Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

WCの誓い

2007/08/31 20:47:00
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紅美鈴は紅魔館の門番だ。
彼女は辛いものが好きである。

この日は、朝からいつもより多くカプサイシンを摂取していた。
急に辛いものをものすごい量で食べてみたくなったのだ。

朝にはスープが真っ赤な漬け麺を食べた。
もちろん、唐辛子で真っ赤になっている。血や紅茶ではない。
黄金色の麺が、唐辛子の破片やら油やらをまとって瞬時に赤色へと変色する。
ついでにキムチも食べた。
余談だが、調理場を通りがかったメイドがスープの湯気に中てられ、「目が、目がぁ!」と転げまわっていたそうな。

そして、ついさっき昼食として焼きうどんを食べた。
ラー油が漬かるほどかかっている焼きうどんを、彼女は残さず平らげた。
ラー油も含めて。


そして今。
美鈴は紅魔館の一室にいた。
厳密には、一室の中の一室に。

「うおああ、ぐああああぁ・・・」

悲鳴のような声が思わず出てしまう。
今美鈴は猛烈な腹痛と戦っていた。刺激物質に刺激されている状態だった。
汚い話だが猛烈に辛い。両方の意味で。

(・・・こんなことならあんなに食べるんじゃなかった。本気で痛い・・・もう食べないから、早く治って・・・)
量を制限しておけばよかったのに。

詳しい描写をするのは倫理的にはばかられるので、省略。
結局50分ほどして美鈴は地獄から開放された。

とぼとぼと門へ向かう美鈴。
すぐ目の前にまたもや地獄が迫っているとは知らずに。

「め~い~り~ん?」
「ひ、ひゃいっ! ななななんでございましょうか咲夜さん!?」

目の前にメイド長という名の鬼がいた。

「長時間姿が見えなかったけど、どうしたのかしら?」
「あ、え、えーとですね、ちょっとトイレに」
じゃこっ。
ナイフが美鈴の帽子を貫いた。
「食後のトイレ休憩は何分だったかしら?」

A 知らないと答える
B 正直に答える

そんな選択肢が美鈴の頭に浮かぶが、すぐさま廃棄された。
ここで知らないなどと言おうものなら、「じゃあ教えてあげる」などと言われて即座にお仕置きタイムだ。
頭上のナイフがその未来を如実に語っていた。

「ひ、に、20分です・・・」
「よろしい。ではあなたは何分トイレにいたのかわかるかしら?」
「そ、その・・・」
(やばい、※される・・・!何か、うまい言い訳を・・・!)
少女思考中・・・

「ちょっと、その、ロマンティックが止まらなかったんで・・・」
じゃこっ。
「返答になっていない」
「ひい!い、言い訳を考えてただけなんです!」
「スーパーお仕置きターイム」

古典的な路線で攻めるのはだめなようだ。
その後何があったかは彼女の名誉のために伏せておく。
ただ、美鈴はちょっと嬉しそうな顔をしていたらしい。

さて、夜中。
通常業務が終了し、美鈴は夜食をとっていた。
「なんで・・・トイレに行っただけでお仕置き・・・」
まだ気にしているようだ。
人間運の悪い日もあるよ。人間じゃないけど。

そんな大いなる悲しみの前には、WCの誓いもどこかに吹っ飛んでしまった。
今度はカレーライスだ。某チェーン店の10辛カレーに相当すると言われている、紅魔館特製の「究極メイドカレー」。
量もなかなか。1000gは絶対に割りませんとシェフご自慢の一品だ。「橙と聞いて「帰れ」」
トッピングにはキムチとロースかつを採用。彼女が後付けで載せたものだが。

腹も十分に満たされたこともあって、その後はぐっすりと眠れた。

翌日。
昨日同様に朝から辛いものを食べていた美鈴は、異変に気づいた。

(あれ・・・?つらくない。)

辛く感じないのです。

美鈴の体は、驚異的な対応能力で辛さ耐性を身につけていた。
これに気づいた美鈴、喜びながらどんどん辛いものに挑戦していった。
普通の辛さでは物足りなくなってしまったようだ。
香霖堂で激辛ソースを購入したり、料理の唐辛子を増量してもらったり。


後日、辛いものの食べすぎで鼻血を出して倒れるまで、美鈴の挑戦は続いた。
人間はそんな簡単に慣れないらしく、私は今でも苦しんでいます。
touat
コメント



1.名無し妖怪削除
美鈴に妙に共感してしまった