なんで……? なんで……?
私は心中で何度も繰り返しながら、ゆっくりとテーブルに向かって歩く。
左手からは鈴仙、正面からアリス、右手からは文。それぞれが着席をする。
テーブルの真ん中には、犠牲者の人形。
私ではなく、星噛み。
つまり狼にとって、共有者である私を残すよりも、星を残す方が怖かった。
私は、完全に、ナメられている。って事よね……?
ふぅん……。そういうこと……!
ちょっと、いや、かなり。ムカついた。
「やっぱり最終日勝負になったわね」
アリスが固い表情でつぶやく。
ああ、人狼たちよ。
あんたたちの選択は誤っちゃいないわ。
だって私は昨日の夜、生きることを諦めて推理を停止していたんだから。
そんな気の抜けた共有者なんて、恐るるに足らず、よね。
「……LW確定。そして慧音さんが破綻。さぁ、誰を吊るのか……決めましょうか?」
「共有指定にするの……? 私は嫌よ。自分の結論で、投票したい」
鈴仙にハッキリと言われている。
共有者が頼りないと。そして、それは当たっているわ。
私自身も、LWを見抜く自信が……ない。
悔しさに歯を食いしばる私の代わりに、射命丸が切り出した。
「それじゃあ、始めましょう。“汝は人狼なりや?”……博麗神社村の最終日を」
◇ ◇ ◇
最終日。村で生き残ったのは4人。
人狼がまだ2匹いるなら「村2=狼2」で負けになっているはず。
つまり、人狼はLW(ラストウルフ=最後の狼)が確定している。
私は村人である事が証明されている【共有者】。
他の村人2人、そして人狼も決して投票しないところ。
だから村人は私を除く3人の中から、最後の人狼を吊り上げれば勝ち。
人狼は自分以外の2人のどちらか、無実の村人を吊りあげれば勝ち。
……分が悪い。村人有利とは言えない状況。
狩人によるGJや、妖狐が残っていることを考えるべきではない。
この最後の吊りで、確実に人狼を吊り上げる。……それが私の生き残る道。
射命丸 :「さて、これで慧音さんの偽が確定したわけですが……。昨日の発言からみて、アリスさんがLWでいいですかね。鈴仙さんは正直、人外には見えないです」
鈴仙 :「確かに、慧音さんが偽物で、星さんが村人だった以上。昨日は星さんを吊ろうとしていたアリスさんが怪しいわね」
アリス :「……なるほど? 慧音狂だったということかしら、パチュリー狼が自然だったし。危険を犯して狂人を残しても偶数進行ではPP(パワープレイ)が出来ない。よって、偽霊能吊りを主張しておいて、この最終日で信頼を得ようという作戦ね」
パワープレイ。
それは人狼陣営の持つ票数が、村人の持つ票数を上回った時に、数の暴力で投票を押し切ってしまう作戦。
例えば村人が3人だけになり、内訳は【人狼】・【狂人】・【村人】になったとしましょう。
そうすれば人狼は狂人に呼びかけて、堂々と【村人】に2票を集めて勝利する事が出来る。
これがパワープレイ。
だけど今日のように人数が偶数であった場合。
もっと具体的にいえば、慧音が【狂人】・射命丸が【人狼】・アリスと私が【村人】、という内訳だったとしましょう。
その場合、人狼が狂人に呼びかけても2票しか集まらない。村人も2票を持っているので人狼に投票することを打ち合わせれば「2票対2票」で引き分けになる。
どうしても勝てなさそうならば、引き分けに持ち込むことも作戦ではあるかもしれない。
だけど今回のケースでは、あくまでも人狼は勝ちを目指せるパターン。
……だから慧音が【狂人】だとしたら、射命丸が昨日、慧音吊りを主張していたのは村人の証拠にはならない……。むしろ自分が吊られる可能性がないので、慧音吊りを推したいところ……かしら?
鈴仙 :「……真狼-狂。これが確かに一番自然かしらね。そう考えれば、射命丸さんが白っぽいと言うわけでもないか……」
アリス :「私は……。私も鈴仙は村人で決め打つ。ここが人外だったら大したものだわ。……だから、私は射命丸をLWと見る」
射命丸 :「おかしいですねぇ。慧音さんが狂人だったら、パチュリーさんが狼だと分かっていたはず。そこでパチュリーさんを吊りに持っていくのは不自然ですよ」
鈴仙 :「んー、そうか。慧音さんが狂人だったら、藍さんには●を出して自分吊りに持っていくはずよね……? 少なくとも人狼であるパチュリーさんを先に吊るそうとはしないか……。やっぱり真狂-狼?」
アリス :「あの段階でパチュリーを真で見ている人がいたかしら? 狂でも狼でも、両方が確実に吊られる状況。その順番に意味はないはずよ」
射命丸 :「あの咲夜さん噛みにしても、そうですよ。星さんを人狼に見せる為の噛み、霊能と意思疎通が出来る立場でなければ、あんな噛みは出来ません」
鈴仙 :「……慧音さんは昼に『占い両偽』を主張していたわ。人狼が狂人の考えている事を察するのは、容易だと思うけれど……」
争点は……パチュリーと慧音、どちらが人狼だったか。
パチュリーが人狼だったらアリスが白くなり、慧音が人狼だったら射命丸が白くなる……。
今の流れだと、アリスと射命丸が互いに票を入れる事になるでしょう。
こうなってしまえば、もし鈴仙がLWだったら負けは確定。私一人が票を入れても鈴仙が生き残ってしまう。
私が鈴仙をLWだと確信出来れば、共有指定すればいいんだけど。そんな自信もないし、なにより今までの立ち振る舞いから、皆が私に従ってくれるか不安だし……。
うん。
私自身も鈴仙が人狼だという線は、見ていなかった。
……よって、アリスか射命丸か、どちらかに決める。
落ち着いて、二人の言動を見比べるのよ。
まず投票先。
アリスが「チルノ→妹紅→妖夢→妹紅→藍→パチュリー→慧音」
射命丸が「魔理沙→魔理沙→妖夢→慧音→パチュリー→パチュリー→慧音」
アリスはやはり、チルノ投票者という点……。そして狐濃厚な藍へ投票しているのが怪しい。
射命丸はパチュリーに投票しているのね。……パチュリーが人狼だったら、射命丸が身内投票するだろうか?
投票を考えると、アリスが人狼寄り……か?
アリス :「占いと霊能の内訳は、確かに重要。だけど、それよりは今残っているLWを見抜くのが大切。……射命丸は一貫して共有に擦り寄っている。そして最終日にあえて共有を残した意味。それを考えても、射命丸が臭いのよ」
アリスはテーブルの下から、分厚い紙を取り出し、それを私たちに見せつける。
な、なんと! そこには射命丸の発言を抜粋した文章が、みっちりと書きこまれていた。
ったく、器用な奴ねぇ……。神経質といった方がいいかしら?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2日目
射命丸 :「それは、まぁ。グレランでしょう? ね、共有さん」
4日目
射命丸 :「まっ、今日は共有の指定通りに妖夢吊りで良いでしょう」
射命丸 :「妥当な判断だと思いますよ」
5日目
射命丸 :「んー、やはり共有さんに方針を示してもらった方がいいと思いますよ」
6日目
射命丸 :「人外に票を動かされると厄介です。共有指定があってもいいかと」
7日目
射命丸 :「不安ではありますが、共有の決定に従うしかないでしょう。これで負けても誰が誰を責めることも出来ません」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アリス :「やたら共有に呼びかけていたけど、ミスリードを誘う意味もあったのかしらね? 慣れている様子の相方を早目に噛んだのも、この作戦へと繋げる為かしら?」
射命丸 :「やれやれ、そんな発言で揚げ足取りしか出来ないんですか? アリスさんの発言は他人への同調しかないんですよ、まるで自分で推理している村人には見えない。昨日も共有が星さんを疑いだしたら、真っ先に乗っかってきましたよね?」
霊夢 :「投票先を見ると……パチュリーと射命丸が人狼という感じは、しないのよね。かといって慧音と射命丸が人狼なら、昨日の行動は意味が分からないし……」
アリス :「投票なんて、身内投票や何やらで誤魔化せるものなのよ?」
射命丸 :「あの場面で身内投票? 随分と度胸があると、過大評価されていますね、私は」
鈴仙 :「……そういえば、小悪魔さんが共有COしたのは、射命丸さんの発言があったから、かも……」
……えっ。
小悪魔……?
私は、鈴仙が恐るおそると取りだした会話記録に視線を送る。
そう。あれは3日目の昼……。
早苗が小悪魔を占った直後だった。
射命丸 :「囲いって疑うなら、小悪魔さんだって3票もらってますけどね。むしろ早苗さんの方が囲ったように見えますが?」
小悪魔が早苗の囲いではないかと、射命丸が疑った発言。
そして小悪魔は、それを受けてかどうか、村人に情報を与えようとCOした。
そのせいで次の日、噛まれた。
……そうか。射命丸は共有をあぶり出そうとしたのか。
共有を炙り出すメリットのある立場。……それは……
人狼。
射命丸、人狼?
パチュリー人狼、慧音狂人、射命丸人狼?
藍妖狐? パチュリーによる狐告発●出し?
だから、狩人は噛まれなかった。そして平和も起きなかった?
つじつまが、合う……?
考えるのよ、霊夢。
初心者だろうと、なんだろうと。
とにかく考えるのを放棄、それだけはダメ。
パチュリー人狼だとしたら……早目に囲われたアリスの方が……怪しい?
いや、しかし、アリス◯の次の日は●出し。●出しによりグレランは回避。そして次の日に射命丸◯出し。藍が狐で狩人COすると予見できていれば、囲ってもおかしくはない。
2日目、3日目のグレラン。……人狼がグレーに潜伏する事は、奴らにとって、それほど賭けでは……ないかしら。
人狼にとって3日目のグレランは、絶対に仲間が吊られてはならなかったはず。序盤の山だった……。
射命丸 :「騙りに狼が出ていない、かつアリスさんが囲いではない場合、ですか……。案外とあり得ますね。今日のグレランは期待できます」
3日目の段階で、アリスの囲いを示唆……? 早めに囲いを意識付けさせる為……?
射命丸……で、決める……の? ぐぅ……ぬぬぬ。
アリス、アリスが人狼だとすれば?
慧音が人狼だったことになり、そしてパチュリーが狂人……。が濃厚……。
パチュリーが狂人だったら、妖狐への●出しは? 偶然……だというの?
いや、もし……藍が狐ではなく本当の狩人という可能性も……。
違う、藍狩人だけはない。早苗を噛みにいったんだから……。
どっちが、正解なのだろう。
考えるほどに、二人の怪しさが無尽蔵に増加していくようだ。
そして、次第に鈴仙も、あるいは……
射命丸 :「……共有と星さん。人狼が何故に星さんを狙ったのか? それは昨日、星さんが“慧音さんとアリスさんが人狼”だと発言したからでは? 最終日、人狼は一票でも貰いたくない場面。残すわけがないですよね、自分を疑っている村人を」
アリス :「なるほど。その台詞を言うために、星を噛んだってワケね……。私だったら、結果的に正解の指定をした共有を残したくはないわね。なのにあえて星を噛んだって事は、理由が欲しかったんでしょ? 私をLWと疑う為の材料が」
射命丸 :「共有さん……。指定が欲しいですね。ここでブレると、人狼が避ける可能性が高い。村人の票バラケだけは避けたい。……共有の指定だったら、誰も責めはしないでしょう」
アリス :「……私も、賛成ね」
……やはり、私の投票次第……になるのか。
そう、村人同士で投票していたら、その時点で人狼の勝ちになる。
私の指定が……必要なんだ。
なら、考えた末、小悪魔から教えられた事、ここまでに少しでも学んだ経験、村の流れ。
そこから導き出された答えは……!
霊夢 :「射命丸文。あんたに投票するわ……!」
村が一瞬、静まり変える。
アリスは頷き、射命丸の顔は強ばり、鈴仙はごくりと固唾を飲んだ。
アリス :「了解したわ。私も射命丸に投票する。……これで鈴仙がLWでも、霊夢を責めはしない」
射命丸 :「……。まだです。まだ昼の時間はあります。これから、私が自分の無実を示しましょう!」
射命丸の声がひときわ大きくなった、その時。
私の左手に、人影が立った。
鈴仙が、席を立ち、俯き加減で、右手を前に突き出し、射命丸の言葉を制したのだ。
鈴仙 :「もういいですよ、射命丸さん。先ほどの議論で、自分の意見は全て言ったんでしょ?」
射命丸 :「……しかし。私が吊られると負けなんです。最後まで足掻くしかないでしょう」
鈴仙 :「……私も、霊夢さんの指定があるまで、射命丸さんに投票しようと思っていた。会話記録を眺め、投票結果を見つめ、それで出した結論。それは射命丸さんLWだったわ」
アリス :「それじゃ、投票しましょうか? 射命丸がLWであることを祈って……ね」
アリスの言葉を聞いて、鈴仙は顔を上げた。
そして左手にいるアリスに向かって、宣言する。
鈴仙 :「私は、アリスさんに投票する!」
え?
え??
ええええええぇぇぇ!?
ここで共有の指定無視って、そりゃないわよっ!
アリス :「……どういう事!? 自分が村人じゃないって宣言したいわけ?」
鈴仙 :「私は、自分の納得のいく選択をせずに負けるのは嫌。納得がいくなら、例え負けても引き分けでも、私のせいだとしても、それで満足なのよ」
霊夢 :「は、はぁ!? だったら、尚更! 射命丸に投票しなさいよ!?」
すっかりと困惑した私たちに向けて、鈴仙は目を瞑って語り始めた。
今まで村の中でも浮いて、村の流れに沿わなかった彼女が、ここでついに極みに達したのだろうか。
だが。
その演説に私は、思わず聞き惚れてしまった。
それだけのパワーがある。そういう何かを感じるのだ、彼女の言葉には。
鈴仙 :「私はこの村での推理は、ここまで……ことごとく外れていたわ。昨日だって、指示がなければ星さんに投票する所だった。ここまでミスリードすると、気持ちが良いってくらいに、推理が外れていた」
呆然とする射命丸をよそに、鈴仙は続ける。
鈴仙 :「だから私は、この最終局面で自分の出した推理を……否定する。私が考えた末に射命丸さんがLW、だから、あえて私はアリスさんに投票する!」
アリス :「……ばっ!? それじゃあ、あんたの言う納得した負けにはならないじゃないの!?」
鈴仙 :「いいえ、この自分の推理の否定こそが、私の納得の形よ。……ここまで生かしてくれて、ありがとう。よっぽど私のミスリードに期待してたんでしょうけど……。そうはいかないわよ、アリスさん」
射命丸 :「……! きょ、共有さん! 鈴仙さんに乗ってください!」
アリス :「馬鹿な……馬鹿げているわ。それでみすみす、勝利を手放すなんて……」
霊夢 :「私は……私は射命丸に投票するわよ! 鈴仙、考えなおして! 考えなおすのは、あなた!」
私の叫びが彼女に届くか否かのタイミング。
昼の時間が終わった。
私たちは結界によって、いつものように閉ざされる。
目の前の鏡に投票画面が映しだされ、最後の決断が迫られた。
ここまで9回も繰り返されてきた投票。
だが、今回は少し様子が違った。
その違和感に、私たちは目を見合わせて、首を捻る。
そう。私たちはお互いの顔が見れている。
私たちを仕切る結界が、無色透明なのだ。
つまり、この場で決着がつくので、お互いの顔を見ながら投票しろって事かしら……?
全員の困惑を察したかのように、天井からアナウンスが響いてきた。
『最終日の特別ルールです。投票後、霊夢さんから右回りで順々に開票を行います』
って。……なんで、よりによって私からなのよ……。
まぁ、名簿も何故か1番目になってたし、そういう事なんでしょうけど……。
「ふぅー……!」
最後に大波乱があったが、私の意見は変わらない。
私なりの答え、それが……これなのよ。
ついに4つだけになってしまった顔写真。
震える指先で、よくよく確認してから、その一つに、私は指を押し当てた。
周りの様子を伺えば、他の3人も投票を終えたようだ。
みな揃えたように額から冷や汗を流し、疲労を隠さない表情で天井を見上げていた。
『投票を確認しました。それでは、霊夢さんから投票先の発表をお願いします』
アナウンスが流れると同時、透明な結界は自然と消え失せ、私たちは「村」に戻ってきた。
もう投票は終えた。ここから迷う事はない。ただ、自分の選択を告げるだけだ。
「私は……射命丸。射命丸に投票したわ」
私の言葉に、射命丸が唇を噛む。
そして、目の前の鏡に投票の途中結果が映しだされた。
霊夢 (0票)→射命丸 | 射命丸(1票)→――― | アリス(0票)→――― | 鈴仙 (0票)→――― |
まずは、射命丸に一票……。次の発表は……。
『それでは射命丸さん。発表をお願いします』
アナウンスに従い、射命丸は口を開く。
彼女の選択は決まっている。いや、むしろ、私たちにとっての問題は最後の開票者だけだ。
「私は、アリスさんに投票しました」
霊夢 (0票)→射命丸 | 射命丸(1票)→アリス | アリス(1票)→――― | 鈴仙 (0票)→――― |
そう、射命丸は当然、アリスに投票するしかない。
そして、そのアリスは……。
「射命丸に投票したわ」
霊夢 (0票)→射命丸 | 射命丸(2票)→アリス | アリス(1票)→射命丸 | 鈴仙 (0票)→――― |
これで射命丸に2票、アリスに1票。
本当ならば、このまま射命丸が吊られるはずなのだ。
なぜなら、共有者である私が指定したのだから。
だが、この村は最後の最後に、もう一波乱起きそうなのだ。
それが、次に開票される……。
『それでは鈴仙さん。発表をお願いします』
アナウンスの言葉を合図にして、私たち3人の視線が鈴仙に集まる。
射命丸からすれば、ここで自分に票が入れば負け……。
鈴仙がアリスに入れない限りは、射命丸が吊られるはず。
アリスに票が入れば……引き分け……。
頼む。
お願いよ。
鈴仙、考えなおしていて……!
「私は……」
鈴仙の瞳に、強い光を見た。
その瞬間に、私は肩を落とす。
「私はアリスさんに投票したわ」
博麗神社村 9日目投票結果
霊夢 (0票)→射命丸 | 射命丸(2票)→アリス | アリス(2票)→射命丸 | 鈴仙 (0票)→アリス |
ああ。
結局、彼女は考え直さなかったのか……。
それもそうね。あれだけの演説をぶちかましてまで、アリス投票を宣言したんだから。
……っと。初めて投票が引き分けになったけれど……。
なるほど、また投票をし直すってことね。
残り2回の内で、決着がつかなければ、引き分け決着になるってこと……。
ここまできて、引き分けは嫌ね。
何がなんでも勝たなきゃ……。
「鈴仙、あんた……」
私は彼女に話しかけようとして、すでに結界が張り直されていることに気付いた。
そうか。ここからは言葉もなしで、投票のみが繰り返されるのか……。
ってことは、私が勝つには鈴仙が考え直すのを待つしかないって事……?
それか、もしくは私がアリスに投票を変えるか……。
射命丸とアリスはお互いに票を入れ合うしかない。だからここは変わらない。
ならば、私か鈴仙。どちらかが票を変えない限り、このまま引き分けになってしまう……!
「射命丸……。だと、思うんだけど……。そう、決めたんだけど……!」
まただ。
また、私の脳内に嫌なものが渦巻き始めた。
猜疑、疑心、鬼。巫女のクセに、心の中の鬼に惑わされるなんて……。
悔しいけど、私は今、完全に“奴”に翻弄されている。
「……落ち着いて。落ち着いて……」
そうだ。この投票結果も新しい情報と考えるのよ。
一から考え直しましょう。
まず。鈴仙が人狼だという可能性はなくなった。
彼女がLWならば、射命丸に投票すれば済む話。あの演説もブラフで、投票だけは射命丸に入れるかも……と考えていたけれど、杞憂だったようね。
……そう。鈴仙がLWなら射命丸とアリス、どちらを吊っても勝ちのはずなんだか……ら……
あれ?
いや、もしかして……?
あるわ。
鈴仙が人狼でも、アリスに投票しなきゃいけない理由。
アリスが、妖狐。
【人狼】【妖狐】【共有者】【村人】
実は今、この村はこういう内訳だったとしたら……?
人狼は村人を吊っても、妖狐の勝ちになってしまう。人狼とすれば、妖狐を吊らなければ負けになってしまう場合。
そして鈴仙はアリスが妖狐と知りつつ、LW故にCO出来ない……としたら?
いや。
やめましょう。
この考えはあまりにも深入りし過ぎている。考えすぎよ。
【人狼】【妖狐】【共有者】【村人】
この内訳は、村の勝ちがもう無いパターン。私がいくら考えても村は勝てない状況。
こんな絶望的な予測は、この局面においては無意味なはず。
私はあくまでも人外はLWのみ。そういう立ち位置で考えねば……。
『まだ投票をしていない方は、3分以内に投票を済ませてください』
アナウンスで我に返り、顔を上げた。
見ると、射命丸とアリスは投票を終えた様子で、固い表情のままにじっとこちらを見ている。
……あぁ。私だけか、悩んでいるのは。
いや、違う。
私の左手にも、悩む者がいた。
鈴仙だ。
鈴仙は、両手をおでこに当て、机に突っ伏すようにして悩んでいた。
そう。彼女もまた、悩んでいる。アリスか射命丸か。票を変えるか否かで、揺れ動いている。
やはり、彼女も村人。私と同じように悩み苦しむ村人だ。
会話記録を見る。
アリス、射命丸。それぞれに怪しい発言がある。どれも人狼の装いに見える。
アリス :「咲夜が噛まれた……? パチュリーの囲い候補を噛むとは、意外ね……」
射命丸 :「今日になって、急に共有に擦り寄りますねぇ。私の中で人狼は『慧音とアリス』で決まりですかね」
アリス :「全員破綻……ね。……まぁ、とりあえずパチュリーと藍から吊っていいかしらね?」
射命丸 :「……真占いとラインを切っておいて、その占い噛みに来た理由に何かのヒントが隠されていそうな……。慧音さんが狂人だからなのでしょうか……」
アリス :「妹紅がそこまで反対する理由は? 本物の狩人か、人外なのかしらね」
射命丸 :「あややや……。参りましたね。自分で言うのもなんですが、パチュリーさんからの◯は確かに怪しいんですよね」
アリス :「そうね。私も狐告発が入っていると思う。明日の霊能結果によっては、それが分かるかも」
射命丸 :「やはり役欠け濃厚ですか……。霊能も時期を見て吊りたいですね」
アリス :「ふふ、そんな事を言って、チルノ投票者以外の所にごっそり人外がいるんじゃないの?」
射命丸 :「占いの内訳は分かりませんねぇ。役欠けは間違いないと思うんですが……」
アリス :「それにしても、ねぇ。いつもはあんなに騒いでいるのに。チルノって人狼プレイ中は、随分と静かなのねぇ」
射命丸 :「ふーむ。2-1ライン……ですか? 本当に役欠けかもしれませんねぇ」
発言を遡っていく。
見れば見るほど、私の判断は曖昧になっていく。
自分から自信がなくなっていく。
『残り時間は1分です』
アナウンスに気付き、また顔を上げた。
鈴仙が、組んだ両手に顎を乗せ、固く目を瞑っていた。
彼女は、投票し終わったようだ。
残すは、私の投票のみ……。
発言から正解を導きだすのは、不可能じゃないかと思えてきた。
相手は少なからず、このゲームに熟練しているはずだし、シロウトの私には見抜く事は出来ないかもしれない。
これは弱気な発言じゃないわ。れっきとした事実。そして、勝つための手段。
射命丸とアリス、どちらが敵か分からないのがいけないのよ。
味方とハッキリ分かる人がいれば、その意見は信用できる。
そう、味方。
私は、2日目、最初の投票結果をテーブルの上に置いた。
博麗神社村 2日目投票結果
霊夢 (0票)→アリス | 魔理沙 (1票)→お燐 | アリス(2票)→チルノ | 咲夜(1票)→アリス |
チルノ(6票)→小悪魔 | パチュリー(0票)→チルノ | 小悪魔(3票)→射命丸 | 藍 (0票)→チルノ |
慧音 (0票)→小悪魔 | 妹紅 (0票)→チルノ | 射命丸(1票)→魔理沙 | 早苗(0票)→小悪魔 |
お燐 (1票)→チルノ | 妖夢 (0票)→チルノ | 鈴仙 (1票)→咲夜 | 星 (0票)→鈴仙 |
チルノが吊られた日。この投票結果。
ここに、私の答えは、ある。
私の指は震えることなく、選択肢へとまっすぐに伸びていった。
『2回目の投票を確認しました。それでは射命丸さんからお願いします』
射命丸から!?
……ああ、開票は一個ずつ、右にずれていくのね。
となると、今回のラストアンサーは私か。
……望む、ところよ……!
射命丸は私と鈴仙に鋭い視線を送ったあと、大きな声で宣言した。
「私は、アリスさんに投票しました……!」
霊夢 (0票)→――― | 射命丸(0票)→アリス | アリス(1票)→――― | 鈴仙 (0票)→――― |
必然。ここは聞くまでもない。
続く言葉は、自信を持って、ただ鈴仙に不安げな瞳を向けたままで告げられる。
「私は射命丸に投票したわ」
霊夢 (0票)→――― | 射命丸(1票)→アリス | アリス(1票)→射命丸 | 鈴仙 (0票)→――― |
この1対1の得票は、予定調和。
問題は……次……!
『それでは鈴仙さん。発表をお願いします』
鈴仙が組んでいた手を解き、ゆっくりと瞳を開いた。
額からは脂汗、乾いた唇を舌で濡らし、誰の顔も見ず、彼女は一回だけ歯をカチリと鳴らした。
私と同じような苦悶の末、彼女の出した結論は……!
「アリス、投票……!」
霊夢 (0票)→――― | 射命丸(1票)→アリス | アリス(2票)→射命丸 | 鈴仙 (0票)→アリス |
搾り出すような、うめきのような声。
そして落胆するアリスと、ニヤリと笑う射命丸。
これで、私が射命丸に投票すれば、2回目の引き分け。
3回目の最後の投票に全てを託すことになるだろう。
『それでは、霊夢さん。発表をお願いします』
――私は……鈴仙の演説に、何か力強いものを感じた。
自分が人狼どもの術中にハマっている事を自覚し、それを告白したこと。それに感じるものがあったのだろうか?
いや、違う。
私が感じた力は、きっと。“共感”。
何に共感したかって?
それは、きっと。
カッコをつけないこと。
そうだ。私はここまで、カッコつけだった。
ルールすら知らなかった初心者のクセに、小悪魔の授業を受けて、このゲームを熟知したかのように勘違いして、変に推理をしてしまった。
いや、推理をするのが悪いことじゃない。だけど、この場合は別。
私の周りには玄人が多い。
鈴仙だって初心者なワケではないだろうけど、騙されていたんだ。
初心者の私は当然、人狼にいともたやすく誤った推理へと導かれてしまう。
初心者だから、そして、下手に推理しようとしたから。
発言を見返し、投票から何かを見出そうとし、皆の意見に耳を傾け。
そして結局、全てを見失っていたんだ。真実から目を背けさせられていた。
……だから、私が最後に信じるべきなのは……。
原初の自分。
人狼というゲームを知る前の自分。
そして、私の信じるものは。
自分の、カンしかない。
発言も何も知らず、ルールすらおぼろで、そんな中で閃いたカン。
それこそが、私の武器だったはず。それを今まで、忘れていたんだ。
私は、胸を張ろう。
これで負けても、私は後悔しない。
その覚悟が、きっと足りなかった。
覚悟は鈴仙から教わった。
「私は……」
あー、もう!
まだ声が震える。
小悪魔の落胆した顔がチラつく。
LWのほくそ笑む顔を想像しちゃう。
怯むな。
もう投票しちゃったんだから、いまさら変えられないのよ!
腹からしっかり声を出せ!
最後くらい、共有者らしくビシッと決めなさいよ!
私は……!
「私はアリスに投票したわ!」
「な……」
「霊夢さん……!」
「まさ、か……?」
驚愕が私を包んだ。そりゃ、そうだ。
今までの私なら、絶対に射命丸から票を動かさないはずだったんだ。
それを分かっていて、人狼は私を残したんだから……!
そして私は、目を見開いたアリスの顔を見て、確信した。
博麗神社村 9日目(再投票2回目)投票結果
霊夢 (0票)→アリス | 射命丸(1票)→アリス | アリス(3票)→射命丸 | 鈴仙 (0票)→アリス |
結果が発表されると同時、轟音が辺りに響き渡った。
「な、なに!?」
何事かと身構える私の目の前に、信じられない光景が広がった。
私たちのいる部屋の壁という壁が、一斉に崩落をし、まるでハリボテが倒れるように建物がなくなったのだ。
そして、そこは何故か、私の神社の境内だった。
「え……? もしかして、うちの境内に建ててたワケ……? この建物……」
呆気に取られる私の目に、小悪魔の姿が映った。
彼女だけではない。壁の向こうで観戦をしていたらしい、先にリタイアした面々が私の方へ駆け寄ってきたのだ。
『村人陣営の勝利です! 村人は人狼の血を根絶やしにすることに成功しました』
最後の、勝利を告げるアナウンスが聞こえてきた。
それでようやく、私は最後の選択が正しかったのだと理解が追いつく。
「霊夢さーん! すごいです! もうダメかと思いました~!」
「いやー、よくやった、霊夢。お前、本当に未経験者か?」
小悪魔と魔理沙の労いの言葉が耳に入るものの、私は緊張から上手く抜け出せないで、ぼーっと椅子に座ったままだった。
そして、大きなため息をつくと、ようやく立ち上がる事ができた。
「ありがとう、小悪魔。あなたのおかげよ。私も勝てるとは思わなかったわ……」
村人陣営の人たちが、私に向かって拍手を始める。私は照れ隠しで、鈴仙と射命丸を前に押し出して、その陰に隠れた。だってここまで散々迷走してきて、ヒーロー扱いされるのは恥ずかしいじゃない。
「ん……? あいつら……」
そしてふと横を見ると、歓喜に湧く村人たちの陰で、人狼たちがアリスを囲んで反省会を行っているのが目に入った。
「ごめんなさい……」
「いや、良くやった。共有に何があったか分からないが、アリスにミスはなかったよ」
「パチュリーさんに申し訳ないです。すごくいい仕事をしてくれたのに」
「いや、私が人狼って設定になるなら、アリスを囲ってしまっていたのはマズかったわね……」
うーん。やっぱり負けるとなると、悔しそうなものね。
一歩間違えれば、私たちが反省会を開くハメになっていたのか……。本当に、ギリギリだったのね……。
また境内の端の方で、藍が佇んでいるのを発見した。
なんだか、酷く落ち込んでいるようだけど……。あぁ、彼女も負け陣営なのね。それにしては……
『さぁ、みなさーん。お待ちかねの賞品ですよ』
その時。主催者、そしてゲームマスターの紫が現れた。
その手には大きな包みがあり、中には賞品である秋の味覚が敷き詰まっているんだろう。
まぁ、それは当然いただくとして……。
その前に、私にはやるべき事がある。
「ちょっと、紫! あんたねぇ、無理やりゲームに投げ込まれた身にもなってみなさいよ!!」
私は激怒しつつ、大声で紫へと詰め寄った。
私の言葉を聞いた瞬間、奴は何か「しくじった」というような顔になる。
あら? 予想外の反応ね……。
「ん? おい、霊夢! やっぱりお前、自分から参加したんじゃないのか?」
後ろから尋ねてきた魔理沙に、もちろんよ、と頷いてやる。
「当たり前じゃない! なんだって、ルールも知らない興味もないゲームに参加しなきゃいけないのよ! いくらなんでも、そんな迷惑行為はしないわよ?」
「……やはり……か」
私の答えに、会場のみんなは静まり返った。
あ、あら? 興味がない、とか言っちゃマズかったかしら……?
そりゃ、そうよね。みんなは、このゲームが好きで集まってるんだから……。
あ、謝っとこうかしら……?
「大会主催者。参加意思のないものを、強制的に参加させたというのは本当か?」
反省会を中断し、慧音が横から入っていく。
それに続くように、魔理沙が一気に捲し立てた。
「道理でおかしいと思ったぜ、紫! お前の魂胆は分かってる! 神様からの恵みを、合法的に独り占めしようっていうんだろ!」
魔理沙は懐から内訳表を取り出し、みんなに見せるようにして更に続ける。
「藍が【妖狐】だって事で、引っかかったんだ。なぜなら【妖狐】は唯一、勝利しても仲間がいないからな。【妖狐】が勝ったとしたら、そのプレイヤーが一人で賞品を独占できる! 手下である藍を【妖狐】にして、ルールも知らない霊夢を共有者に当てる。作為的なものを感じるぜ!」
あ……?
確かに、そう言われればそうかも……。
魔理沙の言葉に、紫は表情を変えず。しかし、その足がわずかに後退したのを私は見逃さなかった。
「……なるほど。引き分けのルールにしてもおかしいと思ったわ。これだけの人数を集め、大掛かりな仕掛けを用意して行うゲームなのに、3回の引き分け投票でお流れになるなんて、不自然な設定だと思った。勝負が引き分けになるとしたら、その賞品は誰のモノになっていたのかしらねぇ?」
「咲夜さんの言うとおりだわ。【共有者】が不慣れで指定などが出来なければ、引き分けの確率が高くなる……。霊夢さんが【共有者】だった事とつながるかも……」
「ねぇ、まさか。初日犠牲者も村人陣営にカウントされるんじゃないよねぇ? もし、そうだったら、初日犠牲者役のお姉さんは村が勝っても分け前はもらえるって事かい?」
「そういえば、生き残ったプレイヤーは報酬が増えるっていうのも変だと思ったよ。人狼では自分を犠牲にしてチームを勝ちに導くことも大切なのに、報酬が減るっていうんじゃたまったもんじゃない。吊られやすい騙りや、狙われやすい役職はCOが出来なくなる」
「なるほど……。村人と人狼が混乱すれば、一番勝機が上がるのは妖狐ですからね……。そういう意味があったのかも」
お、おお。流石は人狼プレイヤーの皆さんね。
あっという間に紫の胡散臭い企みを暴いて、次々と怪しい所をつついているわ。
だけど紫は、クスクスといつもの笑みを浮かべて、鼻息の荒くなった村人たちに反論した。
「いやぁねぇ、そんな憶測。私はみんなにゲームを楽しんでもらいたかっただけなのに……」
「なら、なんで私を参加させたりしたのよ!」
「霊夢にもやってみて欲しくてね……。やらず嫌いはダメよ」
「う、まぁ。ちょっと楽しかったけど……」
「それにね。私が藍を【妖狐】にして、彼女を勝たせようと不正をしたっていうのなら。初日犠牲者は【占い師】にするに決まってるじゃない? けど、そうじゃなかった。これは、あくまでもクジ運の問題だった、って事よ」
確かに【妖狐】が一番勝ち易いのは、初日犠牲者が【占い師】だったパターン。
紫が本気で藍を勝たせようと配役をいじったのなら、初日犠牲者は【占い師】だったはず……。
「やれやれ。抜け目ないな。そうやって逃げ道を作っておいたワケか……」
魔理沙が呆れたように、そして悔しそうに呟いた。
「まぁ、証拠もないしねぇ。大人しく賞品を頂いて帰るとしますか」
確かに妹紅の言う通り。いくら怪しくても証拠がない。
例え初日占いだったとしても、紫が役職に手を加えたという証拠にはならないのだ。
「霊夢さん、お疲れ様でした! 鈴仙さんと射命丸さんも誘って、紅葉狩りにいきましょうね!」
そうだ。まぁ、今回はとりあえず。
小悪魔に借りは返せたし、これ以上はとやかく言わないでおこう……。
ただし。
「紫、面白い遊びを教えてくれて、ありがとう」
「……喜んでもらえたみたいで嬉しいわ」
「なら、今度は……同じ舞台で戦おうじゃないの」
「なるほど。いいわよ? ただし、もうちょっと経験を積んできなさい。私は多分、手ごわいから」
そういうと紫は賞品の包みだけを置いて、ひらりと身を翻した。
私が「ちょっと待ちなさい!」と言おうとした瞬間には、奴とその手下はどこかへ消え失せた後だ。
……毎度のことながら、便利な能力ねぇ。
「……うーむ。逃げられた感じだな」
「まぁ、何はともあれ。賞品は置いていったから良しとしましょう。コレを使って宴会でも開きましょうか?」
「おう、そうだな。おーい、アリスたちも来いよー」
「……? 私たちは負けたのよ」
「いいじゃん。負けたのは紫だけって事で。打ち上げを兼ねて、みんなで頂きましょう!」
その日、紫がめちゃくちゃにしていった境内を皆で片付け、咲夜の調理で秋の味覚を美味しく頂いた。
小悪魔が言うには、こういうのを「終了後トーク」というらしい。……私には宴会にしか見えないけど。
まぁ、それも楽しいもんだ。
「それにしても霊夢さん。なんで最後にアリスさんに票を変えたんですか?」
「そんなもん、アレよ。ただのカン」
「そうかぁ? それにしちゃ、随分とお悩みだった様子だけどな」
「カンを信じるかどうかで迷ってたのよ!」
「8日目に私を吊る決断。あちらの方が我々としては意外だったな」
「……きっと、普通のルールだったら星を吊ってたわね。あくまでも紫の作った変なルールだから助かったのかも。自分が生き残ろうとした結果の慧音吊りだったからね」
「ふーん。役職ボーナスとかも、思えば紫の奴に上手いことハメられた仕組みだったもんな」
ゲーム中はお互いに疑いあったり、騙し合ったりしていた連中だけど、それはあくまでもゲームの中の話。
こうして酒を囲めば、村人陣営だろうと人狼陣営だろうと打ち解けあえる。
まぁ、いきなり吊られたチルノは「なんでよー!」とかなんか喚いてるけど……。
「それにしても、人狼が勝ってたらMVPはパチュリーだったな。お見事だったよ」
「……そうかしら。アリスの潜伏も上手かったおかげだけど」
「MVPって何?」
「勝ったチームで、一番活躍した人の事ですよ」
「霊夢、最後の投票は見事だったけど、お前にMVPはやれんな」
「何よー。私だって頑張ったのよ?」
「MVPは私じゃないですかぁ? 私がいなかったら再投票の前に負けてましたよぉ」
「うわ、酒臭いウサギが来たわ」
うん、こんな風に話を肴にお酒が呑めるなら。
「汝は人狼なりや?」……これからも、やってあげても、いいかもね。
私は勝利の美酒を味わい、そして初めての戦いを終えた――。
面白かったです。お疲れ様でした。ありがとうございました。
役職一覧と狼側会話、狩人日記も添えていただき、感謝しています。
役職一覧はfc2へのjpgリンクは見れないので、アドレス直書き込みで確認させていただきました。
LWは最終日9日目の昼会話がなければ、あややと誤解したままでしたね。
あややの最後のほうの発言で、ようやくアリス≧文になった程度。
読み返してみれば確かに、8日目昼を中心にアリス狼っぽい発言があるのに、
それに気付かないとは、まだまだ経験が足りないと反省しています。
しかも狩人は、結局最後まで当てられず。魔理沙だと指摘できた方、すごいと思います。
それにしてもパチュさん狂人仕事しすぎ。特に藍しゃまに●出しがすごすぎます。
生存ボーナスがある等の特殊設定でしたが、狼側も含めてみんな平和に終わってなによりです。
これから終了後トークという名の宴会ですね。お茶受けまだ残っているかな……?
氏のSSで人狼知った初心者でしたが、とても面白かったです。
また読み直してきます。
魔理沙が最後COしてたらどういう展開になってたんだろう…
それでは、内訳理解した上で二周目行ってきます
というかこのゲーム、霊夢さんのカンってマジチート。
いや、なんにせよアリスはここまでよく頑張った
ちょっと肩透かし感あるけど東方キャラらしさを出したと言えなくもないかな?
でなきゃキャラ置き換えしただけのログになってしまう。
クロス作品は東方らしさが薄れるのは仕方ないとしても東方キャラらしさを残すのが大前提
その点では博麗神社村は無問題と思います。
いやあ楽しかった。また人狼やろっかな
次作も期待しております
霊夢が最後に勘を信じ直したのは正しいと思います。
と言うか、自分もそれができないせいで負ける事が諸々と。
相手の手札にクリーチャー除去カードが無いと感じたなら、フィニッシャーを出せばいいのに……。
怯えた結果、返しのターンで手札破壊を喰らいおってからに……。(MtGの体験談)
そんなこんなで、最後に勘を信じる事ができた霊夢が羨ましいです。
私もそうしたいなぁ。
霊夢とパチュリー、けーねはマジファインプレイ。
盛り上がった。
そして、藍しゃまドンマイ。
橙にもふもふされればいいと思うよ。
こんなに気になったSSは久しぶりでした。
周りの考え方とか霊夢の最後の決定が、それぞれ彼女達らしくて素敵です。
ところでレイコア!?レイコア!?と思っていたのは自分だけですよねすみません
人狼がやりたくなりました!
この作品は読み返して二度おいしいです
凄く面白かったですし、初心者なりにもすごく頭も使いました。
が、3話目辺りの霊夢がルールブックを隈無く読み返して『敗者には相当の労働~』の部分が気になって気になって推理に半分、敗者に労働制度をどう切り返すかに半分で結局、そのことに突っ込まなかった霊夢の描写が無かったのは残念です。
まぁ、一意見としてですが『敗者には相当の労働~』部分の描写が無ければ「この試合は負けて次回のリベンジの糧か!?」的なことも感じながら読めたのでしょうがあの描写のおかげでどう見ても霊夢サイド勝利を伺わせることしかできませんでした。
とりあえず、お話は面白かったので次のお話、楽しみにしていますね。
(白赤+独り言+墓下)
紫死亡時「ああ紫ちゃんがゲルト役なのね。よく寝てるし」って思った俺はスキマ送りでいい。環境違う人狼だと気付くの遅すぎ。
とても楽しめた+楽しみだったいい作品だと思う!
終盤はチンプンカンプン。
投票結果からの読み判断は参考になるし狼立ち回りはやりおる
短期卓だとセオリーなぞりばかりになってつまらいから、こういうのもやってみたい。
作品として読むと、これのタイトルは「東方で学ぶ汝は人狼なりや?」であって、東方SSかと言われるとどうかな
ジェネ投稿は正しい
途中ちょこちょこ挟まる霊夢死亡と見せかける幕間、邪魔なだけだった
試合は純粋に面白かったです
途中からホントに考えがはずれまくって混乱しますねこれw
作中で霊夢が右往左往するのがほんとわかりますw
狩人とか狐はなんとなく分かりましたが、狼全員当てるのは無理でしたwいやはや、とても楽しかったです。
最後がただの勘というのが、個人的には霊夢らしいなぁと感じられて、良かったですっ。
そして霊夢と小悪魔のコンビが可愛すぎて、このコンビ良いなぁと思ったりもしましたw
アカギとかヒカ碁とかみたいに、なにがどうすごいとか理解出来てなくても伝わってくるあの緊迫感。それと同じ物を感じました。すげぇ。