本作は「もしも紅霧異変が映画の中の架空の出来事だったら」というお話です。
そのため「原作キャラ設定」が「映画内の設定」と改変され、キャラの性格が著しく変化しています。
そういった表現が苦手な方は、ここで引き返すことをお勧めします。
第1回は作品集29、第2回は同作品集(30)に収録されています。
映画『紅魔郷』製作者インタビュー、第3回は3ボス役の紅美鈴氏、4ボス役のパチュリー・ノーレッジ氏にお話を伺いました。極彩の龍、動かない大図書館の素顔に迫ります! 引き続き森近監督にもご登場頂きます。
■門番の役割
――今日はよろしくお願いします。
紅美鈴氏(以下紅、敬称略):はい、よろしくお願いしますね。
パチュリー・ノーレッジ氏(以下パチェ):よろしくお願いしまーす!
――あややややや、パチュリーさん……テンション高いですね。
森近霖之助氏(以下森近):今回の出オチ担当だからね。
パチェ:ひどいこと言いますねー。監督のおかしな配役のせいじゃないですかー。
紅:まあ、いつものことです。そういえば、私はあまり変な配役されませんね。
森近:紅さんは何やらせてもそれなり以上にできちゃうから、配役にこだわっても面白くないんだよね。
紅:なんだろう、褒められてる気がしない(笑)。
森近:よく言われます。
――そう聞くと返って紅さんのお話に興味がでてきますね。監督の超采配に毒されてきているんでしょうか。では紅さん、お願いします。
紅:演じる上でのこだわりですか。そうですね、敗者の美学というやつですかね。敗北の中にも何か魅せるものを出したいんです。殺陣の経験を積んできましたから、余計にその思いが強いんでしょうね。ストーリーの展開上、私が負けるということは見ている方も薄々気付いていると思うんですね。主人公が勝つのはわかってるんだけど、それでも何かしでかしそうな、一発で状況をひっくり返されてしまうんじゃないかという怖さがあれば、戦闘の緊張感をより高めることができるかな、と。
パチェ:紅さんの戦闘シーンは特殊ですからねー。私達のはとにかく派手に、というのがまずあるんだけど、紅さんの場合は静かさが逆にこわいですー。
森近:時代劇みたいな感じだよね。先に動いたほうが負け、というか。
――いい意味で他から浮いてますよね。
紅:そう言ってもらえると嬉しいです、ありがとうございます。あのシーンは、いよいよ紅魔館に侵入、というところですから、それまでと雰囲気をガラリと変えたかったんですね。そこまではルーミアちゃんとチルノちゃんが空気を暖めてくれてましたから、それをいかに崩すか、ですよね。やり過ぎると後半へ向けての盛り上がりが引き立ちませんし、その逆でも紅魔館の怖さが出ない。この先に立ちはだかる強敵の予感を与えないと。
パチェ:「こんなやつにてこずっているようでは、この先苦労するぞー!」みたいな感じですか?
紅:そう、そんな感じ。あまり絶望感が強すぎると、展開が嘘くさくなっちゃう。何でもかんでも奇跡頼りに見えて、勝利に重みがなくなるんだよね。
森近:真面目な話だなあ。僕から言うことは特にないね。
――前から思ってたんですけど……監督、もはや第1回とは別人ですね。
■魔法少女の憂鬱
――お次はパチュリーさん。病弱な魔法少女という役どころですね。感情の機微が少ないですから、演じるのは大変だったのでは?
パチェ:そーですねー、あまり声を張るわけにもいかないですしね。聞き取りやすいような発音をするように気をつけてはいたんですけどねー。かといってあんまりハキハキしすぎるとパチュリーっぽさがなくなるし。おまけに早口なもんですから、ほんとに難しかったー! 表情も全く変化なしというわけではないですからね、微妙な差を感じてもらえるよう試行錯誤しましたよー。目で感情を表現できるようになるまで大分かかりましたー。
紅:感情表現もそうだけど、喘息の演技がすごかったよね。見てるこっちまで苦しくなりそうな感じで。決して弱々しくはないんだけど、敵ながらも応援したくなるような雰囲気を持ってた。
――そうですね、パチュリー戦はどっちが主人公か分からなくなるような錯覚に陥りましたよ。
森近:霊夢も魔理沙も、敵役やってても違和感のないキャラだから、余計にね。
――戦闘シーンで苦労されたことはなんですか?
パチェ:紅さんが一発逆転の怖さでくるなら、じゃあ私は終わりの見えない怖さかなー、と。パチュリーはスペカの数が豊富ですからねー。これを使わない手はないでしょう。「お願いだから、もう立ち上がってこないでくれー!」みたいな。うーん、ちょっと違うかなー? ワシのスペカは108……なんでもないですー。ただ、そうすると時間配分の問題で展開を早くせざるを得なかったんです。でも、それが逆に良い方向に作用してくれたんじゃないかなーと思います。パチュリーは長期戦向きではないですからね。虚弱な感じが出せたかな、と。
紅:次の展開が予測できないよね。あといくつ切り札を隠し持ってるのか全然わかんない。隠された力が発動とか、気迫や根性とか、実は本気出してなかったとかではないのがいいね。
パチェ:何……だと……? まあ、やる気なさそうに見えて、手加減一切ナシなのがパチュリーですから。
森近:僕はそういうの好きだよ。残像だ! それも残像だ! こっちも残像だ! もう全部残像ってことにしちゃえ! はっ、なんだ夢か……。チィ……やはり天才……大した奴だ。
――忍者と死神を敵に回すのはやめてくださいよ。
■地獄からの司書
――あの、図書館の司書の小悪魔って……。
森近:「もうオチ予測できてます、申しわけないですけど」みたいな口ごもりかただな。まあ合ってるんだけど。ではご登場頂きましょう! 小悪魔役の通称“こぁ”こと、小悪魔(シャオ・モーグイ)さんでーす!
小悪魔氏(以下こあ):你好、我的名字是小悪魔! 今天請多關照!
――やっぱり……。何でもかんでも中国人にしないでくださいよ、民明書房じゃないんですから。もうちょっとひねってもらいたいものですが。
森近:知っているのか射命丸!? ひねれって、さりげなくメタな発言だよね、それ。うーん、そうだね、実はリボンを外すとEX小悪魔に……。
紅:そういう意味じゃないと思います。ていうかそればっかですね、監督は。
こあ:ただいまご紹介にあずかりました小悪魔です。今日はよろしくお願いしますね。
――なんだ、日本語も喋れるんじゃないですか。
こあ:お姉ちゃんと一緒に勉強しましたから!
――お姉さんがおられるんですか。何をなさってる方なんですか?
森近:紅魔館で門番してるよ。
パチェ:ほら、そこにいるじゃないですかー。
紅:どうも、小悪魔の姉です。
――えーっ! 確かに髪の色は同じですけど……。だって、名字が……それに、種族も……。
パチェ:それ以上いけない。聞くも涙、語るも涙のお話です!
森近:うぉオン、そこにはあまり触れてあげないでくれ! 二つの意味で。
――もう一つの意味があるんですか。まあいいですけどね、別に。
パチェ:そこはつっこむところでしょ! 「もう一つの意味! そういうのもあるのか!」とか! 鬼! 悪魔! ボケ殺し! これはひどい! みなさ~ん、この人はボケ殺しですよー!
【S容疑者をよく知る人物は……】
I氏『いやあ、怖いですねえ……。
普段は優しく真面目ないい人で、ボケなんて殺せないような印象だったんですが……。
物騒な世の中になりましたねえ。まさか生まれたばかりのボケの命を奪うなんて……。
非人道的にもほどがありますよ』
(プライバシーの都合上、音声は変えています)
パチェ:以上、現場から中継をお伝えしましたー!
森近:いや、それだとボケになるんじゃないか? それとは別として、記者さ~ん、最近天狗になってんじゃないの~?
――鬼でも悪魔でもないですぅー。生まれたときから天狗やらさして頂いてますぅー。
紅:ああ、この場における最後の良心が……。ということは私がツッコミに転向? 森近監督……ボケがしたいです……。
森近:あきらめたら?
こあ:大丈夫だよお姉ちゃん! 妹である私もツッコミに参入するよ! つまり……家族がふえるよ!
紅:やったねこぁちゃん!
こあ:まるでどこかのくまさんみたいな口ぶりだねお姉ちゃん!
紅:二人合わせて!
二人:“こぁくま”だー!!
――もういいです、私がツッコミやります……。いや、インタビュアーなんですけどね……。
■真面目と不真面目の境界
――では、次は小悪魔さんにお話を伺いたいと思います。
こあ:いやあ難しかったですよ、なんせ台詞がないわけですから。どういう役柄か、行動で示さないといけないわけですよね。パチュリーに対する忠誠心を体現できないと。スペカもないですから、戦略も凝る必要がありました。監督はその辺完全に役者任せなんで。
森近:この子よく喋るでしょ? だから台詞なしで。あと何で軌道修正できてるの? なんなの? スキマなの? 消されるの?
パチェ:相変わらずろくでもない理由ですねー。私もこぁさんも喋りたくてウズウズしてたのに。ねー、こぁさん?
こあ:ねー、パーちゃん? いやね、パーちゃんとはすぐ打ち解けられましたよ。魔女って聞いてたから私よりずっと年上だと思ってたんだけど、意外と若いんだよね。
――映画とは立場が逆なんですね。
パチェ:はっはっはー! まだまだ若輩者ですからー!
紅:二人ともテンション高いですからね、気が合うんでしょ。私とか魔理沙ちゃんとかは、たまについていけないときがあります。
パチェ:魔理沙ちゃんかあ。ちょっと話がズレますけど、人間ってすごいですよねー。霊夢ちゃんも咲夜ちゃんもそうだけど、たかだか十数年しか生きてないのに、あんなにいい演技ができるわけでしょ? やっぱすごいよ。百といくつぐらいしか生きてない私としては、貴重な可愛い後輩役者だしー。
こあ:あの子たちは特別でしょ。人間がみんなあんなに演技がうまいわけじゃないよ。
森近:ぺロ……これはスキマ! そうか分かったぞ、みんなのノリが悪い理由が! よし、この八卦路型麻酔銃で紫のおばちゃんを眠らせて……。やだな~藍姉ちゃん、別に何でもないよ~。
――うわ、麻酔針デカっ! バレバレですよそれじゃ。
こあ:そんな餌でこの私が釣られコアー!(ズザザザ)
――あややややや、スキマ能力の効果が弱まってきているんでしょうか? なんという悪ノリ根性! 紫さん頑張って!
■そして伝説へ……
森近:ふう、長く苦しい戦いだった……。
――本当に何者なんですか、あなたは……。幻想郷最強クラスの妖怪二人にあっさり勝たないでくださいよ。
森近:勝ってないよー。眠らせただけだよー。別にソードマスター的な展開じゃないよー。
パチェ:少年探偵みたいな甲高い声出さないでくださいよー。むしろ私は、なぜ監督がスキマ能力の干渉を受けてなかったのかが気になりますー。
紅:監督、たった今永琳さんからこんなものが届きましたが。
森近:ご都合主義はいいね、リリンの生み出した文化の極みだよ。なになに、診断の結果、あなたはU-1発症の恐れがあります……? なッ……何……だと……ッ?
こあ:あの伝説とまで言われている奇病……。森近霖之助……大した奴だ。
――何です? そのU-1というのは。
紅:私が分かりやすく病状を説明しましょう。この病気にかかると妙に強くなったり、聞いたこともないような能力が使えるようになってしまうんです!
森近:な、なんだってー!! どうりでさっきから音速を超えるパンチが放てるようになってるわけだ!
こあ:まるで絶○先生みたいな展開だね! むしろサ○スパーク? 「世界中で突如U-1が大量発生、地球滅亡の危機!」とか。そんな感じの話があっても私は驚かないよ!
紅:ダメよこぁちゃん、ここには「絶望した!」とか言っても全く違和感のない人物が約一名いるんだから。でも、U-1は私もよくこじらせたりしてるかな。好きなんだよね、そういうの。
パチェ:紅さーん、この流れで好きとか言っても信憑性ありませんよー。例えるなら、てるよニートネタやったあとの「輝夜は好きです」発言くらい信用ならないですー。
紅:それは似ているようで全く違うわパチュリーちゃん。不遇か優遇かでは天と地ほどの差があるのよ! 酸いも甘いも噛み分けてきた私が言うんだから推して知るべし!
Love & Peace! No More War! No More Jet Stream Attack!
――伝説とか言われてる割には、意外と身近に発症例多いんですね。
森近:この全身に漲るパワー……実に素晴らしい! 今こそ見せてやろう、我(オレ)の本当の力を!
紅:邪気眼まで併発させないでください、見てるこっちも辛いですから。一人称まで変えちゃって……誤字だと思われるでしょ。あと、無理のあるルビ振らないでください。
森近:ククク……。
我(オレ)は暗黒魔力(ダーク・パワー)を極めし者……。
故に、誤字・脱字報告など―――
通用せぬわ!
我が召喚魔法(サモン・マジック)に―――
恐れ慄(おのの)くが良かろう……!
―――出(い)でよ……!
“全て遠き幻想卿”(ロード・ファンタズム)!
幻想卿(以下敬称略):お前は何を言っているんだ。
パチェ:あ、幻想卿さーん、お久しぶりですー! また召還されたんですか? 大変ですねー!
幻想:いや、今日はちょっと通りすがっただけ。それとパーちゃん、その「幻想卿さん」ってのやめてくれよ~。せめて「幻想卿」か「幻想さん」のどっちかにして。じゃ、悪いけど今急いでるから。またね。
パチェ:はーいわかりました幻想さん。お疲れですー。
――誰です、今の?
こあ:言うなれば「自我を持ったこの世界そのもの」ってやつですかね? 私は何を言っているんだ。
森近:我が“忠実的下僕”(ロイヤル・スレイブ)……。
“全て遠き幻想卿”(ロード・ファンタズム)を退けるとは……。
フン……。
どうやら……。
只の屑(オーディナリー・ラビッシュ・ピープル)では―――
―――無いらしいな!
紅:―――なんだい、
やぶから棒(スティック)に―――
―――そんなことより、
御一緒(トゥギャザー)しようぜ―――!
こあ:このワザとらしい漢字のTAYOU! やたら多いKAIGYOU! ジジイみたいなKUTYOU!
(ドゥ~ン ドゥンドゥンドゥ~ン キュワキャキャキャッキャキュワキャ!)
まだ僕らの病気は始まったばかりだ、そんなメッセージがマシンガンのように監督の口から飛び出していく。
本物の中二病。それがここにあるのだ。
パチェ:ならばこちらはラストスペルで対抗よー!
出典『パチュペディア』
“卿(きょう、けい)は中国・日本の官位制に於ける高位の官職、及びそれに由来する呼称”!
森近:グアアアア! こ、この(誤解により)ザ・フンドシと呼ばれる香霖堂のリンノスケが……こんな誤字に……。バ……バカなアアアアアア。
――ああ、一つ前のパートはまともな流れだったのに……。
森近:一応全員の話は聞いたろ? もういいじゃない。
パチェ:あれ? 監督、病気はどうしたんですか? 心の。
森近:紆余曲折あったが、何とか抑え込むことに成功した。だが安心してはいけない。いずれまた第2、第3のU-1が現れないとも限らないからな。
紅:人に心がある限りU-1と邪気眼はなくならない。誰しも心にU-1を抱えているんですね。
こあ:今日は大切なことを学んだよ! U-1と邪気眼、この二つとどう向き合っていくかが私たちに与えられた命題ということなんだね!
パチェ:どうかU-1を恐れないでー。どうか邪気眼を怖がらないでー。うまく使いこなせればー、きっとあなたの力になってくれることでしょうー。
――うまいことまとめたつもりですか! このパート、インタビュー成分0%じゃないですか!
森近:この先は、こんなインタビューばかりになる……。自信がないのなら、ここで引き返すんだな……。
――そうですか。今更言われても、って感じですよね。というか再発してますよ、病気。この先どうするんですか。
森近:為すべきことは為した……! 後は運否天賦っ……! 跳べっ……! 浪花節だろっ……! 人生は……!
――半妖のすることってわからない……。どうしてキャラが定まらないの?
森近:ときどき理屈に合わないことをするのが半妖なのよ。
■
――では皆さん、最後に一言ずつお願いします。
紅:そうですねえ、やっぱりここは「名前で呼んでくださーい!」と言っておくべきでしょうか?
パチェ:出たー! 紅さんの十八番! もはや持ちギャグ! 映画出演前はそのことを本気で悩んでたのに! じゃあ私も! 「むきゅー!」
こあ:私も私も! 「クマー!」ズザザザ
森近:持ちネタ披露の場じゃないんですから自重してくださいよー、みなさーん。一言? それは次回遂に明らかに!
――私の役割を取らないでくださいよ! また手の込んだ嫌がらせを……。ともかく、皆さん本日はどうもありがとうございました!
そのため「原作キャラ設定」が「映画内の設定」と改変され、キャラの性格が著しく変化しています。
そういった表現が苦手な方は、ここで引き返すことをお勧めします。
第1回は作品集29、第2回は同作品集(30)に収録されています。
映画『紅魔郷』製作者インタビュー、第3回は3ボス役の紅美鈴氏、4ボス役のパチュリー・ノーレッジ氏にお話を伺いました。極彩の龍、動かない大図書館の素顔に迫ります! 引き続き森近監督にもご登場頂きます。
■門番の役割
――今日はよろしくお願いします。
紅美鈴氏(以下紅、敬称略):はい、よろしくお願いしますね。
パチュリー・ノーレッジ氏(以下パチェ):よろしくお願いしまーす!
――あややややや、パチュリーさん……テンション高いですね。
森近霖之助氏(以下森近):今回の出オチ担当だからね。
パチェ:ひどいこと言いますねー。監督のおかしな配役のせいじゃないですかー。
紅:まあ、いつものことです。そういえば、私はあまり変な配役されませんね。
森近:紅さんは何やらせてもそれなり以上にできちゃうから、配役にこだわっても面白くないんだよね。
紅:なんだろう、褒められてる気がしない(笑)。
森近:よく言われます。
――そう聞くと返って紅さんのお話に興味がでてきますね。監督の超采配に毒されてきているんでしょうか。では紅さん、お願いします。
紅:演じる上でのこだわりですか。そうですね、敗者の美学というやつですかね。敗北の中にも何か魅せるものを出したいんです。殺陣の経験を積んできましたから、余計にその思いが強いんでしょうね。ストーリーの展開上、私が負けるということは見ている方も薄々気付いていると思うんですね。主人公が勝つのはわかってるんだけど、それでも何かしでかしそうな、一発で状況をひっくり返されてしまうんじゃないかという怖さがあれば、戦闘の緊張感をより高めることができるかな、と。
パチェ:紅さんの戦闘シーンは特殊ですからねー。私達のはとにかく派手に、というのがまずあるんだけど、紅さんの場合は静かさが逆にこわいですー。
森近:時代劇みたいな感じだよね。先に動いたほうが負け、というか。
――いい意味で他から浮いてますよね。
紅:そう言ってもらえると嬉しいです、ありがとうございます。あのシーンは、いよいよ紅魔館に侵入、というところですから、それまでと雰囲気をガラリと変えたかったんですね。そこまではルーミアちゃんとチルノちゃんが空気を暖めてくれてましたから、それをいかに崩すか、ですよね。やり過ぎると後半へ向けての盛り上がりが引き立ちませんし、その逆でも紅魔館の怖さが出ない。この先に立ちはだかる強敵の予感を与えないと。
パチェ:「こんなやつにてこずっているようでは、この先苦労するぞー!」みたいな感じですか?
紅:そう、そんな感じ。あまり絶望感が強すぎると、展開が嘘くさくなっちゃう。何でもかんでも奇跡頼りに見えて、勝利に重みがなくなるんだよね。
森近:真面目な話だなあ。僕から言うことは特にないね。
――前から思ってたんですけど……監督、もはや第1回とは別人ですね。
■魔法少女の憂鬱
――お次はパチュリーさん。病弱な魔法少女という役どころですね。感情の機微が少ないですから、演じるのは大変だったのでは?
パチェ:そーですねー、あまり声を張るわけにもいかないですしね。聞き取りやすいような発音をするように気をつけてはいたんですけどねー。かといってあんまりハキハキしすぎるとパチュリーっぽさがなくなるし。おまけに早口なもんですから、ほんとに難しかったー! 表情も全く変化なしというわけではないですからね、微妙な差を感じてもらえるよう試行錯誤しましたよー。目で感情を表現できるようになるまで大分かかりましたー。
紅:感情表現もそうだけど、喘息の演技がすごかったよね。見てるこっちまで苦しくなりそうな感じで。決して弱々しくはないんだけど、敵ながらも応援したくなるような雰囲気を持ってた。
――そうですね、パチュリー戦はどっちが主人公か分からなくなるような錯覚に陥りましたよ。
森近:霊夢も魔理沙も、敵役やってても違和感のないキャラだから、余計にね。
――戦闘シーンで苦労されたことはなんですか?
パチェ:紅さんが一発逆転の怖さでくるなら、じゃあ私は終わりの見えない怖さかなー、と。パチュリーはスペカの数が豊富ですからねー。これを使わない手はないでしょう。「お願いだから、もう立ち上がってこないでくれー!」みたいな。うーん、ちょっと違うかなー? ワシのスペカは108……なんでもないですー。ただ、そうすると時間配分の問題で展開を早くせざるを得なかったんです。でも、それが逆に良い方向に作用してくれたんじゃないかなーと思います。パチュリーは長期戦向きではないですからね。虚弱な感じが出せたかな、と。
紅:次の展開が予測できないよね。あといくつ切り札を隠し持ってるのか全然わかんない。隠された力が発動とか、気迫や根性とか、実は本気出してなかったとかではないのがいいね。
パチェ:何……だと……? まあ、やる気なさそうに見えて、手加減一切ナシなのがパチュリーですから。
森近:僕はそういうの好きだよ。残像だ! それも残像だ! こっちも残像だ! もう全部残像ってことにしちゃえ! はっ、なんだ夢か……。チィ……やはり天才……大した奴だ。
――忍者と死神を敵に回すのはやめてくださいよ。
■地獄からの司書
――あの、図書館の司書の小悪魔って……。
森近:「もうオチ予測できてます、申しわけないですけど」みたいな口ごもりかただな。まあ合ってるんだけど。ではご登場頂きましょう! 小悪魔役の通称“こぁ”こと、小悪魔(シャオ・モーグイ)さんでーす!
小悪魔氏(以下こあ):你好、我的名字是小悪魔! 今天請多關照!
――やっぱり……。何でもかんでも中国人にしないでくださいよ、民明書房じゃないんですから。もうちょっとひねってもらいたいものですが。
森近:知っているのか射命丸!? ひねれって、さりげなくメタな発言だよね、それ。うーん、そうだね、実はリボンを外すとEX小悪魔に……。
紅:そういう意味じゃないと思います。ていうかそればっかですね、監督は。
こあ:ただいまご紹介にあずかりました小悪魔です。今日はよろしくお願いしますね。
――なんだ、日本語も喋れるんじゃないですか。
こあ:お姉ちゃんと一緒に勉強しましたから!
――お姉さんがおられるんですか。何をなさってる方なんですか?
森近:紅魔館で門番してるよ。
パチェ:ほら、そこにいるじゃないですかー。
紅:どうも、小悪魔の姉です。
――えーっ! 確かに髪の色は同じですけど……。だって、名字が……それに、種族も……。
パチェ:それ以上いけない。聞くも涙、語るも涙のお話です!
森近:うぉオン、そこにはあまり触れてあげないでくれ! 二つの意味で。
――もう一つの意味があるんですか。まあいいですけどね、別に。
パチェ:そこはつっこむところでしょ! 「もう一つの意味! そういうのもあるのか!」とか! 鬼! 悪魔! ボケ殺し! これはひどい! みなさ~ん、この人はボケ殺しですよー!
【S容疑者をよく知る人物は……】
I氏『いやあ、怖いですねえ……。
普段は優しく真面目ないい人で、ボケなんて殺せないような印象だったんですが……。
物騒な世の中になりましたねえ。まさか生まれたばかりのボケの命を奪うなんて……。
非人道的にもほどがありますよ』
(プライバシーの都合上、音声は変えています)
パチェ:以上、現場から中継をお伝えしましたー!
森近:いや、それだとボケになるんじゃないか? それとは別として、記者さ~ん、最近天狗になってんじゃないの~?
――鬼でも悪魔でもないですぅー。生まれたときから天狗やらさして頂いてますぅー。
紅:ああ、この場における最後の良心が……。ということは私がツッコミに転向? 森近監督……ボケがしたいです……。
森近:あきらめたら?
こあ:大丈夫だよお姉ちゃん! 妹である私もツッコミに参入するよ! つまり……家族がふえるよ!
紅:やったねこぁちゃん!
こあ:まるでどこかのくまさんみたいな口ぶりだねお姉ちゃん!
紅:二人合わせて!
二人:“こぁくま”だー!!
――もういいです、私がツッコミやります……。いや、インタビュアーなんですけどね……。
■真面目と不真面目の境界
――では、次は小悪魔さんにお話を伺いたいと思います。
こあ:いやあ難しかったですよ、なんせ台詞がないわけですから。どういう役柄か、行動で示さないといけないわけですよね。パチュリーに対する忠誠心を体現できないと。スペカもないですから、戦略も凝る必要がありました。監督はその辺完全に役者任せなんで。
森近:この子よく喋るでしょ? だから台詞なしで。あと何で軌道修正できてるの? なんなの? スキマなの? 消されるの?
パチェ:相変わらずろくでもない理由ですねー。私もこぁさんも喋りたくてウズウズしてたのに。ねー、こぁさん?
こあ:ねー、パーちゃん? いやね、パーちゃんとはすぐ打ち解けられましたよ。魔女って聞いてたから私よりずっと年上だと思ってたんだけど、意外と若いんだよね。
――映画とは立場が逆なんですね。
パチェ:はっはっはー! まだまだ若輩者ですからー!
紅:二人ともテンション高いですからね、気が合うんでしょ。私とか魔理沙ちゃんとかは、たまについていけないときがあります。
パチェ:魔理沙ちゃんかあ。ちょっと話がズレますけど、人間ってすごいですよねー。霊夢ちゃんも咲夜ちゃんもそうだけど、たかだか十数年しか生きてないのに、あんなにいい演技ができるわけでしょ? やっぱすごいよ。百といくつぐらいしか生きてない私としては、貴重な可愛い後輩役者だしー。
こあ:あの子たちは特別でしょ。人間がみんなあんなに演技がうまいわけじゃないよ。
森近:ぺロ……これはスキマ! そうか分かったぞ、みんなのノリが悪い理由が! よし、この八卦路型麻酔銃で紫のおばちゃんを眠らせて……。やだな~藍姉ちゃん、別に何でもないよ~。
――うわ、麻酔針デカっ! バレバレですよそれじゃ。
こあ:そんな餌でこの私が釣られコアー!(ズザザザ)
――あややややや、スキマ能力の効果が弱まってきているんでしょうか? なんという悪ノリ根性! 紫さん頑張って!
■そして伝説へ……
森近:ふう、長く苦しい戦いだった……。
――本当に何者なんですか、あなたは……。幻想郷最強クラスの妖怪二人にあっさり勝たないでくださいよ。
森近:勝ってないよー。眠らせただけだよー。別にソードマスター的な展開じゃないよー。
パチェ:少年探偵みたいな甲高い声出さないでくださいよー。むしろ私は、なぜ監督がスキマ能力の干渉を受けてなかったのかが気になりますー。
紅:監督、たった今永琳さんからこんなものが届きましたが。
森近:ご都合主義はいいね、リリンの生み出した文化の極みだよ。なになに、診断の結果、あなたはU-1発症の恐れがあります……? なッ……何……だと……ッ?
こあ:あの伝説とまで言われている奇病……。森近霖之助……大した奴だ。
――何です? そのU-1というのは。
紅:私が分かりやすく病状を説明しましょう。この病気にかかると妙に強くなったり、聞いたこともないような能力が使えるようになってしまうんです!
森近:な、なんだってー!! どうりでさっきから音速を超えるパンチが放てるようになってるわけだ!
こあ:まるで絶○先生みたいな展開だね! むしろサ○スパーク? 「世界中で突如U-1が大量発生、地球滅亡の危機!」とか。そんな感じの話があっても私は驚かないよ!
紅:ダメよこぁちゃん、ここには「絶望した!」とか言っても全く違和感のない人物が約一名いるんだから。でも、U-1は私もよくこじらせたりしてるかな。好きなんだよね、そういうの。
パチェ:紅さーん、この流れで好きとか言っても信憑性ありませんよー。例えるなら、てるよニートネタやったあとの「輝夜は好きです」発言くらい信用ならないですー。
紅:それは似ているようで全く違うわパチュリーちゃん。不遇か優遇かでは天と地ほどの差があるのよ! 酸いも甘いも噛み分けてきた私が言うんだから推して知るべし!
Love & Peace! No More War! No More Jet Stream Attack!
――伝説とか言われてる割には、意外と身近に発症例多いんですね。
森近:この全身に漲るパワー……実に素晴らしい! 今こそ見せてやろう、我(オレ)の本当の力を!
紅:邪気眼まで併発させないでください、見てるこっちも辛いですから。一人称まで変えちゃって……誤字だと思われるでしょ。あと、無理のあるルビ振らないでください。
森近:ククク……。
我(オレ)は暗黒魔力(ダーク・パワー)を極めし者……。
故に、誤字・脱字報告など―――
通用せぬわ!
我が召喚魔法(サモン・マジック)に―――
恐れ慄(おのの)くが良かろう……!
―――出(い)でよ……!
“全て遠き幻想卿”(ロード・ファンタズム)!
幻想卿(以下敬称略):お前は何を言っているんだ。
パチェ:あ、幻想卿さーん、お久しぶりですー! また召還されたんですか? 大変ですねー!
幻想:いや、今日はちょっと通りすがっただけ。それとパーちゃん、その「幻想卿さん」ってのやめてくれよ~。せめて「幻想卿」か「幻想さん」のどっちかにして。じゃ、悪いけど今急いでるから。またね。
パチェ:はーいわかりました幻想さん。お疲れですー。
――誰です、今の?
こあ:言うなれば「自我を持ったこの世界そのもの」ってやつですかね? 私は何を言っているんだ。
森近:我が“忠実的下僕”(ロイヤル・スレイブ)……。
“全て遠き幻想卿”(ロード・ファンタズム)を退けるとは……。
フン……。
どうやら……。
只の屑(オーディナリー・ラビッシュ・ピープル)では―――
―――無いらしいな!
紅:―――なんだい、
やぶから棒(スティック)に―――
―――そんなことより、
御一緒(トゥギャザー)しようぜ―――!
こあ:このワザとらしい漢字のTAYOU! やたら多いKAIGYOU! ジジイみたいなKUTYOU!
(ドゥ~ン ドゥンドゥンドゥ~ン キュワキャキャキャッキャキュワキャ!)
まだ僕らの病気は始まったばかりだ、そんなメッセージがマシンガンのように監督の口から飛び出していく。
本物の中二病。それがここにあるのだ。
パチェ:ならばこちらはラストスペルで対抗よー!
出典『パチュペディア』
“卿(きょう、けい)は中国・日本の官位制に於ける高位の官職、及びそれに由来する呼称”!
森近:グアアアア! こ、この(誤解により)ザ・フンドシと呼ばれる香霖堂のリンノスケが……こんな誤字に……。バ……バカなアアアアアア。
――ああ、一つ前のパートはまともな流れだったのに……。
森近:一応全員の話は聞いたろ? もういいじゃない。
パチェ:あれ? 監督、病気はどうしたんですか? 心の。
森近:紆余曲折あったが、何とか抑え込むことに成功した。だが安心してはいけない。いずれまた第2、第3のU-1が現れないとも限らないからな。
紅:人に心がある限りU-1と邪気眼はなくならない。誰しも心にU-1を抱えているんですね。
こあ:今日は大切なことを学んだよ! U-1と邪気眼、この二つとどう向き合っていくかが私たちに与えられた命題ということなんだね!
パチェ:どうかU-1を恐れないでー。どうか邪気眼を怖がらないでー。うまく使いこなせればー、きっとあなたの力になってくれることでしょうー。
――うまいことまとめたつもりですか! このパート、インタビュー成分0%じゃないですか!
森近:この先は、こんなインタビューばかりになる……。自信がないのなら、ここで引き返すんだな……。
――そうですか。今更言われても、って感じですよね。というか再発してますよ、病気。この先どうするんですか。
森近:為すべきことは為した……! 後は運否天賦っ……! 跳べっ……! 浪花節だろっ……! 人生は……!
――半妖のすることってわからない……。どうしてキャラが定まらないの?
森近:ときどき理屈に合わないことをするのが半妖なのよ。
■
――では皆さん、最後に一言ずつお願いします。
紅:そうですねえ、やっぱりここは「名前で呼んでくださーい!」と言っておくべきでしょうか?
パチェ:出たー! 紅さんの十八番! もはや持ちギャグ! 映画出演前はそのことを本気で悩んでたのに! じゃあ私も! 「むきゅー!」
こあ:私も私も! 「クマー!」ズザザザ
森近:持ちネタ披露の場じゃないんですから自重してくださいよー、みなさーん。一言? それは次回遂に明らかに!
――私の役割を取らないでくださいよ! また手の込んだ嫌がらせを……。ともかく、皆さん本日はどうもありがとうございました!
話を面白いほうにとは分かるですが、読みにくいせいで途中で面倒臭いと感じてしまいます。
個人的にはこの話のコンセプトは好きですね。
Uー1はネタで見ると結構面白いっすねぇ。
投げっ放しでゆるーく締める、最高じゃない。
1話のような真面目なインタビュー希望
本作は「もしも紅霧異変が映画の中の架空の出来事だったら」というお話です。
そのため「原作キャラ設定」が「映画内の設定」と改変され、キャラの性格が著しく変化しています。
そういった表現が苦手な方は、ここで引き返すことをお勧めします。
この注意文の前提自体が意味を無くさなくなるので、一度最初に立ち返るのもいいかと
あくまでもキャラの性格だけが変更で、あとは幻想郷の設定に沿っていないと面白さが半減すると思うな
本編の世界設定でもしキャラの性格が違ったのなら?ってところがこの話の核なわけで、そこがブレる、つまり本編でありえないメタ的なモノ・発言の幻想郷への頻繁な流入は毒にはなっても薬にはならないでしょう
落とし方も紅魔郷で出てない紫頼みだし
コンセプトは好きなだけにこれから先こっち路線なら意見が分かれるかもしれないね
途中からだれてしまいました。ネタに走らずもう少し抑え目にやってくれる方が良いかと。
咲夜さん、お嬢様、妹様も残ってますし、軌道修正に期待しています。
1、2回の雰囲気の方が個人的には好きです