16時39分 紅魔館
「…あの二人が何故、夕食の献立がすき焼きだと知ったのか」
館の主、レミリア・スカーレットが沈んだ表情でメイドの咲夜に話しかけている
「それで招待しろと再三要求を繰り返してます、お嬢様」
「招待するのは良いわ…」
レミリアは沈み行く太陽を見つめさらに語を繋げた
「しかし彼女たち二人を相手に回し私たちが一口でも食すことが出来るかどうかと言えば…」
「それは絶望的です」
「そうよ…」
二人は今まさに沈み行く太陽を眺めていた
17時34分 博麗神社
「…紅魔館から回答文が届けられたわ、紫」
紫が受け取った文書にはハッキリとした拒絶の意が記されていた
「なんと!これは前回と同じ文面じゃない!交渉の進展が全く見られませんわ!」
「私も出来る限りは平和にやっているわ、でももし最悪の場合が来たなら…」
「最悪の場合が来たなら?」
「…八雲は動いてくれるかしら?」
「任せて、霊夢」
紫の瞳はまさに燃え上がり、霊夢の期待に応えんとした
18時43分 博麗神社境内
「交渉は決裂したッ!」
霊夢が神社全体に拡声器を使い演説を始める
「ここに至って何も言うことはないわ、ただひたすらに勝利を信じ敵を撃滅すること!掌に太陽を!私たちの口にすき焼きを!」
「バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」
境内に響くスキマ妖怪の万歳三唱
「総飛行機発動!」
霊夢の一言によって境内に零式艦上戦闘機が十機ほど(八雲印のスキマ通販)が並べられ、一斉に発動機が始動する
そして何故か来ていたアリスの人形達が機体の点検をし、ランタンで準備完了の信号を発する、その合図を受け霊夢は頷き
「攻撃準備完了!」
と叫び、飛行服を着込んだ等身大人形達と共に紫が零戦に乗り込む
「(…頼んだわよ、紫)」
霊夢は視線で言った
「…………」
そして紫は無言で敬礼を返す
「発艦用意よろし!」
人形の合図を聞き霊夢は一言だけ言った
「発艦はじめ!」
霊夢の一言によって零戦は飛び立った、夕日に向かい
「…忙しくなるわね」
飛行機を見送った霊夢はアリスが居る風呂場をバットで叩いた
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
「何よ!霊夢!」
「ウラー!」
しかしアリスはまだ知らなかった、霊夢と紫が幻想郷で初めて航空機を用いた戦闘を行おうとしているのを…
19時32分 霧の湖上空
「…おぉ!見えた、あれが紅魔館ね」
紫は追従している十機にハンドトーキングで指示をした
「(目標近シ、指示スルマデ 上空待機セヨ)」
「(了解)」
返答を受けた紫は今現在陸路を使い進軍している霊夢に打電をした、文面は…
19時35分 紅魔館百m手前
「紫から打電だわ、何々…トラトラトラ 我 奇襲ニ 成功セリ」
その文書を読んだ瞬間、霊夢の表情には勝利の色が浮かんだ
「良し、行くわよ、紫」
勝利を確信した霊夢は紫に打電をした
19時40分 紅魔館上空
「…我 戦闘状態ニ 入レリ 航空支援 求ム」
その文面を読み上げた紫は操縦室から信号弾を放った、紫色、突撃の合図である
紫の合図をきっかけに十機は紅魔館へと急降下し、門番隊の詰め所や対空戦闘指揮所を徹底的に潰し回った
次々に火を噴く対空機銃、それらを悉く回避する八雲航空隊、機体の性能だけではない、乗り込んでいる操縦者達のそれぞれの思いが機体と共にかわしているのだ
「(私、この作戦が終わったらアリスにもっと孝行してあげるんだ)」
「(必ず、必ずみんなでアリスの元へ帰るんだ)」
「(嗚呼麗しき我が母よ、この体を作り出してくれたことに感謝します)」
誰も皆、國の為に、明日の為に、そして愛する主人、アリス・マーガトロイドの為に地獄の戦場を飛び往くのだ
19時45分 紅魔館浴場
「その後二人からは?」
「何も言ってきてませんわ、お嬢様」
咲夜はレミリアの着替えを用意しつつ言葉を繋げた
「もう諦めたんじゃないでしょうか…」
「そうだと良いんだけどね」
レミリアは湯船につかりつつ独語した
「たまにはゆっくりしたい物だわ、あぁ~気持ちい…」
だがその言葉は言い切ることなく遮られた
「とーつげーき!」
三八式歩兵銃に三十年式銃剣を着剣した霊夢が九九式破甲爆雷で浴場の壁をぶち抜き突撃してきた
「な、どこから入ってくるのよ!霊m…」
霊夢はレミリアが言い切る前に銃床で殴りつけ気絶させた
「お嬢様?どうか…キャー」
浴場に乱入してきた咲夜も何故かそこにあったスコップで殴り気絶させる霊夢、因みに第一次大戦中、戦場で一番多く人を殺した道具はスコップなんだってね、ビックリだね人間
「…厨房は、あっちね」
二人を昏倒させた霊夢は鉢巻きを頭に巻き付け進んだ、すき焼きが作られているであろう厨房に
19時50分 紅魔館厨房
「…来ていたのね、紫」
「案外遅かったわね、霊夢」
厨房は既に制圧済みで完全武装した人形達が周辺警戒をしていた
「すき焼きは?」
「確保済み」
「零戦隊は?」
「全機損害無し、すべて帰還したわ」
「そう、良かったわ、お迎えは?」
「そろそろね」
紫がそう言った瞬間、崩壊した厨房の上空でヘリのローターの音が聞こえた
「…チヌークでお出迎えとは、やってくれるじゃない、紫」
「すき焼きの為よ、さぁ帰るわよ」
霊夢達はヘリに乗り込み戦場から脱出した
20時30分 博麗神社
「…二人とも遅いわね、また悪さしてないと良いけど」
「ジェローニモー!」
かけ声と共に天井を突き破り帰還した紫と霊夢
「ちょっと、なんでちゃんと玄関から入ってこないの?何してたの?借りてった人形達は?」
「いっぺんに話しかけないで、人形は無事よ」
「そうよ、アリス、私は霊夢と一緒にすき焼きを盗ん…作ってたのよ」
「アリスも食べない?すき焼き、美味しいわよ~」
霊夢はそう言って鍋の蓋を開けた、そこに入っていたのは、輝くすき焼き…
「うえ~ん、お姉様ぁ~、ここ何処~?」
ではなく泣きじゃくる悪魔の妹、フランドール・スカーレットである
「これがすき焼きなの?霊夢!」
「ちょっと紫!」
「はっはっはっはっ」
「お姉様ぁ~お姉様ぁ~」
阿鼻叫喚となった神社、しかしここに天の救いが
「動くな!自警団だ」
「は、はい!」
とっさに動かなくなるアリス、そして自警団の慧音は歩み寄り手錠を掛ける、霊夢に?いいえ、紫に?いいえ、皆さんおわかりでしょう
「アリス・マーガトロイド、幼女誘拐の現行犯で逮捕する」
「は?」
そして連れてゆかれるアリス、後ろでは…
「フラン、怖かったでしょう、もう大丈夫だからね、お姉ちゃんがついてるからね」
「お姉様ぁ~怖かったよぉ~」
感動的な再会をしていたり…
「…何事ですか?慧音先生様」
「いやなに、ちょっとした誘拐事件ですよ、まさか神社に逃げ込んでいようとは…」
「んまぁ最近の妖怪は怖いわねぇ~」
真犯人二人が自警団の団長と会話していた、絶望した私は静かに呟いた
「私はやってない、それでも私はやってない!」
また懐かしいネタを
大丈夫、分からなくて良い事がこの世の中にはたくさんあります
>>2氏
はい、我が社の製品は『酷い』をコンセプトにしております(汗
>>3氏
難しいですよね、やっぱ軍事物はあかんですよね
>>4氏
あなたは僕の友人ときっと良い酒が飲めますね
>>5氏
元ネタ分かってくれましたか!嬉しいです!
>何故か来ていたアリスの人形達が期待の点検をし、
機体?
ありがとうございます、その言葉が励みです