紅魔館の門の前は日光が良く当たる
そんな暖かい日差しにまどろむ者の姿があった
「いや~、今日も絶好の昼寝日和ですねナマズ先生」
「……ここ本当に吸血鬼の館なのか?」
今日も今日とて平和な門の前
門番長の紅美鈴とその目覚まし兼抱き枕である大ナマズ……太歳星君の姿が見られた
「暇ですねぇ」
「……確かに暇じゃのう」
此処最近は、紅魔館に誰かがやってくる事自体が珍しくなっていた
「魔理沙さんも最近来ませんし、お嬢様達も大人しいですしね」
「まあ、平和と言う事じゃな……」
「……あ~、なんだか眠くなってきました」
「寝るな!」
すぐにでもナマズを枕にして寝ようとする美鈴に
大ナマズが声を出して起こす
そんな大ナマズに美鈴が欠伸交じりに答えた
「え~でも他にやる事無いですよ?」
「まあ……確かにそうなんじゃが」
やることが無い門番程暇な者は無い
もし、美鈴一人だけだったのなら既に眠っていたであろう
だが寝ようとするたびに目覚まし兼抱き枕の大ナマズが怒る
これにより、美鈴の昼寝の頻度が著しく減ったのだ
しかし、暇だという事は事実
どうして暇を潰すかと二人が考え始めた
「あ、そうだ」
「むっ?何か思いついたのか?」
そしてそのまま暫くの時間が経ってから美鈴が目を開いて呟いた
「大ナマズ先生の昔のお話を聞かせてくださいよ」
「ワシの昔の話じゃと?」
いきなり自分の事を問われたので、大ナマズが目を見開いて驚くが
「長生きしてるんですから、何か面白い話の一つや二つぐらいありませんか?」
やたらワクワクした様子の美鈴を見て
「……しかたがないのう」
苦笑を浮かべて太歳星君が昔の話をし始めた
―――
一つ目の御話『風船』
これはワシがとある堀でアルバイトをしていた時の話じゃ
変な仕事でな?ワシはある特定以下の高度まで下がった者を
口で確保する仕事をしていたんじゃ
まあ、障害物のように電気を流してみたりもしたけどの
……変な仕事と言ったのは、ワシの居る堀の上に居る奴ら
風船二つを背中につけて空をとび、
相手を蹴落とすって事を仕事にしていたんじゃ
―――
「給料は結構良かったけど、結構ハードじゃったぞ?」
「そうなんですか?」
「そうじゃ、下の落ちてきた奴らの確保が面倒でな」
大ナマズがしみじみ語るのを見て、美鈴が微笑む
「なんだかんだで、大ナマズ先生は優しいですもんね」
「そ、そんな事無いわい!ワシはこの地に災禍をもたらす……」
「あははっ」
暫くの間、美鈴が笑いながら大ナマズに追いかけられる風景が門の前で見られた
「機嫌直してくださいよ~」
「…ふん!」
―――
二つ目の御話『コイン』
……こほん!
これは、ワシが暫く人目を避けて過そうと思って
人が来なさそうな所に作った別荘でのんびりしていた時の話じゃ
沼の中でのんびりとしていたんじゃけど……
何処の小僧かわからんが、寝ているわしの別荘に石を投げてきたんじゃ
しかも、かなり大きい代物……でもわし、のんびりしたかったから
ワシの力篭めたコインをやる事で帰ってもらうことにしたんじゃよ
さて、それで寝れるかな?と思っておったら甘かった
そいつ『面白そう』って理由でワシの別荘に大量に石を投げてきたんじゃ
そのおかげでワシの別荘の沼地完全に埋まってしまったというわけじゃ
……無論、仕返しに友の鶏をけしかけておいたがな
―――
「迷惑な話ですね」
「全く!ろくなことする奴がおらん!」
そのときの事を思い出したのか大ナマズの目つきが鋭くなる
「ど、どうどう!落ち着いてくださいって」
「……むぅ」
美鈴の言葉に落ち着いた大ナマズ
「思い出したから、嬢ちゃんにもこれをやろう」
「なんですか?このコイン」
手渡されたコインを美鈴が受け取ると大ナマズが小さく答えた
「退魔剣が無いと意味が無いから、唯のお守り代わりじゃけどな?まあ貰っておけ」
「では、ありがたく頂きますね」
後にそれがレアマジックアイテム『クエイク』だと知られ
魔女達に狙われる事になるのは別の御話
―――
三つ目の御話『頼まれごと』
これは知り合いに頼まれごとされた時の話なんじゃけど
知り合いに『あるアイテム持って来たら交換してやって?』と言われて
水の中の御店で食客してた事があったんじゃ
その国は悪いドラゴンに国が支配されておるって言われてたんじゃケド
実は、そこまで影響でてなかったと思うんじゃよな……
商売も有る程度自由に認めてもらえていたし
支配している奴らの中にはピラミッドでカラオケして
酒屋のお姉さんに叱られている奴もいたし……
まあ、そんな感じでワシ、アイテム持ったまま暫く生活してたんじゃ
……そして数日したら
『ドラゴンが勇者に倒されて平和が戻りましたよ』
って言われてどう言う事かとワシ親友に聞いたら
『ごめん!勇者気が付かなかったみたい!』
って言われて飽きれかえったという話
無論、その親友に髭ビンタ食らわせてやったわい
―――
「しかも、その勇者の姿を見て更に驚いた」
「……なにがあったんですか?」
少し言いづらそうにしている大ナマズに美鈴が首を傾げる
「その勇者の服装……最後までパンツ一枚じゃったんじゃよ」
「そ、そんな服装でドラゴン倒したんですか!?」
「ノーダメージじゃったそうな」
「うわぁ」
パンツ一枚の勇者に倒されるドラゴンの事を思い
美鈴は盛大に苦笑をする
「浮かばれないじゃろうなぁ」
「浮かばれないでしょうねぇ」
思う事は美鈴も大ナマズも同じであった
―――
「気が付けば結構時間が経ちましたね」
「うむ、良く見たら夕焼けになりかけておるな」
太歳星君が外を見ると既に綺麗な夕焼けが姿を見せていた
「そろそろ御飯の時間ですね」
「そうじゃな」
どうやら、今日も目覚ましの御仕事は果たせたらしい
大きな達成感に頷く大ナマズ、
美鈴も綺麗な夕焼けを見つめて、伸びをしてから
「よいっしょっと」
「うおっ?な、なにをする!」
枕大の大きさになっている大ナマズを胸元で抱きかかえた
(紅魔館の晩御飯は戦いです!急いで向かわないといけませんから
担いで向かいますよ?ナマズ先生)
(な、なんじゃと!?こ、こら!降ろせ)
(まあまあ、それでは行きますよ~)
(ぬわあ!?は、走るなあ!オロセェー!)
夕焼け雲の下、今日も大ナマズと美鈴が守る門は平和であった
終わり
それ以外はわからないです
もし違ってたらごめんなさい
美鈴に抱き抱えられる大ナマズ様に、パンツ一枚の美鈴に殴りかかられるドラゴン、どっちになればいいんだ!
鶏とクエイクで・・・
生めー美味しかったですw
御馳走様でしたw
あと、クエイクというよりシェイクではなかろうかと思ったけどそんな事はどうでも良いのかもしれない。
大ナマズ様が起こしてくれるおかげで
めーりんの待遇はよくなり
給金のないはずの紅魔館は主レミリアが
「これでちょっとした旅行でもいってきなさい。
あんた達いつもがんばってくれてるから・・・」
と二人に札束を押し付けた・・・なんちゃってw
生めー美味しかったです。
ワンダーボーイは知らんかったな~
ナマズ先生は非想天則もバイトでラスボスしてそうだね
なまめーいいよいいよ!おかわり!
お仕事頑張って下さい。隠居と特命の続きならいつまでも待ってますぜ!