*オリキャラに注意!
「この世で最も危険な蟲とは何かわかるか?」
「え? わかんないです」
森の奥の小さな洞穴の中、リグルと老齢の蟲妖怪が、松明の明かりに照らされながら向かい合って座っていた。
その老齢の蟲妖怪は着ぐるみでも着ているかのような、人を馬鹿にした姿だった。地獄○使を変にした感じ。
「ワシは蟲仙人。ムシキ○グと呼ぶものもおる」
「知ってますよ、それにしてもなんで伏字になっているんですか?」
「いろいろ……」
「はぁ……難しいですね」
リグルはさっさとどこかに遊びに行きたかった。
しかしこの蟲仙人を邪険に扱うと、後からいろいろな嫌がらせをされるので、リグルその他の蟲妖怪はしぶしぶ御高説に耳を傾けなければならない。
とりわけこの仙人、蟲嫌いな人間が多いのを良いことに蟲を使った嫌がらせが大好き。その他の嫌がらせも大好き。困ったおじいちゃんなのである。
リグルは散歩してたところを運悪く蟲仙人に捕まり、知りたくもない嫌がらせ技を伝授されているのだった。
大層な名前がついている割にはそこまで強い妖怪と言うわけでもなく、老化と共にしっかりと妖力も衰え、リグルも余裕で勝てる。
だがその真髄たる嫌がらせは主にガチの戦闘以外で発揮されるため、皆戦うのを嫌がる。そして余計に調子に乗らせてしまうのだ。
ついでに言えば「蟲仙人」も「ムシキ○ング」も自分で勝手にそう呼ばせてるだけだ。
まぁ一言で言えば「構ってやらないとウザい」のだ。構うにしてもウザいが。
「今日はワシが未熟なお前に、たくさんの有益な兵法を教えてやろうぞ」
(うわ、始まった……どうせ兵法じゃなくてただの嫌がらせでしょ……)
「で、最も危険な蟲とは何かわかるか?」
「う、うーん……」
ある程度真面目に聞かないと、怒り出して杖で頭を叩かれるのでたまらない。
大切な触覚に傷を付けられては困る、リグルは一応それなりに相手をしてやることにした。
「毒針を持つ、蜂ですか?」
「確かにそれもあろう……」
「うーん……暗殺者のように敵を仕留めるサソリは?」
「蜂より地味じゃろう」
(地味とかいう問題じゃないと思うけど……)
「毒から離れるのじゃ」
「カブトムシとか?」
「虫の世界では確かに力持ちさんじゃが、それでは決定打にならんじゃろう」
「力持ちさん!?」
「なんじゃぁっ!!」
「い、いえなんでも……ブフッ……」
じいさんが「力持ちさん」なんて可愛い言葉を使うものだから、つい噴出しそうになった。
しかしじいさんが歯を食いしばって杖を振り上げたので、リグルは必死に笑いを堪えた。リグルの触覚が恐怖でぷるぷると震えている。
このじいさん、人にバカにされるのが大嫌いだ。プライドがとても高い。
「うーん、うーん……」
確かにあまり考えたことのないテーマではあった。蟲と言っても蟲妖怪と普通の蟲はまた違う。
リグルは不覚にも、このじいさんもたまには役に立つことを言うのかも知れないと思ってしまった。
本当に役に立つことを教えてもらえたら、すごい大妖怪になって一目置かれるかもしれない。それは気分が良い。
こんなじいさんとの会話でそんなことあるはずないが、そう思ってしまった辺りリグルも少し子供っぽい。
「……ゴキブリですか?」
「良い線を行っておるが、奴は攻撃性が無さすぎる」
「でも人間には嫌われてますよ?」
「ゴキブリだって必死じゃ、逃げようとして飛んでおるのに人間が怖がっとるだけじゃ」
「うーん、もうわかんない……ハエですか? バイキンをバラまいたりするし」
「それは菌が強いだけじゃ、ハエが強いわけではない」
(何言ったって否定するんじゃん……)
そのリグルの考えは当たっているだろう。じいさんは屁理屈ばかり述べる。
「わからんか? ギブか!? ギブアップか!?」
「お手上げです……」
しゅんとうなだれるリグル、触覚も力なく垂れ下がる。対するじいさんは大興奮、杖で地面を叩きながら大喜びだ。見てて腹が立つ。
「K……復唱せよ」
「は、はい……けー」
「A……」
「えー」
「M……」
「えむ」
「E……」
「いー」
「KAME!! カメムシ!!」
「か、カメムシだったんですか!?」
「うむ……」
確かに臭い。でも死ぬほど危険でもないだろうに何故カメムシが最強なのか。リグルは納得行かなかった。
初めに挙げた毒虫達の方がよほど危険だと思う。それがリグルの素直な気持ちだ。
「でも……あれで死に至るようなことってあります?」
「……」
じいさんは悲しそうな表情でゆっくりと右足を上げ、それをリグルの顔の前に近づけた。
潰れたカメムシが張り付いていた。じいさんは裸足だった。
「クサッ!?」
「うむ……」
(足も普通にクサ……)
そしてじいさんは自分の右足を両手で抱きかかえるように持ち上げ、自分の顔に近づけた。
元々しわくちゃだった顔が大きく歪み、まるで梅干のように醜くなった。梅干自体は別に醜くも無いが、じいさんは醜かった。
リグルはなんでじいさんがわざわざ自分で嗅ぎなおしたのかよくわからなかった。変態だろうか。
「くさいじゃろう……」
「はい……」
「危険じゃろう……」
「はい……」
「踏んでしもうた……」
「はい……」
確かに強烈な臭いだったが、それをスペルカードに応用する勇気はリグルにはなかった。
あと、やっぱり兵法とか全然関係なかった。
リグルは洞穴から出た後、じいさんを閉じ込めるため周辺にたくさんカメムシを呼んでおいた。
そして一番の害虫はこのじいさんだと思った。
「うーん、でも意外と使えたりして……?」
夜空を飛びながら、ふとそんなことを思った。まぁやってみるのも悪くないかもしれない。
数日後、博麗神社にカメムシが妙に増えて霊夢が悲鳴を上げた。
「うわぁ!! クセンコムシだわ!! なんでこんなにいっぱい!?」
リグルのちょっとしたイタズラだったが、効果は抜群だった。
リグルは後で怒り狂った霊夢にシバかれた。
もう二度とやらないと心に誓った。
「この世で最も危険な蟲とは何かわかるか?」
「え? わかんないです」
森の奥の小さな洞穴の中、リグルと老齢の蟲妖怪が、松明の明かりに照らされながら向かい合って座っていた。
その老齢の蟲妖怪は着ぐるみでも着ているかのような、人を馬鹿にした姿だった。地獄○使を変にした感じ。
「ワシは蟲仙人。ムシキ○グと呼ぶものもおる」
「知ってますよ、それにしてもなんで伏字になっているんですか?」
「いろいろ……」
「はぁ……難しいですね」
リグルはさっさとどこかに遊びに行きたかった。
しかしこの蟲仙人を邪険に扱うと、後からいろいろな嫌がらせをされるので、リグルその他の蟲妖怪はしぶしぶ御高説に耳を傾けなければならない。
とりわけこの仙人、蟲嫌いな人間が多いのを良いことに蟲を使った嫌がらせが大好き。その他の嫌がらせも大好き。困ったおじいちゃんなのである。
リグルは散歩してたところを運悪く蟲仙人に捕まり、知りたくもない嫌がらせ技を伝授されているのだった。
大層な名前がついている割にはそこまで強い妖怪と言うわけでもなく、老化と共にしっかりと妖力も衰え、リグルも余裕で勝てる。
だがその真髄たる嫌がらせは主にガチの戦闘以外で発揮されるため、皆戦うのを嫌がる。そして余計に調子に乗らせてしまうのだ。
ついでに言えば「蟲仙人」も「ムシキ○ング」も自分で勝手にそう呼ばせてるだけだ。
まぁ一言で言えば「構ってやらないとウザい」のだ。構うにしてもウザいが。
「今日はワシが未熟なお前に、たくさんの有益な兵法を教えてやろうぞ」
(うわ、始まった……どうせ兵法じゃなくてただの嫌がらせでしょ……)
「で、最も危険な蟲とは何かわかるか?」
「う、うーん……」
ある程度真面目に聞かないと、怒り出して杖で頭を叩かれるのでたまらない。
大切な触覚に傷を付けられては困る、リグルは一応それなりに相手をしてやることにした。
「毒針を持つ、蜂ですか?」
「確かにそれもあろう……」
「うーん……暗殺者のように敵を仕留めるサソリは?」
「蜂より地味じゃろう」
(地味とかいう問題じゃないと思うけど……)
「毒から離れるのじゃ」
「カブトムシとか?」
「虫の世界では確かに力持ちさんじゃが、それでは決定打にならんじゃろう」
「力持ちさん!?」
「なんじゃぁっ!!」
「い、いえなんでも……ブフッ……」
じいさんが「力持ちさん」なんて可愛い言葉を使うものだから、つい噴出しそうになった。
しかしじいさんが歯を食いしばって杖を振り上げたので、リグルは必死に笑いを堪えた。リグルの触覚が恐怖でぷるぷると震えている。
このじいさん、人にバカにされるのが大嫌いだ。プライドがとても高い。
「うーん、うーん……」
確かにあまり考えたことのないテーマではあった。蟲と言っても蟲妖怪と普通の蟲はまた違う。
リグルは不覚にも、このじいさんもたまには役に立つことを言うのかも知れないと思ってしまった。
本当に役に立つことを教えてもらえたら、すごい大妖怪になって一目置かれるかもしれない。それは気分が良い。
こんなじいさんとの会話でそんなことあるはずないが、そう思ってしまった辺りリグルも少し子供っぽい。
「……ゴキブリですか?」
「良い線を行っておるが、奴は攻撃性が無さすぎる」
「でも人間には嫌われてますよ?」
「ゴキブリだって必死じゃ、逃げようとして飛んでおるのに人間が怖がっとるだけじゃ」
「うーん、もうわかんない……ハエですか? バイキンをバラまいたりするし」
「それは菌が強いだけじゃ、ハエが強いわけではない」
(何言ったって否定するんじゃん……)
そのリグルの考えは当たっているだろう。じいさんは屁理屈ばかり述べる。
「わからんか? ギブか!? ギブアップか!?」
「お手上げです……」
しゅんとうなだれるリグル、触覚も力なく垂れ下がる。対するじいさんは大興奮、杖で地面を叩きながら大喜びだ。見てて腹が立つ。
「K……復唱せよ」
「は、はい……けー」
「A……」
「えー」
「M……」
「えむ」
「E……」
「いー」
「KAME!! カメムシ!!」
「か、カメムシだったんですか!?」
「うむ……」
確かに臭い。でも死ぬほど危険でもないだろうに何故カメムシが最強なのか。リグルは納得行かなかった。
初めに挙げた毒虫達の方がよほど危険だと思う。それがリグルの素直な気持ちだ。
「でも……あれで死に至るようなことってあります?」
「……」
じいさんは悲しそうな表情でゆっくりと右足を上げ、それをリグルの顔の前に近づけた。
潰れたカメムシが張り付いていた。じいさんは裸足だった。
「クサッ!?」
「うむ……」
(足も普通にクサ……)
そしてじいさんは自分の右足を両手で抱きかかえるように持ち上げ、自分の顔に近づけた。
元々しわくちゃだった顔が大きく歪み、まるで梅干のように醜くなった。梅干自体は別に醜くも無いが、じいさんは醜かった。
リグルはなんでじいさんがわざわざ自分で嗅ぎなおしたのかよくわからなかった。変態だろうか。
「くさいじゃろう……」
「はい……」
「危険じゃろう……」
「はい……」
「踏んでしもうた……」
「はい……」
確かに強烈な臭いだったが、それをスペルカードに応用する勇気はリグルにはなかった。
あと、やっぱり兵法とか全然関係なかった。
リグルは洞穴から出た後、じいさんを閉じ込めるため周辺にたくさんカメムシを呼んでおいた。
そして一番の害虫はこのじいさんだと思った。
「うーん、でも意外と使えたりして……?」
夜空を飛びながら、ふとそんなことを思った。まぁやってみるのも悪くないかもしれない。
数日後、博麗神社にカメムシが妙に増えて霊夢が悲鳴を上げた。
「うわぁ!! クセンコムシだわ!! なんでこんなにいっぱい!?」
リグルのちょっとしたイタズラだったが、効果は抜群だった。
リグルは後で怒り狂った霊夢にシバかれた。
もう二度とやらないと心に誓った。
ドクダ巫女 は カメム巫女 に しんか した!
この時期だと晴れた日に南側の窓開けとくだけでカメ+テントウで廊下が埋め尽くされる。そんな地域に住んでいた事が私にもありましたw
ってSSの感想になってないスイマセンOTZ
さて、もちろん続編として「ドクダ巫女vsカメム姫 とびっきりの最臭対最臭」が企画されているのですよね?
それには同意せざるをえない