「こ、これは…」
調査隊隊長を努める私は、目の前に広がる悲惨な光景に思わず立ち尽くした。
いたるところに被弾、ゲームオーバーの跡がある。
「これは…霊符か。」
その特徴的な座布団のような跡から私はそう判断した。
それにしても、今まで数々の遺跡を見てきたが、これだけのものは初めてだった。
「隊長!これを…」
部下が持ってきたのは、未使用のまま打ち捨てられたボムだった。
「この先に夥しい数の未使用ボムが…」
「そうか…。」
ここはとある妖々夢遺跡の発掘現場である。状況から難易度はLunaticと思われる。
遺跡に入ったとたん、まだ1面だというのにこの有様である。
「使用機体が霊符ということと、この状況を鑑みると、恐らくここは初心者シューターが『とりあえず最高難度で』と思
って初めからLunaticを始めてしまった跡だろう。むごいものだ。せめてもう少しボムを撃つことを知っていたなら、少
なくとも2面までは行けたろうに…。」
一同が悲痛な表情を浮かべる。
「皆も気をつけてかかれ。この先はおそらくリンガリングコールドだろうが、1面のスペルだからと言って油断すれば、
われわれでも被弾の可能性はないとは言えないのだ。」
その言葉に心なしか表情を引き締め、隊員たちは先へと進んでいった。
私はそれを見やりつつも、この現場のあまりの凄惨さにまだ足を止めたままでいた。
まだ1面だというのに費えてしまった数多の挑戦。その一つ一つが放つ無念が、この場の空気に充満しているような
気がして、それから逃げ出すために私は無理やりに足を動かし、歩を進めた。
リンガリングコールド跡地に着くと、なにやら騒がしかった。
「隊長、こんなものが…」
見ると、これもまた未使用のボム用スペルカードのようだった。
しかし、そこからは何かその本来の機能とは恐らく違うであろう魔力が感じられた。
それは、まるでここで費えた一つの命が語りかけてくるような…
「恐らくここで被弾したプレイヤーが残したメッセージだろう。抱え落ちしてしまったボムに、プレイヤーの想いが残留
している…、いや、もしくは意図して何か後に来るもののためにメッセージを残したのか…。すぐに解析に回せ。」
結果を待つ間、私はそれを遺したプレイヤーに思いを馳せていた。
プレイヤーがメッセージを残すなど、めったにないことである。
この結果しだいではこの遺跡を残したプレイヤーについて有力な情報が得られるだろう。
ひょっとすれば近年まれに見る重要な調査となるだろう。
場合によっては、この先を調査するに当たって増援を呼ぶ必要もあるかもしれない。
解析は難航したようで、隊員が私の元に結果を持ってきたのは数時間後の事だった。
しかも、その隊員はというと、何か困惑したような表情を浮かべて…。
「どうした?解読できなかったか?」
「いえ、解読には成功したようなのですが、出た結果というのが、その、よくわからないもので…。」
妙な胸騒ぎが私を襲う。
気力を振り絞り、私は報告書を受け取り、そして、ソレを目の前にした。
『うはwwwwww弾がひろがりんぐwwwwwww』
「…」
「…」
「帰るぞ」
「はい」
調査隊隊長を努める私は、目の前に広がる悲惨な光景に思わず立ち尽くした。
いたるところに被弾、ゲームオーバーの跡がある。
「これは…霊符か。」
その特徴的な座布団のような跡から私はそう判断した。
それにしても、今まで数々の遺跡を見てきたが、これだけのものは初めてだった。
「隊長!これを…」
部下が持ってきたのは、未使用のまま打ち捨てられたボムだった。
「この先に夥しい数の未使用ボムが…」
「そうか…。」
ここはとある妖々夢遺跡の発掘現場である。状況から難易度はLunaticと思われる。
遺跡に入ったとたん、まだ1面だというのにこの有様である。
「使用機体が霊符ということと、この状況を鑑みると、恐らくここは初心者シューターが『とりあえず最高難度で』と思
って初めからLunaticを始めてしまった跡だろう。むごいものだ。せめてもう少しボムを撃つことを知っていたなら、少
なくとも2面までは行けたろうに…。」
一同が悲痛な表情を浮かべる。
「皆も気をつけてかかれ。この先はおそらくリンガリングコールドだろうが、1面のスペルだからと言って油断すれば、
われわれでも被弾の可能性はないとは言えないのだ。」
その言葉に心なしか表情を引き締め、隊員たちは先へと進んでいった。
私はそれを見やりつつも、この現場のあまりの凄惨さにまだ足を止めたままでいた。
まだ1面だというのに費えてしまった数多の挑戦。その一つ一つが放つ無念が、この場の空気に充満しているような
気がして、それから逃げ出すために私は無理やりに足を動かし、歩を進めた。
リンガリングコールド跡地に着くと、なにやら騒がしかった。
「隊長、こんなものが…」
見ると、これもまた未使用のボム用スペルカードのようだった。
しかし、そこからは何かその本来の機能とは恐らく違うであろう魔力が感じられた。
それは、まるでここで費えた一つの命が語りかけてくるような…
「恐らくここで被弾したプレイヤーが残したメッセージだろう。抱え落ちしてしまったボムに、プレイヤーの想いが残留
している…、いや、もしくは意図して何か後に来るもののためにメッセージを残したのか…。すぐに解析に回せ。」
結果を待つ間、私はそれを遺したプレイヤーに思いを馳せていた。
プレイヤーがメッセージを残すなど、めったにないことである。
この結果しだいではこの遺跡を残したプレイヤーについて有力な情報が得られるだろう。
ひょっとすれば近年まれに見る重要な調査となるだろう。
場合によっては、この先を調査するに当たって増援を呼ぶ必要もあるかもしれない。
解析は難航したようで、隊員が私の元に結果を持ってきたのは数時間後の事だった。
しかも、その隊員はというと、何か困惑したような表情を浮かべて…。
「どうした?解読できなかったか?」
「いえ、解読には成功したようなのですが、出た結果というのが、その、よくわからないもので…。」
妙な胸騒ぎが私を襲う。
気力を振り絞り、私は報告書を受け取り、そして、ソレを目の前にした。
『うはwwwwww弾がひろがりんぐwwwwwww』
「…」
「…」
「帰るぞ」
「はい」
ひろがりんぐこーるど