃあ、始めるわね」
「うん、よろしくお願いします」

 フランドールは深々と礼をする。
 今日の二人の関係は、いつもと違う。今は、一人の教師と教え子という関係だ。
 きっかけは、ちょっとしたことからだった。フランドールが魔法について学びたいと言い出したことが、きっかけだ。純粋な破壊力なら、フランドールの方がパチュリーよりも断然大きいが、細かい技術の部分、魔力の流れなどを操るような技術に関してはパチュリーの方が上だ。
 そして、学ぶのはその技術。
 もし魔力の流れを上手く操作することが出来たなら、それが破壊衝動を抑える術にもなりえるかもしれない。そういうことを思っての行動だった。

「では妹様、魔力を扱うにおいて重要なことはなんだと思う?」
「うーん、力を理解することかな?」
「そうね、それも大切。けどね、理解することが扱えることに直接繋がるわけではないの」
「どういうこと?」
「理解しても、それを扱うための力が必要。そして、その力は二種類よ。一つは魔力。これは大前提ね」
「じゃあ、もう一つは?」
「それこそ、私にあって妹様に足りないものかもしれないわ。それは、集中力よ」

 パチュリーが何処からかホワイトボード(賢者の石製)を取り出した。そして、宙に浮いているそのホワイトボードに文字を書き連ねていく。
 フランドールはおとなしくそこに書かれた文字を見る。
 ホワイトボードには、大きく「集中力大事」と書かれた。

「詠唱魔法系は特にそうね。少しでも精神を乱したら、失敗する可能性が高い」
「けど――」
「そう、妹様にはあまり詠唱系は関係ないわね。それでも、精神力や集中力は大事よ。乱されない強い心を持てば、それだけでかなりの武器になるわ」
「そっか、うん。で、どうすれば集中力が付くの?」

 肝心なのは、それをどうやって身に付けるかだ。
 フランドールは軽く首を傾げ、訊ねた。
 もちろんパチュリーにとって、その質問は想定内である。何も言わずに、再びホワイトボードに何やら説明を書いていく。
 少しして、簡単に箇条書きにされた説明を書き終える。

「えーと……?」

 1、目を瞑る。
 2、周りの妨害に耐える。 
 3、目を開いたら負け。

「どういうこと?」
「つまり、いかに周りで音をたてられたり邪魔をされても、精神を落ち着かせたまま目を瞑っていられるかどうか、ということよ。これを続けていって、最終的に周りで何をされても動じなくなったら、とても強い精神力を身に付けた証拠ね」
「ふみゅ、それをやればいいんだね?」
「そういうこと。じゃあ、目を瞑ってくれるかしら」
「うん」

 フランドールは言われた通り、目を瞑る。手は膝の上だ。少し大きな木製の椅子に、小さなお尻を預けてちょこんと座っているその姿は、どこか可愛らしい小動物を連想させるものだった。

「レミィがいたら、突撃しそうね」
「え? 何?」
「いいえ、なんでもないわ。それじゃあ、始めるわね。何があっても動じないこと。いいわね?」
「う、うん」

 少し緊張しているのか、そわそわとした雰囲気が伝わってきた。
 これではすぐ動じてしまうだろう、とパチュリーは予想した。

「……」
「……」

 最初の試練、とにかく無言。
 まるで空間が切り取られたのではないかというくらいに、何の音もしない。パチュリーは、ただただフランドールを見ているだけ。言葉も発さなければ、ぴくりとも動かず、服が擦れる音さえ出さない徹底ぶりだ。
 それからしばらくすると、フランドールに変化が現れる。それもそうだ。さっきまで話していた相手が突然の無言な上に、目を瞑っているせいでいるのかどうかすら分からない。
 なんとも言えない妙な不安が、襲ってくる。

「え、ねぇ、パチュリーいる?」

 とうとう我慢できずに、声を掛けてしまう。
 だが、返事はない。

「い、いないの?」

 少し震えた声で訊ねるが、やはり返事はない。

「うぅ~もう我慢出来ないよっ!」

 そして、目を開いてしまった。
 パチュリーの姿を確認して、早くこの不安から解放されたかったのだ。

「ふむふむ、お姉様と遊べなくて寂しいよぉ……か」
「って勝手に人の日記読まれてるー!?」

 目を開くと、そこにはフランドールの日記を読んでいるパチュリーが居た。
 返せこら。
 うふふ、奪ってごらんなさーい。
 どかーん。
 へぶちっ。



 ~少女修復中~



「甘い、甘いわ妹様。ハバネロの三倍は甘い」
「それ辛くない? とりあえずやっといてなんだけど、血拭きなよ」
「大丈夫、賢者の石と私の魔力があれば……ほらね」

 みるみるうちに血で真っ赤だったパチュリーが、元の姿へと戻った。賢者の石万能説万歳である。
 日記は無事、フランドールに返された。フランドールは顔を赤くして、ぎゅっと日記を胸に抱えている。

「じゃあ試練を乗り越えられなかった妹様のために、レベルを下げてあげる」
「まだやるんだ」
「あら、言い出したのは妹様よ? それとも逃げる?」
「む……」

 分かり易い挑発だ。
 もちろん、フランドールにだってそれくらい分かっている。
 だが――

「いいよ、続けよう」

 あえて、その挑発に乗ってみた。
 自分から言い出したことは事実であるし、なによりパチュリーにこのまま逃げたと認識されるのは癪だった。

「よし、さすがは妹様ね。さっきと違って、レベルの低い妨害からいくわ。レベルはどんどんと高くなっていくけど、今回は三つ耐えられたら合格ね」
「ん、分かったよ」

 再び、目を瞑る。
 それを確認したパチュリーは、大きく息を吸う。
 そして、叫ぶ。

「火事よおおおおおおおおおおおおお!」
「っ!」

 嘘には驚かないが、突然のパチュリーの大声にびくっと震えた。けど、目を開いてはいない。
 この程度なら、楽勝だ。

「ごはっ……ふ、は、慣れないことしたから喘息関係無く呼吸が……う」

 フランドールよりも先に、パチュリーがリタイアする可能性の方が一気に高くなった。

「えーと、大丈夫?」
「ま、魔女に不可能の文字は書けないわ」
「それ普通は、不可能の文字は無い、だよね。書けないだったら、基本的な漢字を学習し直せとしか言えないよ」
「次、いくわ」

 大丈夫なんだろうかと、自分よりもパチュリーのことで不安になるフランドール。
 しかし、パチュリーは余裕だと言い放ち、次の行動へと移る。
 パチュリーが指を鳴らすと、小悪魔がどこからともなく現れた。十数体も。みんな通常の小悪魔よりも、遥かに小さい手のひらサイズだ。

「チビ小悪魔ーズ、妹様を囲みなさい」

 指示された通り、フランドールを囲むように散らばるチビ小悪魔たち。
 一体何が始まるのか、とフランドールは少し警戒をしている。

「さあ、一斉攻撃よ!」

 パチュリーの掛け声と共に、チビ小悪魔たちが鳴き始めた。

「こあー」
「こあー」
「こあー」
「こあー」
「こああー」
「こあっ」
「こあこあ?」
「こあっきゅ」
「はいはいこあーこあー」
「COREー」
「こあんっぁ!?」

 普通に鳴く者、微妙に方言の混じった者、やさぐれている者、無駄にダンディなヴォイスで発音の良い者、何故か頬を赤く染めつつびくんと体を震わせて息が荒い者など、鳴き声一つで皆個性的だった。
 そして、これは想像以上に鬱陶しい。
 フランドールは今すぐにでも「うるさーい!」と言って蹴散らしたい気分だが、なんとか耐える。せめて耳を塞ぐことが出来たなら、どんなに良いだろうか。
 その後、数分ほどその鳴き声攻撃が続いた。

「みんな、御苦労様。戻っていいわよ」

 その言葉に、チビ小悪魔ーズは笑顔で帰って行った。
 フランドールは、なんとか耐え抜いた。あと一つ、耐えることが出来れば合格だ。

「妹様、さすがね。なら、これならどうかしら」

 パチュリーが不敵に笑うと、部屋の扉が開かれる。

「レミィ召喚」
「えっ!?」
「フランが頑張ってると聞いて飛んできた」
「~っ!?」

 こんな状況に、姉がやってくるというのは、中々に恥ずかしいものだ。目を瞑っていて分からないが、確かにレミリアの声だ。
 レミリアは、フランドールの横に立つ。次に、帽子を奪った。そして、偉い偉いと言いながら、頭を優しく撫でる。

「は、恥ずかしいんだけど……」
「これが試練よ。レミィには好きにして良いって言ってあるから。レミィの行動に耐えられたら、合格」
「い、いきなり難易度跳ね上がりすぎだよ!」
「ほら、フラン頑張れ」
「うぅ~……」

 最初の一分は頭を撫でられ、次の一分は後ろからぎゅ~っと抱きしめられた。レミリアは、意地悪そうに頑張れーと言いながら、フランドールの首をこしょこしょと人差し指でくすぐったりと、ちょっかいを出す。

「やっ、こしょばい……」
「あーもう可愛いな、我が妹よ」
「レミィ、暴走しないようにね」
「分かってるって。そうだな、次の行動でラストにしよう」

 それを聞いて、フランドールの表情が明るくなる。やっと解放される、といった顔だ。

「まずは全部服を脱がして――」
「我慢出来るかぁっ!」
「ごふっ!?」

 きゅっとしてどかーん。
 レミリアが見事に吹っ飛んだ。

「じょ、冗談だったのに……ぅ」
「妹様、残念ね。最後の最後で集中力乱しちゃったわね」
「いやー難しいね、集中するの。ところでさ」

 何故か笑顔のフランドール。
 可愛らしいのに、どこか恐ろしい。
 レミリアもパチュリーも、思わず背筋がぞくっとなった。

「二人はどれだけ冷静なのか、私に見せて欲しいなー」
「な、何故スペルカードを取り出すの、フラン?」
「妹様、ここは平和的に話し合いましょう? 大体ほら、妹様が教えて欲しいって言い出したじゃない、うん。そうだ、せめてハンデで私とレミィはスペルカードあり、妹様はえーと全裸で」
「どんなハンデさ!? ま、私がお願いしたのは事実だけどさ、やりすぎってこともあるよね。さ、覚悟は良い、二人とも?」
「覚悟なんてないわ!」
「レミィに同じく!」
「よし、まとめて吹っ飛んじゃえ」

 約一分後、紅魔館の上、空高くに吹っ飛ぶレミリアとパチュリーが門番をしていた美鈴に目撃された。
6月9日はむきゅーの日!
前回の作品のコメントで言われるまで気付いてなかったなんて言えない。
ま、間に合ったからセーフセーフ!
パチュリーさん良いですよねパチュリーさん。いつかいつも書くのとは違う真面目なパッチェさんを書きたいと思ってます。
久し振りにパチュリーさん書いたなあ、うん。
さて、そんなこんなではありますが、少しでも楽しんでもらえたなら、嬉しいです。
喉飴でしたー。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
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コメント



0.簡易評価なし
1.無評価奇声を発する程度の能力 削除
相変わらず良い具合にパチュリーさんが暴走してるwwwww
そしてチビ小悪魔が可愛すぎるwww
2.無評価名前が無い程度の能力 削除
何故俺は作者名見ずに二行目で「あ、喉飴さんだー」とわかってしまったのだろう?
それはともかく、妹様の日記が可愛くてしょうがない……
3.無評価まりまりさ 削除
喉飴さんのパッチェさんと妹様が好きすぎてもうね……。


……ってなんか一年くらい前にもこれと全く同じコメントしたような気が。
まあその頃からずっと今でも変わらず好きってことですね!

>いつかいつも書くのとは違う真面目なパッチェさんを書きたいと思ってます。
もしや『知ること』の続編でしょうかね?ちょう待ってます
4.無評価名前が無い程度の能力 削除
フランの日記がヤバすぎるw
貴方のレミリアはなんだかんだ絶対に暴走しないよな…強ぇ。
久しぶりにレミフラ希望
5.無評価ケトゥアン 削除
パッチェさん相変わらず元気そうで何よりですw
やっぱり喉飴さんの紅魔館はたのしいです!
最近あんまり紅魔館ネタを見てなかったので、
「喉飴さんの紅魔分不足による心的外傷過剰反応症候群」、
略してむきゅー症候群が発病しかけてましたw
これからも定期的に紅魔館書いてくれないとボク…シンジャウ…

まぁそんなことは京に1つもないので安心してお好きなものを書いていってくださいw
今回も楽しませていただきました!乙でした!
6.無評価名前が無い程度の能力 削除
チビ小悪魔ーズうるせえww
>「火事よおおおおおおおおおおおおお!」
火事に驚く、大声に驚く、パチュリーの容体を心配させる、一体どれを狙ってたんだw
微笑ましくて癒されました
7.無評価地球人撲滅組合 削除
>チビ小悪魔たちが鳴き始めた。
後の大図書館専属球団「チビ小悪魔ーズ」ですね。
1番アウトに近い「こあんっぁ!?」が、後の投手チビデビル(略してチビル)になることを信じてぇぇ!
8.無評価たまにはこんな違う一日も で13コメの者 削除
いやっほぅ!久しぶりのハイテンションぱっちぇさんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
相変わらずのテンションの高さで安心した。

>前回の作品のコメントで言われるまで気付いてなかったなんて言えない。
言ってて良かった・・・
9.無評価名前が無い程度の能力 削除
喉飴さんの紅魔館もの久しぶりだと思って検索したら
ちょうど2カ月ぶりでしたね。
元気なパチェさんは健在だし、フランちゃん可愛いし、
お嬢様も相変わらずでおもしろかったです!
10.無評価華彩神護 削除
やはりパチュリーが来た!!
ハンデじゃないwww
11.無評価名前が無い程度の能力 削除
久しぶりのぱっちぇさん!
相変わらずすぎるwww
12.無評価あか。 削除
のどさんのパッチェさんは永久に不滅なんやな…
13.無評価名前が無い程度の能力 削除
ああ、ホゥっとした…氏の紅魔館を読むと落ち着くのですよ
14.無評価名前が無い程度の能力 削除
1行目の段階ではひょっとしてマトモなパチェなのではあるまいかと思った。
そんなことなかった。なぜか安心した。
15.無評価名前が無い程度の能力 削除
喉飴さんのパッチェさんきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
フランちゃんとのやり取りがもうたまりません。最高。
16.無評価名前が無い程度の能力 削除
じっと耐える妹様想像したら鼻から忠誠心が。
17.無評価ぺ・四潤 削除
喉飴さんのパチェフラ久しぶりー!! 今回はふらんちゃんのツッコミが大人しかった?
「火事よおおおおおおおおおおおおお!」で本当にパッチェさん喘息になってて呼吸困難でビクンビクンいってる前で
目を瞑ったまま数時間ひたすら待ち続けるフランちゃんというシュールな絵を幻視してた。
「やっ、こしょばい……」って言うふらんちゃんが可愛すぎて色んなものが溢れ出した!!
18.無評価名前が無い程度の能力 削除
喉飴さんの紅魔館久々に見たなぁ
今日も紅魔館は楽しそうで何よりです。
19.無評価名前が無い程度の能力 削除
フランちゃんとパッチェさん
本当に良いコンビだと思います。
今回も面白かったです。
20.無評価喉飴 削除
>>奇声を発する程度の能力様
一家に一人、チビ小悪魔!

>>2様
それは凄いですねw

>>まりまりさ様
ありがとうございます!
まさにそれの続きです。遅筆ですが、書き上げたいと思います!

>>4様
余裕があれば書きたいですね。

>>ケトゥアン様
久し振りの紅魔館でしたー。
これからも楽しく紅魔館を書いていきます。

>>6様
ドタバタしてても仲は良いみんなですw

>>地球人撲滅組合様
こぁーこぁーこぁー!

>>13コメの者様
言われなかったら当日慌ててたと思いますwありがとうございます!

>>9様
あややや、そんなに久し振りでしたか。
楽しんでもらえて良かったです!

>>華彩神護様
むきゅーの日間に合いました!

>>11様
久し振りでしたが、変わりませんw

>>あか。様
消えることはないです!

>>13様
うぁ、そう言ってくださると嬉しいです。本当にありがとうございます。

>>14様
安心したのですかw

>>15様
久し振りの紅魔館でしたー!

>>16様
私は体中の穴から忠誠心が(ry

>>ぺ・四潤様
確かにそのシーンを想像すると、シュールですねw

>>18様
結構久し振りでしたね。
いつまでも仲良く楽しくですね!

>>19様
この二人は相性が良いって信じてます!
21.無評価とーなす 削除
今日も紅魔館は平和だなー。楽しげで何よりです。
チビ小悪魔一匹ください。息が荒い奴でいいです。
22.無評価名前が無い程度の能力 削除
チビ小悪魔の「COREー」がすっごいダディな声で再生されて吹いたw
紅魔館モノで珍しく咲夜さんが出てないけど、おそらくは廊下で見守ってるんでしょうね。