「永琳、お茶淹れて」
「永琳、耳掻きして」
「永琳、背中掻いて」
「永琳、乳掻いて」
このままじゃ輝夜姫様は駄目になる。永琳師匠はそう思ったらしい。その日の夜に招集がかかった。
「というわけで、第一回姫様更正会議を始めたく思います」
「師匠、正確には第十二回です。これまでの十一回中五回は姫様が不帰宅になって頓挫。六回は師匠の「駄目、やっぱり姫様にそんな下賤の真似はさせられない」で失敗しています」
「発言は挙手してお願いします、ウドンゲ副議長。因幡書記、例のものを」
「あいよ」
永遠亭の一室に持ち込んだ、回転式の大黒板。てゐがひっくり返すと、「就職診断」の四文字とはい・いいえ式のチャートが現れた。
「過去私は、姫様に幾つかの職を勧めてきたわ。でもいずれも長続きしなかった」
頬を紅く染め、師匠は姫様の華麗なる職業遍歴を朗々と歌い出した。
「ある時は華道の教授」
生徒が来なかった。教室の場所を此処にしたのが大いなる間違いだ。
「ある時はヒヨコの雌雄鑑別」
美味しかったそうだ。「職場の死人嬢に毒されたのよ!」と師匠はご立腹だった。
「またある時は花屋の看板娘」
永遠に枯れない花はさぞや不気味だったことだろう。
「きっと、客観的な視点が足りなかったからだと思うの」
「随分とまともになりましたね師匠」
「ウドンゲ、手を挙げて言いなさい。そこで私は、人里の獣人からこの黒板を借り受けてきました。里の学校で社会の授業に使ったものです。喜んで貸してくれました」
師匠の頭には大きな窪みが出来ていた。ドリルで抉ったような。絶対何かあった。
「このテストをやると、自分にぴったりの就職先が分かるそうです。さあ、姫様の気持ちになってやってみましょう」
てゐが問題を読み上げた。面倒なので自分の気持ちで進めることにした。
1.終身雇用なんて幻想だ。
はい→2へ いいえ→3へ
2.大事なのは高い能力よりも愛すべき人柄だ。
はい→4へ いいえ→5へ
3.まずお金がなくては始まらない。神社の巫女にはなりたくない。
はい→6へ いいえ→7へ
1、2、4と来てぎょっとした。
4.一緒に叶えたい夢がある。
はい→8へ いいえ→チルノ
「ねえ、てゐ、てゐ、チルノって何。私取り返しのつかない状況?」
「何が。チルノはチルノだよ」
指差す先に答えがあった。
☆チルノ
面白い人は好きだけど、のめりこむほどではないドライな君。そんな君にぴったりなのはチルノタイプ。相手の素敵な頭を利用して、日々の娯楽もお小遣いも思いのままだ。若干怒りっぽいので、蛙や蛙の神様でストレス解消させてあたしったら最強ね。スリリングでクールな夫婦生活を送れるよ。
「……成る程」
把握した。後に続く問題を見て確信した。
5.一生懸命誠心誠意相手に尽くす自信がある。
はい→8へ いいえ→9へ
6.恋に我を忘れたことなど一度もない。私は常に冷静だ。
はい→文 いいえ→紫
7.相手の強さよりも弱さに惹かれる。
はい→アリス いいえ→10へ
つまりこれは、就職は就職でも、
「あ、ウドンゲ、私はウドンゲだったよ! 三日に一回耳を甘噛みしてスキンシップするといいんだって。やっていいかな。やるよ」
「駄目」
永久就職と呼ばれる類。
☆鈴仙・優曇華院・イナバ
相手を包み込む優しさで出来ている君には、ウドンゲタイプの相手がぴったり。頑なな心を揉み解すために、三日に一度は抱きしめてあげよう。意外と世話好きの可愛い奥さんになるはず。ただし実家に帰られないように要注意。二度と会えなくなる可能性大。
賑やかな私達の横で、当初の目的を忘れた師匠が
「――何回やっても何回やっても姫様にならない。あのメイドが何回やっても避けれない」
黒板に天文密葬法していた。
「永琳、耳掻きして」
「永琳、背中掻いて」
「永琳、乳掻いて」
このままじゃ輝夜姫様は駄目になる。永琳師匠はそう思ったらしい。その日の夜に招集がかかった。
「というわけで、第一回姫様更正会議を始めたく思います」
「師匠、正確には第十二回です。これまでの十一回中五回は姫様が不帰宅になって頓挫。六回は師匠の「駄目、やっぱり姫様にそんな下賤の真似はさせられない」で失敗しています」
「発言は挙手してお願いします、ウドンゲ副議長。因幡書記、例のものを」
「あいよ」
永遠亭の一室に持ち込んだ、回転式の大黒板。てゐがひっくり返すと、「就職診断」の四文字とはい・いいえ式のチャートが現れた。
「過去私は、姫様に幾つかの職を勧めてきたわ。でもいずれも長続きしなかった」
頬を紅く染め、師匠は姫様の華麗なる職業遍歴を朗々と歌い出した。
「ある時は華道の教授」
生徒が来なかった。教室の場所を此処にしたのが大いなる間違いだ。
「ある時はヒヨコの雌雄鑑別」
美味しかったそうだ。「職場の死人嬢に毒されたのよ!」と師匠はご立腹だった。
「またある時は花屋の看板娘」
永遠に枯れない花はさぞや不気味だったことだろう。
「きっと、客観的な視点が足りなかったからだと思うの」
「随分とまともになりましたね師匠」
「ウドンゲ、手を挙げて言いなさい。そこで私は、人里の獣人からこの黒板を借り受けてきました。里の学校で社会の授業に使ったものです。喜んで貸してくれました」
師匠の頭には大きな窪みが出来ていた。ドリルで抉ったような。絶対何かあった。
「このテストをやると、自分にぴったりの就職先が分かるそうです。さあ、姫様の気持ちになってやってみましょう」
てゐが問題を読み上げた。面倒なので自分の気持ちで進めることにした。
1.終身雇用なんて幻想だ。
はい→2へ いいえ→3へ
2.大事なのは高い能力よりも愛すべき人柄だ。
はい→4へ いいえ→5へ
3.まずお金がなくては始まらない。神社の巫女にはなりたくない。
はい→6へ いいえ→7へ
1、2、4と来てぎょっとした。
4.一緒に叶えたい夢がある。
はい→8へ いいえ→チルノ
「ねえ、てゐ、てゐ、チルノって何。私取り返しのつかない状況?」
「何が。チルノはチルノだよ」
指差す先に答えがあった。
☆チルノ
面白い人は好きだけど、のめりこむほどではないドライな君。そんな君にぴったりなのはチルノタイプ。相手の素敵な頭を利用して、日々の娯楽もお小遣いも思いのままだ。若干怒りっぽいので、蛙や蛙の神様でストレス解消させてあたしったら最強ね。スリリングでクールな夫婦生活を送れるよ。
「……成る程」
把握した。後に続く問題を見て確信した。
5.一生懸命誠心誠意相手に尽くす自信がある。
はい→8へ いいえ→9へ
6.恋に我を忘れたことなど一度もない。私は常に冷静だ。
はい→文 いいえ→紫
7.相手の強さよりも弱さに惹かれる。
はい→アリス いいえ→10へ
つまりこれは、就職は就職でも、
「あ、ウドンゲ、私はウドンゲだったよ! 三日に一回耳を甘噛みしてスキンシップするといいんだって。やっていいかな。やるよ」
「駄目」
永久就職と呼ばれる類。
☆鈴仙・優曇華院・イナバ
相手を包み込む優しさで出来ている君には、ウドンゲタイプの相手がぴったり。頑なな心を揉み解すために、三日に一度は抱きしめてあげよう。意外と世話好きの可愛い奥さんになるはず。ただし実家に帰られないように要注意。二度と会えなくなる可能性大。
賑やかな私達の横で、当初の目的を忘れた師匠が
「――何回やっても何回やっても姫様にならない。あのメイドが何回やっても避けれない」
黒板に天文密葬法していた。
☆射命丸文
しっかりちゃっかり世渡り上手の君は、文タイプと似たもの同士。最初こそ「計算高い出歯亀天狗め」と反発するかもしれないが、気づけば虜。気は合うしお酒も会話も弾む。類はあややややを呼ぶ。
☆八雲紫
理想と現実、正義と悪の狭間で揺れる君は、紫タイプにとってはとても愉快な人間。ぶれた心の隙間を、成熟した愛情で面白半分に満たしてくれる。年齢や加齢を話題にすると十中八九消されるので気をつけよう。
☆アリス・マーガトロイド
繊細かつ大胆。そんな君の小指は、魔法の糸でアリスタイプと結ばれている。彼女の見せる一挙一動一人形に、どんな感情が込められているか。君なら真摯に理解し漢気たっぷりに応えられるはずだ。浮気は絶対にしないこと、丑の刻の神社にも行かないこと!
それにしても三日に一度は抱きしめないと拗ねてしまう新妻うどんげは想像するだけで仙豆1000個はいける。