作品集68「早苗さんの休日」の設定を微妙に受け継いでいます。
たいして気になるほどではありませんが…。
「魔理沙!七夕やろ!!」
「…は?」
夕方、パチュリーから借りた本を読んでいたら、こいしがいつもより早く放浪の旅から戻ってきた。
珍しいと思いつつ気にしないでいたら、急に言い出したのが冒頭の言葉。
「……七夕?」
「うん!」
「急にどうした?」
「なんかみんな楽しそうだったから、聞いてみたら今日は七夕なんだって!」
そういえばもうその時期か、と思う。
小さい時はよくはしゃいでいたが、魔法の森に移ってからはそんなことなんて特に気にしたことは無くなってきた。
「別にいいが……」
「本当!!?」
まぁ、たまにはこんなこともいいだろう、と思った。今のこいしを見ていたら昔の私を思い出したし。
「というわけで笹をわけてくれ」
「唐突ですね……」
まずは笹を入手するために守矢神社へ。こいしは無意識にいなくなると困るから一応連れていく。
「うん!今日は魔理沙と七夕するから!!」
「相変わらず仲がいいですね」
「もちろん!私と魔理沙は赤い糸で結ばれてるもん!!」
「そんな糸なんて知らないな。それより笹のほうはどうだ?」
「まぁ、一本余ってるからわけることはできますよ」
「おおそうか。悪いな」
「いえ、気にしないでください」
「そうだ。お前も一緒にやるか?」
「え~っと……今日は「駄目!!!」
人数は多いにこしたことはないと思い、誘ってみたらこいしが拒否。一体なんだっていうんだ。
「今日は魔理沙と二人でやるんだから!」
「おいおい、別にいいだろ」
「駄目!!」
「安心してください、こいしちゃん。私はこのあと約束してる人がいるので」
「お?誰だそれは」
「もうすぐ来ると思いますが…」
ふむ、一体誰だろうか。
早苗と約束するようなやつっていったら……
「唐笠お化けか?」
「違います。この前紹介したばっかじゃないですか」
「というと……」
「お~い!!早苗~~!!」
この声は誰だっただろうか。
この前早苗と一緒に定食屋に来たやつだったような……
「お、あの時人間に……こいしちゃん、だっけ?」
「あ、貴女は……確かぬえね!早苗と一緒にいた」
「おぉそうだ、ぬえだ。定食屋で会ったな」
「こんにちは、ぬえ」
「ヤッホー早苗!!貴女達も早苗と七夕?」
「いや、私達は笹を借りにきただけだ」
「ふ~ん……二人で?」
「っていうことらしいがな」
「当たり前だよ!!」
「仲いいわね~」
早苗と似た反応を口にする。
私達はそんなに仲良く見えるのか。悪い気はしないが。
「では、これ笹です」
「サンキュー。さて、そろそろ次の準備もあるし」
「はい、わかりました。楽しんでくださいね」
「お前らのほうもな」
さて、次は飾りと短冊を買いに里へ。
ついてみれば、確かにいつもより賑やかだ。なるほど、こいしはこれを見て興味を持ったのか。
「魔理沙!短冊あったよ!!」
「おっでかした」
店先に短冊が並べて置いてある。
見た感じ売り物っぽいし、さすがに勝手に取るのはまずいだろう。私は泥棒じゃない。断じて。
「スイマセ~ン、これいくらだ?」
とりあえず店の人に呼びかけてみる。
「お嬢ちゃん達、二人仲良く七夕かい?」
「うん!!」
「元気がいいね~。その短冊は今日だけのサービスだ。好きなだけ持っていけばいい」
「おっ助かる。ありがとう」
「なに、皆が喜ぶ顔を見れれば十分さ」
なんて気前のいい店主なのだろうか。
好きなだけ、と言ったが、さすがに沢山持っていくのはまずいだろうから、私とこいしの2枚だけ貰う。
「さて、次は飾りだが……」
飾りを探すために祭りの最中の街中を歩き回る。
どの家の前も笹がかけてあり、そこには短冊がぶら下がっている。さすがに願い事を見るなんて野暮なことはしない。知り合いならともかく。
ふと、前を見てみれば、見知った巫女に天狗がいた。
あいつらも仲良く七夕を楽しんでいるようだ。
「よぉ、霊夢にブン屋」
「あら、魔理沙じゃない」
「それに、こいしちゃんもいますね」
「あ、霊夢!ヤッホー!」
「私は無視ですか」
「そう気にすんな、ブン屋。お前らはどうしたんだ?」
「見てわからない?祭りを楽しんでいるのよ」
「まぁ、確かに屋台が多いな」
普通、七夕に屋台は無いのは置いといて。あったほうが祭りらしいし、賑やかで面白いからよしとする。
「で、あんた達はなにやってるのよ?」
「こいつがいきなり七夕やりたいなんて言い出すからな」
「だって魔理沙とやりたいんだもん!」
「…というわけだ」
「相変わらず仲いいわね…」
皆揃いも揃って同じ感想をもらす。
「んで、笹と短冊は揃って、飾りを探してる最中だ」
「ふむ、飾りなら私が少し持っていますが」
「ほんとうか?」
「ええ、少し待っててください」
そう言うと真っ直ぐ妖怪の山へと飛んでいく。家から取ってくるつもりなのだろうか。
あいつならそこまで時間かからずに戻ってくるだろう。くやしいが私より早いし。
「にしても霊夢がここまで来るなんて珍しいな」
「な、なによ……別にいいでしょ」
「いつもなら祭りがあったってめんどくさいで済ませるからな。…あのブン屋が関係してるのか?」
んなっ!!
どうやら図星らしい。みるみる顔を赤くしていく霊夢とは、こりゃ珍しいもんが見えたもんだ。ブン屋はいつも見ているだろうが。
「あ、文が祭りに行きたいなんて言い出すから、仕方なくよ仕方なく!!」
「ほ~ぉ、仕方なくねぇ…」
「うっさい!!」
「あ、ブン屋が戻って」
「え!?」
「きた気がするが気のせいだったわ」
「あ、あんたねぇ……一回倒れとく?」
「遠慮する」
軽口をたたきあっていたら今度は本当にブン屋が戻ってくる。
飾りを貰ったら礼を言って即座にその場から離れる。
もう少しあの場にいたら、今日は無事に帰れない気がしたからだ。ブン屋には悪いが身代わりになってもらおう。
「さて、これで完成、と」
笹をたて、飾りをつけ、互いに短冊に願い事を書いて笹にかける。
「ありがとう魔理沙!」
「別に、私も楽しかったしな」
願い事を書いてる間は子供の時に戻ったみたいにワクワクした。こんな感じは久しぶりかもしれない。
「ところで、こいしはなんて願い事したんだ?」
「それは秘密だよ~」
「なんだよ、そう言われると余計に見たくなるんだが」
「秘密なものは秘密」
「ちぇ」
空を見上げれば、雲一つなく、綺麗に天の川が見える。
昔はあの星に憧れたもんだ。今の弾幕が星をイメージしてるのは、あの星を少しでも身近に感じようとしたためだ。
……そうだ。
「こいし、箒にのれ」
「へ?」
「あの空を旅しようぜ。ここで見るよりも綺麗に星が見えるはずだ」
「あ、うん!!」
こいしが箒にまたがったのを確認し、
「いいか?」
「うん、いつでも準備オーケーだよ!」
「よし、行くぜ!!」
勢いよく真っ直ぐ真上に一直線。空の星が段々近づいてくる。
触れるなんてことは出来ないが、それでも十分身近に感じられる。星を出すことも出来るが、今は純粋にこの星模様を楽しみたかったからやめた。
私達は、星を楽しみながら天の川に沿って空の旅へと飛んでいった。
おまけ
「霊夢さん、里に行きましょう」
「…は?なんでよ」
「今日は七夕祭りですよ」
「…あぁ、もうそんな時期なのね」
「ですから、一緒に里に行きましょうよ」
「嫌、めんどくさい」
「れ、霊夢さ~ん……」
「………あんた、里の七夕祭りについて事前に調べてるんでしょうね」
「もちろんです。今日のためにしっかりと調べてきました」
「……ちゃんと、エスコートしてくれるなら行く」
「当たり前ですよ!!清く正しい射命丸、しっかりとエスコートしますよ!」
「……つまんなかったら、承知しないからね」
「安心してください!楽しめますよ。霊夢さんも、私も」
おまけ2
「にしても、よくこんな場所を見つけましたね」
「すごいでしょ?こんなに星が見えるなんて。寺子屋の子供達に感謝しなきゃね」
「ふふ……そうですね。……ぬえはなんか願い事をしました?」
「ん~……したっていえばしたわね」
「よかったら教えてください」
「えっ!?い、嫌よ……」
「私は神なんですから!できれば叶えさせてあげたいのですけど…」
「……だったら、」
「はい!」
「……やっぱいいわ」
「そうですか……でしたら、どうしても叶えたい時に言ってください!少しでも力になりたいですから」
「あ、ありがとう……もう叶ってるけどね」
「えっ?なにか言いました?」
「い、いや、なんでもない!!」
流石、自由人www
皆の願いが叶うと良いな!…(もっと私に時間をプリーズ)奇声
前回に劣らぬ…なんというか。
まぁ、ほんわかできました!
↓
ならばパソコンで…え?壊れた?
↓
うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
↓
夏休み入って3日、やっとこさ直る←今ここ
というわけでいまさらですがコメ返信!
>>奇声を発する程度の能力様
自由人とは、何事にも縛られずに気ままに過ごすことである。
だから、勉強なぞいら(殴
>>ケトゥアン様
とりあえずテストはまぁまぁでした。
短かったですが楽しんでいただけでよかったです。
そしてこいまりとさなぬえも良いなぁ……。