「お茶、入りましたよ」
「うん、ありがとう」
縁側に座っていた小傘に早苗が言う。
「ありがとうございます。おいしそうなショートケーキですね」
「でしょう?早苗と一緒に食べたかったの」
「まあ、小傘ちゃんったら…」
顔を赤らめる早苗。
つられて小傘も微笑む。
「それじゃあ、切り分けますね」
「あ、私がやるよ」
早苗からナイフを受け取り四等分にする小傘。
その内一つを早苗に渡す。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
嬉しそうにケーキを受け取る早苗を楽しそうに見る小傘。
しかし、その笑顔には裏がある。
実は早苗に切り分けた部分はタバスコが仕込まれている。
そう、これは普段弄られていることに対する小傘の悪戯なのである。
ついでに、最近驚かせることに成功していないので自分の存在意義を見失いかけていることに対する対応策でもある。
「はい、小傘ちゃんあーん」
「…what?」
だが、予想外の事態が起きた。
早苗がケーキをのせたフォークを小傘に向かって差し出している。
「あの、えっと、早苗」
「食べさせてあげます、あーん」
「い、いやその、せ、拙者は自分でたべられますでありんす」
「色々混ざって意味がわかりませんよ。それとも」
じっと悲しそうな目で小傘を見つめる早苗。
「私じゃ駄目なんですか?」
「い、いやそうじゃないけど、なんていうか…」
そこではたと気づく。
もしかして、早苗は自分の悪戯に気づいているのではないのか。
その上で自分をからかっているのではないか。
早苗なら十分に考えられる。
ならば、選択肢は『だが断る』
「あ、あーん…」
無理でした。
悲しそうな目で見つめる早苗の視線に耐えることが出来ず、口を開ける小傘。
「はい、素直でいい子ですね」
実に楽しそうな笑顔で焦らすようにフォークを近づける早苗。
わかってる、絶対にわかってやってる。そう確信する。
死刑決行を待つ心境で小傘は震えることしか出来ない。
「あー、早苗が美味しそうなの食べてる」
「あ、諏訪子様。おかえりなさい」
どこかに遊びに行っていたらしい諏訪子が走り寄ってくる。
子供そのままの可愛らしい動作であったが、それに和む余裕は小傘にはなかった。
「私にもちょーだい」
「はい、どうぞ」
小傘に向けていたフォークを諏訪子に向ける。
「ありがとー」
何の疑いも無くそれを口に入れる。
瞬間、笑顔だった表情は徐々に歪んでいく。
「ぬわーーっっ!!」
叫び、走り去る諏訪子。
それを呆然として見送ることしか出来ない小傘。
「お腹は一杯になりましたか?」
「え?」
「最近、驚かせることに成功してなかったのでしょう?」
「それじゃあ、私のために…?」
無言で微笑むことで肯定の意を示す。
「早苗…」
ああ、私は早苗のことを誤解していた。
さでずむの塊のような外道巫女だと思っていた。
それはひどい誤解だったのだ。本当は優しい巫女だったんだ。
「泣かないでくださいよ。ほら、これでも食べましょう」
「うん…」
差し出せられたケーキを口に入れる。
ああ、早苗の優しさが体に伝わるようだ。
なんだか体が熱く…なって…
「ウボァー!」
ゆめにっき!!!
やっぱ、さでずむは良いものだ!
早苗さんGJ!!
S さでずむなんかに負けるな
G 頑張れ小傘ちゃん
N 泣くんじゃない
一箇所報告です。「だが、予想外の自体が起きた。」事態が