光の届かぬ、昏き地の底。影が二つ、光が一つ。
「…げ、橋姫」
「会いたくないならどうして此処に来たのかしら?」
「別にお前に用があって来た訳じゃない、って言ってんの」
「それはどうも。私も正体不明の化け物とは関わりたくないのよ」
「嫌いになれる程度には私のことを知ってるくせに」
「五月蝿い。貴方の方こそさっさと通り過ぎればいいんじゃないかしら?ぬえ」
「やだ。誰かが困ってる顔は私の大好物だしー」
「…呆れた」
「で。この先に何の用があるのかしら?」
「んー?"郵便屋さん"…かな」
「手に持ってるそれが"お届け物"、か」
「御明察。ちょっとしたプレゼントってやつ」
「随分と怪しいプレゼントもあったものね。一体なんなのよ、それ」
「希望、かな。…たぶん」
「…はぁ?」
「言葉そのままの意味。活力とか、意志とか…私もはっきりとは分からないけど、そういう概念が詰まってる」
「少なくとも私には無用の長物ね。むしろ、貴方が持ってればずっと貴方を嫉み続けることが出来るのに」
「…ククッ、さすがは橋姫。でもさぁ、私―」
こいつを持たせたら面白いことになりそうな奴、一人だけ知ってるんだよね
「見たいと思わない?あいつが皆から羨望の眼差しを受けてるところ」
「馬鹿馬鹿しい。誰が希望を持ったって私のやることは変わらないわ」
「…。やっぱやーめたっ。これは私のものだ」
「…?何を言って―」
「これがあればお前の視線を独り占めできるかも知れないから。村紗が悲しむだろーなー。ねーパルスィー?」
「…ヒャハハッ、なーに泣きそうな顔してんの!?嘘に決まってんじゃんバーカ!」
「…調子付くなよ、ぬえ」
「いだっ、いだだだだ」
「誰が希望を持とうが、私は全てを嫉み続けるだけ。特定の誰か、まして水蜜だけなんて論外もいいところ」
「っつつ…。…わざわざ名前呼びしてるくせに」
「…ぁ…、と、とっとと行きなさい、この馬鹿!」
「はいはい、それじゃあ行ってきます…あぁ、そうそう」
「まだ私に向けた厭味が残ってたかしら?」
「…村紗、本当に悲しんでたから。たまには命蓮寺に会いに行ってやって欲しいな」
「…此処でやることが無くなったら考えるわ」
「そっか。村紗には伝えないでおく」
「…ありがとう、ぬえ」
「橋姫のお礼なんて要らない」
「だったら、そこの"希望"の一つにでもしてあげて頂戴」
「それにはちょっと勿体無いなー…なーんて。それじゃ、また近いうちに」
光が去った、昏き地の底。あとに残るは、影が一つ。
「…げ、橋姫」
「会いたくないならどうして此処に来たのかしら?」
「別にお前に用があって来た訳じゃない、って言ってんの」
「それはどうも。私も正体不明の化け物とは関わりたくないのよ」
「嫌いになれる程度には私のことを知ってるくせに」
「五月蝿い。貴方の方こそさっさと通り過ぎればいいんじゃないかしら?ぬえ」
「やだ。誰かが困ってる顔は私の大好物だしー」
「…呆れた」
「で。この先に何の用があるのかしら?」
「んー?"郵便屋さん"…かな」
「手に持ってるそれが"お届け物"、か」
「御明察。ちょっとしたプレゼントってやつ」
「随分と怪しいプレゼントもあったものね。一体なんなのよ、それ」
「希望、かな。…たぶん」
「…はぁ?」
「言葉そのままの意味。活力とか、意志とか…私もはっきりとは分からないけど、そういう概念が詰まってる」
「少なくとも私には無用の長物ね。むしろ、貴方が持ってればずっと貴方を嫉み続けることが出来るのに」
「…ククッ、さすがは橋姫。でもさぁ、私―」
こいつを持たせたら面白いことになりそうな奴、一人だけ知ってるんだよね
「見たいと思わない?あいつが皆から羨望の眼差しを受けてるところ」
「馬鹿馬鹿しい。誰が希望を持ったって私のやることは変わらないわ」
「…。やっぱやーめたっ。これは私のものだ」
「…?何を言って―」
「これがあればお前の視線を独り占めできるかも知れないから。村紗が悲しむだろーなー。ねーパルスィー?」
「…ヒャハハッ、なーに泣きそうな顔してんの!?嘘に決まってんじゃんバーカ!」
「…調子付くなよ、ぬえ」
「いだっ、いだだだだ」
「誰が希望を持とうが、私は全てを嫉み続けるだけ。特定の誰か、まして水蜜だけなんて論外もいいところ」
「っつつ…。…わざわざ名前呼びしてるくせに」
「…ぁ…、と、とっとと行きなさい、この馬鹿!」
「はいはい、それじゃあ行ってきます…あぁ、そうそう」
「まだ私に向けた厭味が残ってたかしら?」
「…村紗、本当に悲しんでたから。たまには命蓮寺に会いに行ってやって欲しいな」
「…此処でやることが無くなったら考えるわ」
「そっか。村紗には伝えないでおく」
「…ありがとう、ぬえ」
「橋姫のお礼なんて要らない」
「だったら、そこの"希望"の一つにでもしてあげて頂戴」
「それにはちょっと勿体無いなー…なーんて。それじゃ、また近いうちに」
光が去った、昏き地の底。あとに残るは、影が一つ。