Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

残暑

2007/09/10 12:08:14
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 幻想郷の夏も終わる。

 巫女は目覚めた。
一時の寝苦しい夜が夢だったように、ここ最近は朝は過ごしやすかった。
あとは涼しくなっていく一方だろうと季節の移り変わりを思いながら布団を片付ける。
 ブン屋が新聞を配達することを告げる声も聞こえてきた。
 巫女はこれから体を清めてから巫女服に着替えなければならない。寝巻きに手をかける。



 体を清めてから早速朝食を取る事にする。
何か抜けている?着替えと禊の描写?
……困ったものです。これは先人の言葉を借りよう。

『馬鹿じゃなかったら変態よ!』



 朝涼しい内に博麗神社の掃除をすることにした。しばらく掃除していると気温が上がってくるのを感じる。
どうやら日中は暑くなるようだ。午後からはまったりしたほうがよいかもしれない。
 ふと空を見上げると人形遣いが空を飛んでいた。方向から察するに大図書館にでも行くんだろう。
人形遣いは巫女に気づいて手を振ってきた。その周りにいるのはいつもの上海人形、そして黒白の人形。
巫女も、行ってらっしゃい、と声を掛ける。

 次に飛んできたのは永遠亭の唯一の月兎。彼女は神社に降り立ち参拝してくれた。
行き先と手に持った包みのことを聞くと、どうやら閻魔様の所に来ている客人に会いに行くとのこと。
引き止めるのも先方に悪いので、気をつけて、と声を掛ける。



 さて掃除も終わった。午後からまったりすることを考えると午前中に用事を済ませたほうがよさそうだ。
賽銭箱の回収と感謝したのち、出かけるために空を飛ぶ。
 用事といってもたいしたことはなかった。見回りがてらの散歩といったところだ。
まずは湖の方に行くことにする。

 そこでは妖精たちが遊んでいる。だがそんな中ちょっとした騒動もあった。
氷精がフラワーマスターと戦っていた。ただいつものことなので誰も気にしない。心配してるのは氷精の友達の妖精くらいだ。
氷精の勝率は……言わぬが華というものだろう。でもそれでもどこまでも向かっていく。そして彼女はそれにつきあってくれるんだろう。
二人とも最強を自負する限り。

 人里にも寄ってみる。お昼ごはんの用意もしなくてはいけないから何か見繕おう。
商品を見ていると呼び止められた。振り向くとハクタク先生が立っている。巫女も挨拶をする。
しばらく世間話したあと里を後にした。



 神社に着くとお昼ご飯の用意だ。まだ頂き物のそうめんが残っていたからそれでも茹でよう。
気温がどんどん高くなって茹でているうちに汗が吹き出てきたが、そんなものは冷たいそうめんを食べればすぐに引っ込む。

 食後は予定通りまったりすることにする。縁側に腰掛けお茶を飲んでいよう。
足元には水の張ったたらいを用意して素足を突っ込んで冷やす。これ最高。
で、そうやってまったりしているとふと誰かに見られている気がする。
その方向に尋ねると案の定スキマ妖怪とその式神が現れた。スキマ妖怪はこちらの姿を見ていつものアノ笑みを浮かべていた。
話を聞くともっといい涼める場所があるから行かないかとのこと。でもアノ笑みを見ると勘が働いてしょうがない。
こういう時の対処方法は……
 「……」
 その言葉を聴いた瞬間スキマ妖怪は目に涙を浮かべて走っていった。よっぽど嬉しかったんだろう。
残された式神は苦笑いを浮かべていたが巫女の頭を撫でると主を追いかけていった。

 そうこうしてるうちに日もそれなりに傾いてきた。そろそろまったりをやめようかと思っていたら近づく黒の球体に気づく。
その球体は神社の中まで入ってきて日の光が入ってこないところで止まった。中から出てきたのは宵闇の妖怪と紅魔館の主。
この吸血鬼は最近この方法で来る事が多い。宵闇の妖怪は手間代を貰うと帰っていく。
吸血鬼御用達タクシー、人も運べます。命の保障は出来ないけど。

吸血鬼と会話するがなんとなく寂しそうだ。それは最近の館の事情も絡むのだろうか?巫女にはよく判らない。
ふと、吸血鬼が外を見る。巫女も外を見てようやく気づいた。
夕日を背景に誰かが神社に降り立とうとしている。夕日の赤に映える紅白。
巫女はこう出迎えた。

「お帰りなさい、かあさま!」



何年何十年たとうが季節は巡る。
だから今年も、幻想郷の夏も終わる。
「ねえ、藍。紫はどうしたのかしら?」
「精神的に衝撃的なことがありまして。ある意味自業自得ではあるんですが」
「……何よ。私はただ可愛いあの娘をしばらく手元に預かりたいなと思っただけじゃない。それが何よ、
『紫おばちゃん』って。しかもあんな純朴な目で言われたらショックも受けるわよ。いったい誰、あんな入れ知恵したのは」
「みんなです、紫様」
「今なんと言ったのかしら、藍」
「周囲の者がそれぞれ言ってあるようですから。紫様に限らず危険が予想されることに関しては対策がされています」
「あらあら。それは仕方ないわね、紫」
「くっ。判ったわよ。よかったわね、あなたは『藍お姉ちゃん』と呼んでもらえているのだから。ふっ、だけど見ていなさい。今回妙な画策してくれた者たちは絶対ぎゃふんと言わせてあげる」
「ねえ、紫」
「何よ、幽々子」
「私も『幽々子お姉ちゃん』と呼ばれているんだけど」
「ぎゃふん」



あとがき
初投稿です。
とりあえず書きたいことだけ書いてみましたが。正直SSにはなりきれてないな。
祐夢
コメント



1.脇役削除
紫さま(涙)・・・いや逆の意味で考えるんだ!つまりそれほど信頼してもらえているってことなんだよ、あえて言おうあなたはとってもかわいい普通の女の子・・・
2.名無し妖怪削除
20年ぐらい経って霊夢は女盛りの30台で跡継ぎの子は10台前半と申したか!
3.名無し妖怪削除
変態と申したか!
それはむしろ誉め言葉
4.名無し妖怪削除
紅魔館が寂しい事情ってことは、それなりに何代も後の話ではなかろうか。
雰囲気のある文体で和んだ。
5.名無し妖怪削除
よいですな~
個人的に最近多い壊れ話よりこういう方が好きだ
6.名無し妖怪削除
久しぶりだなあこういう話は。ちょっと最近百合と壊れが多すぎで困るから、こんな幻想郷らしい話がもっと増えて欲しい。
7.祐夢削除
予想外の好評に実は戸惑っていたりします。
ありがとうございます。

>紫さま(涙)・・・いや逆の意味で考えるんだ!つまりそれほど信頼してもらえているってことなんだよ

信頼はありますね。ただ要注意妖怪と見られているのも事実ですが。
今回に関しては名前と台詞を出せない演出上、貧乏くじを引かせてしまった次第。
次回以降にはいいことがあるはず、きっと、多分、だったらいいな。


>変態と申したか!
>それはむしろ誉め言葉

変態変態♪

>20年ぐらい経って霊夢は女盛りの30台で跡継ぎの子は10台前半と申したか!
>紅魔館が寂しい事情ってことは、それなりに何代も後の話ではなかろうか。

これに関してはどちらにも取れるよう工夫に努めました。
もちろん作者の中には明確に答えはあります。今後書き続けていく上で判明させたいですがそこまでいけるやら。

>雰囲気のある文体で和んだ。
>よいですな~ 個人的に最近多い壊れ話よりこういう方が好きだ
>久しぶりだなあこういう話は。ちょっと最近百合と壊れが多すぎで困るから、こんな幻想郷らしい話がもっと増えて欲しい。

次回からは表現方法が変わるかもしれませんが、うまい壊れ話書けるほどのセンスがないのでこれからもこんな感じになるかもしれません。
今回の世界観で当分いろいろ書き続ける予定ですが。

次回は七色の人形遣いと黒白の人形、そこに動かない大図書館を絡めたお話。託されたモノ、取り戻せないモノ。

予定は未定であり内容が変更となる場合もありますのでご了承ください。
8.名無し妖怪削除
黒白の人形に泣いた。
魔理沙は既に過去の人なのか・・

勝手に結構時間過ぎてると想像。お話はとても楽しかったです。
次回も期待してます。

紫おばちゃん・・これはキツい!(笑
・・でも、『ぎゃふん』なんて言ってたら立派におば(スキマ