※小傘×ぬえという珍カプ、つきあってるのかー、百合ん百合ん。
この三重苦でもおkの方はつづきへどうぞ。
「ぬえはわちきの事、どう思う?」
その一言に横に居る小傘の方を向くと、微妙に頬を染めてうつむいている。
なんでいつもこんなに照れるのだろう。
こればっかりはきっと何度やってもなおらないんだろうなぁ。
そう、これはいつもの決まり切ったやり取り。
いつも通りの質問をされたから、いつも通りの答えを返す。
「私はぬえ。妖怪の、鵺。その身上は正体不明。私が何を思って、どう行動するか、ぜーんぶ正体不明。だから私が小傘をどう思ってるかも、正体不明」
正体不明。
これが私の特徴であり、性格であり、能力だ。
それは誰に対しても一緒。
誰かを特別扱いなんかしない。
もちろん、小傘にも。
でも、決まった答えを返すと小傘はいつも不満そうな顔をする。
人間を驚かすには向かない可愛らしい顔で、私に対しての抗議のつもりなのか、頬を精一杯膨らませている。
白い頬がぷっくりと膨らんでる様子は、まるでお餅のようだ。
これも、いつも通り。
小傘だって、きっと表情に出ているほど不満に思ってない。
だってこれは結果に至る過程の一つなんだから。
「ずるいよ、わちきには無理矢理、す、す、好きだって言わせるくせに」
『好き』って所でどもるのはご愛敬。
にやにやしながら私は答える。
「小傘は私の事が好き。でも私の全部は正体不明。残念だったわね」
俯いていた小傘の目線がゆっくりとあがり、私の目をみる。
あ、頬が赤い、赤い。
あ、目が期待と恥ずかしさでちょっとうるんでる。
あ、口元が少し緩んでいる。
一瞬のうちにそれだけ見て取った私へ、言葉が投げられる。
きっと、これもいつも通り。
「じゃあ、わちきはどうやって、ぬえの思いを確認すればいいのさ」
やっぱり。
あまりにもいつも通りで、おかしくて、嬉しくて、つい微かに笑ってしまう。
小傘が気づかないほど、微かに、そっと。
いつも通り。
なんて楽しいんだろう。
決まり切った、やりとりのはずなのにね。
ねぇ、小傘、私ね―――――
「それはね」
小傘の事、大好きだよ。
ふれあいは優しく。
想いを唇から、唇へ。
言葉では伝えきれない想いを唇から、唇へ。
触れ合わせた唇をそっと離し、最後の台詞を声にする。
「行動から、判断するのよ」
そっかぁといって、嬉しそうにほほ笑む小傘。
そうなのよといって、軽くうなずく私。
そして同時に笑いだす。
二人して夕焼けみたいな顔色なのは、やっぱりご愛敬。
そう、これはいつもの決まり切ったやり取り。
恥ずかしがり屋のあなたから、素直じゃない私への、決まり切ったおねだり。
それ以上何も言えねぇ……
流行ればいいと思うのならば自分で普及させるのが一番ですよ。(ニヤニヤ)