※独自の解釈が含まれています。
やや霊夢×早苗風味？
そういうのが大丈夫な方はどうぞ。
博麗霊夢は少し意外、といったように目の前を凝視していた。
もともと博麗神社は来客が多い。それに誰でも訪れることの出来る神社であるから多少の来客には
驚いたりはしない。
それが例え吸血鬼でも亡霊でも不死人でも妖精でも悪魔でもメイドでも魔法使いでも式神でも隙間
妖怪でも閻魔でも死神でも天狗でも鬼でも神様でも悪霊でも。
……思い出し、指折り数えて霊夢はその惨状にこめかみを抑えることを禁じえなかった。
（……よく考えると酷いわね。そりゃ人間の参拝客も減るわ……）
ちなみに目下一年連続お賽銭額は減少中である。歴代に無い記録だった。嬉しくも無いが。
（あいつら、まともにお賽銭入れやしないんだから……）
眉間に皺を寄せ、いかな手段でもって強奪すべきか考えていると、目の前の人物が少し身を乗り出
してきた。
「やはり、お邪魔でしたか？」
その顔は少し申し訳なさそうに俯けられている。前髪が影を作っているのが恐い。
「ああ、そうじゃないわよ。ただ、驚いてるだけ」
霊夢ははっとして、慌てて笑顔を取り繕い目の前の人物――東風谷早苗に気にしないように伝えた。
事の始まりは二刻ほど前。何の冗談か菓子折りを持って神妙な面持ちで神社にやってきた早苗を霊
夢が迎えたことから始まる。
このような事は異変の後にはよく起こる事で、別段霊夢も気にしたことは無かった。
けれど、今回は何か神妙そう。
その証拠におっかなびっくり、そんな表現が似合うような不審者ぶりで神社を訪問してきたものだ
から思わず夢想封印で迎え撃った。
全弾命中だった。勿論菓子折りにはキズ一つつけてはいない。
そのあまりに無抵抗な墜落に流石に焦った霊夢が落下する早苗を抱きとめ、謝罪しようとすれば早苗が。
「ああ、いえ……流石に驚きましたが、大丈夫そうですから、あまり気にしないでください」
こう言うものだからあまりにばつが悪いと思った霊夢が丁重にお持て成しをしているのである。
取って置きのお茶に魔理沙が置いていったそこそこの煎餅。
博麗神社最高のおもてなしコースだった。精一杯の。
そうして今現在、ダメージが回復するまでを考えると一刻と少し。
とりとめもない会話を続けたまま今現在に至るのである。
「ええと、そう……今日は空が晴れ晴れとして……」
ちなみに早苗がこの話題をするのは霊夢カウンターによると四回目である。
「……四回目ね。私はそれでも寒いからどうにかして欲しいわね、って答え」
「五回目だったと思うんですが？」
霊夢カウンターは不良品だった。
少し恥ずかしそうにごまかすように頬をかきながら、けれど同じ話題のループに流石に嫌気がさしてきたのか、少
し強く机をたたき大きな音を立てた。
「！！」
早苗の驚きとともにお茶が少しこぼれる。
「で？ そろそろ本題に入ってもよろしいかしら？」
じっと早苗を見つめ、勤めて冷静な口調で言葉を続けた。
「ええと、その……はい」
「……」
「用件としては簡単なのですが、これを言い出すとなんというか、負けた気になるといいますか……
」
「負けた気も何も前の弾幕ごっこで完璧に負けてるじゃない？」
「そ、それとは違うといいますか、人としての誇りにかかわるようなそんな感じでですね……」
「いいから言いなさい。それとも、そんなに恥ずかしいことなの？」
「……わかりました。その、ですね？」
「ええ」
ごくり、と緊張で咽が鳴る。前回霊夢に負けたとはいえ、なかなかの実力者である早苗。
果たしてそんな相手がここまで困るような頼み事とは何だろう。自然と頭の中で針の余りを数え、
心の中でこの問題の首謀者を探し始める。
そんな中、永遠にも取れる刹那。早苗の口が開き……
「ご、ご飯の炊き方を教えてもらえないでしょうか！！！」
「……はい？」
予想より百八十度違った問題だった。
「あー……釜戸使えば？」
にべもない答え。とはいえ、それも仕方がない。なにせ霊夢的には勝手にしろ、といったものであ
る。
そもそも霊夢自身だって料理が得意、というわけでもないのだ。
そういう話は得意そうな奴にしろ、ということである。
「それはそう、なんですけれど……未だに幻想郷の料理の仕方に慣れませんで」
「慣れるって……何かおかしい所でもあるの？」
「そうですね。炊飯ジャーが使えませんし、冷蔵庫も。ガスコンロもなくて」
「すいはんじゃぁ？ 冷蔵庫は聞いた事あるわ。氷室みたいな物なんでしょ？」
随分と未知の領域だった。時折外の世界に詳しい紫などが話しているのを聞いたりする程度。
確かに頼みの物が使えない上に幻想郷の道具に不慣れであれば仕方がないかもしれない。
とはいえ、だ。
「周りに知ってる人いないの？」
「ええと、八坂様達に聞くわけにはいきませんし、周囲には妖怪ばかりですから」
「不憫ね」
「そう思うのなら、是非」
真剣な眼差しでそう頼まれてしまい、霊夢はいよいよ困ったぞと口の端をゆがめて笑う。
「何で、私？」
「初めてお会いしたときの二人だと、あなたかと」
「魔理沙も料理できるわよ？」
「なんといいますか、大きな鍋で緑の液体をかき混ぜそうなイメージが」
早苗の中で魔理沙は完璧な魔女だった。
「そりゃあんな服着てるとねぇ。知らない人から見ればそうなんでしょうけど」
「同じ巫女仲間じゃないですか、巫女同盟じゃないですか！」
「私はそんな謎の集団に入った憶えはないっ！」
「嬉しかったんですよ？ 見知らぬ土地に来て、けれど同じような巫女がいるなんて」
吃驚した。純粋にそんな風に見られているとは思わなかった。
驚きで声が出ない。
「最初は、ぼろぼろの神社、すぐ信仰を集められる！ なんて思ってましたけどッ」
「ふふふっ……外に出なさい？ 久々に全力を出すわ」
霊夢の額に青筋が浮かんでいた。流石にそんな言われようには腹が立ったらしい。
「でも、出会って一回も被弾させれずに落とされて、ああ、すごい人、なのかなって」
「そういえばそうだったわね」
「おんなじ人間ですし、頼ってみようって」
「勝手な考えよね。別に気にしないけど」
早苗はこれを逃してはまた芯の残ったお米を食べねばならぬと必死だ。
それに、早苗にとっては幻想郷の人間とのつながり、その第一歩である。
知らず力が入るというものだ。
「……」
あまりに真剣で。
縋るように見つめられ。
早苗の手は胸元できゅっと強く握り締められている。
だから。
「っ～～わかったわよ！」
照れくさそうに視線を庭へと向けて。
哀れだったのだろうか。同情なのだろうか。
けれど、そんな思いを無碍には出来なかったのだ。
「！ あ、ありがとうございます！」
嬉しそうに満面の笑顔で頷く早苗。
「しょうがないわね。でも、やるからには真剣だから」
「勿論ですっ。これから……よろしくお願いします、霊夢」
「こちらこそ、よろしくね。早苗」
これが、新しい関係の始まり。
やや霊夢×早苗風味？
そういうのが大丈夫な方はどうぞ。
博麗霊夢は少し意外、といったように目の前を凝視していた。
もともと博麗神社は来客が多い。それに誰でも訪れることの出来る神社であるから多少の来客には
驚いたりはしない。
それが例え吸血鬼でも亡霊でも不死人でも妖精でも悪魔でもメイドでも魔法使いでも式神でも隙間
妖怪でも閻魔でも死神でも天狗でも鬼でも神様でも悪霊でも。
……思い出し、指折り数えて霊夢はその惨状にこめかみを抑えることを禁じえなかった。
（……よく考えると酷いわね。そりゃ人間の参拝客も減るわ……）
ちなみに目下一年連続お賽銭額は減少中である。歴代に無い記録だった。嬉しくも無いが。
（あいつら、まともにお賽銭入れやしないんだから……）
眉間に皺を寄せ、いかな手段でもって強奪すべきか考えていると、目の前の人物が少し身を乗り出
してきた。
「やはり、お邪魔でしたか？」
その顔は少し申し訳なさそうに俯けられている。前髪が影を作っているのが恐い。
「ああ、そうじゃないわよ。ただ、驚いてるだけ」
霊夢ははっとして、慌てて笑顔を取り繕い目の前の人物――東風谷早苗に気にしないように伝えた。
事の始まりは二刻ほど前。何の冗談か菓子折りを持って神妙な面持ちで神社にやってきた早苗を霊
夢が迎えたことから始まる。
このような事は異変の後にはよく起こる事で、別段霊夢も気にしたことは無かった。
けれど、今回は何か神妙そう。
その証拠におっかなびっくり、そんな表現が似合うような不審者ぶりで神社を訪問してきたものだ
から思わず夢想封印で迎え撃った。
全弾命中だった。勿論菓子折りにはキズ一つつけてはいない。
そのあまりに無抵抗な墜落に流石に焦った霊夢が落下する早苗を抱きとめ、謝罪しようとすれば早苗が。
「ああ、いえ……流石に驚きましたが、大丈夫そうですから、あまり気にしないでください」
こう言うものだからあまりにばつが悪いと思った霊夢が丁重にお持て成しをしているのである。
取って置きのお茶に魔理沙が置いていったそこそこの煎餅。
博麗神社最高のおもてなしコースだった。精一杯の。
そうして今現在、ダメージが回復するまでを考えると一刻と少し。
とりとめもない会話を続けたまま今現在に至るのである。
「ええと、そう……今日は空が晴れ晴れとして……」
ちなみに早苗がこの話題をするのは霊夢カウンターによると四回目である。
「……四回目ね。私はそれでも寒いからどうにかして欲しいわね、って答え」
「五回目だったと思うんですが？」
霊夢カウンターは不良品だった。
少し恥ずかしそうにごまかすように頬をかきながら、けれど同じ話題のループに流石に嫌気がさしてきたのか、少
し強く机をたたき大きな音を立てた。
「！！」
早苗の驚きとともにお茶が少しこぼれる。
「で？ そろそろ本題に入ってもよろしいかしら？」
じっと早苗を見つめ、勤めて冷静な口調で言葉を続けた。
「ええと、その……はい」
「……」
「用件としては簡単なのですが、これを言い出すとなんというか、負けた気になるといいますか……
」
「負けた気も何も前の弾幕ごっこで完璧に負けてるじゃない？」
「そ、それとは違うといいますか、人としての誇りにかかわるようなそんな感じでですね……」
「いいから言いなさい。それとも、そんなに恥ずかしいことなの？」
「……わかりました。その、ですね？」
「ええ」
ごくり、と緊張で咽が鳴る。前回霊夢に負けたとはいえ、なかなかの実力者である早苗。
果たしてそんな相手がここまで困るような頼み事とは何だろう。自然と頭の中で針の余りを数え、
心の中でこの問題の首謀者を探し始める。
そんな中、永遠にも取れる刹那。早苗の口が開き……
「ご、ご飯の炊き方を教えてもらえないでしょうか！！！」
「……はい？」
予想より百八十度違った問題だった。
「あー……釜戸使えば？」
にべもない答え。とはいえ、それも仕方がない。なにせ霊夢的には勝手にしろ、といったものであ
る。
そもそも霊夢自身だって料理が得意、というわけでもないのだ。
そういう話は得意そうな奴にしろ、ということである。
「それはそう、なんですけれど……未だに幻想郷の料理の仕方に慣れませんで」
「慣れるって……何かおかしい所でもあるの？」
「そうですね。炊飯ジャーが使えませんし、冷蔵庫も。ガスコンロもなくて」
「すいはんじゃぁ？ 冷蔵庫は聞いた事あるわ。氷室みたいな物なんでしょ？」
随分と未知の領域だった。時折外の世界に詳しい紫などが話しているのを聞いたりする程度。
確かに頼みの物が使えない上に幻想郷の道具に不慣れであれば仕方がないかもしれない。
とはいえ、だ。
「周りに知ってる人いないの？」
「ええと、八坂様達に聞くわけにはいきませんし、周囲には妖怪ばかりですから」
「不憫ね」
「そう思うのなら、是非」
真剣な眼差しでそう頼まれてしまい、霊夢はいよいよ困ったぞと口の端をゆがめて笑う。
「何で、私？」
「初めてお会いしたときの二人だと、あなたかと」
「魔理沙も料理できるわよ？」
「なんといいますか、大きな鍋で緑の液体をかき混ぜそうなイメージが」
早苗の中で魔理沙は完璧な魔女だった。
「そりゃあんな服着てるとねぇ。知らない人から見ればそうなんでしょうけど」
「同じ巫女仲間じゃないですか、巫女同盟じゃないですか！」
「私はそんな謎の集団に入った憶えはないっ！」
「嬉しかったんですよ？ 見知らぬ土地に来て、けれど同じような巫女がいるなんて」
吃驚した。純粋にそんな風に見られているとは思わなかった。
驚きで声が出ない。
「最初は、ぼろぼろの神社、すぐ信仰を集められる！ なんて思ってましたけどッ」
「ふふふっ……外に出なさい？ 久々に全力を出すわ」
霊夢の額に青筋が浮かんでいた。流石にそんな言われようには腹が立ったらしい。
「でも、出会って一回も被弾させれずに落とされて、ああ、すごい人、なのかなって」
「そういえばそうだったわね」
「おんなじ人間ですし、頼ってみようって」
「勝手な考えよね。別に気にしないけど」
早苗はこれを逃してはまた芯の残ったお米を食べねばならぬと必死だ。
それに、早苗にとっては幻想郷の人間とのつながり、その第一歩である。
知らず力が入るというものだ。
「……」
あまりに真剣で。
縋るように見つめられ。
早苗の手は胸元できゅっと強く握り締められている。
だから。
「っ～～わかったわよ！」
照れくさそうに視線を庭へと向けて。
哀れだったのだろうか。同情なのだろうか。
けれど、そんな思いを無碍には出来なかったのだ。
「！ あ、ありがとうございます！」
嬉しそうに満面の笑顔で頷く早苗。
「しょうがないわね。でも、やるからには真剣だから」
「勿論ですっ。これから……よろしくお願いします、霊夢」
「こちらこそ、よろしくね。早苗」
これが、新しい関係の始まり。
現代っ子早苗が霊夢に幻想郷の生活について教えを請うという王道シチュ、だがそれがいい！
この設定を引き継いだ次回作期待してますよ～
出来たら続きを。これで終わりは勿体無い！
ら抜き言葉が少しだけ気になった。
素晴らしいですねー
ぜひ続きを書いて下されば嬉しいですね
楽しみにしています
是非続きを！期待してます、だぜ！！
このお話には続きと言うセッテイがあるのですね、
是非に続きが気になります。
ぜったいもうひと悶着ありそうだ。
続編を期待しています。