4か…4っていうのはきっと特別な数字だろう
たとえば時間で言うと午前4時は夜を追い払って朝を迎え入れ
それでいて午後4時になると昼と夕方を入れ替える役割もする
何かを分けるときでも4等分てよくあることじゃないのかな?
なんというか4ってきっと何かと何かを分ける境界線じゃないのかと思う
カッ、カッ、カッ、カッ、カッ
右手の上にある円状の物の3つの針がちょうど12を指し示していた
「何だ、まだそんな時間か」
僕は左手の本を読むのを止めて一息をついた
後1時間ほどで頼んでおいた物がくるかな
今日は会員制屋台の出前を頼んだんだ、普段じゃできないちょっとした贅沢
新メニューを選んだのだがはたして、どんな味がするのだろう……
どうも、香霖堂店主の森近 霖之助です。
この頃お客さんが来るようになったんでね、いい気分なんだ
客人帳を付け始めたんだが1冊を日付と天気を
埋め尽くすことにならなくて安心したよ
まぁ、この前のやつは客と呼ぶにはあまりにも迷惑なものだったが
とりあえず先週は危なかった、いや、ホントに
天狗には目を付けられ危うく幻想郷中に生き恥を晒すところだったんだ。
独学で学んだトラップで制裁を加えたおかげで難を逃れたから良かったものの…
とはいっても、その程度の事、この幻想郷ではザラにあることなんだけどね。
と、いうわけで、そんなことは置いといて…だ
ついにやってきました、ゴールデンウィーク!!
最近出来ました、シルバーウィーク!!
今頃外の世界では喜びに明け暮れているのだろう
旅行をしたり、買い物に行ったり、遊んでいたり…
僕だって指をくわえて暇そうに過ごすわけにはいかないんだ!
とはいえ予定がないんだ、客もいつも通り来ないんだ、退屈すぎる!
え? 今右手に持っているものかい?
これは、2日前に紅魔館周辺で拾ったもので、腕時計というものらしい。
なんでも手につけるなんだが、生憎僕の手だと大きすぎるのかつけられないんだ。
用途としては正確な時間を計るものとして使うのだが正直
僕にとって時間がわかっても大したメリットはない。
なんせ僕の生活に規則性なんてものはあまりない。
まぁ、時は金なりというけどここまで時があると逆にインフレを起こしてしまうだろう
いっそのこと1日が4時間になればいいのに……
これはとりあえずこのまま売り物に出そうかな、と思う。
デザインは結構いいと思うから売れないことは無いはずだろう。
ドンドンドン…
「天狗と巫女と魔法使いはお断りだよ」
まぁ、本当にそうだったら無理やりにでも入ってくるのだろうが
一応言っておいた、世の中予防は大切である。
「なら、奇術師はよくて?」
「お客さんなら大歓迎さ、たとえ奇術師でもね」
ガチャ
扉が開いて外からメイド服を着た
気品にあふれる感じの女性が入ってきた
「やぁ、いらっしゃい、何を探しているんだい?」
一応紹介しよう、彼女の名は十六夜咲夜
紅魔館でのメイド長を務めているみたいで相当えらい人なのかな。
この店に来ることはさほどないのだがちゃんと代金を払ってくれるので
僕としては相当ありがたい、というか普通は代金を払うものなのだが
ここで店を構えているとそんな常識など通用しない、悲しい限りである。
ちなみに彼女をどんなトラップにはめるのかは期待しないでもらいたい
僕がトラップを使うのはあくまで自己防衛のためだ
そもそも並のトラップではかわされるのがオチだろう。
「紅茶の葉を切らしたんだけどこっちには売ってないのかしら?」
そう言って彼女は店内の物を片っ端からあさっていく。
紅茶の葉はそれなりに貴重品だ、きっと人里に下りても無かったのだろう
「たしか、こっちにあるとは思うのだが」
僕は時計を引き出しの中にしまって店の奥に行って少し棚をあさってみる。
茶葉はそれなりに整理しておいてあるからすぐに見つかるだろう
ガサゴソガサゴソガサゴソ……
ーそっちにはないの? -
ーいや、みつかってないなぁ -
結構必死に探しているのだがなかなか見つかる気がしない。
これは僕の考えが甘かったか、そもそもこの店の中で
茶葉だけを整理したって簡単に見つけられるはずがなかったんだ
整理なんてただの暇つぶしにしかならないと思ったが
こんなに大切な事だとは思わなかった。
次から反省して暇な時間は商品の整理にあてるとするか…
ガサッ!!
あ、茶葉を見つけたと思ったら既に使われている!
霊夢のやつ、また勝手に取り出して使ったな
しかも贅沢に1度使ったものは2度は使われていない。
まったく…少しは質素倹約という言葉を学んでほしい
というか普通に買ってくれ、客としてなら安くするから。
(まぁそんなこと言ったって彼女が一文無しなのは誰もが知っていることなのだが)
ガサゴソガサゴソ…!
棚をあさる音がピタッと止んだ
「みつかったわよ」
「ああ、悪いね、余計な手間をかけさせて」
どうやらあっちの方で見つけてくれたらしい
とりあえずせっかくのお得意様を逃さずに済んでよかった。
僕は店のテーブルへと向かうことにした。
そろそろ、出前の時間が来るころだと思うのだが…
そう持って僕は引き出しの中にしまった腕時計を取り出して
手に持って時刻を確認してみたら驚くことに
まだ30分しか時間が進んでいなかったのだ
倉庫の中をあさったら普通は1,2時間は過ぎてもおかしくないのに…
「はぁ、まだ30分しか時間がたっていなかったのか」
思わずため息をついた、体にどっと疲れがたまってくる
「あら、時間の流れを遅くしたから当然じゃない」
「せっかく時間つぶしができたと思ったのに」
なるほど、彼女の能力で時間が進むを遅くされていたのか
道理で時がたつのが遅いと思ったら…・
「時は止めてでも作るべきだと思うわ」
「ただでさえ1日は長すぎると思っているんだ、これ以上の時間は無駄に等しい!」
「時は金なりって言葉は覚えなかったのかしら?」
「僕は、暇は拷問って言葉を学んだけど」
「そんなに暇ならこっちに働きに来ない? 暇なんてすぐに消えてなくなるわよ」
「時給1000円の図書館勤務、食事と有給休暇付きでなら考えておこうか?」
彼女が職の話を持ちかけてきたので
僕は冗談半分でそう言ってみた。
「残念ね、図書館には優秀な人材がいるからいらなくてよ」
「そうか、それは残念」
せっかく紅魔館の書物を堂々と読みあさるチャンスだったけど残念だ。
それとも魔理沙に頼んで借りてきてもらうか?
でも奴の事だ、きっと借りてくぜ!の一言で強奪しているのだろう……
まぁ、仕方ないか、また今度機会を探そう。
「ところでその手に持っているものは?」
彼女はそう言って僕の左手に持った時計を指差した
どうやら、これに興味があるみたいだ、売りつけるチャンスかな
「ああ、これは腕時計と言って時間を正確に測るためのものさ」
「へぇ…私の持っている懐中時計とは違った形ね」
「よかったらはめて見るかい?」
僕は彼女にそう提案してみた
どうせ僕には役に立たない代物だ。
「ええ、お願い」
ガチャ…チャ!
「どうだい? その時計は」
「なかなか洒落たものね」
僕には小さすぎたそれは彼女の細い腕に
まるで体の一部であるかのようになじんだ
決して狂うことのない時計
よく似合っている、元々彼女の物みたいに
「買うかい?ちょっと高くつくけど」
「ええ、いくらかしら」
「ええっと大体……!!」
値段に悩んでいたら彼女はとこから取り出したのか
アタッシュケースを机の上に置いてそこから大量の札束が出てきた
金額にすれば大体1万諭吉(1億)ほどだろうか?
僕は少なくても店を開いてからこんな量の金は見たことが無い
目まいがしてくる…
もっともあいつらだったら喜びの余り飛び上がるんだろうな
あ、もとから飛べるんだった
「あら、これだけでは足りないので?」
そう言って彼女はまたアタッシュケースを取り出そうとした
「待て待て待て…そんなにいらないよ 6万で十分だ」
僕はあわてて彼女を制止した、
そんなに相場外のお金を受け取るわけにはいかない
(ただし魔理沙の場合はこの限りではない)
「意外と安いものだわね、それじゃ茶葉の方は」
「セットで6万だ、そんなにあっても使い道に困る」
紅魔館のお金の支払いはアタッシュケース単位か!!
外の世界だってそんなお金の使い方はしないだろう
彼女には一回500円の美学を学んでもらいたいものだ
500円あれば縁日は楽しめる、本が4冊買える、出前が頼める
庶民の味方500円玉、素晴らしいとは思わないのか?
僕の場合だって力いっぱい500円玉を外に投げれば
もれなく霊夢を追い返すことができるからとても重宝しているんだ
ちなみに彼女を呼ぶ時は床に落とすといい、3秒以内に飛んでくる
ただしどちらの使い道も500円玉は無くなるから使いすぎには要注意だ
「ふふっ、冗談よ」
彼女は微笑みながらアタッシュケースを消して
代わりに小さな財布を取り出してお金を支払ってくれた
「今の目はどう見ても本気だったと思うよ、まぁ毎度あり」
「今度こっちに来てみない? クッキーぐらいは出すわよ」
懐に財布をしまった彼女はそう提案してきた
僕としてはぜひとも行ってみたい場所だ、今度暇を作って向かうとしよう
これで堂々と本が読める、おまけにお菓子付きだ、暇つぶしとして最高ではないか
「考えておくよ、だけどまた時間を遅くするのは勘弁してくれ」
「大丈夫よ、門番には話を付けておくからいつでもどうぞ」
「またの来店を待ってるよ」
僕は店の外に出ていく彼女を見送った
時の流れを遅くされていたせいか長いようで短い時間だった
というよりも多分一連の流れで3時間ぐらいはあったと思うのだが
まぁ退屈な時間ではなかったからよしとするか。
グルルルルル……グゥゥ
そのかわり猛烈に腹が減ったが
コンコン…
「出前だね? 入っていいよ」
ガチャ
「こんにちわー 会員制屋台のみすち夜です」
ようやく出前が来たようだ、正直相当待ちくたびれた
いや、出前が悪いわけじゃないのは知っているのだが
この腹がうなりを上げて猛烈に抗議をしていたんだ
「はい、焼き鳥撲滅委員会の会員証」
「会員ナンバー117番、森近 霖之助さん かえしますよー」
今渡した会員証は女将さんことミスティアが会長を務める
世界から焼き鳥を消し去るために作った委員会のカードさ
これがあるともれなくみすち夜での食事が割引になったり
ライブコンサートチケットが優先的に予約できる権利が手に入る
もちろん会員には焼き鳥禁止令が出されるが大したデメリットではない
会員証は5段階にクラスが分かれていて確か僕は3rdクラスだったと思う
食事150円引き等のの相当お得な特典が付いている
ちなみに結構会員は多く幻想郷で200人ほどいたと思う
「新メニューって一体何なんだい?」
「ここ最近仕入れた八目鰻のうな重だよ、料金は500円」
「はい、どうぞ」
「まいどあり、それでは!」
女将さんは歌を歌いながら店を去った
今日何かいいことでもあったのだろうか。
机の上に置かれたのは一見ただのうな重に見えた
だが食べて見るとなかなか癖になる感じで悪くない
それに腹が空いているせいか余計においしく感じる
気が付いたらあっという間に器は空になっていた
「あー食った食った」
なんだかとっても幸せな気分だ
結局時なんて長かれ短かれ楽しくあればいいのだと思う
個々によって過ごす時に違いはあれどそれはそれで
いいことなのでは無いのだろうか。
「うーんおかわり頼むんだったな……」
5月4日 晴れ
客 十六夜咲夜
売り上げ 茶葉、腕時計
利益 6万円
特記事項 毎月この時期には八雲紫が店にやってきて
色々なものを仕入れる契約をすることになる
今のうちにドモホルOリンクルをかき集めておかなくては
そんなわけなので今回は、1か月たっていい機会だから
接客向上と仕入れる物の目安を立てるためにアンケートを募集しようと思う
仕入れてほしいものや僕の使うトラップ等に要望があったら教えてほしい。
しかし何人答えてくれるのだろうか、少し心配である
たとえば時間で言うと午前4時は夜を追い払って朝を迎え入れ
それでいて午後4時になると昼と夕方を入れ替える役割もする
何かを分けるときでも4等分てよくあることじゃないのかな?
なんというか4ってきっと何かと何かを分ける境界線じゃないのかと思う
カッ、カッ、カッ、カッ、カッ
右手の上にある円状の物の3つの針がちょうど12を指し示していた
「何だ、まだそんな時間か」
僕は左手の本を読むのを止めて一息をついた
後1時間ほどで頼んでおいた物がくるかな
今日は会員制屋台の出前を頼んだんだ、普段じゃできないちょっとした贅沢
新メニューを選んだのだがはたして、どんな味がするのだろう……
どうも、香霖堂店主の森近 霖之助です。
この頃お客さんが来るようになったんでね、いい気分なんだ
客人帳を付け始めたんだが1冊を日付と天気を
埋め尽くすことにならなくて安心したよ
まぁ、この前のやつは客と呼ぶにはあまりにも迷惑なものだったが
とりあえず先週は危なかった、いや、ホントに
天狗には目を付けられ危うく幻想郷中に生き恥を晒すところだったんだ。
独学で学んだトラップで制裁を加えたおかげで難を逃れたから良かったものの…
とはいっても、その程度の事、この幻想郷ではザラにあることなんだけどね。
と、いうわけで、そんなことは置いといて…だ
ついにやってきました、ゴールデンウィーク!!
最近出来ました、シルバーウィーク!!
今頃外の世界では喜びに明け暮れているのだろう
旅行をしたり、買い物に行ったり、遊んでいたり…
僕だって指をくわえて暇そうに過ごすわけにはいかないんだ!
とはいえ予定がないんだ、客もいつも通り来ないんだ、退屈すぎる!
え? 今右手に持っているものかい?
これは、2日前に紅魔館周辺で拾ったもので、腕時計というものらしい。
なんでも手につけるなんだが、生憎僕の手だと大きすぎるのかつけられないんだ。
用途としては正確な時間を計るものとして使うのだが正直
僕にとって時間がわかっても大したメリットはない。
なんせ僕の生活に規則性なんてものはあまりない。
まぁ、時は金なりというけどここまで時があると逆にインフレを起こしてしまうだろう
いっそのこと1日が4時間になればいいのに……
これはとりあえずこのまま売り物に出そうかな、と思う。
デザインは結構いいと思うから売れないことは無いはずだろう。
ドンドンドン…
「天狗と巫女と魔法使いはお断りだよ」
まぁ、本当にそうだったら無理やりにでも入ってくるのだろうが
一応言っておいた、世の中予防は大切である。
「なら、奇術師はよくて?」
「お客さんなら大歓迎さ、たとえ奇術師でもね」
ガチャ
扉が開いて外からメイド服を着た
気品にあふれる感じの女性が入ってきた
「やぁ、いらっしゃい、何を探しているんだい?」
一応紹介しよう、彼女の名は十六夜咲夜
紅魔館でのメイド長を務めているみたいで相当えらい人なのかな。
この店に来ることはさほどないのだがちゃんと代金を払ってくれるので
僕としては相当ありがたい、というか普通は代金を払うものなのだが
ここで店を構えているとそんな常識など通用しない、悲しい限りである。
ちなみに彼女をどんなトラップにはめるのかは期待しないでもらいたい
僕がトラップを使うのはあくまで自己防衛のためだ
そもそも並のトラップではかわされるのがオチだろう。
「紅茶の葉を切らしたんだけどこっちには売ってないのかしら?」
そう言って彼女は店内の物を片っ端からあさっていく。
紅茶の葉はそれなりに貴重品だ、きっと人里に下りても無かったのだろう
「たしか、こっちにあるとは思うのだが」
僕は時計を引き出しの中にしまって店の奥に行って少し棚をあさってみる。
茶葉はそれなりに整理しておいてあるからすぐに見つかるだろう
ガサゴソガサゴソガサゴソ……
ーそっちにはないの? -
ーいや、みつかってないなぁ -
結構必死に探しているのだがなかなか見つかる気がしない。
これは僕の考えが甘かったか、そもそもこの店の中で
茶葉だけを整理したって簡単に見つけられるはずがなかったんだ
整理なんてただの暇つぶしにしかならないと思ったが
こんなに大切な事だとは思わなかった。
次から反省して暇な時間は商品の整理にあてるとするか…
ガサッ!!
あ、茶葉を見つけたと思ったら既に使われている!
霊夢のやつ、また勝手に取り出して使ったな
しかも贅沢に1度使ったものは2度は使われていない。
まったく…少しは質素倹約という言葉を学んでほしい
というか普通に買ってくれ、客としてなら安くするから。
(まぁそんなこと言ったって彼女が一文無しなのは誰もが知っていることなのだが)
ガサゴソガサゴソ…!
棚をあさる音がピタッと止んだ
「みつかったわよ」
「ああ、悪いね、余計な手間をかけさせて」
どうやらあっちの方で見つけてくれたらしい
とりあえずせっかくのお得意様を逃さずに済んでよかった。
僕は店のテーブルへと向かうことにした。
そろそろ、出前の時間が来るころだと思うのだが…
そう持って僕は引き出しの中にしまった腕時計を取り出して
手に持って時刻を確認してみたら驚くことに
まだ30分しか時間が進んでいなかったのだ
倉庫の中をあさったら普通は1,2時間は過ぎてもおかしくないのに…
「はぁ、まだ30分しか時間がたっていなかったのか」
思わずため息をついた、体にどっと疲れがたまってくる
「あら、時間の流れを遅くしたから当然じゃない」
「せっかく時間つぶしができたと思ったのに」
なるほど、彼女の能力で時間が進むを遅くされていたのか
道理で時がたつのが遅いと思ったら…・
「時は止めてでも作るべきだと思うわ」
「ただでさえ1日は長すぎると思っているんだ、これ以上の時間は無駄に等しい!」
「時は金なりって言葉は覚えなかったのかしら?」
「僕は、暇は拷問って言葉を学んだけど」
「そんなに暇ならこっちに働きに来ない? 暇なんてすぐに消えてなくなるわよ」
「時給1000円の図書館勤務、食事と有給休暇付きでなら考えておこうか?」
彼女が職の話を持ちかけてきたので
僕は冗談半分でそう言ってみた。
「残念ね、図書館には優秀な人材がいるからいらなくてよ」
「そうか、それは残念」
せっかく紅魔館の書物を堂々と読みあさるチャンスだったけど残念だ。
それとも魔理沙に頼んで借りてきてもらうか?
でも奴の事だ、きっと借りてくぜ!の一言で強奪しているのだろう……
まぁ、仕方ないか、また今度機会を探そう。
「ところでその手に持っているものは?」
彼女はそう言って僕の左手に持った時計を指差した
どうやら、これに興味があるみたいだ、売りつけるチャンスかな
「ああ、これは腕時計と言って時間を正確に測るためのものさ」
「へぇ…私の持っている懐中時計とは違った形ね」
「よかったらはめて見るかい?」
僕は彼女にそう提案してみた
どうせ僕には役に立たない代物だ。
「ええ、お願い」
ガチャ…チャ!
「どうだい? その時計は」
「なかなか洒落たものね」
僕には小さすぎたそれは彼女の細い腕に
まるで体の一部であるかのようになじんだ
決して狂うことのない時計
よく似合っている、元々彼女の物みたいに
「買うかい?ちょっと高くつくけど」
「ええ、いくらかしら」
「ええっと大体……!!」
値段に悩んでいたら彼女はとこから取り出したのか
アタッシュケースを机の上に置いてそこから大量の札束が出てきた
金額にすれば大体1万諭吉(1億)ほどだろうか?
僕は少なくても店を開いてからこんな量の金は見たことが無い
目まいがしてくる…
もっともあいつらだったら喜びの余り飛び上がるんだろうな
あ、もとから飛べるんだった
「あら、これだけでは足りないので?」
そう言って彼女はまたアタッシュケースを取り出そうとした
「待て待て待て…そんなにいらないよ 6万で十分だ」
僕はあわてて彼女を制止した、
そんなに相場外のお金を受け取るわけにはいかない
(ただし魔理沙の場合はこの限りではない)
「意外と安いものだわね、それじゃ茶葉の方は」
「セットで6万だ、そんなにあっても使い道に困る」
紅魔館のお金の支払いはアタッシュケース単位か!!
外の世界だってそんなお金の使い方はしないだろう
彼女には一回500円の美学を学んでもらいたいものだ
500円あれば縁日は楽しめる、本が4冊買える、出前が頼める
庶民の味方500円玉、素晴らしいとは思わないのか?
僕の場合だって力いっぱい500円玉を外に投げれば
もれなく霊夢を追い返すことができるからとても重宝しているんだ
ちなみに彼女を呼ぶ時は床に落とすといい、3秒以内に飛んでくる
ただしどちらの使い道も500円玉は無くなるから使いすぎには要注意だ
「ふふっ、冗談よ」
彼女は微笑みながらアタッシュケースを消して
代わりに小さな財布を取り出してお金を支払ってくれた
「今の目はどう見ても本気だったと思うよ、まぁ毎度あり」
「今度こっちに来てみない? クッキーぐらいは出すわよ」
懐に財布をしまった彼女はそう提案してきた
僕としてはぜひとも行ってみたい場所だ、今度暇を作って向かうとしよう
これで堂々と本が読める、おまけにお菓子付きだ、暇つぶしとして最高ではないか
「考えておくよ、だけどまた時間を遅くするのは勘弁してくれ」
「大丈夫よ、門番には話を付けておくからいつでもどうぞ」
「またの来店を待ってるよ」
僕は店の外に出ていく彼女を見送った
時の流れを遅くされていたせいか長いようで短い時間だった
というよりも多分一連の流れで3時間ぐらいはあったと思うのだが
まぁ退屈な時間ではなかったからよしとするか。
グルルルルル……グゥゥ
そのかわり猛烈に腹が減ったが
コンコン…
「出前だね? 入っていいよ」
ガチャ
「こんにちわー 会員制屋台のみすち夜です」
ようやく出前が来たようだ、正直相当待ちくたびれた
いや、出前が悪いわけじゃないのは知っているのだが
この腹がうなりを上げて猛烈に抗議をしていたんだ
「はい、焼き鳥撲滅委員会の会員証」
「会員ナンバー117番、森近 霖之助さん かえしますよー」
今渡した会員証は女将さんことミスティアが会長を務める
世界から焼き鳥を消し去るために作った委員会のカードさ
これがあるともれなくみすち夜での食事が割引になったり
ライブコンサートチケットが優先的に予約できる権利が手に入る
もちろん会員には焼き鳥禁止令が出されるが大したデメリットではない
会員証は5段階にクラスが分かれていて確か僕は3rdクラスだったと思う
食事150円引き等のの相当お得な特典が付いている
ちなみに結構会員は多く幻想郷で200人ほどいたと思う
「新メニューって一体何なんだい?」
「ここ最近仕入れた八目鰻のうな重だよ、料金は500円」
「はい、どうぞ」
「まいどあり、それでは!」
女将さんは歌を歌いながら店を去った
今日何かいいことでもあったのだろうか。
机の上に置かれたのは一見ただのうな重に見えた
だが食べて見るとなかなか癖になる感じで悪くない
それに腹が空いているせいか余計においしく感じる
気が付いたらあっという間に器は空になっていた
「あー食った食った」
なんだかとっても幸せな気分だ
結局時なんて長かれ短かれ楽しくあればいいのだと思う
個々によって過ごす時に違いはあれどそれはそれで
いいことなのでは無いのだろうか。
「うーんおかわり頼むんだったな……」
5月4日 晴れ
客 十六夜咲夜
売り上げ 茶葉、腕時計
利益 6万円
特記事項 毎月この時期には八雲紫が店にやってきて
色々なものを仕入れる契約をすることになる
今のうちにドモホルOリンクルをかき集めておかなくては
そんなわけなので今回は、1か月たっていい機会だから
接客向上と仕入れる物の目安を立てるためにアンケートを募集しようと思う
仕入れてほしいものや僕の使うトラップ等に要望があったら教えてほしい。
しかし何人答えてくれるのだろうか、少し心配である
それは、それで困るwwwww
あと、会員になりたいです!!!
次回も楽しみにしてますぜ。
コメントありがとうございます
>>1 女将さんに頼めば5分で完了です、もっとも女将さんが行方不明になってますが
>>2 そのドモホOンリンクルがもれなく30歳を超えたというレベルじゃない人に使われるんd…(ピチューン
>>3 幻想郷内でお金をならせば即参上! ただ、トラップを仕掛けて生け捕りは考えない方が
>>4 拾いものだから原価0円 税金無いからマイナス0円 香霖堂は自由な商売なのです、多分
季節に限らず、時間は標準時間で統一してしまえばいいのに、
どうしてサマータイムなどというものがあるんだろうと、
疑問に思ったりします。採用してない所では紛らわしいだけだろうに。
ただ、夏は暑いからむしろ涼しい夜の時間を延ばすようにした方が良かったりしてw