ティーカップを四つ、御代わりの入ったポット、お茶請けを盛った皿をテーブルに置くと、咲夜は一礼した。
来客があるので、その準備を頼むと言われていたのだが、
「ありがとう咲夜……クッキーまで用意してくれたの? 悪いわね」
「いえいえ。それにしても今日は珍しい組み合わせで」
円卓の一端に構えているのは、この図書館の主であるパチュリー・ノーレッジ。
その左手には、七色の人形遣いことアリス・マーガトロイド。
逆の、右手には紅白ならぬ蒼白の巫女、東風谷早苗。
対面には、幻想郷最速を謳う鴉天狗、射命丸文。
先に述べた二人は兎も角として、この四人が額をつき合わせて座っていたのだった。
黒白に七色×2の魔法使い三人組が腰掛けているのなら、咲夜も何度も見た。
しかし、モノクロの変わりに、鴉と巫女がいるのは、今回が初めてだった。
「……各自の持ち場について、何か」
紅茶を一口啜り、三人を見るパチュリー。どうらやこの話し合いの中心人物は彼女のようだ。
見ればテーブルの上には幾つもの資料の紙が散乱している。
四人の手元には、それぞれグリモワールの如くの本が一冊ずつ置いてあった。
「私はありませんけど……パチュリーさんの担当、激戦区ばかりでは?」
滅多に紅魔館に来ないからか、早苗は少し遠慮がちのようだ。紅茶にもクッキーにも全く手をつけていない。
と言うより、今まで訪れたことがあっただろうか? 業務に勤しんでいる為気付かなかった。
長い付き合いにもなるし、まだ幻想郷に慣れているとは思えない。親睦を深めるために何か贈ってみるかと咲夜は考える。
「そういえばそうね。私ならあと二箇所くらい余裕あるわよ」
常連客であるアリスは遠慮をしている様子はない。
しかし本当に遠慮が無いというのは、一度にクッキーを五つも掴んで口の中に放り込むような奴のことを言う。
……いや、それは行儀が悪いのか?
「私も一箇所くらいですから、よければどうぞお遣いください」
砕いたクッキーをお供のカラスに食べさせている文。どうやら咲夜のクッキーは鳥類にも人気のようだ。
ふと気付いたが、今彼女は普段持っているカメラを手にしていない。
どうやら、この相談を取材に来ているのではなく、彼女も又この相談の参加者らしい。
「貴女は他にやることがあるでしょう。それに、私だってこれくらいはどうにかなるわ」
アグレッシブな発言をしたパチュリー。
普段ならこういう発言はしないのに、と咲夜は目を丸くする。
「あまり無理しないでよ。誰かがミスしてもカバーできないんだから。
……あとの問題は、時間の問題ね」
「作戦開始は午前五時ジャスト」
「甘いですよパチュリーさん……作戦は、もうすでに始まってるんです」
「あやや、厳しいですねぇ早苗さん。
しかしまぁ、開始時に上手く動けるかも重要ですし、計画立ての時点でもう勝敗が決まるかもしれませんね」
どうやら、今回の相談事、早苗のほうが経験が上のようだ。
……しかし、齢三桁にも届くような魔法使いや鴉天狗よりも経験が上。
一体、何のことを言っているのだろうか?
「その辺、どうにかならないの?」
「……純粋に物量の問題ですからねぇ、私が起こす風と文さんの風で、大勢吹き飛ばせますけど」
「それじゃあルール違反でしょ、だったら私の人形で」
「人形が壊れる。そもそも、人形が任務を遂行できるとも思えないわ」
以上の話を聞く限り、弾幕ごっこではない。
人形遣いが人形を遣わない、自らの能力を使わない、というかそれは規則違反。
そんなルールは全く無い。
何だ? 何のことを言ってるんだ?
この四人は一体どう動こうとしているんだ?
積みあがる疑問符が雪崩を起こし、遂に咲夜はパチュリーに訊ねた。
「あの……失礼ですが、皆さん何の話をしているんですか?」
「決まっているじゃない」
「コミックマーケットよ」
>私が起こす風と文さんの風で、大勢吹き飛ばせますけど
涼しそうだ。もっとやれ!
しかし今年のコミケはどうなることやら・・・行く人には頑張ってもらいたいものです(いろんな意味で)
でも今年は所用が有って行けないなんて…チクショウ…
地霊伝買いに行きたい…
>1.
記述トリックっぽい流れだが隠そうとは毛頭思わなかった。反省はしている。
当日は風よりも雲って欲しかったですね。
>2.
誰もが夏が来れば思い出す・・・それがはるかな尾瀬!!!まさに思い出の中の思い出、キングオブ夏の思い出!!!
誰もがみなその地名を知っている!!でもその実どこにあるのかはよくわからない!!
(某漫画より引用。ちなみに、群馬、福島、新潟の三県を跨ぐような位置にあります)
>通りすがり様、名前が有ったり無かったりする程度の能力様
配慮の足りない内容ですいません。
>5.
何処かでそんな話を見てから『早苗さんは腐女子』のイメージが離れないどうしてくれる(何