Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

ただ文がチルノの寝顔に見惚れるだけのお話

2015/08/30 15:14:44
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博麗神社で宴会が始まって数十分後。
私はチルノさんをつれて本殿に邪魔していた。
縁側で彼女を寝かせながら月を見上げると、それは見事な満月だった。


今日は朝から魔理沙が幻想郷を飛び回っていた。曰く
「今夜は満月らしいから月見しよう!」
とのこと。
ようは楽しく騒げればいいのだ、幻想郷の連中は。

そして宴会が始まって数十分経過。宴会もそこそこ人数がそろい、絶好調のようだった。
既に飲み比べまで始まっている。あ、ルナサが潰れた。相手はルーミアのようだ。ピースして喜んでいる。小さな体でもさすが妖怪、酒の強さには関係がないらしい。
なお敗者は本殿に配送されるらしい。メルランとリリカが両脇を抱えて連れて行っている。
さて、次の相手は誰かと目線をやると見慣れた水色のスカートが目に飛び込んできた。
どうやらチルノさんとリグルのタイマンらしい。
……結果、見えたわ。

約五分間の激闘を経て、勝者はリグルで決定したらしい。チルノさんはまっかな顔で倒れている。
やれやれと頭を振っている私を見た霊夢さんが私にチルノさんを運べと命じてきた。

「私ですか?」
「ええそうよ、どうせあんた暇してるんでしょ」
「いやー、私はこの飲み比べを記事にしないといけないので遠慮しときます」
「魔理沙とかに任せるとチルノに何らかの悪戯がされる可能性があるからわたしはあんたに言ってるんだけど」
「わかりました任せてください」
とんでもないことを言う霊夢さんと別れ、私はチルノさんを運ぼうと膝と背中の裏に腕を回し、抱きかかえると私は神社の本殿へ向かった。


神社の本殿の中はしんと静まり返っていた。時折、先に運び込まれている酔いつぶれた者たちの呻き声以外は虫の声が響いているだけだった。
畳の上には薄手の掛け布団が用意されていた。おそらく寝かせた者に使えということだろう。
私は縁側に近いところにチルノさんを寝かせようとした。ここなら風も入り込むし、眠りやすいだろう。しかしチルノさんが私の服を掴んで離さない。
おそらく運ぶときに掴んだのだろう。とりあえず引き剥がそうと足掻いてみるがなかなか外れない。
無理やり剥がしてもいいのだが、それだとせっかく気持ちよさそうに寝ているチルノさんを起こしかねない。
私的にはそれは論外だ、わざわざ気持ちよく寝ているときに叩き起こされる不快感は私もよく知っている。

結局私はチルノさんと一緒に寝転がることにした。
最初私は近くに座っていようと思ったが、腰が辛くなってきたという理由もある。なにせチルノさんが掴んでいるのは私の胸元だ。前屈みにならないといけないが、それだと腰に負担がかかる。そこで一緒に寝転がることにしたのだ。

しかしよく寝ているなぁ、これはほんの少し役得かもしれない。
酒のせいで紅く染まった頬、無邪気な寝顔、規則正しく上下する胸。なんだろう、いつも賑やかなで可愛いですが、静かだとまた別の可愛さが迫ってくるようだ。

ふと気がつくと私の手がチルノさんの頬に添えられていた。おおさすがもち肌、柔らかい。これは癖になるさわり心地だ、正直ずっと触っていたい。
頬を撫でているとチルノさんがくすぐったいのか、微かに身を捩る。しかしそんな事を気にせず私はふにふにとした触感を楽しんでいた。あぁ、やわこい。

「んぁ……あや~?」
「おやチルノさんお目覚めですか」

どうやら触っていることで目が覚めたようだ、失敗失敗。何をしていたのかと尋ねられそうなので、何食わぬ顔でチルノさんに声を掛ける。
まだ酔いが抜けていないのか、満面の笑みで私の胸に顔を埋めてきた。

「あや、あったか~い……」
「あややややや……」

とりあえずチルノさんの頭を撫でながら抱き締めると気持ちよさそうに目を瞑り、また眠り始めた。あー、焦った。
それにしても、
「チルノさんは甘えん坊ですねぇ」
「そりゃまだ子供だからよ」
声がする方向を見ると霊夢さんがこっちをみてニヤニヤしていた。

「霊夢さん、いつから覗いていたんですか」
「んー、無防備なチルノのほっぺたを突き回しているところからかな」
「ほぼ最初からじゃないですか、それでどうしたんです? 宴会を抜け出して」

そう訊くと霊夢さんはニヤニヤを引っ込めてばつが悪そうに頬を掻く。
「いやー、お酒は好きなんだけど、好きなのと沢山飲めるのはまた違ってね」
「あぁ、酔覚ましですか」
「そう。隣いいかしら?」
「寝転がったままでいいなら」
そう返すと霊夢さんは礼を言いつつ、チルノさんの隣に座る。
「可愛い寝顔ね」
「えぇ、まったくです」
「いつも騒がしくて憎たらしいのに、眠るとガラッと印象が変わるものね」
「例えばどんな?」
「眠り姫?」
そう言うと霊夢さんと私は声を殺して笑う。
「じゃ、王子さまは誰でしょうね?」
「え、文じゃないの」
その言葉に耳を疑う。
私が王子?それはないだろう、そもそも私はロリコンなどではない。とりあえずそう反論する。
「そう?寝ているいたいけな少女の頬を触りまくっていたあんたが言うセリフではないわね」
「ぐっ……」

ぐうの音も上げれない私を見てまた霊夢さんはクスッと笑う。ほんと何をしにきたのだ、この人は。
しばらく虫の音だけが響き渡る。遠くで微かに聞こえる宴会の残響。静かで、とても落ち着ける空間だった。霊夢さんは微かに笑みを浮かべながら、チルノさんの髪を撫でている。まるで慈愛に満ちた聖母のようだった。本人に言うと笑い飛ばされそうだが。
またしばらく時間が経つ。チルノさんは穏やかな寝息を立てて深い眠りに就いている。ほんの少し、微笑んでいるように見える。
「じゃ、私行くわ。チルノのこと、任せたわね」
「霊夢さん」
「ん?」
「なんで私に任せたんですか?チルノさんの友人に任せればよかったじゃないですか」
「……秘密」
「えぇ……」
「あえてヒントをあげるなら、そうね……あんたが王子様だから」
「は?」
「じゃあね~」
そう言うと霊夢さんは手をひらひら振りながら部屋を出て行った。
ほんと、あの人は時折わけが分からない。

チルノさんを見ると、幸せそうに眠っていた。
私も一緒に寝るのもいいかもなぁと考えていると、いつの間にか視界がだんだんぼやけてきた。
眠りそうになりながらチルノさんの頭を撫でるながら、あぁ、この小さな子が愛おしいなぁと感じた私は、そのまま眠りに就いたのだった。


朝起きたら、チルノさんに抱き付いていたのを霊夢さんに見られた挙句、カメラで写真まで撮られ、周囲にロリコンと呼ばれるようになるのは、また別のお話。
夢を見ていた……と思う。確か空を飛んでいた夢。
のんびり飛んでいたら、なにか暖かいものに包まれたと思ったら、すごいスピードでとんでた。
でも全然怖くなくて、とても安心した。
それだけなんだけど、なんかとても楽しかったなぁ。
……どうしたの霊夢、そんなに笑って。

チルノのほっぺたつつきたいです。
お読み頂き、ありがとうございました。
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コメント



1.大根屋削除
チルノ寝顔ふにふに
子供は元気で、いたずらしまくって、疲れたら電池が切れたように寝る。そういうのが可愛いのですw
2.奇声を発する程度の能力削除
可愛らしかったです
3.名前が無い程度の能力削除
眠り姫ならキスをしないといけませんよね?王子様
4.名前が無い程度の能力削除
あやちる
いいね
5.名前が無い程度の能力削除
あとがきまであまあまだとw?!
自覚がないのにラブラブとか良いですねぇ