Coolier - 新生・東方創想話ジェネリック

閻魔を裁いた死霊

2009/05/14 00:22:36
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老人が塩を手にぬり、炊き立てのご飯でおにぎりを三個作ったところで,今度は
竹筒でできた水筒にお茶をいれ先ほど作ったおにぎりを竹の皮で包むと忘れ物はない
か?卓袱台の横の煙草盆からキセルを取り腰に差し煙草を懐に入れた。

老人は家を出ると里のはずれにある祠に向かった。祠の横には大きな楠木があり祠と楠木
の間には石がおいてある、誰がおいたのか腰掛けるのに丁度いい頃合いの石だ。

祠の中には可愛いお地蔵さんが一体と、横に竹でできた花立と前には薄汚れた湯飲みが
一つあり花は枯れ、湯飲みの中はカラカラに乾いて中には木の葉がはいっていた。
老人は花立と湯飲み持ち「可哀相に、のどが渇いて、いただろうに」と、言って祠の裏の
小川に降りていった。

濡れた手ぬぐいでお地蔵さんの体を拭き、小川の辺の小さな花を摘んで入れた花立を
立て右手の湯飲みを振り水を切り、お地蔵さんの前に置き竹筒のお茶を注ぎ
おにぎりを一つ供えて手を合わせた。

老人は石に腰掛けお茶を飲もうとしていたら里と反対の方から少女が二人こちらに歩いて
来ていた。老人の前まで来ると二人は立ち止まり石の上の竹の皮で包んだおにぎりを
じっと見ている。

二人とも可愛い顔で里では見ない服装をしている良い所のお嬢さんなのかもしれない、
老人は二人が見ている方え目を向け「食べたいのか」と、聞くと二人はコクリと頷いた。
残っている二つのおにぎりを一つずつやり竹筒のお茶を少女に渡し老人はキセルを取り
出し煙草に火を点けた。

「お爺さんは、食べなくていいの?」

「わしは、これがご馳走さ」

老人はそう言って美味しそうに煙を吐いた。煙は顔の前でゆらいで消えた。

「四季様、お茶でもいかがですか」

「いただくわ」

四季は小町から竹筒を受け取りお茶を飲むと老人を見た。老人は周りの景色に目を走ら
せ「若葉が美しい季節になったか」と、呟きキセルを「ふっ」と、吹くと小さな火の塊が土の
上に落ち火の色があせた塊は風に吹かれてコロコロと草むらに消えていった。

四季が、良いキセルですね、と言うと、此れは(きぬた形)のキセルだけど特別に長く作って
もらったのさ、猫の頭を叩くときに丁度いいからと言って老人は笑った。

「四季様、もう戻りましょう」

「そうですね、帰りますか」

「わしも里に帰るけど、君達もいっしよに帰るか」

二人は首を横に振り妖怪が住むと言う山の方を指差した。

「向こうの山は、妖怪が住んでいると聞くが大丈夫なのか」

二人が私たちは強いから大丈夫と笑った。誰か迎えに来るのだろうと思ってお地蔵さん
に向き直り「今度はいつ来れるか分からないけど、達者でいろよ」と、声をかけて里に向
かって歩き出した私に二人が「達者でいろよ」と、私を真似ていったので私は頭の上で
キセルをクルクル回し「わかった」と、合図をいれた。




数ヵ月後

一軒の家の前に里の人々が集まっていた。皆口々に良い人だった、そうでしたね、もっ
たいない人を亡くして私でよければ代わっていいものをと老婆が言った。人々は皆老人
に世話になっていたようだ。男が私は小さいころ暴走してきた牛に襲われそうになった時
老人が牛の前に立ちふさがり牛の角を持って組み伏せ助けてくれた事を話した。

優しいだけでなく豪胆な人でもあった。伝々と話していると見知らぬ少女が立って居るのに
きづき世話人代表らしき人が、老人には身内はいないし里の人でもない少女にどちら様
ですかと聞くと、小町は迎え……いえ、む、昔お世話になったことが在るからといった。

世話人達はお棺の中に老人の好きだった煙草にキセル、おにぎりにお饅頭と酒を入れて
蓋をし、身内がいない為に無縁塚に行き弔った。




それから十年後

「小町~小町はいませんか?」

「四季様、何か御用ですか」

「今、お暇ですか」

「頼まれていた閻魔帳の整理が少し遅れてますけど」

「少しくらいなら構いませんからこれを先に済ませてください」

小町は貰った紙を見ると無縁塚の整理と書かれている。

「無縁塚をどうするんですか」

「書いてある通りですよ、整理、整理、余りにあちこち埋めてるから少し整理して」

「わかりました」

小町はムシロを二枚とスコップを持って無縁塚に行き卒塔婆の建っている所を掘りはじ
めた。ムシロを二枚重ねて広げた上に掘り出した頭蓋骨や大たい骨を乗せ次々と掘って
いく、小町は掘り出した骨を無造作にムシロの上に投げると頭蓋骨にあたり頭蓋骨の顎の
骨がガラガラと鳴った。

一つ掘るたびに死霊が一つ浮かび、死霊の中には子供に相撲取りに侍に年寄りにと、いろ
いろな死霊達が混ざっていて卒塔婆を数えるともう二十数本掘っていた。死霊達に囲ま
れているのにきがつかず次に取り掛かろうとした時何かで頭を「コッン」と殴られた。

「キャン」

驚いて振り向くとキセルを持った死霊と多くの死霊達に囲まれていた。

「死霊の分際でよくも私に刃向かうとは」

「だまらしゃい、死人に口なしと思ったら大間違いだぞ」

いままで死霊に逆らわれた事が無い上に多くの死霊に囲まれているため小町はあた
ふたし始めた。

「なぜ、私たちが怒っているのか分かっているのか」

「ど、ど、どうしてなんだよ」

「我々を、どんな扱い方にしている」

「骨を投げたの悪かった。謝るから」

「そんな事言ってるのではない我々が乗っているそれは何だ」

「泥の上に置くわけにもいかないしムシロの上なら汚れないと思って」

「此処を掘り返したのはお前の一存か」

「いいえ上司に言われて」

「その上司を連れて来い」

「そう言われましても」

「つべこべ言わずに連れて来い」

キセルを持った代表格の死霊が言うと他の死霊達も「連れてこ~~い、連れてこ~~い」
と騒ぎ出した、此のままでは収まりがつかないと思い小町は仕方なく四季を連れに戻った。

「四季様大変で御座います」

「どうしました」

「死霊達が暴動を起こしました」

小町はいままで死霊に逆らわれた事がないので少し大袈裟になっていた。

「なんと不届きな霊界に来て私に逆らうとは皆地獄に送ってやりましょうか」

小町は無縁塚に戻ってくると死霊達の前で。

「四季様この死霊達で御座います」

「貴方達ですか暴動起こしたのは、そんな事すると貴方達の為にはなりませんよ」

「こんな理不尽なあつかいをしていて暴動とはなんたる言い草」

死霊達も負けてはいない本当に暴動を起こしそうな雰囲気になってきた。

「所で偉そうに言うあんたは何者だ」

「閻魔ですよ」

閻魔と聞いて死霊達は一歩後退したが代表格の死霊は微動だにしない。四季は死霊を
じっと見て豪胆な奴だと思いニャリと笑う。

「ところで何が不満なんですか」

「そこのムシロ」

死霊達はムシロを指差して四季と小町を睨み付けた。

「ムシロがなぜ?」

「よく聞くがいい、ムシロは罪人がお白洲で裁きを受ける時に足の下に敷く物だ。我々は
罪も犯さず此処に来たのに罪人扱いとはどう言うことだ、名誉を傷つけられ皆が怒っている」

「あぁぁぁぁぁ~申し訳ない」

「申し訳ないでは済まされぬ、貴方達にも裁きを受けてもらう」

「えぇ~如何しましょう小町、貴方のミスよ貴方の」

「上司たるものが部下に罪を着せるとは何事か」

「あのぉ~私はどんな罪ですか」

「貴方は上司に命令されただけだから罰金刑です」

「あのぉ~お金払うと銭投げが出来なくなるんですけど」

「なにもお金を出す必要は無い此処にいる死霊達を連れて行き三途の川を渡してくれ
ればその渡し賃が罰金です」

「私はどんな罪ですか?」

「貴方は名誉棄損です」

「えぇぇぇぇぇ~~~どんな刑ですか」

「三ヶ月の懲役です、ただし執行猶予を付けてあげます」

死霊はキセルに煙草を詰め人魂で火を点け閉廷しますと言った。

閻魔は、スキマとオンバシラーに知られて笑われるのが怖く……もっと怖い奴がいたの
を思い出す、鴉天狗、あいつが知れば幻想郷にすぐに知れ渡る。誰にも会わないうちに
帰りたい。

「貴方はまだ行かないのですか」

「それでは、そろそろ行くとするか」

死霊は四季の横を通るとき「地蔵、達者でいろよ」と、言い四季は「ドキッ」とし、なぜ私
が里の祠に居た事を「達者でいろよ」あぁぁぁぁぁぁぁ~~~~四季は死霊の後姿に
「有難う~~~」と、叫ぶと死霊は頭の上でキセルをクルクル回した。
二回目の投稿です、誤字脱字、ご指摘ご指導宜しくお願いします。
まだまだ勉強しますので、どんなことでも教えてください。
源 五郎
[email protected]
コメント



1.名前が無い程度の能力削除
なんていうか全体的に可愛いですねwww

誤字は
きずき→きづき
を見つけました。


あっさりとしていましたがほほえましい感じがして面白かったです!
2.名前が無い程度の能力削除
誤字というか……

>名誉棄損です、三ヶ月の実刑です、ただし執行猶予を付けてあげます

実刑というのは執行猶予のつかない有罪判決のことをいいます。
なので言い回しがおかしく思えます。
3.源 五郎削除
>さん
誤字、修正しました。有難うございます。
>2さん
懲役と、する所をまちがって、とんでもないミス、何度も見直したつもりでいたのですが、
こんな馬鹿者ですが、どうか今後も宜しくお願いします。
早速修正させていただきました。有難う御座いました。
もっと勉強し、良い作品が書けるように努力しますので、今回は執行猶予でお願いします。
申し訳ありませんでした。ご指摘(感謝)します。
4.名前が無い程度の能力削除
キセルのおじさんかっけぇ!!

良い作品でした。
5.源 五郎削除
>4さん
有難うございます。

楽しんで貰えるのが一番、次の励みになります。
もっと頑張って良い作品が書けるようにしたいと思っています。