Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

夢か現か幻想か

2010/05/15 22:36:10
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 その日は何か違う、と起きる前にレミリア・スカーレットの能力は彼女にそう囁いていた。
 しかし、レミリアがそれを知るのは、起きてから数秒後のことだった。










 その日、紅魔館は激震した。
 中庭が割れ、そこから覗かせる金色の髪。次いで頭が見え、顔、身体、と順に明らかになっていく。
 それは、フランドールだった。
 ただし、紅魔館と同じくらいの大きさの。
 レミリア・スカーレットは自室の窓から見たそれを知っていた。









 それは三日も前のことだった。
 悪の科学者、(徹夜でテンションのおかしいパチュリーさん)ドクター・ノーレッジが世界征服を始めたところから話さねばならないが、その経緯については長いので省略する。
 とにかく、ドクター・ノーレッジは彼女の妹を能力までも模した巨大兵器『フランドール・Z』を完成させ、それを持って、世界征服に乗り出したのだ。
 そしてそれをあれやこれやして、私の屍を超えていけ、だとか親友の力、だとか皆の勇気、だとかやって壮絶な戦いの末に、レミリアが沈黙させた。
「うおおおぉぉぉぉぉおおお!」とか叫んで「これが私の最終奥義だぁ!」とか吼えて、不夜城なレッドが爆発した。
『フランドール・Z』は行動を止め、ドクター・ノーレッジも正気に戻り、本当のパチュリー・ノーレッジとして覚醒して
から三日たった今。
 皆がその事件を忘れかけていた頃に起こった惨事であった。

 







 
 レミリアが飲んでいた紅茶も口の端から零しながら、呆然としていると、紅魔館に衝撃が走った。
 がん、と脳天に刺さる勢い。
 次の瞬間には紅魔館が変形した。
 館の一室にいるレミリアには分からなかったが、紅魔館は変形したのだ。
 ただ揺れる、上下運動の激しい紅魔館に困惑し、レミリアは思わずテーブルの下に隠れた。
 がしょーん。がしょーん。ぎゅごごごご。ちゅいーん。とか鳴ってる。
 レミリアはもはや半泣きだった。
 そのとき、突然館内放送が響き渡った。聞こえてきたのは親友の声。三日も前に正気を取り戻したその声は、紅魔館中に
響き渡る大音声で言ったのだ。

『変形完了! 行くわよぉ!』

 どどどどどどど、と振動。
 窓の外。思わず見たそこには、パチュリーのでかい生首が飛んでいた。
 レミリアは飛び上がって気絶しそうになって、漏らさなかった自分を褒め称えた。
 よく見ればそれは本物の生首ではなく、機械でできたものだった。
 ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間。変化はさらに起きる。
 親友が叫ぶ。
 レミリアの目にはサムズアップしながら、歯をきらりと光らせるパチュリーの姿が映った。
 泣きたくなった。
 レミリアは三日前の戦いで、すでに腑抜けだった。
 よって、親友を止める術はなかった。

『がったぁぁぁぁぁぁい!』

 と叫んだ生首パチュリーは飛び上がった。
 館は、外から見れば、人型に変形していた。
 まあ、見た目を説明すると大変難しい構造になっているので、館が人型として動いてる様子を想像すれば簡単だろう。
 その中央に生首パチュリーが突き刺さった!
 
『完成! 紅魔ロボverフィフティィィィィン!』

 がしょーんと腕を前に構える決めポーズ。
 当然レミリアには振動しか伝わらない。
 故に泣きたくなってくる。
 親友の頭と自分がお漏らしを我慢していると言うこの事実に。
 もはや半泣きなどではない。全泣きだ。
 プライドも何もなく、ただ泣いた。
 そんな隙にも、外では戦いが繰り広げられている。
 紅魔パーンチ!
 ずどどどどどどどどぉ。
 紅魔キーック!
 ずべばばばばばばば。
 紅魔ビーム!
 ずばばばばばばば。
 紅魔必殺:三回転捻り天地逆転ローリングソバットに見せかけたパーンチ!
 ずぎょぎょぎょぎょぎょぎょ。
 次が最終奥義よ! 
 くらえー! 紅魔奥義:スーパーハイパースペシャルフラッシュ不夜城レッドスパーキング!
 ぐぎょにあぁぁぁにあぁぺけぽーん。
 どかーん。ずごーん。
 レミリアは耳を塞いで台風が通り過ぎてしまうのを待ったのだった。

















「お姉様ー? お姉様ー?」

 がくがくとゆすぶられる感覚。
 思わず目を覚ましたレミリアは、まず眼前の妹を抱きしめた。
 レミリアの上に馬乗りになっていた妹に抱きついた。
 抱きしめて泣いた。
 何も言わずに泣いた。

「ちょっ!? お、お姉様?」

 ビックリしたフランドールは、しかしこれはこれでいいかもなんて思ったりもした。
 レミリアの背中に手を当てて幼い子をあやすように、そっと撫でてあげた。
 怖い夢でも見たのかしら? お姉様もまだ子供なんだから、とか思ったりもした。 
 そこで、つん、とした匂いに気がつく。
 なにかしら、とフランドールが布団をめくるとそこには、いわゆるおねしょで描かれた立派な世界地図が。

「…………あー」

 ふー、やれやれとため息を吐くフランドール。
 
「お姉様ったら」
 
 仕方がないなぁ、と呟くフランドール。
 そこに館内放送が入る。







『私はドクター・ノーレッジ。世界を掌握するものよ!』







 レミリアは泣いた。
 より一層深く。
 フランドールはため息を吐いた。


「またかぁ……」












 
紅魔館って戦えそうじゃね?

そんなことを思ってしまったがためにこうなった。

さて、真実は夢か現か幻想か。
月空
コメント



1.奇声を発する程度の能力削除
どうしてこうなった。
でも、頑張れば戦えそうですよね。
2.ぺ・四潤削除
パッチュさんの奇行が日常茶飯事なのかお嬢様のおねしょが日常茶飯事なのか。
3.名前が無い程度の能力削除
え、えぇぇぇぇ…w
なにしてらっしゃるんですかパチュリー様www