様々な出会いと別れが訪れる春
私、マエリベリー・ハーンはいつも通り部室に向かい、見慣れたドアを開く。
ドアの先には、見慣れた部室の風景、そして普段あるはずのないビデオカメラとその前に立っているもう一人のサークルメンバー、宇佐見蓮子が居た。
「何をしてるの?」
「ん?もうすぐ新入生が来るでしょ?だから勧誘のためにこのサークルの紹介動画でも撮ろうかなって思ってね」
何を言っているのだろうこの子は…
確かに普通のサークルならチラシやポスターを作って新入生の勧誘をする季節ではある。しかし、私たちのサークル「秘封倶楽部」は部員が私、そして蓮子の二人だけで活動しているオカルトサークル。周囲からは特に何も活動していない不良サークルといわれてしまっている。
別に何も活動していないわけではないのだけど・・・
そんなサークルに興味を持つ人なんているのだろうか?そもそもなんでこの子は急にそんなことを言い出したのかが不思議でならない。
「どうしたの?急に勧誘をしようだなんて」
「ちょっとね」
「そもそも今時オカルトに興味を持つ大学生なんてほとんどいないでしょ?」
「メリー。それを言っちゃうとこのサークル自体がなくなっちゃうよ」
確かにそうだが、表立った活動をしていないのだからあってもなくても変わらないと思う。
普通のサークルなら部員が増えることはいいことである。でも、どうしてだろう…私は部員が増えるのをうれしく思えない。私と蓮子が不思議な眼を持っているから?嫌われるのが嫌だから?よくわからない。
「メリー?どうしたの?」
「え?ああ、少し考え事をね」
「もしかして、サークルメンバーが増えるのが嫌とか?」
顔に出ていたのであろう。蓮子が聞いてきた。
「…正直にいうと嫌」
「どうして?」
そう聞かれて少し考える。どうして部員が増えることを拒んでしまうのだろう。やはり能力を知られて嫌われたくないから?
「分からない…だけど、なんか嫌なの」
「そう…」
少し落ち込んだ様子の蓮子
「蓮子は、どうして部員が欲しいの?」
今度は私から聞いてみた。
蓮子は言った。
「私とメリーがこの大学に、このサークルに居たっていうことを後に残したいから」
「え?」
「それが勧誘をしようとした理由」
蓮子の口からそんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。
「いつかあなたが結界の向こう側へ行ってしまうんじゃないかって、不安になって・・・だから、私たち二人がここで一緒に生きていたということを過去に残したいと思ったの。」
いくら春だといっても、なぜ蓮子はいつ来るかも分からない別れを想像しているのだろう?そう思った。でも、そう言われてみると、いつ来るか分からない。
いつ来てもおかしくない。
不安になった。蓮子と別れてしまうという想像が。まだ先の話のはずなのに、別れの時が近づいていると思うと・・・
「…ごめん、不安にさせちゃった?」
「大丈夫。だけど、そんなことまで考えてメンバーを勧誘しようとしていたなんて思いもしなかったわ」
「意外だったでしょ?」
誇らしそうに言う蓮子。
そんな蓮子を見て、メンバーが増えることを拒んだのかようやく分かった。
蓮子を取られたくなかったんだ。
どうして気が付かなかったんだろう…蓮子と二人でいる日常を壊したくなかったんだ。
「メリー?どうしたの?顔が真っ赤だよ」
心拍数が上がっている。やはり私は…
「ねぇ?蓮子?」
「なに?」
顔を近づける。すぐにでも唇が届きそうな距離。
あと、数センチ・・・
近づくにつれ、蓮子に動揺が見え始める
「メ、メリー…顔が近いよ」
動揺する蓮子。そんな蓮子を抱き、キスをした。
蓮子は頬を真っ赤にしている
「ちょ、ちょっと、どうしたのメリー?急にキスするなんて」
「私に相談もしないでメンバーを勧誘しようとした罰!」
別れるのは悲しいけど、できるなら、最期の時まで一緒に居たい・・・
私、マエリベリー・ハーンはいつも通り部室に向かい、見慣れたドアを開く。
ドアの先には、見慣れた部室の風景、そして普段あるはずのないビデオカメラとその前に立っているもう一人のサークルメンバー、宇佐見蓮子が居た。
「何をしてるの?」
「ん?もうすぐ新入生が来るでしょ?だから勧誘のためにこのサークルの紹介動画でも撮ろうかなって思ってね」
何を言っているのだろうこの子は…
確かに普通のサークルならチラシやポスターを作って新入生の勧誘をする季節ではある。しかし、私たちのサークル「秘封倶楽部」は部員が私、そして蓮子の二人だけで活動しているオカルトサークル。周囲からは特に何も活動していない不良サークルといわれてしまっている。
別に何も活動していないわけではないのだけど・・・
そんなサークルに興味を持つ人なんているのだろうか?そもそもなんでこの子は急にそんなことを言い出したのかが不思議でならない。
「どうしたの?急に勧誘をしようだなんて」
「ちょっとね」
「そもそも今時オカルトに興味を持つ大学生なんてほとんどいないでしょ?」
「メリー。それを言っちゃうとこのサークル自体がなくなっちゃうよ」
確かにそうだが、表立った活動をしていないのだからあってもなくても変わらないと思う。
普通のサークルなら部員が増えることはいいことである。でも、どうしてだろう…私は部員が増えるのをうれしく思えない。私と蓮子が不思議な眼を持っているから?嫌われるのが嫌だから?よくわからない。
「メリー?どうしたの?」
「え?ああ、少し考え事をね」
「もしかして、サークルメンバーが増えるのが嫌とか?」
顔に出ていたのであろう。蓮子が聞いてきた。
「…正直にいうと嫌」
「どうして?」
そう聞かれて少し考える。どうして部員が増えることを拒んでしまうのだろう。やはり能力を知られて嫌われたくないから?
「分からない…だけど、なんか嫌なの」
「そう…」
少し落ち込んだ様子の蓮子
「蓮子は、どうして部員が欲しいの?」
今度は私から聞いてみた。
蓮子は言った。
「私とメリーがこの大学に、このサークルに居たっていうことを後に残したいから」
「え?」
「それが勧誘をしようとした理由」
蓮子の口からそんな言葉が出てくるとは思いもしなかった。
「いつかあなたが結界の向こう側へ行ってしまうんじゃないかって、不安になって・・・だから、私たち二人がここで一緒に生きていたということを過去に残したいと思ったの。」
いくら春だといっても、なぜ蓮子はいつ来るかも分からない別れを想像しているのだろう?そう思った。でも、そう言われてみると、いつ来るか分からない。
いつ来てもおかしくない。
不安になった。蓮子と別れてしまうという想像が。まだ先の話のはずなのに、別れの時が近づいていると思うと・・・
「…ごめん、不安にさせちゃった?」
「大丈夫。だけど、そんなことまで考えてメンバーを勧誘しようとしていたなんて思いもしなかったわ」
「意外だったでしょ?」
誇らしそうに言う蓮子。
そんな蓮子を見て、メンバーが増えることを拒んだのかようやく分かった。
蓮子を取られたくなかったんだ。
どうして気が付かなかったんだろう…蓮子と二人でいる日常を壊したくなかったんだ。
「メリー?どうしたの?顔が真っ赤だよ」
心拍数が上がっている。やはり私は…
「ねぇ?蓮子?」
「なに?」
顔を近づける。すぐにでも唇が届きそうな距離。
あと、数センチ・・・
近づくにつれ、蓮子に動揺が見え始める
「メ、メリー…顔が近いよ」
動揺する蓮子。そんな蓮子を抱き、キスをした。
蓮子は頬を真っ赤にしている
「ちょ、ちょっと、どうしたのメリー?急にキスするなんて」
「私に相談もしないでメンバーを勧誘しようとした罰!」
別れるのは悲しいけど、できるなら、最期の時まで一緒に居たい・・・