注意、このSSは主にこんなんだったらいいなと言うかこういうのもアリじゃね?と言うかまあ何と言うか妄想暴走注意!!!
とある日の朝、香霖堂の一日が始まる。
「朱鷺子、朝だ起きなさい」
「にゅ~…」
「起きなさい」
「………」
「…寝たふりをしても駄目だ、早くしないと泥鰌は僕の腹の中に――」
「おはようございます!!!」
「……おはよう、朱鷺子。もっと早くに起きれるようになろうか。そうしないと将来…」
「この泥鰌を持って来たのは誰だー!!」
「…文さんだよ。椛からの朱鷺子への一足早いお土産だそうだ」
「椛お姉ちゃんが?」
「そうだ、それにそろそろきn」
カランカラン
「…いらっしゃいませ、朱鷺子、早く食べ終えて仕事手伝ってくれ」
「ん、ふぁふぁった」
「飲み込んでから話しなさい」
「お待たせしました、今日はどのような御用件で?」
「これなのですが…」
そう言って里から来た若人が袋から取り出したのは一丁の包丁だった。
「これは…刺身包丁の本焼です、ね。これは?」
今霖之助の手の中にある刺身包丁の本焼き――柔らかい鉄(地金)と鋼のふたつの材料を結合し、水で焼き入れして仕上げるのが一般的な和包丁なのに対し包丁の刃のすべてがひとつの鋼で作られている包丁――は刃は欠けてはいなかったが傷が目立ちかなり錆びていた。
「はい、祖父が昔使っていたモノで私の恩人に送りたいのですが…箱を開けてみたら長い間ほったらかしにされていたもので…」
「…なるほど、分かりました。三日後には仕上げておきます。他に何か注文はありますか?」
「ありがとうございます。…そうですねこれを一つもらえますか?」
「承りました」
そう言って商品を包み若人に渡す。
「ありがとうございました。またのご来店を」
こうして一人目の客は帰って行った。
とりあえず包丁を作業場の専用の棚に置いておこうと一旦中に引っ込むとまだ朱鷺子が泥鰌を頬張っていた。
「んぐんぐ…ん。包丁だ、咲夜お姉ちゃん?」
どうやらさっきの僕の忠告をちゃんと守ったみたいだが食べるのが遅い。
「お姉ちゃんの職場は洋包丁だったはずだよ、そろそろ包丁=ナイフ=咲夜は止めときなさい」
「そだね…、ごちそうさま」
…泥鰌の頭の方から加えて2秒もかからず飲み込む(ちゃんと噛んで味わっている)のはさすがにいつ見ても不思議だ。
「さーてそろそろ動きますか、今日の仕事は?」
「掃除、店番」
「…だよね」
仕事が無いわけじゃあないぞ?
「昨日の本何処においたっけ?」
「仕事中に本読む気満々だな」
「お父さんだって読んでるじゃん」
「そういえばそうだったな」
「おいこらばかおやじ」
「そんな事言うとおやつのウナギボーンあげないぞ」
「ごめんなさい!!」
うなぎボーン――ウナギの骨(背骨)を短く切って揚げた菓子。静岡県浜松市名産品である。最近紫が朱鷺子の可愛さにべた惚れで良く持ってくるモノの一つだ、まあ僕の目的は灯油だが。作者は塩をふったモノが大好きだ。暫く食べてないなぁ…。
「まあいい、とりあえずこれを砥ぐから店番頼む」
「りょうかいー」
さて、三日と言ったが一日目に大体修理は終わってしまう。後の二日は細かい作業だ。柄の交換してみたり。
さて作業のしながらでも僕たちの事でも話させてもらおう。
僕たちの家族は不思議な事に血はつながっているが皆が皆違うという特殊な一族だ。
例えば種族。
僕は半妖だが家族の中には半吸血鬼もいるし朱鷺子のように純粋な妖怪もいる。
何故かが不明だが共通して言えるのは皆銀色の髪を持って生まれてくるという事だ。
そして家は何故か一度は誰かに仕えたりそのまま下に就くことが多い。
例えば次女の咲夜。
咲夜は森の向こうに在るお屋敷のメイド長を務めている。
他だと六女ナズーリン
現在は毘沙門天の代理の下で働いてるそうだ。
あの子は朝が弱いからな…大変そうだが頑張っているみたいだ。
中には例外も居る。
三女の神綺
生れた時から特殊な力を持っており、自分で世界を作り中心で活動している。しかし何故世界を作ろうと思ったかは教えてくれない。
いつか聞かせてもらおうと思っている。
それと神綺の時も驚いたが何より一番驚いたのは長女の永琳だ。
何と永琳は「いってきまーす!」と明るく言い残して過去に飛んでしまった。(おそらく常連の内の一人、教授さんだろう)
まさかかぐや姫に仕えていると聞いた時はさすがに冗談だと思った。
とまあこんな感じである、ちなみに朱鷺子が末っ子である。
順番で言うと
永琳
咲夜
神綺
椛
妖夢
ナズーリン
朱鷺子の順である。
あと一族の風習みたいなもので一人前に認められないと苗字が与えられないのだ。
僕には修業を終え、ここで店を開く際に貰った森の近くにある店と言う事で『森近』
永琳には永遠、永き遠くと書き永の字は永字八法と言う言葉も在りバランスがとれており様々な意味を持つ。さらにこれからも生きて行くだろうこの娘はこれからも様々な知識を得て行くだろうことから『八意』
咲夜には吸血鬼のイメージの一つの月、それに完全に完璧すぎてもいけないという意味を込めて『十六夜』、
神綺はまだ自分は半人前にもなってないとの主張からまだ苗字を受け取っていない。
椛には白狼天狗の天狗の狗(いぬ)の部分から走狗という熟語が見えてくる。走狗とは手先、使いっ走りのことだ。そこから文字を変換し並び替え『犬走』
妖夢には半人半霊としての種族と僕の父さんと同じ種族と言う事で父さんと同じに『魂魄』
ナズーリンと朱鷺子は修業中なので無い。
こんなところだろうか。
そんな話をしているうちに包丁の修理は終わってしまった。
包丁を専用の場所に置き一旦店内にもどる。
朱鷺子は黙々と本を読んでいた。
「今何処らへんを読んでるんだ?」
「主人公が自転車に乗って河の脇の道を走ってたら眼閉じたまま立ちこぎで感覚を頼りに真っ直ぐいけるかな―とか言う意味不明な思考に辿り着いて実行したら見事に転がり落ちた所」
「主人公は馬鹿だな」
「馬鹿だね」
ああ、ちなみに家に朱鷺子が居る理由はある時期になると何処かに行かなければいけないのだが朱鷺子は『お父さんの所で働く』と言いだした。確かに何処かに使われに行けと言ったが…(全員その考えは無かったといった顔をしていた)
「さて準備していたらどうだ?」
「何を?」
「今日は家族記念日だろ?何着て行くかとか考えておきなさい。咲夜の奉仕先の令嬢さんが場所を貸してくれて盛大なパーティーを開いてくれるそうだ。沢山人が来るから行儀良くするんだぞ」
「ほいな」
そういって朱鷺子は奥に引っ込んでいった。
商品の整備をしていると店の扉が開いてベルが来客を知らせる。
入口を見るとそこには妖夢と我が家との付き合いのある家の娘の東風谷早苗ちゃんが立って居た。
「ただいま、父さん」
「こんにちはー霖之助さん」
「いっらしゃい早苗ちゃん、お帰り、妖夢」
「一緒に迎えに居ちゃいました」
「妖夢、幽々子さんはどうしたんだ?」
「…既に紅魔館についてます」
…なるほど。
早苗ちゃんの家はウチと似たような家系なので昔から何かと交流があった。
早苗ちゃんが幾つか妖夢より年上で家の妖夢と小さいころから良く一緒に遊んでもらっていて妖夢も早苗ちゃんに懐いている。
「さて、それじゃあ行くか…朱鷺子―!!」
「ふぁーい」
「…うなぎボーンは置いていきなさい」
さて紅魔館に着くとそこには沢山の人妖が居た。
紅魔館のメイドさん達に加えウチの娘達の関係者が一杯――
「あ、霖之助さんだ!!」
おお?
「「「「「娘さんを下さい!!!!」」」」」
やれやれ…関係者どころじゃ無かったか…。
ならば僕だって『父親』だ
「娘が欲しければ僕を倒して見ろ!!」
『望むところだ!!!』
「レッツ、ジェンガ!!!」
『そっち!!!?』
おお、『父親』も中々楽しいものだ。
>「受けたわりました」
「承りました」じゃないでしょうか、間違っていたらすいません
この文面だと包丁が歩いてきてるよー。怖いよー。
>そして家は何故か一度は誰かに使えたりそのまま下に就くことが多い。
誰かに仕えたり、では。
とても素晴らしかったです。が、一つ聞きたい。
霖さんの嫁は?
他が思いつきませんで