アイシタイ？

　あのコの死体が欲しいんだ。

　ああ、まったく、この気持ちは一体なんなんだろうね？
　あのコを見てるだけですごく嬉しくなるんだ。
　あのコと一緒にいると楽しくて、それなのに上手く笑えないんだ。
　何だかすごく切なくなって泣いてしまって、あのコが困った顔で慰めてくれたのにお礼も言えなくて、死にたくなった。

　あのコが自分に向ける笑顔は大好き。あのコが他のコに向ける笑顔は大キライ。
　あの子が他の子に見せる涙は大キライ。あの子が自分に見せる涙は大好き。
　あのコを泣かせるヤツは死ねばいい。自分以外。
　あのコを笑わせるヤツも死ねばいい。自分以外。

　恋？　愛？　みんなそんな風に言うけどさ……そんなたった一文字で言ってしまうけれど……それがなんなのか・なんて誰もわかっちゃいないだろう？　わかる必要なんか無いものね？　いらないんだ、ホントのことなんて。錯覚でいい。

　大好きなんだ。きっとそうなんだ。
　大好きだから笑って欲しい。だからおどけて見せるんだ。お願いだから冷めないで。
　大好きだから怒って欲しい。だからイジワルするんだ。お願いだから呆れないで。
　大好きだから泣いて欲しい。だから悲劇のヒロインを気取って同情を誘ってみるんだ。馬鹿みたい。
　大好きだから傍に居て欲しい。お願いだから息が出来ないくらい強く縛って欲しい。じゃないと逃げてしまうから。
　大好きだから傍に居られない。お願いだから息を切らせて追いかけて。勝手だね。また空回りしてる。きっと報いだね。

　でも　『好き』ってなんだろうね？
　答えが言葉に出来れば何か変わるのかな？　変わらないだろうね？
　だって言葉なんか無くてもあのコのトコロにいけるもの。

　ねぇ、この手を取って？　一緒に地獄を見に行こうよ？
　見せたいものが沢山あるんだ。きっときっと愉しいよ？
　廃獄ララバイ口笛ピーピー吹きながら、針の山の上でダンスするんだ。
　くるくる回ろ？　一緒に回ろ？　寂しくないよ、怨霊達も一緒さ。
　アン・ドゥ・トロワでホップ・ステップ・ジャンプして　真っ紅な空にご招待。
　最高の景色を見せてあげるんだ。
　あのコはどんな顔をするのかな？
　驚いてくれるかな？　歓んでくれるかな？　そうだといいな。
　燃え盛る炎の上であのコにキスするんだ。
　ギュッとギュッと抱きしめて『二度と離さない』って言って、その手を放すんだ。
　あのコはどんな顔をするのかな？
　驚いてしまうかな？　悲しんでしまうかな？　それでもいいな。
　そんな事ばかり想像しては身悶えしちゃってる。

　ねぇもうメチャクチャなんだ。てんであべこべ、天邪鬼。ホントお願いだから、助けてよ。
　『恋は盲目』なんてよく言ったよね、あのコしか目えないのにあのコを見てられない。
　ねぇ、なんにも見えないよ。
　『あばたもえくぼ』なんて上手いよね、そんな小さなものも弁護しなけりゃ気がすまない。
　どこか一つくらい、どうでもいいって思わせてよ。
　グチャグチャなんだ。バラバラなんだ。もう目の前から消えてよ。

　乱暴なキモチになってしまうのはどうすればいいんだろうね？
　壊したくなんかないんだ。きっときっとホントさ。
　冷たいあのコなんか耐えられない。ギュッとしてあたためてやりたくなる。
　燃やしちゃう？　燃やしたい？　ああ、燃やしたいね。
　焦がれたい？　ううん、焦がしたいね。　壊したい？　うん、壊したいね。
　いいよ　やっちゃえ。

　よく分からないけど、あのコの事を考えるだけで心も身体もゼンブが自分じゃないみたいになっちゃって……まるで尻尾みたいにいう事を聞いてくれない。ねぇ、どうすればいいのかな？　このキモチ……ああ、何だかホント今すぐに――








「あのコの死体がほっっしっっいぃぃぃぃぃぃ！！！！」

「さとりさまー　お燐が発情期ー」
「死体ごと核融合炉に突っ込んでおきなさい」


＜おわれ＞

あのー　どうか私の死体を貰ってやって下さいませんでしょうか？
あと　さとりん超やさしい。